「という訳で、イェーガーズの補欠となったタツミだ。」
目をうっとりとさせながらタツミに熱い視線を向けるエスデス。
「市民をそのまま連れて来ちゃったんですか?」
仮面越しに困ったような顔をしつつ筋骨隆々の男、ボルスはエスデスにそう尋ねる
警戒する目をするタツミをよそに尚も熱い視線を送り続けるエスデスはボルスやイェーガーズのメンバー全員に宣言するように
「暮らしに不自由はさせないさそれに部隊の補欠にするだけじゃない…感じたんだ。」
「タツミは…私の恋の相手になるとな」
「それでなんで首輪させてるんですか?」
「そうですよ!何もしていない市民ですよ!可哀想です!!」
同情のこもった目でタツミを見るウェイブと前に知り合ったタツミをエスデスのあんまりな待遇にセリューが苦言を言う
セリューとウェイブの二人からの援護射撃を見てランは助け舟として
「ペットじゃなく正式な恋人にしたいのなら、違いを出すために外されては?」
セリューとウェイブの批判とランの助け舟もあってかエスデスは少し思案すると
「それは確かにな…外そう。」
タツミの首輪を外しながら、今後のためにエスデスはあることを思いついた
「そういえばこのメンバーの中で恋人がいたり結婚してるものは?」
スッと静かに手をあげるボルスにセリューとウェイブはあまりにも予想外の人物過ぎて驚愕の表情になる。ちなみに他三人はあまり驚いてない。というかどうでもよさそうだった。
「ボルスさんそうなんですか!?」
「うん結婚6年目!もうよく出来た人で私にはもったいないくらい!」
顔を赤らめ恥ずかしそうにするが実際には仮面で隠れてその顔は見えない。だがその恥ずかしそうに体をくねらせる仕草から照れているのがわかった。
場がなんとも言えない沈黙に包まれた。その絶好の機会にタツミは
「あ…あのー、気に入ってくださったのは嬉しいんですが。俺…宮仕えする気は全然ないというか。」
「ふふっ言いなりにもならないところも染めがいがあるな。」
まるで聞いていないと言わんばかりのエスデス
「まぁまぁ、いきなりすぎて混乱しているのでは」
声をかけて来たセリューにタツミは警戒を込めた目になる
マインとシェーレと戦ったやつか。
「大丈夫ですよ。私達はせ…」
ここでセリューは躊躇う。果たして今の自分は自信をもって正義を語ることができるだろうか。いや、まだ、まだ言えない。
あの時に男に助けてもらったことを、教えてもらったことを忘れていないセリュー。
「私達は悪い人達と戦い、弱い人の味方ですから。」
撫でられているのは子供扱いされていて癪には触った。だが、セリューに抱いた悪感情はそれだけであった。
ナイトレイドともっと正確に言えば自分と考えを同じくするこの娘に意外だとタツミは感じた。
「エスデス様!ご命令にあったギョガン湖周辺の調査が終わりました!!」
タツミの思考はそれ以上考えることなくそこで中断された。
「お前達、初の大きな仕事だぞ。」
「最近ギョガン湖に山賊の砦が出来たのは知っているな。」
「もちろんです。帝都近郊における悪人達の駆け込み寺…苦々しく思っていました。」
セリューがエスデスの問いにすかさず答える。
「うむナイトレイドなど居場所が掴めない相手は後回し。まずは目に見える賊から潰していく。」
「敵が降伏してきたらどうします隊長?」
ボルスが素顔の分からない仮面越しにエスデスに尋ねる。
「降伏は弱者の行為…そして弱者は淘汰されるのが常だ。」
エスデスが当然だと言うようにボルスにそう答える。
「ちょっと待ってください!」
ここでエスデスの発言に水を差すようにセリューが待ったをかけた。
「正義は…正義はむやみやたらに人を殺しちゃダメだと思います!私は今までの行いを悔い改めようと言うなら殺さずに然るべき法のもとに罰を与えるべきだと思います!!」
「ほう、つまりお前は私に意見するつもりか?」
刹那、エスデスの纏う空気が、部屋の中の空気が一瞬にして絶対零度の中にいるような凍えるような殺気に包まれた。
「わ、私はただ、」
エスデスの纏う空気に気圧され尻すぼみに涙目になるセリュー。今にもセリューが殺されてしまうんじゃないかと緊張の走る空気にイェーガーズのメンバーは誰も動けずにいた。
だが
「お、お、脅したって無駄です!たとえ誰がなんと言おうと私は私の考えを改めるつもりはありません!」
先程の怯える様子はまだあるもののエスデスに彼女は、セリューはそう言い切った。
