一夏がシュバルツェ・ハーゼの隊長になってから3年が経過した。その間に一夏は昔の『黒血の月姫の再来』の異名が付き、階級は‘’大佐”となっていた。そしてある日の夕方、隊のみんなと夕飯をしているとテレビに見覚えのある人が現れた。
『ハロハロ~♪みんなのアイドル~束さんだよ~♪』
『今日は皆にお知らせがあるんだ~♪IS男性操縦者を見つけたんだよ!その子の名前は織斑一夏君、ブリュンヒルデの弟なんだよ~。私の知り合いだから手を出したら許さないからね?それじゃあね~♪バイバ~イ!』
そしてテレビは切れてしまった。その後しばらく皆が沈黙していた。その中で一夏の携帯が鳴った。着信の主は千冬だった。
『一夏か?』
「あぁ、どうかしたのか」
『突然だがお前には身の安全の為にIS学園に入ってもらう事になった。お前はシュバルツェ・ハーゼの隊長をしてるんだからISを学ぶのも兼ねてな、だから日本に戻ってこい。一週間後に試験だからな』
「わかったよ…」
『ならばいいが』
そう言うと通信が切れた。
「「「「「……」」」」」
「…休暇がいるな」
沈黙が続いている隊員達を見ると一夏はそう短く言った。
「「「「「え~!」」」」」
すると隊員達は大声で叫んだ。それから一週間後、一夏は日本に向かった。
日本に渡ってから2日後
一夏は試験の為にIS学園に来ていた。そして一夏がIS学園の校門で待っていると千冬に声をかけられた。
「久しぶりだな、一夏」
「ほんとだね、2年ぶりかな?」
一夏は千冬の問いかけに応じて返す。
「一夏、早速だが試験をするからアリーナについて来てくれないか?」
「わかったよ、千冬姉さん」
一夏はそう言い千冬の後についてアリーナに向かった。
アリーナ
千冬に連れられ一夏はアリーナのピットに来ていた。そしてそこには緑色の髪の女性が一人いた。
「山田先生、任せてしまってすまないな」
「いえいえ、それよりその子ですよね?」
すると緑の髪の女性は一夏を見ると千冬に聞いた。
「ああ、一夏。この人は私の同僚で後輩の山田真耶だ」
「今の所属と昔の所属も頼む」
そう言われた一夏は敬礼をして自己紹介をする。
「ドイツ代表。ラウ・ル・クルーゼ大佐改め、織斑一夏です。よろしくお願いしますね、山田先生」
「ラウ・ル・クルーゼって…!まさか、あの『黒血の月姫の再来』が織斑先生の弟なんですか⁉」
すると山田先生は一夏のの名前を聞いて驚きの声を上げた。
「そうだが山田先生、落ち着いて。深呼吸、深呼吸」
「は、はい」
千冬に言われて山田先生は深呼吸して心を落ち着かせた。それから千冬は一夏を向いて話をしだした。
「お前の試験官は山田先生にして貰おうかと思っていたが……私がしよう。あの黒血の月姫の実力が知りたいからな」
「はい!負けませんよ」
すると一夏はそれに即答した。それを聞いた山田先生が慌てて止めに入る。
「お、織斑君!危険ですよ!」
「問題ありません。千冬姉さんには2回戦ったら1回は昔から勝ってましたから」
一夏が爆弾発言をする。すると山田先生は驚きの顔を見せた。
「確かにな、私も勝てるかどうかわからなくなる時があるからな」
そしてさらに千冬の追い討ちの爆弾発言に山田先生は驚きを通り越して固まってしまった。それを放置して千冬は一夏に話しかけた。
「一夏にはお前の専用機に乗ってもらいたい。それから私は反対側のピットから出るからな」
「…一応打鉄で出るよ。それと負けないでよ?千冬姉さん」
「私も負けはしたくない」
そう言うと千冬は山田先生を引っ張って反対側のピットに向かった。それを一夏は苦笑いで笑うしかなかった…