無感動な少女と魔眼使いの少年   作:なるなる

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 どうも、失踪系投稿者のしぃです!
 色々遅れてスイマセン、今後は平日投稿が増えるこの作品ですのでどうかよろしくお願いします。


七話「邂逅する三人」

ーしゅうたー

 一か月前、俺は二人の少女と出会った。

 この時の俺は知らなかったのだ、この出会いが後に大きな影響を及ぼすなど。

 

 

ーももこー

 今日は月曜日、昨日の夜しゅうたからの電話で朝起きられないかもしれないから起こしに来てくれと頼まれた。

 私はお前の彼女でも、母親でもないと断ろうとしたが、何でも昨日だけで三体も魔女を狩ったらしく疲れが溜まってるらしい。

 私は渋々了承し、しゅうたの自宅を訪れていた。

 預かっている合鍵で鍵を開け、家の中に入る。

 

 

「入るぞ~」

 

 

 中から返事がないことから、まだ部屋で寝てるのだろう。

 時間も時間なので早く起こさないと自分も遅れてしまう、私はしゅうたの部屋に向かう。

 一階にあるのは、和室とリビングやダイニング更にはキッチンがくっ付いた大きな一部屋で、二階に三部屋の洋室。

 豪華な家にも見えるが、そこまででもなく内装はあまりなくシンプルだ。

 階段を上がると見えてくるのは三つの部屋。

 

 

 階段を上がって右手の奥にある部屋は物置で、いつもは少し埃を被った段ボールが積まれている。

 目の前にある部屋は、しゅうたのお母さんが使っていた部屋で今は誰も使っていない。

 最後に左手の奥にある部屋がしゅうたの部屋、リビングで寝ていないということはここに居る筈だ。

 

 

「お~いしゅうた、朝だぞおきろー」

 

 

 あまり大きな声を出すと近所迷惑になるので抑えめに声を出す。

 すると、部屋に置いてあるベットの布団がもぞもぞと動いた。

 

 

「……ももこか……あと一時間……」

 

 

「いや!流石に五分にしてくれ、アタシも遅刻するだろ」

 

 

 ベットに近づき豪快に布団を引っぺがす。

 

 

「うう~、眠い……けど起きないと学校に~」

 

 

「うだうだ言ってないで起きろ、朝飯も弁当も準備は終わってるんだから」

 

 

「サンキュー、よし……そろそろ起きるか」

 

 

 やっと目が覚めたのか、のそのそと動いて着替え始める……着替え始める!?

 

 

「しゅうた、アタシも居るんだからまだ脱ぐなよ!」

 

 

「別にいいだろ?減るもんじゃないし」

 

 

「減るよ!現にお前の羞恥心が減ってるよ!」

 

 

 まだ眠気が覚めてないのか、いきなり脱ぎだしたしゅうたを置いて私は部屋を出た。

 

 

ーしゅうたー

 朝はももこに起こされて、今はももこの家。

 仕事の所為で夜が遅い時や、疲れている時はこっちの家で朝飯や昼飯を用意してもらっている。

 

 

「すいません、いつもいつも」

 

 

「いいのよ、困っときはお互いさま。それにお互いそんなのを気にするほど、初々しい関係じゃないでしょう?」

 

 

「それもそうすっね」

 

 

 この人はももこの母で十咎(はるか)

 昔からお世話になっている人で、いつも頭が上がらない。

 いつもならももこの弟の二人も居るのだが、今日は先に出てしまったらしくももこと二人で食事を済ませる。

 

 

「そう言えば、最近は忙しそうだな。また何かあったのか?」

 

 

「全然、これと言って特筆することはなにも……でも最近は、大東区もヤバイらしい。何でも最近急に魔法少女が行方知らずになってるとか」

 

 

「そりゃあ大変だな……十七夜さんは大丈夫かな?」

 

 

「多分大丈夫だろう、あの人が負けるのは……なんだが想像できない」

 

 