その目だけは怯えてはいなかった。セリューは最後まで彼女、エスデスの目を見てそう言い切ったのだ。
「フフッ」
エスデスが唐突に笑うと、部屋に充満していた殺気もなくなった。
「?」
「アッハハハハハハ」
さも愉快だと言わんばかりに、可笑しいと大声で笑い始めたのだった。
「私にそんな口の利き方をする奴はブドーの奴ぐらいだと思っていたがお前みたいな奴は久しぶりだぞセリュー。」
殺されると覚悟していたセリューはエスデスにいきなり笑われたことで緊張の糸が切れその場にペタンと座り込んでしまう。
「良いだろう。お前に降伏してきたものには手は出さん。約束しよう。」
「ただし、それはお前の戦いのほどを見てから決めることにする。お前のその甘い考えが通じるほど私は優しくはないからな。」
「は、はい!」
セリューがエスデスに敬礼を持って返事をする中エスデスは部屋に入った時のセリューへの最初の評価を改め直すことにしていた。
セリューのあの目、強者の強い目だ。
私に媚びへつらうような輩とは違う、将来絶対に強くなる強くなる人間の姿だ。
ああ、なんて良い日なんだ愛しいタツミとは運命的な出会い、さらにセリューのような将軍級の器に出会えるなんて
将来は絶対にタツミと同じく私のものにしてやる。
エスデスがセリューのことを考えてはいたもののその思考はすぐに中断してメンバーにギョガン湖への移動を命じた。
セリューはこの後のギョガン湖の戦いにて、エスデスに認められるほどの戦果を出し、生き残りへの降伏をセリューの戦果に免じて認めることとなり、私の目に狂いはなかったと内心で決心する。
その夜、タツミはエスデスの説得を試みるものの根本的な生き方への考えの違いから不可能だと分かり、失意のうちにその夜は眠ることになる。
そして、舞台はタツミがフェイクマウンテンでウェイブから逃げ、アカメに助けられるところまで進むことになる
「以上が俺が見てきたイェーガーズの戦力だ。」
「本当に全員が帝具使いか、きっついなぁー」
レオーネがイェーガーズの強大な戦力に顔を強張らせている。
「でも、そんなに悪いことばかりじゃねぇんだ。」
「というと、どういうことなんだタツミ?」
不思議そうな顔をしたレオーネがタツミにそう聞き返す。
「あのセリューって言う奴、マインが言うほど悪い奴じゃねえと思うんだ。それどころか俺たちナイトレイドの仲間になってくれるかもしれねえ。」
「ちょっとタツミ!あんた何馬鹿なこと言ってんの、アイツはシェーレを殺しかけたのよ。そんな奴仲間にするなんて私は絶対に認めないわよ!」
「まぁ待てマイン。まずはタツミの言うことを聞こう。帝具使いが仲間になってくれればこれほど心強いことはないんだ。」
鬼気迫る表情でタツミに殴りかかろうとするマインを止めるレオーネにタツミは感謝しつつ話を続ける。
「俺も最初は信じられなかったが、山賊の砦を潰す時にアイツはエスデスに降伏してきたやつを殺すことを真っ向から反対したんだ。」
タツミの話に驚きの表情になるナイトレイドのメンバー
「最初こそエスデスに脅されてどうなるかと思ったけど、それでもアイツはあのエスデスに言い切ったんだ。」
あのエスデスにそこまで言ったのかと更に驚くアカメ達
「多分だけどアイツの心の中ではきっと弱い人達を助けたいんだよ。俺たちナイトレイドと目的は一緒なんだ。」
「まさかそれほどまでだとはな。」
「分かったタツミお前がそこまで言うなら、お前が仲間にしてみろ」
現在ナイトレイドの隊長であるアカメからの許可が出てタツミは、嬉しくなる。それで仲間を増やせることに、ひいては仲間の命を助けられることができると思い。
「分かった、みんな俺に任せてくれ!」
「だが、今はダメだぞタツミ。ボスが戻ってきてから改めて作戦を立てよう。」
こうして、ナイトレイドはセリューを仲間に引き込まないか作戦を立てつつ、イェーガーズと対峙していくことになる
そして
「オカマの感って、当たるのよねぇ。フェイクマウンテンからは随分離れてたけど。」
Dr.スタイリッシュが指差す先には
「ナイトレイドのアジト…見ーっけ。」
避けられない戦いが今幕を開け、避けられない死もまた近づいている。
果たしてそれはナイトレイドかイェーガーズかそれはまだ誰にも分からない。
今度は僕アカの小説も書きたいなぁ
書いて良いですかね?
確実に帝都廻と両立が出来るかどうか怪しいところになります。