織斑一夏転生記~転生者の生きる道~   作:如月 霊

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第五話 駆逐艦竹の奮戦

一夏が駆逐艦竹に着任してから2ヶ月たったある日、一夏と駆逐艦竹はアメリカとの一つの大きな海戦に突入しようとしていた。アメリカの艦隊は空母1隻、軽巡洋艦3隻、駆逐艦8隻、計12隻で対する日本は翔鶴型正規空母二番艦瑞鶴を旗艦とした、球磨型軽巡洋艦2隻、梨型駆逐艦6隻を含む計9隻だ。そして、今まさに海戦に突入する直前の時だった。

 

 

午後2時半、翔鶴型正規空母二番艦瑞鶴から通信が入った。

 

「旗艦瑞鶴から通信!『我、敵艦隊ヲ発見セリ、敵艦隊ハ空母一、軽巡三、駆逐八』とのことです!」

 

そう通信長が報告をあげてくる。それから旗艦瑞鶴から雷撃隊の第一波が発艦していくのを確認した伊敷艦長は艦橋要員を見回して口を開いた。

 

「皆、聞いてくれ」

 

その言葉に艦橋要員全員が伊敷艦長の方を向いた。

 

「敵は12隻からなる大艦隊、それに比べ我が艦隊はたった9隻だ。負け戦になる確率は高い!しかし、我らは練度が違う!訓練の数が違う!これを駆使してがんばれ!」

 

それを聞いた一夏等艦橋要員は、敬礼をしていた。

 

 

 

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30分後、海戦に突入した日本艦隊と敵艦隊の戦いは、激戦と化していた。敵の軽巡洋艦二隻と駆逐艦五隻を轟沈にまで追いやったがこちらの艦隊は球磨型軽巡洋艦一隻梨型駆逐艦四隻轟沈の被害が出ていた。

 

 

□■□■□■□

 

 

艦橋

 

「右舷より魚雷!」

 

「取り舵一杯!第三戦速!魚雷かわせ!」

 

駆逐艦竹の艦橋に伊敷艦長の怒声が響き渡る。そして竹は右舷から接近する魚雷を避けるために機関全開で左舷に周り、回避した。それでほっとしたのもつかの間、後方の観測要員から敵の急接近の報告が入る。

 

「敵機直上‼」

 

「何⁉」

 

そうして次の瞬間艦橋や第一煙突に敵機の機銃掃射が降り注いだ。艦橋の一部の天井が突き破られ第一煙突が小爆発を起こした。一夏はギリギリで体を伏せ無事だった。しかし、この攻撃で艦橋後部方面にあった艦長席に機銃が直撃し、艦長と副艦長を含む4人が戦死した。

 

「うぅ…艦長!副艦長!」

 

「航海長…」

 

艦橋にいた生き残り達が一夏を見つめ、そう言っていた。

 

「私が艦長代理をするしかないか…」

 

それから一夏はこの戦闘中の艦長代理となり、艦の指揮を始めた。

 

「被害は!!」

 

先ず被害を挙げさせる。

 

「全部甲板に爆弾が一発命中!艦橋に機銃ブチ込まれた以外は損害軽微です!」

 

それを聞き、通信手に指示をする。

 

「艦隊旗艦に通信!『我、戦闘行動ニ復帰スル』だ!」

 

そして敵艦隊旗艦を前方42000mにとらえた一夏は続いて指揮を出す。

 

「主砲塔1番2番、並びに魚雷発射菅右舷回頭90度!」

 

「これでは敵に当たりませんよ!織斑艦長代理‼」

 

「少し黙ってろ!このままでいい‼」

 

そして、至近弾が多数発生する中、敵旗艦との距離が30000に縮んだ瞬間、一夏は左舷の錨を下ろすように指示した。指示を飛ばす。

 

「左舷、錨下ろせ!」

 

その数十秒後竹は『ガコン!』という音と共に左舷に急回頭した。回頭が始まると一夏は錨を切るよう叫んだ。

 

「機関微速!!錨切れ!」

 

そして砲が向いているのは敵艦隊旗艦の横っ腹だった。回頭が止まると一夏は攻撃の指揮をした。

 

「主砲1、2番!魚雷1~4番!ってぇー‼」

 

その掛け声と共に魚雷や砲弾は吸い込まれるように敵旗艦に直撃した。敵旗艦は、傾訝に攻撃を集中され過ぎて転覆し、沈没した。敵旗艦沈没後、悪化していた戦況は打開され、アメリカ艦隊を全滅せしめるという完全な日本艦隊の勝利となった。


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