 和泉十七夜(いずみかなぎ)、大東区のトップとも言われている魔法少女。

 何度か会ったこともあるし、先程話した件でも相談を受けたことがある。

 因みに年齢は十七。

 ある種のカリスマ性を持った人で、周囲の人間からは尊敬の念を多く寄せられている。

 魔法少女としてもベテランで、以前実際に戦ったことはあるが二度と戦いたくないと思う相手の一人だ。

 だが、最近は神浜に魔女が増えた所為か関係は軟化してきた。

 

 

 その前は、縄張り問題について西代表のやちよさんと東代表の十七夜さんと特別席の俺で話したこともある。

 

 

「だな、ああ!ヤバイぞしゅうたそろそろ出ないと遅刻確定だ!」

 

 

「マジか、すいません遥さんもう出ます。朝飯と弁当ありがとうございます」

 

 

「いえいえ~どういたしまして」

 

 

 緊張の中にある空間さえも和ませるような緩い声が聞こえてくる。

 相変わらず、四十を超えてるとは思えないほどの愛らしさを持つ母親だ。

 

 

「じゃあ、アタシも行ってくるから。家のことはよろしく」

 

 

「もう、言われなくても分かってるわよ」

 

 

 その可愛らしさに少し緩みそうになる感情を抑えて学校に向かった。

 

 

ーももこー

 今日の授業で一番面倒なのは体育だ。

 何でも、今日限って三年との合同になったらしい。

 そういうことはもっと早くいって欲しい、なんたって三年には……

 

 

「しゅうたーー‼」

 

 

「ぐへっ?!いきなり抱き着くな鶴乃、腰の骨が逝くかと思ったわ!」

 

 

 つるのが居るからだ……

 由比鶴乃(ゆいつるの)、神浜市立大附属学校三年生にして私やしゅうたと同じ魔法少女。

 昔はチームを組んでいたこともあるが、今は別々だ。

 

 

「久しぶり~、昨日ぶりくらい?」

 

 

「だろうね昨日も会ったからね!……たくっ、何でよりにもよって鶴乃のクラスなんだよ。もっと他にクラスあるだろ」

 

 

「いいじゃん、ももことしゅうたと一緒に体育出来るのは私的に嬉しいよ!フンフン!」

 

 

 鼻息荒く言うつるのに、私も苦笑しながら話しかける。

 

 

「悪いつるの、今日のしゅうたあんま調子良くないからさその辺にしといてやってくれ」

 

 

「ええーー!?そうだったの?だったら早く言ってよ、それだったら何もしなかったのに」

 

 

「何か言う前にお前が突っ込んで来たんだろうが……まぁいい。俺は今日あんま力出せないから、隅で大人しくしてるよ」

 

 

 体育の種目はサッカーとテニス、女子がテニスで男子がサッカーだ。

 しゅうたは運動は得意な方だが、昨日の疲れが祟って今日はディフェンスに落ち着いている。

 いつもだったらオフェンスの方で、ガンガン点を取りに行くのだが、今回はディフェンスで敵のボールをギリギリの所でカットして仲間に渡すという程度で済んでいる。

 ……本当に何でもかんでも万能に出来るから凄い。

 そして、今度は私とつるのの番が来た。

 

 

 何でも、今回は上級生とペアを組まないといけないのでつるのと組んでいる。

 まぁ、おおよそのことはなんとなく予想で出来ている。 

 

 

「よし!頑張ろうねももこ!」

 

 

「あいよ、よろしくねつるの」

 

 

 そして、この日私のラケットにボールが触れることはなかった。

 

 

ーしゅうたー

 昼休み、いつも通りの場所に行くと、ももこの目の前で土下座をする鶴乃の姿が見えた。

 

 

「……レナ、これはどういう状況だ?」

 

 

「レナに聞かないでよ、何でも体育の時間につるのがももこにボール触らせず全試合済ませちゃったらしいわ」

 レナの話を聞いて俺は頭を抱えた。

 また、鶴乃がやらかしてしまったらしい。

 

 

「ごめん!本当にごめん、ももこ」

 

 

「だから、そんな謝らなくていいって。早く食べないと、飯食う時間も無くなるぞ」

 

 

「も゛も゛ご~ありがどう゛~」

 鶴乃がももこに泣きながら抱き着く……到底上級生とは思えない光景だ。

 

 

「何だか、ももこちゃんの方がお姉さんみたいだね……」

 

