織斑一夏転生記~転生者の生きる道~   作:如月 霊

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第七十一話 敵の襲撃と友軍艦

「艦長、あと一時間で横須賀です」

 

艦橋で角松中佐と話していると妖精の一人がそう耳打ちしてきた所で角松中佐が話しかけてきた。

 

「織斑元帥」

 

「どうしました?」

 

名前を呼ばれた一夏は直ぐに反応する。

 

「この船はすごいですね」

 

「ええ、といっても扶城は最初廃艦だったんですから」

 

「えっ!?扶城は廃艦だったんですか!?」

 

それを聞いた角松中佐が驚いた声を出した。

 

あれ?伝わってないの?

 

「知らなかったんですか?」

 

「は、はい。士官学校では織斑元帥が天皇陛下から頂戴した艦と教えられました」

 

マジで?!

 

「本当は廃艦になっていた扶城を頂いたんだ。まぁ、扶桑型戦艦が好きだったからなんですがね」

 

それを聞いた角松中佐は立ち上がり、窓から甲板を見て口を開いた。

 

「けどあの欠陥戦艦と言われる艦をよく改装したなと思いますね」

 

それを聞いた一夏はあることを思いだし、話し出した。

 

「だけど角松中佐、扶城は扶桑型では一番まともだって知ってますか?」

 

「え?今でこそすごい、じゃないんですか?」

 

「そうですよ?」

 

「そ、そうなんだ…」

 

それを言われた角松中佐は驚きを露にした。

 

「扶城はもともと廃艦、解体予定だったので試験艦にしようとして建造途中の扶城を実験という名目で建造を続行させました」

 

「この艦橋と新型機関ですね?」

 

角松中佐が答を述べた。

 

「そう、だから砲は必要な四基しか乗せずに艦橋と機関のテストをしたら意外と使える事がわかったんですよ」

 

「ただね、扶城の廃艦はそれでも揺るがなかった」

 

「ならなんで聯合艦隊旗艦になれたんですか?」

 

そこで角松中佐が疑問をぶつけてきた。

 

「それは廃艦で解体待ちの扶城を俺が指名したからだな」

 

「へぇ~、意外と数奇な運命をおってるんですね」

 

「ん?」

 

そう呑気な会話をしていると急に扶城のレーダーに謎の二つの反応が出てきた。そしてその直後、前方で扶城を誘導していた未来の後部、ヘリ着艦用甲板にピンク色のビームが直撃し、爆発した。

 

「み、未来が!」

 

角松中佐が未来乗員の安否を心配しているのををよそに一夏はその謎の物体の正体が直ぐにわかった。

 

くそっ!ネウロイがこっちに流れて来たのか!

 

そして一夏は艦長席の横についている受話器を手に取り叫んだ。

 

「総員!!戦闘用意!!これは実戦だ!繰り返す!総員戦闘用意!!これは実戦だ!!」

 

それから受話器を置くと砲雷長に問う。

 

「砲雷長!侵食魚雷は撃てるか!!」

 

「転移のせいで信管がイカれてます!!発射不能!!」

 

侵食魚雷の発射不可、それはこの艦の死を意味していた。一夏自身は扶城のCIWSと主砲、副砲、航空機しか使えず、ミサイル類は一切使用不能だとわかっていた。しかし、それでも一夏は艦長である。

 

「ならCIWSと副砲で弾幕を張れ!!」

 

「はい!」

 

しかし、その命令は遅く、艦橋にいた者は死を覚悟した。が、急に二匹のネウロイが爆発四散した。それに唖然とした一夏だったが、レーダーを見て驚いた。

 

レーダーには…

 

 

 

扶桑皇国海軍、空母赤城

 

日本国ブルーマーメイド横須賀女子学園 高速戦艦比叡

 

 

そう記載されていた。


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