~比叡と戦った数日後~
明乃side
比叡と扶城との戦闘が終わった数日後。私達晴風クルーは一夏から受領した高速戦艦比叡に乗艦していた。
「艦長、一夏は何故私達に比叡を渡したんでしょうか?」
艦長席に座っていると横から副艦長を任せたましろが質問をしてきた。
「シロちゃん…」
「…わからないよ…だけど一夏には何かの考えがあるんじゃないかな」
私は少し言いどよみがら答えた。それから一夏の乗っている扶城が動き出したのが見えた。そして、私はリンちゃんに比叡も比叡について出航の指示を出した。
「リンちゃん、比叡も扶城に続きます。比叡。機関始動、前進減速」
「機関室!機関始動‼」
しかし、比叡は進む事なく変わりに伝声管から機関長の悲痛な叫び声が聞こえてきた。
『ダメだこれは!機関使用不能‼』
それが聞こえて直ぐに私は機関長に聞き返す。
「何があったんです⁉」
『燃料が全部抜かれてる!』
えっ?燃料が、抜かれている?
「なっ!一体どうしてッ‼」
そう叫んだ次の瞬間、艦橋から扶城を見た私は比叡を置き去りに進んでいく扶城を眺める事しかできなかった。
明乃sideout
一夏side
「よかったんです?」
艦長席で艦の前方を眺めていると一夏副艦長が話しかけてきた。
「ん?何が?」
「比叡に晴風クルーを置いてきて」
そう言われた一夏は「まぁ、大丈夫じゃないか?食料とかもあるし」と答える。
「まったく、貴方って人は…というか、ついて来ない所を見ると比叡の燃料まで抜きましたね?」
ギクッ‼何故バレた⁉
「バレバレです」
そう言われた一夏は軽く肩を落とした。
「ま、まぁ、燃料残して置いたら付いてくるじゃん」
「確かにあの人達なら来るかもしれませんね」
確かにそうかもというようにポンと手を叩いた伊川副艦長を見て一夏はあえて付け足しをした。
「これから扶城は武蔵を討伐に行くんだ、乗艦を一度沈没させられた明乃達は少なからずケガとかがある。そんな奴らを戦闘になんかは出せないでしょ」
「それに、ブルーマーメードの所にも明乃達を解放したって伝えてあるしな」
そう言うと伊川副艦長は軽く息をついた。
「これで扶城が悪者確定になりましたね」
「言うなよ、少しでも私達の正しい行動を知るものがいればいいさ」
一夏のそれを聞いた伊川副艦長は軽く愚痴ったが、直ぐに立ち直り、一夏に一言言うように言った。
「まったく…では艦長、一言頼みますよ」
それを聞いた一夏は艦橋を見回すと手を前に突き出し、宣言した。
「この航空戦艦扶城の似合う戦場に行くぞ‼」
一夏がそう言うと士気を上げた乗組員達の叫び声が艦内のあちこちから聞こえてきていた。
「「「「オオオオォォォォ!!!!」」」」