 

「かえで、それは言うな……」

 コントのやり取りをしながらも弁当を食べ始める。

 

 

 さっきのやらかしたってのは、簡単に説明するとこうだ。

 初見の方は信じられないかもしれないが、鶴乃は天才だ。

 学年トップの頭脳を持っていて戦闘時の機転も良い、運動能力は素の魔法少女じゃない状態でも余裕で男子に勝てる程に。

 まぁ、精神年齢だけで言ったらももこの方が断然年上に見えるが。

 あれでも、気が利くし家事も出来る。

 

 

 おまけに顔やスタイルも悪くない、美少女の部類に入るのだが如何せん変な子印象が付きやすい為、未だに恋人は出来ていない。

 

 

「……あれ?なんだか今日は味付けが少し濃いような……」

 

 

「アタシが作ったんだよ、しゅうたはそんな味付けの方が好きだろ?」

 

 

「流ッ石ももこ分かってる」

 

 

「ねぇねぇしゅうた、私の回鍋肉食べてみてよ。今回のは少しアレンジして出来た自信作なんだから!」

 鶴乃が笑顔で俺の弁当箱に回鍋肉を乗っけてくる。

 ……すいません、なんだか色が物凄く赤いんですが。

 

 

「今回はね!なんと、豆板醤を多めに入れてみたの!」

 

 

「……多いってレベルじゃなくない?」

 

 

「う、うん、真っ赤だよこれ」

 

 

「しゅうた、流石に今回のは止めといた方が良いんじゃ……って!もう食べてる」

 ももこに何か言われたが、俺は既に食べ始めている。

 

 

 中華系の料理独独の味の濃さが、白米にベストマッチしている。

 辛さは感じるが、その分ご飯をかきこむので何とか辛さは相殺できた。

 その味は――

 

 

「ど、どう?」

 

 

「う~ん。味は良いし、辛さもアクセントになって良い感じ……良い感じなんだが。やっぱり五十点だな」

 

 

「ええ~~‼う~~……折角アレンジして頑張ったのに……」

 明らかに落ち込んだ鶴乃を、何とか励ます。

 

 

「大丈夫だ鶴乃、俺はお前の作る飯好きだから。……何と言うか、家庭の温かさがある感じがして良いな」

 

 

「ホント!?やったーー!ありがとうしゅうた、そうやって言ってくれるのはしゅうただけだよ~」

 

 

「ああはいはい、引っ付くな」

 鶴乃が引っ付いて来た瞬間、スマホが鳴る。

 

 

「……今日はオフって聞いたんだけどな~……しゃあないか。鶴乃悪いけど、退いてくれ仕事の電話だ」

 鶴乃にそう言うと、すぐに俺から離れてご飯に戻った。

 

 

『もしもし、藍川です。どうしました咲良さん?』

 

 

『こんな時間にゴメンね柊断君、急ぎの件なの』

 

 

『はぁ~、どうぞ何ですか?』

 

 

『ええと、魔女の結界内で魔女相手に負傷者一人を背負いながら戦ってる魔法少女が居てね。助けに行ってほしいの』

 

 

『いつも思うんですけど、どうやってその情報手に入れてるんです?幾ら魔術師だからって万能すぎません?』

 

 

『君たち魔法少女だって同じようなものよ、さぁお仕事お仕事!』

 

 

『分かりました、スマホに位置情報送っといて下さい』

 

 

『オッケー、任せといて』

 

 

 通話を切った俺はため息を吐きながら目の前に居る面々を見る。

 

 

「てな感じだ、後は頼んだももこ。授業に遅れそうだったら、なんとか誤魔化しといてくれ。じゃあ、悪いけど行ってくる」

 

 

「ああ、分かった。気を付けろよ?」

 

 

「了解」

 後のことをももこに任せて、学校の隅に行き魔法少女に変身してからスマホで位置情報を確認する。

 

 

「案外近いんだな……これだったら午後の授業にギリギリ間に合うかも!」

 俺は胸に少しの期待を持って、目的の場所に向かって飛び立った。

 

 

