あれからドミニオンに着いた一夏達は直ぐに艦橋に足を運んだ。そして、艦橋に入ると一夏は付いてきた皆に席につくように指示した。
「シャルロットはいつも通り操舵手!」
「はい!」
「束姉さんは通信!」
「さ、サー‼イエッサー!」
「セシリアは臨時で砲雷長、山田先生はオペレーター!」
「わかりましたわ!」
「わ、わかりました」
指示を出し終わると今度は千冬の方を向いて口を開いた。
「千冬姉さんには艦長代理を頼みたい」
「私が艦長代理をか?」
千冬は何故自分を艦長代理に?と思い、聞き返した。
「千冬姉さんが一番艦の指揮を執るのに一番適してると思ったからさ……受けてくれる?」
そう一夏が問うと千冬は直ぐに了承した。
「艦長代理、任せてくれ。一夏」
それを聞くと一夏は元部下達を引き連れ今度は格納庫に向かった。
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格納庫には、第二次世界大戦時の戦闘機が多数止まっていた。
「これは…」
横から機体を見た秋野大佐が声を漏らす。それを聞いた一夏はそちらを向き、口を開いた。
「ああ、これは俺らの愛機達だ」
「無論、今の最新技術を詰め込んである。ジェット機なんかには負けないさ」
「さて、諸君。世界最強の第703航空隊の…死徒第十二死祖の力を見せてやるぞ!」
「「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」」
一夏がそう言うと隊員達は元気の良い返事と共に敬礼をしてきた。そして、格納庫の壁に備え付けられている受話器を手に取り、艦橋、CICに連絡を入れる。
「CIC!敵はどうだ‼」
『今は本艦から北東3㎞の地点にいます!現在本艦に向け、以前進行中‼』
「よし、なら我々が出る。ドミニオンは我々の発進後、2㎞まで接近し、援護射撃をしてくれ」
そう言い、一夏達は自分の愛機に乗り込んで行った。
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一夏は乗機である零式艦上戦闘機に乗り込むと直ぐに各部の動作チェックがする。
そして、チェックを終えると、一夏は機体を射出口まで移動させた。
「発進指示を」
『は、はい。一番機、発進、どうぞ』
「織斑一夏、零式艦上戦闘機。出るぞ!」
一夏がそう言うと機体が前に進んでいき、数十年ぶりに空を舞った。
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「各機、敵との戦闘に入る。…死ぬなよ。通信終わり」
戦闘に入る前に通信を入れ終わると、一夏は操縦菅を握りしめた。
ははっ、久しぶりの戦場か…必ず勝つ!
「突撃!」トトトトト!
そう言い、ト連送を送る。ここに、世界最強の第703航空隊の戦いが始まったのである。
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「クッ!振り切れない‼」
数十分後、一夏は福音との激しいドッグファイトを繰り広げていた。そこで、一夏はレバーを思い切り倒し、機首を上げて敵の後ろに付き、ここぞとばかりに引き金を引く。すると九九式二〇mm機銃が火を吹いた。
『⁉』
敵はいきなり攻撃され、少々混乱したが直ぐに体勢を立て直し、一夏機に対して攻撃を加えて来た。
「グッ!被弾箇所は…ちっ、燃料タンクに被弾しやがった!」
一夏はその攻撃を避けきれず、左翼の燃料タンクに被弾してしまった。数十分間の激しいドッグファイトで右翼の燃料を使い切っていたからだ。
「これでも食らえッ‼」
それから一夏は残りの燃料があるうちに敵の弱点である関節部に向かって右翼に装備していたミサイルを撃ち込んだ。そのミサイルは一夏が落ちたと思い込み、油断していた福音に直撃し、福音は爆発四散した。
「ははっ、これは…無理かな?」
一夏はそう疲れきった声で言った。その一夏の視線の先には発火、炎上する乗機の左翼だった。すると次の瞬間、一夏の目の前がパッと明るくなり、一夏機は…
謎の光に包まれ、この世界からいなくなった。
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「えっ?…」
“一夏機MIA”