処女作です
※・作者 百錬にわか勢
・駄文注意
続くかどうか作者の気分次第
初めて書いたので、期待しないでください
拝啓 両親へ
トラックに轢かれて、神様に特典なしで百錬の覇王の世界に送られたけど、私は元気です。
この世界に来てもう十年が経ち、30代のおっさんになりました。
あっちの世界ではただの学生だった私は出世して、今では部隊を率いる指揮官になっています。
私が仕えている狼は角と戦争しており、その最前線に私の部隊は配置されています。
そして狼の宗主である勇人殿は、後方で美女とイチャイチャしてます。
爆ぜろ
ついに角との決戦が始まった。
弓矢の攻撃を盾で守り、戦車の突撃をなんとか防いだそんなとき、宗主から全軍突撃しろとの命令を伝令が伝えてきた。
ファランクスの突撃で相手の注意を前線に引きつけ、騎馬隊が敵後方に回り指揮官を叩くつもりなのだろう。
それはいい。問題なのは、伝令や部下たちが私に期待している目を向けていることだ。
理由はわかっている。私がまず行かないと兵がついてこないこないのだ。というか、先頭で指揮するやり方以外知らない。正直に言えば突撃したくない。
やりたくないと思う以上に、部下たちが私に向ける期待している目を裏切れない。
連れ行ってくれるんだろ
あぁ、わかったよ。連れていってやるよ、連れて行けばいいんだろ
あっちの世界でよく見ていたアニメのやり取りを思い出した。あのキャラもこんな心境だったのだろうかと思いつつ、最前列に立つ。
深く息を吸い、吸い込んだ息をすべて出すように大声で突撃と命令を出し、狼の軍勢の倍ほどの角の軍勢に一番に突撃した。
もうどうにでもなれと心の中で叫びながら
伝令は緊張していた。
自分がこの決戦の勝敗を決定すると思われる指示を前線へ運んでいるのだ。緊張しないはずがない。
それに伝令はこの戦いが初陣であることも、緊張をより大きなものにしていた。
だが、それ以上に今から指示を伝える相手によるものが大きい。
伝令は緊張の原因である前線を指揮する指揮官に、宗主からの命令を伝えた。
その人物は、170㎝ほどの身長で、体は鎧のような筋肉が付いており至る所に傷跡がある。身に着けている防具は青銅製のすね当てと兜、左手に盾。武器は腰に幅広い肉厚の剣を下げ、槍を持っている。
この方がエインヘリヤルを2人も討ち取ったのか
エインヘリヤルとは、ルーンと言われる加護を持った神から選ばれた者のことを言う。
その者たちは、万人に一人と言われるほど希少な存在であり、優れた能力を持っている。
そのためどの氏族でも重用されており、狼でもジークルーネやフェシリアが宗主の側近に重用いる。
そのような者を目の前にいる人物は、戦場で二人も討ち取ったのだ。
しかも、目の前にいる人物はエインヘリヤルではないのである。
ただの一兵卒であった目の前の人物は、エインヘリヤルを戦場で2度も討ち取った。それは、周辺の氏族でも『エインヘリヤル殺し』の異名で有名になっている。
その人物が、倍ほどの軍勢相手にどれほど戦果をあげるのか純粋に興味がある。
周りにいる彼の部下は、命令されるのを今か今かと待っている。
彼は最前線に立ち、大声で命令した。
「突撃っ!!!!」
その命令に答えるように、兵たちの鬨の声が轟き大地が震えた。敵はその鬨の声に怯み、その隙を逃さないと言わんばかりに狼たちの突撃が開始された。
エインヘリヤル殺し率いる部隊が敵中央に突撃し、中央の前線を突破寸前までいった。
これには敵も動かざる終えず、中央に予備の部隊を投入し、これを押し返した。
しかし、角は中央に気を取られてしまった。
角の両翼が狼の両翼の突撃にじわじわと押されていることに気づくのが遅れ、角は半包囲されていた。
角が気づいたときには時すでに遅く、後方にジークルーネ率いる部隊の襲撃を受けたことで包囲が完成した。
これによって、兵が少なくなった角の本陣が最前線になってしまい、ジークルーネによって宗主を捕らえた。
