船のドックまで来ていると土佐の横に晴風が停泊していた。それを見た明乃やましろ達晴風クルー達は扶城を見て圧巻の意を表してきた。
「「「「「おお~!」」」」」
「これが一夏」
「大きい~」
それを聞くと一夏は軽くこの艦の解説をした。
「この艦は基本排水量:34,000t、全長:207.1m、最大幅:96.5m。最高速度は28.5ノットまで出る」
「それに扶城は大和型と同じ46センチ砲がついてるから攻撃力は抜群さ」
一夏からの説明を聞くと晴風クルー達は驚きをあらわにしていたがそれに気がついた一夏は早く艦に乗り込んで海域に向かうように指示をした。
「「「「「おお~!」」」」」
「そんなに驚いとるならさっさと艦に乗り込んで海域に向かえ‼」
「「「「「す、すいません!!」」」」」
「謝ってる暇があるなら早く艦に乗り込め‼」
「「「「「は、はい~!!」」」」」
一夏の怒鳴りに驚いた晴風クルー達はすぐさますっ飛ぶように艦に乗り込んで行った。
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あれからしばらくたって一夏達は演習の海域に到着していた。到着して直ぐに晴風へ教員艦である『さるしま』から砲撃を受けた。砲弾は見事に第三、第四主砲のあいだに命中した。それを見た一夏はさるしまに通信を開いた。
「古鳥二等保安監督!この攻撃は何だ‼」
それに帰って来たのは途切れ途切れの言葉だった。
『敵ハ…ウツ…敵ハ…』
PTAウィルスがもう⁉…仕方がないか…
それを聞いて直ぐに一夏はさるしまへの通信を閉じ、晴風を見た。そこには驚きとも言える映像が出ていた。晴風がさるしまから攻撃を受け転覆しかけていたのだ。それを見た一夏は尚も晴風に攻撃を加えようとしているさるしまへの攻撃を開始する事を決め、艦の指揮を執り始めた。
「全艦戦闘配置‼」
「全艦戦闘配置、各員持ち場につけ!」
自分がそう言うと伊川副艦長が指示を復唱した。すると艦に警報が流れた。そしてそのすぐ後に艦が揺れた。
「グッ!被害知らせ‼」
「後部甲板に直撃!しかし第一装甲板で食い止めました‼」
「よし!正当防衛射!記録しとけ!」
「第一主砲塔右旋回15度‼砲弾装填!装填弾は貫通弾だ」
そう言ってから一夏は艦長席の右斜め前の席に座っている妖精に指示を出した。
「砲雷長、一撃で沈めてやれ」
「合点ですよ‼艦長‼」
そう言うと砲雷長は艦橋窓から双眼鏡を覗き込みながら砲の微調整をした。
「目標、速度二十ノット!主砲仰角プラス15!砲身間隔15センチ開けて散布面積広げろ!」
「撃てェェェ~!!!!」
一夏がそう言うと主砲が火を噴き発射された砲弾は全弾さるしまの右舷に命中した。そして、その事によりさるしまは片舷からの浸水がひどく、直ぐに転覆し、弾薬庫が誘爆し、沈んでしまった。それを見届けると一夏は晴風クルーの全員を助けてその海域から直ぐに離脱して行った。