硝煙の先にあるものは   作:Allenfort

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404とグリフィンのワッペンを買ってしまった…!コミケでつけていこうかな?


第13話

「おい、感動のところ悪いが時間がねえ。とっととずらかるぞ!」

 

 時村はやや早口に416を急かす。零士が蘇生したものの、敵がいるということには変わらないのだ。早く逃げなければ。

 

「そうね。立てる?」

 

「右足が動かねえ、潰されてやがる……おまけになんかぶっ刺さってるんだ……!」

 

 ここへ来て新たなトラブルが発生した。左足は動かせている。金属骨格はかなり頑丈だ。だが、右足の骨はそうはいかなかった。瓦礫で骨折した上に、剥き出しになった鉄筋に貫かれ、釘で打ち付けられたようになっているのだ。

 

「嘘でしょう!?」

 

「指揮官! もう時間がないのに……!」

 

 ようやく助けられるのに、416は悔しそうに顔を歪め、9はなんとか引き抜こうとするが、鉄筋に残るコンクリートの破片が大きすぎてどかせない。

 

「膝下か……仕方ねえ、足を切る!」

 

「何言ってるのよ!?」

 

 しかし零士は自ら止血帯で膝下を縛り、激痛に耐えながらバーを回して止血する。左肩に逆さまに固定してある銃剣を抜き、416へと差し出す。

 

「骨は砕けてる。後は肉と服を切るだけだ。やってくれ」

 

「でも……」

 

「指揮官のお膝……私の枕が……」

 

 そんな膝の心配をするG11を416が小突くが、当の零士は笑っていた。少しだけ余裕ができた。

 

「切るのはふくらはぎだから膝枕に影響はねえよ。でも、治療が遅れて壊死したら左と同じ運命だぞ?」

 

「……頑張る」

 

「頼む、416」

 

 416は震える手で銃剣を受け取る。自ら、想い慕う彼を傷つけるのか。考えるだけでも失神しそうだが、そうしなければ助からない。聞こえるM16たちの悲鳴が、時間がないことを知らせているのだ。

 

 そんな416からM4が銃剣を奪う。お前には無理だ、そう言うかのように。

 

「それじゃあ、私たちにはとって代われないわ。おとなしく見ていて」

 

 416は拳を握りしめ、悔しさに歯噛みするが、その通りだから仕方ない。その間にもM4は床と足の間に銃剣を入れ、切る準備を整えた。

 

「ごめん、汚れ役やらせちゃって」

 

「いえ、指揮官のためですから。我慢してくださいね」

 

「ああ、あの時に比べりゃ……」

 

 そんな零士の手をG11が握る。泣きそうなのを我慢して、励ますように。そして、416は零士の頭をしっかりと抱きしめ、胸元に寄せた。

 

「いきます……!」

 

 M4が銃剣で一気に足を切断する。同時に悲鳴が上がり、身体中がこわばる。戦術人形のG11でさえ痛いと感じるような手の力。悲鳴を上げる零士を、416はただ抱きしめることしか出来ない。

 

 ふと、力が弱まる。痛みのあまり失神したのか、がくりと項垂れてしまう。

 

「安心しろ、このクソ野郎はしぶとい。死にはしないさ。それより脱出しよう」

 

 時村は零士を引きずり、瓦礫から出してやる。血が赤い線を引いていく。それが、痛々しくて見ていられない。

 

「データアップロードも終わってるし、ヘリを呼ばなきゃね。404は屋上のジャマーを破壊するわ。その間にスピアとM4は回収地点に指揮官を運んで」

 

 戻ってきたUMP45はそう指示する。片足をまたしても無くした零士の姿に、姉妹で悔しそうな顔をするが、感傷に浸る時間は残されていなかった。

 

「ええ、M16姉さん!」

 

「聞こえてる! 撤退するぞ!」

 

 M16が閃光手榴弾を投げ、遅れてUMP45が援護のために煙幕を張る。それを合図に、撤退作戦が始まった。

 

「待っていてね、レイジ。私が必ず助けるから」

 

 416は別れ際に、気を失っている零士の頬に軽く唇を当てる。危険な任務に赴くのだ。それくらい餞別代わりに許されるだろう。

 

 ようやく、罪から解き放ってあげられる。だから、ミスするわけにはいかないのだ。

 

「行こう、いつデストロイヤーが動き出すかわからねえ」

 

 時村は零士を担ぎ、片手で拳銃を構える。AR小隊はそれを囲むようにして援護態勢をとり、出口に向けて進む。

 

「M4A1とか言ったな、俺とこいつの命はお前次第だ。援護頼んだ」

 

「了解しました。SOP、何か見える?」

 

「前は何もいないよ。このまま行こうよ!」

 

「了解、前進します!」

 

 未だ目覚めぬ零士を担いだ時村はM4たちに守られながら前進する。無線はノイズを吐くばかりで何も伝えてくれない。きっと、ジャミングでドローンもこの施設に接近できないだろう。

 

 それで異常に気づいてくれるのが1番だが、そうはいかないのが戦場の常だ。頼みはあの404小隊のみ。上手くいってくれと願うことしかできない。

 

 ※

 

 その頃416は屋上へと急行していた。デストロイヤーに見つかる前にジャマーを破壊する必要がある。だが、行く手を鉄血が阻んでいた。やはり重要目標をやすやすとは渡してくれないか。

 

「9、11とそこの廊下を回って側面から叩いて。416は私と射撃支援」

 

 UMP45は遭遇した敵に対し、的確に判断して反撃する。腹の底で何を考えているかわからない彼女だが、今だけはよくわかる。

 

 UMP45以外もだ。UMP9も眉間にしわを寄せているし、あのG11もパッチリ目が覚めている。指揮官をあそこまでやられて怒っているのだ。

 

 416とて、いつもならばM4とM16に重要なことを自ら託すなんてことはしないだろう。だが、今はそれを上回るだけのものがあった。

 

 指揮官の悲鳴が耳からまだ離れない。記憶領域をその感覚が占めてしまい、どうしても消去できない。頼む、と託されたのに出来なくて、M4に任せてしまった。

 

 そうしないと助からないと、わかっていたのに。それなのに、躊躇った。胸の中で悲鳴をあげるあの姿が痛ましくて……2度も脚を失う姿を見るのが怖くて、目を背けた。

 

「……これは、罪滅ぼし」

 

「なら、生きて帰らないとね。寂しがりの指揮官泣かせちゃうわよ?」

 

 UMP45もどうやら腹の読めない笑顔ではあるが、目が笑っていない。こっちも相当怒っている。まあ、そうだろう。

 

『45姉! いくよ!』

 

 無線から聞こえるUMP9の声。同時に、側面からの攻撃で目の前の鉄血人形は一気に殲滅された。1体を残して。

 

 2挺のグレネードランチャーをぶら下げたデストロイヤーが、まるで死神のように立ちはだかっていた。

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