狼と角との決戦は、狼が倍の軍勢を破り、角の宗主を捕らえるといった大勝利で幕を閉じた。
勝利で浮かれる中、会談に出席しろと伝令が伝えてきた。
最前線で戦って疲れているし、ファランクスの訓練で角との戦争が始まる前から休みがないのだから、いい加減休ませてくれ。
と心の中で愚痴るも、口に出すとジークルーネに不敬罪で殺されるそうだから言えない。
早く行かないと文句言われそうだから急いで行くか
会談が行われる天幕に着くと、もう少しで角の宗主が着くとのこと
もう少しで遅刻するところだったと思っていると、角の宗主が兵士に連行されてきた。
我らが宗主殿が、年端もいかない女の子が角の宗主と聞いて驚いている。お前もそうだからな
勇人が子分にならないかと提案するも、角の宗主であるリネーアが即拒否。国力はまだ角が上だからという。
その後フェリシアがリネーアを煽り、それに反応してリネーアが
「そんな貧弱そうな奴がどれほどの者だ!?」
まあ、実際貧弱だからそう言われるのはしょうがない。そう思っていると
ジークルーネが自分たちの宗主を侮辱されたのが我慢できなかったのか、側にあった机をたたき割った。
「貴様、父上への侮辱は許さん」
今にも噛みつかんばかりの怒気を放っているジークルーネとリネーアを煽ったフェリシアを勇人が止め、謝罪した。
そして、勇人が本当の要求である妹分にならないかと告げた。
角の宗主であるリネーアは、決断を迫られていた。
相手を侮り、楽に勝てると思い込んで倍以上の軍勢で攻めるも敗北した。それも宗主であるリネーア自身が敵に捕らわれるという大敗である。
狼との会談にて、この戦争を終わらせる交渉が行われている。この交渉は、誰から見ても角が圧倒的不利である。
兵を大敗で失い、氏族の長が敵に捕らわれているこの状態では、相手の提示した条件をそのまま受け入れてもおかしくない。
しかし、リネーアは条件をそのまま受け入れることはプライドが許さなかった。
貧弱そうな狼の宗主が、妹分にならないかと告げた。それと譲歩はこれで最後だとも
最初の条件であった子分と比べれば、受け入れられる。
もし子分の盃を受け入れていれば、搾取され戦場では使い捨てにされていたのだろう。
それに加えて、盃を交えたらもう背くことができいない。それが最大のタブーであるから
妹分であれば、力関係はあちらが上なのは変わらないが、子分のようなことにはならないだろう。
ボクが妹分になって国に帰れば、売国奴言われるんじゃないかと、返答するのを迷っていると
「返答がないのであれば、仕方ない。貴様らをヴァンの町の二の舞にしてやろう」
「町を焼き払うというのか」
爪との戦争でヴァンという小さなの町を狼が住人を一人残らず虐殺し焼き払ったのは、有名だ。
それを角でやるだと、ふざけるな。どれほどの人が犠牲になると思っているんだ。
「それを命令したのは、お兄様ですわ。そして、実行したのは…」
「父上、また命令を下さればすぐにでも」
それまで沈黙を貫いていた男が、口をひらいた。
その男のことは、リネーアも知っている。
角でも有名な狼の剛の者であり、先ほどの角との決戦でも男が指揮する部隊に前線を食い破られそうになった。
その様子を後方から見ていても、その気迫に圧倒され体が震えた。
いやまて、この男またと言ったか。じゃあ、ヴァンの町を焼き払ったのは…
「俺に逆らうというのなら容赦はしない。行け」
「はっ」
まずい、このままでは角の民や町が焼き払われてしまう
もう、迷っている余裕はない。天幕から出ていこうとする男にも聞こえるように言った。
「分かった、妹分になる! だから、焼き払うのはやめてくれ」
こうして、角は狼の傘下に入った。
戦闘描写を少し加えました。
角との戦争序盤を書こうと思ったが、私の想像力では河を超えないといけないホルン砦を狼がどうすれば落とせるのか思い浮かばなかったよ。