第十四話 再開の写真
戻ってきて数ヵ月がたったある日、一夏は千冬の出場する第二回モンド・グロソが開かれるドイツの空港に来ていた。
「さてと、レイナに会いに行きますかね~」
一夏はそう言うと第707航空隊基地跡地のドイツ軍事施設に向かった。戻ってきてから一夏はレイナがまだ軍に居て軍令部元帥をしていることを調べあげていたのだ。
◇◆◇◆◇◆◇
「ほぇ~すごいな」
(変わったな~)
「何か用かな?僕?」
あれから30分後、一夏が基地の建物を見上げていると兵士達に話しかけられた。一夏は兵士にポケットから出した二枚の写真を渡した。片方は第707航空隊隊員の集合写真、そして……一夏とレイナと瑠衣、ソレイユの四人が肩を並べあっている写真だった。
「これは?」
一夏から渡された写真に付いて一人の兵士が聞き返してきた。それに対して一夏は素直に用件を言った。
「家にあった古い写真で、ここに写ってた人がいるらしいから。だからレルベンさんに見せてみて」
「う~ん…わかった。渡してみるよ」
少し考え込んだ末に兵士が折れ、写真を渡してくれる事になった。そして、レイナに写真を持っていった兵士がしばらくして戻ってきた。
「司令がお会いになるそうだ。付いてきてくれ」
そして、一夏は兵士に連れられ、執務室に来ていた。執務室に入るとそこには一人のお年寄りがいた。しかし、一夏にはそのお年寄りが誰かが直ぐに分かり、名前を口に出していた。
「…レイナか?」
その呟きを聞き取ったレイナは一夏に挨拶をしてきた。
「お久しぶりです、…織斑隊長」
◇◆◇◆◇◆
あの後、一夏はメンタルモデルの能力を使ってレイナを若返らせてた。
「で、どうしたんです?隊長」
レイナは唐突にそう言ってきた。
「いやな、IS使えるし千冬姉さんが教官になるみたいだしドイツ軍入りたいんだけど…だめかな?」
一夏のその質問にレイナはハァとため息をついてから新たに口を開く。
「隊長の実績は知ってるから別に良いけど…」
マジで?MA!GI!DE!
「なら頼むよ~」
それを聞いたレイナはノートパソコンを起動し、部隊の空きを確認した。
「え~っと、空きがあるのは…あった!隊長の配属先はここの司令部直属のシュバルツァー・ハーゼになります」
ふ~んシュバルツェ・ハーゼかぁ~。てか僕の階級って…
配属先がシュバルツァー・ハーゼだとわかった一夏だったが階級の事が気になり質問をした。
「なぁ、階級ってなんなの?」
「あ、ああ!一夏の階級は少佐からにしようと思ってます」
ぜってー忘れてただろ…(ジトー
レイナは“忘れてないですよ!”と忘れたのを隠したのを顔が物語っていたのを見抜いた一夏はジト目で見ながらも、拒否した。
「いや、偽名と仮面を使って一等兵から始めるさ」
「えっ?一等兵…からですか?」
一夏が一等兵から始まると言った事に驚いたレイナが聞き返した。
「流石に入隊して直ぐに少佐は色々不味いからな」
「順々にあげてくれれば良い」
「…わかりましたよ」
少し悩んだレイナだったが、最後は了承してくれた。それから一夏は色々雑談してから大会会場に向かった。