ーまさらー

 絶体絶命とはこういう状況のことを言うのだろう。

 魔女の結界を見つけてグリーフシード目当てで入ったものの、魔女も魔女の手下も段違いの強さで瞬く間に囲まれてしまった。

 魔女に頭の部分の浅くだが斬られてしまってこころは負傷、私もこころを背負いながら戦ってるのだが、体中に目に見えて切り傷が見え始めた。

 魔女の容姿は犬に近く、前足の爪が全て鎌に変わっている。

 おまけに尻尾は大鎌と、今まで見た魔女の中ではまともな部類の容姿だ。

 

 

 手下もそれに似て犬に近い容姿なのは違いないが、こちらは体中から棘が出できているためハリネズミのようにも見える。

 切り傷が多いのもこれの所為だろう。

 避けられたと思っても掠っていたりする所為で、中々に体力を削られてしまう。

 だが、そんなところに一人の魔法少女が現れた。

 

 

「君たち大丈夫?背負われてる子は……酷い怪我だな。待ってて今治すから」

 そう言って、いきなり現れた魔法少女は敵に背を向けて私とこころの方を向く。

 

 

「後ろ!」

 こころの声が響いた。

 それも当然だ、その人の後ろには既に魔女の手下が……

 

 

「大丈夫、こんなやつに上げる程俺の命は安くない」

 そう言って、体を手下の方に向けることなくこころの治療を始めた。

 

 

「破壊」

 その言葉が響いた瞬間、周りに居た手下たちが、内側から破裂したかのように爆発した。

 

 

「どういうこと……?」

 私の口から疑問が漏れる。

 彼女が何もしていないのは明らかだ、一体何が起きたのだろうか。

 

 

 ふと彼女の目を見ると、何故か青く光り輝いていた。

 私は、その光を食い入るように見つめる。

 上手くは言えないが、少し興味を感じていた。

 

 

「まぁ、説明は後でね……さぁてその子の治療も終わったし魔女を片付けますか」

 首を後ろに向けると、こころの傷がまるで何事もなかったように無くなっていた。

 彼女は何かが可笑しい、そう感じて質問をする。

 

 

(こんなに誰かに興味を持ったのはこの子(こころ)以外では初めてね……)

「何故私たちを助けたの?この子を助けたところで何のメリットもないじゃない」

 

 

「一様、仕事だからね。それと、俺がこういうことをするのはただのエゴだよ」

 私の質問になんてことないように答えた彼女は、目の前に居る魔女に目を向けた。

 

 

「悪いけど、急いでるんだ。早速で悪いが……死んでくれ」

 また目が青く光る、次の間には魔力で作った刀を持って魔女の懐まで潜り込んでいた。

 

 

 そして、

 

 

「―――――――!!」

 刀による一閃で魔女の首は斬れ、結界も直ぐに霧散した。

 

 

「よし!お仕事完了、ええーっと君たちの名前聞いていい?」

 私はこころに背中から降りるように促して、彼女の質問に答えた。

 

 

「粟根心です。さっきは怪我の件ありがとうございました」

 

 

「加賀見真更」

 

 

「あっ!悪いね、変身解く」

 彼女は私たちの目の前で変身を解く、私とこころもそれに合わせて変身を解いた。

 そして、変身を解いた後目の前に現れたのは……彼女ではなく……()だった。

 

 

ーしゅうたー

 そりゃあ、流石に驚くよな。

 だってさっきまで女だと思ってたやつが男だったらそれはビックリする。

 酷い時は変態呼ばわりされたこともある……まぁレナになんだが。

 

 

「俺の名前は藍川柊断。あ~~、言っておくが決して変態じゃない、そこだけは理解してくれ。……ヤバッ!?時間が……これ俺の電話番号とメールアドレス、何か知りたいこととか聞きたいことがあったら連絡して。基本的に出れるようにしとくから。あと、これ上げる」

 そう言ってグリーフシードを投げ渡し、俺はもう一度変身して学校に戻る。

 銀髪と言うか白銀色のまさらって子はあんま驚いてなかった感じはした、茶色い髪のこころって子は……顔が固まっていたので相当に驚いていたのだろう。

 

 

