歓迎会の翌日、扶城は工厰の明石を訪ねていた。
「明石~いるか?」
扶城が工厰前でそう言って明石を呼ぶ、すると、中から騒がしい音が鳴り響き、そして明石が現れた。
「ふ、扶城さん。どうしたんですか?」
「いやな、開発でもしてみようかと思ってな」
扶城がそう言うと明石は驚いて声を張り上げた。
「え⁉か、開発するんですか⁉…勝手に資材を使ったら提督に怒られますよ?」
それを聞いた扶城はポケットから一枚の書類を明石に見せた。
「え~っと……あった!」ゴソゴソ
「ほい、月乃少将からも許可貰ってるぞ。それに自分の持ってる資材使うし」
「ハァ…分かりましたよ。こっちです」
そして、明石はその書類に食いついた後、軽くため息をし、扶城を工厰の奥に案内していった。
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「━ってとこですね。じゃあ、やってみます?」
開発の仕方の説明が終わり、明石が横に少し退いて自分に番を譲る。
「ああ、じゃあ……これくらいかな」
扶城は機械の前まで来ると、次々に資材を投入した。
燃料:10
弾薬:251
銅材:250
ボーキサイト:10
投入した資材は上記の量だ。そして、右下にあるボタンを押した。
すると、妖精さん達が現れ、一瞬光ったと思うとすぐに光は沈静化した。
「これは…」
思わずそう言葉を漏らした。何故ならば、そこにあった物は艦これには存在していないはずの扶城に搭載されていた垂直発射装置だったのだ。
「扶城さん?これは…」
横から明石が聞いてきた。
ああ、そういえば扶城の性能とかって出してなかったんだな。
「これは垂直発射装置だ」
「垂直発射装置…ですか?」
明石は首をかしげた。
「ああ、大戦時は俺にしか搭載してなかった武器で簡単に言えば今の巡航ミサイルみたいな感じだな」
扶城がそうあっけらかんと答える。すると、明石の肩がフルフルと揺れ、急に叫んできた。
「あ、明石?」
「す…」
「す?」
「すごすぎますよ‼」
ファ!?び、ビックリした~
「な、何がなんだ?」
扶城は何がそんなに驚く所なんだろうかと思い明石に質問した。
「何がって?今でも通用する武装が大戦時にも出来上がっていたことがですよ!」
「そ、ソウデスネー」
知らない内に扶城の返事は軽く棒読みになっていた。明石はさらに叫ぼうとする。しかし、そこにメロンちゃんこと軽巡夕張が駆け込んできた。
「扶城さんいますか‼」
「お?メロn…夕張か、どうかしたのか?」
扶城は一瞬メロンちゃんと呼びそうになるが、踏みとどまり、どうしたのかを聞いた。
「て、提督が扶城さんをよんでます!」
「何でだ?」
扶城は何故かと軽く聞いた。しかし、それはあまり軽くもない理由だった。
「大本営の元帥が来たんです‼」