一夏は赤城の第一格納庫に着くと整備兵と戦闘脚について話している孝美を見つけ、話しかけた。
「雁渕大尉か?」
「そうだけど…ッ!た、大将⁉」
「は、はい。私が雁渕孝美大尉です」
孝美は一夏の軍服の肩についている大将の肩章を見ると焦りながら敬礼をして来て、一夏も自己紹介し、敬礼を返した。
「私は織斑一夏大将だ。よろしく頼む」
「は、はい」
それから孝美は何故自分に話しかけて来たのかを聞いてきた。
「織斑大将?何故私の所に?」
「ああ、稲木准将に雁渕大尉の事を聞いたからかな」
「まぁ、よろしくお願いしますよ……孝美姉さん?」
一夏はそう言いながら着けていた仮面を外した。そして、一夏の顔を見た孝美は驚きのあまり叫んだ。
「…い、一夏が織斑大将なの⁉」
ビクッ!
「そ、そうだけど?」
そして、孝美は心を落ち着かせて一夏に質問した。
「一夏はいつ軍人になったの?」
「5歳の時だよ。ち・な・み・に、母さん達は知ってるからね?」
「母さん達めェ…ユルサナイ…」
孝美はちょっとドス黒いオーラを出しながら独り言を言っていた。実の所孝美とひかりにはブラコン気質が入っているのだ。
アニメだとそんなの無いのに…
「で、一夏は今は何処に所属してるの?」
孝美は一頻り言い切った後、一夏の所属を聞いてきた。
「ああ、僕の所属は…「ビー!ビー!ビー!」…なんだ?」
一夏は所属を言おうとしたが、それを赤城の艦内に流れた警報が遮った。それが鳴ったのと同時に一夏が持って来ていた通信機に永木副艦長から通信が入った。
「こちら織斑!何があった!」
『艦長!艦隊左舷前方3000km,高度4000に約15匹からなる敵の編隊が接近中!』
「わかった!今から向かうからカタパルトに私の機体を準備しておけ!いいな!」
『はっ!』
それから副艦長からの通信を切った一夏は孝美の方を向き、口を開いた。
「孝美姉さん。姉さんは艦の直掩として上がってくれ。敵は僕が倒す」
「一夏…わかったわ。そのかわり、ちゃんと実力を見せてよ」
「ああ!」
一夏はそう言うと横の通路から赤城と並走している伊402の甲板に向かって飛んだ。
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「いてっ!」
「艦長!準備出来てます!」
一夏が甲板上に着地すると山岸整備長が格納庫の中から手招きしてきた。
「…行くぞ、アールヴァル」
それから一夏は格納庫の中にある白い一機の機体を見て一言呟いてから乗り込んだ。
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『艦長、発艦どうぞ』
管制員からの通信が入った。
「織斑一夏アールヴァルMA.Ⅱ!出るぞ!」
それから一夏がそう言った瞬間、真っ白い機体が青い空に発進して行った。