 何だが少し悪いことをした気分だった。

 数分もしない内に学校に戻れた、魔女の結界で彼女たちを探した分少し時間を食ったが何とか間に合ったようだ。

 校舎の隅に降りて変身を解き、急いで教室に向かう。

 ベルが鳴ったと同時に教室に着き、肩で息をしながら席に着いた。

 

 

「だ、大丈夫か?ギリギリ間に合ったな」

 

 

「まぁ、何とかな……数学か~。……なぁももこ」

 俺が続く言葉を言おうとすると、ももこがため息を吐きながら続く言葉を言った。

 

 

「ノートは後で見せてやるから寝てろ」

 

 

「助かる……ありがとなもも……」

 言葉を言いきる前に、俺の意識はまどろみの中に落ちていった。

 

 

ーももこー

 結局帰って来たしゅうたは、疲れもあってか授業が始まってすぐに寝てしまった。

 少し前までは注意していた先生も、最近は注意をしない。

 しゅうたは基本的に授業態度は良いのだ、だが今回のように突発的な行動が稀にあるため、教師陣はなにか家庭の事情があるのだろと察して何も言わなくなった。

 まあ、実際に家庭の事情ではあるのだが、しゅうたの場合は少し違う。

 

 

 隣で気持ちよさそうに寝てる幼馴染を見て、チョップでもかましてやろうかと考えたが止めて優しく頭を撫でた。

 

 

「へへへ~、えへへへ~~」

 先程まで緩んでいた顔が更に緩む、何と言うか……寝ている時のしゅうたは無性に母性本能をくすぐられる。

 少しだけ、あと少しだけと三分程しゅうたの頭を撫ででいると、大量の視線が自分に向けられていることに気付いた。

 

 

「ゴホン。十咎さん、授業中にそういう行動は控えて下さい」

 

 

「す、すいません、以後気を付けます」

 注目されていたことで少し赤くなった顔を何とか隠し、隣で呑気に寝ている幼馴染に恨みがましい視線を送る。

 当の本人は熟睡しており、結局六時間目まで起きなかった。

 

 

ーしゅうたー

 翌日、俺はある喫茶店に呼び出されていた。

 こころってこからメールが来てて、何でも昨日のお礼がしたいだとか。

 あまりお礼や謝礼などは求めてないが、呼ばれたからには行かなければいけない。

 念の為に、ももこにも付いて来てもらい、目的の場所に向かう。

 

 

 今日は比較的暖かい為、喫茶店ではテラスも開けているらしい。

 よく見ると、そのテラス席には昨日の二人が居た。

 

 

「あっ、こっちですこっち」

 茶髪の……確か粟根こころちゃんだっけか。

 もう一人の子は、加賀見まさらちゃんだったかな。

 

 

「待たせてごめん、それとこっちに居るのは十咎ももこ。女の子同士の方が話しやすいかなと思って」

 

 

「アタシは十咎ももこ、ももこでいいよ」

 二人して挨拶を済ませると席に着く。

 

 

「こちらこそどうも、今日は急に呼び立ててスイマセン。何でもまさらがあなたに会いたいと言ったので」

 俺はまさらと呼ばれている女の子の方を見る。

 

 

「藍川柊断、二月三日生まれの十五歳。趣味は読書と料理、特技はピアノ。魔法少女として活動を始めたのは十二歳の頃で、願った内容は「いつまでも、平和で幸せな世界が続きますように」……これでいいかしら?」

 恐ろしいほどに正確な情報、おおよそみたま先輩のでも聞いたのだろう。

 

 

「よくそこまで聞けたね、みたま先輩にどれくらいお代取られたの?」

 

 

「お代は取られてないわ、お得意様らしいから」

 贔屓ではない、本当によくはしてもらってるのだろう。

 

 

「はぁ~、みたま先輩恨みますよ……。それで、それ以上俺に何を聞きに来たの?」

 ため息を吐きながら要件を聞く。

 

 

「あなたの目、それについて聞きたいの。タダでは無理なら何か渡すは」

 遊び半分か……それとも本気か。

 これもでも、遊び半分で俺の魔眼について聞いてきたやつは居た。

 

 

 だが、その殆どを俺は門前払いしている。

 今回はどうだ?

