一夏は翌日の朝5時半頃に横須賀港に来ていた。
そして朝6時なると太平洋から一隻の駆逐艦が見えてきて横須賀港に入ってきた。一夏が着任する松型駆逐艦竹だ。一夏は横須賀港に着岸したのを確認すると駆逐艦竹の側まで来ていた。そして駆逐艦竹の側にいた二等兵曹に話しかけた。
「ちょっといいですか?」
「なんなんだよ…っ!申し訳ありません大尉殿!」
めんどくさそうに振り向いた二等兵曹だったが一夏の肩の大尉の海軍章をみるなりすっ飛ぶ勢いで謝ると敬礼をしてきた。それに一夏も敬礼を返す。
「別にいいですよ?気にしてませんし」
「はっ、わかりました」
それに安心したのか二等兵曹は肩をおろした。
「一応自己紹介しておきますね、織斑一夏大尉です」
「はっ!自分は井城仁二等兵曹であります!」
その元気のよさに一夏は少し後退りしたがすぐに立ち直ると井城二等兵曹に要件を話した。
「井城二等兵曹?駆逐艦竹の艦長は艦内に居ますか」
「はい、艦長ならまだ竹の艦橋にいらっしゃるとおもいます」
艦長の場所を聞き出した一夏は井城二等兵曹に礼を言って艦に乗り込んだ。
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艦橋
一夏は艦内のラッタルをかけ上がって艦橋に着くと艦橋内を見回し、艦長席の人物の前に着くと一夏は口を開いた。
「松型駆逐艦竹艦長 伊敷団蔵大佐殿でありますか?」
「そうだが」
伊敷艦長である事を確認すると一夏は敬礼をして、着任した事を知らせる。それに伊敷艦長も敬礼を返した。
「今日付けで駆逐艦竹の航海長に着任しました。織斑一夏大尉であります」
「うむ、ならばこちらも名乗っておくか」
そう言うと艦長は一拍おいて話し出した。
「私は松型駆逐艦二番艦竹艦長を勤める伊敷団蔵大佐だ。よろしく頼むよ、大尉」
艦長の挨拶を皮切りに艦の重要人物達が自己紹介を始める。
「副艦長の久川準少佐だ。よろしくな、織斑大尉」
久川副艦長の自己紹介が終わると各班長が自己紹介をしだした。
「砲術長の永井涼大尉です」
「水雷長の神野淳一大尉です」
「機関長の多賀勝曹長です。よろしくな!織斑大尉!」
「通信長の大淀一中尉です」
各班長の自己紹介を聞いて一夏も口を開いた。
「よろしくお願いしますね」
そう言うと一夏は多賀曹長に部屋に案内してくれるように頼んだ。荷物を置く為だ。
「多賀曹長、荷物を起きたいんですが…」
「ああ、荷物なら部屋に置いてもらうからついてきてください」
そう言われた一夏は荷物を持つと多賀曹長に連れられ、ラッタルを降りて部屋に荷物を置きに行った。