さるしまを撃沈させて海域を離脱した数時間後、一夏の元に晴風クルーの意識が戻ったと知らされた一夏は救護室に来ていた。
「川岸美紀中尉、目覚めたというのは本当か?」
「はい、皆元気ですよ。織斑艦長」
そう言うと救護室主任の川岸美紀(かわきし みき)中尉はベットに横になっている晴風クルー達をさした。奇跡なのか晴風クルー全員が五体満足だったのであった。
それを確認した一夏は明乃達に話しかけた。
「明乃、ましろ。大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
「大丈夫だ」
「なら艦長室に来てくれ、現状を話す」
「わかったよ!」
「わかりました」
二人の返事を聞いてから一夏は艦長の明乃と副艦長のましろを連れて航空戦艦扶城の艦長室に向かった。
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一夏は艦長室のソファーに腰かけると一つ咳払いをした。
「今の現状は非常に悪い」
「?どういうこと?」
ましろが聞き返してきた。
「私達…主に私がさるしまを撃沈したことで反乱の扱いになっている事が通信探知でわかった…」
「「⁉そんな!一夏は守ってくれただけなのに‼」」
明乃達が直ぐに立ち上がり、声を張り上げるが一夏はそれを軽く鼻で笑うとソファーから立ち上がった。
「私は元から信用は無いだろう…とにかく言えるのはあの艦には異常があった。それだけだ」
一夏のその言葉に視線を横にあった棚に移した。するとましろはそこにあった昔の写真に気づき手に取った。
「そんな…ん?このの写真は」
「かっこいい人だな」
「ああ、その写真に写っているのは私と私の教官だ」
一夏がそう言うと明乃は大声を出して驚いていた。
「えっ!一夏この写真に写ってるの男の人だよ⁉」
「一夏は女の子なんじゃ…」
ましろのその呟きを聞き取ると一夏は執務椅子に座ると事実を話した。
「それは私が“元々男だった”からね」
そして驚きで声も出ない二人を横目に話し出した。
「私は元々別世界の住人でね、向こうの大日本帝国海軍に居たんだ」
「一応第27代連合艦隊司令長官で元帥だったんだよ?あ、年は19だったかな」
それを聞きさらに二人は固まってしまった。連合艦隊司令長官を19歳で歴任していたのだ。しかも元帥で、だ。たぶん最年少将校ではないだろうか。仮にもこの世界にも連合艦隊はある。しかしその司令長官になる人間は大抵5~60代の人だけなのだ。しかし、二人はそれだけすごい人物が目の前にいることよりも気になることを質問してきた。
「「…てっ!それより何で女になってるの!」」
「ん~そうだね、まず…」
そう言い一夏は自分の帝国海軍入隊から事を話し出した。そして三人は数時間ほど話し合っていたのだった。