「艦長!第一格納庫、注水完了しました!」
あの後、艦橋に入って艦長席に座り、自艦が発進できるようになるまで待っていると前の席に座っている通信士がそう報告してきた。
「上昇エレーベーター始動」
「上昇エレーベーター始動」
一夏がそう言うと副艦長の永木大尉が復唱し、艦が上昇して行き、約2分で“ガコン!”という音と共にエレーベーターが射出位置に到達した。そこまで着くと、一夏は次の指揮をし出した。
「船体固定アーム解除。発進口を開かせろ!」
「船体固定アーム解除!発進口解放!」
一夏の指揮を永木副艦長が復唱すると、操舵手が操作をし、船体を固定していたアームが離れ、艦首前方の壁が双方に動き、その先から小さな光が差し込まれた。
「錨上げ、微速前進!」
そう一夏が言うと艦の横に付けられていた錨が巻き上げられると艦底後方のジェットノズルに火が入り、徐々に前進して行った。
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「レーダーに感…これは」
「艦長、赤城を含んだ艦隊が向かって来ました。」
今、一夏達伊402クルーは赤城の航路を先回りし、海底に潜んでいるのだ。ソナー要員の報告を聞くと一夏は有線式の潜望鏡を上げ、辺りを見回した。
いた!
潜望鏡で約203度程見回した頃に一夏は目的の物を見つけ、思わず口に出してしまっていた。そう、その目的の物とはひかりと孝美が乗り込んでいった赤城を含んだ艦隊である。
「艦長?赤城はこっちを確認してるんですかね?」
一夏の言葉を聞いた永木副艦長が訪ねてきた。それを聞いた一夏は潜望鏡を引き下げながら答える。
「気づいてるだろ。あいつら一部を除いてな?」ニヤッ
「ああ、あの人ですね?」ニヤリ
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一方その頃、一夏が言っていた一部とは話題に上がっている空母赤城の艦橋にいた。その人物とは一夏の友人で空母赤城艦長兼司令官の稲木隼人准将である。
「ブエックシュ‼う~、どうせあの野郎が何か噂してやがるな?大体そこら辺に居るんだろうが…おい!双眼鏡を貸してくれ」
「どうぞ。どうせ一夏さんですよね?」
双眼鏡をそう言いながら渡したのは空母赤城の副艦長、早瀬迅中佐である。
「ああ、そうだ。あの野郎の事だ、この艦隊に着いて来てんだろ…っと!やっぱりいたぞ!」
「はぁー、あの人は何で居るんですかね?」
横から早瀬中佐がそう聞いてくる。
「さぁ、あいつのやることは分からんからな」
「大方、あいつの部隊に着任する人物の確認と護衛だろ?」
そう稲木准将が言うと早瀬中佐も何故か納得してしまうのだった。