 

 

「本当に、聞く覚悟があるのか?」

 今までの明るい声とは明らかに違う、低くドスの効いた声。

 こころちゃんの方は少し震えている、まさらちゃんの方は……微動だにしてない……か。

 

 

「よし、じゃあ話そうか。魔眼について」

 そして、俺は魔眼について話し始めた。

 

 

 魔眼、悪魔との契約によって真に力を開放することの出来る能力。

 本来は悪魔の所有している筈である魔眼を俺みたいな人間が保有してるのは訳がある。

 その訳とは、簡単に言うと遺伝だ。

 先祖が悪魔と契約し、その血を受け継いだ者にだけ魔眼は与えられる。

 与えられた魔眼はまだ使えず、十歳を超えると契約をする為の悪魔が現れ契約をするかしないか決めるのだ。

 

 

 魔眼を契約するかしないかは自由で、契約した場合はそれ相応の使命を課せられるらしい。

 らしい、というのは憶測だ。

 なにしろ、俺の家系はそう言うしきたりはなく自由がもっとう。

 そして俺は十歳の時、悪魔に……会わなかった。

 結局の所俺が悪魔に会うことはなく、ある一件を境に魔眼が目覚めて今がある。

 

 

 魔眼の使用方法は簡単で、ただ集中して使いたい魔眼をたぐり寄せるだけ。

 使用するには魔力が必要であり、魔力が無い人は脳に数倍の負担を掛けて魔眼を使わなければいけない。

 因みに、脳に掛かる負担は魔力を使ってても凄まじいもので魔力なしでやろうと思うと頭がパンクする。

 とか言う俺も、魔法少女になる前は魔力なんてなかったけど。

 

 

「――という感じ、分かった」

 

 

「な、なんとか」

 

 

「分かったわ」

 こころちゃんはまだ上手く理解できてないが、まさらちゃんはもう理解したらしい。

 

 

「よし、これで話はお終い。他に何か聞きたいことは?」

 きっと他には何もないだろうと思ったが、まさらちゃんが手を上げる。

 

 

「どうぞまさらちゃん」

 

 

「まさらでいいわ、あなたにそう呼ばれるのはむず痒いから。あと一つ、()()()()()()()()()()()()()()()

 うん?聞き間違いか。

 

 

「ごめん、今なんて言った?」

 

 

「あなたの家に住んでいいか聞いたの?」

 ヤバイ、頭が痛くなってきた。

 

 

「いやいや、それは流石にダメだろまさらちゃん。親御さんも納得――」

 

 

「もうしてるわ」

 ももこの言葉も虚しく、説得は失敗。

 こころちゃんに助け舟を送ってもらおうとしたが……

 

 

「スイマセン、まさらがこうなったら私ではもうどうにも……でも!大丈夫です、私も一緒に住んで見張りますから」

 

 

「………………………」

 思考が完全にフリーズした。

 もう、どうすればいいんだ。

 

 

 ももこに救援を要請するが、特に何も起こらず。

 結局、翌日から二人が内に越してきた。

 

  -----------

 

「どうしたんですか?柊断さん?」

 何時の間にお風呂に入ったのか、風呂上がりで少し甘い香りを柄漂わせながらこころちゃんがやってくる。

 

 

「二人と会った時のこと思い出してた、もう一ヶ月経ったと思うと早いもんだね」

 

 

「そうですね……色々ありましたから。あっ、お風呂空いたので冷めないうちにどうぞ」

 

 

「ありがと、こころちゃんも早く寝なよ?」

 

 

「はい、お休みなさい」

 

 

「お休み」

 こころちゃんと言葉を交わして風呂場に向かう。

 今日も疲れたのでお風呂が楽しみだ。

 

 

 案外、俺たちの物語は序章に過ぎないのかもしれない。

 

 

 




 今、使える魔眼

 末来視の魔眼・直死の魔眼・千里眼・催眠の魔眼・心転身の魔眼・静止の魔眼
 ・破壊の魔眼・生と死の魔眼

 以上の八つです。
 殆どが名前通りの能力ですが、生と死の魔眼は分かりづらいので解説します。


 生と死の魔眼は、基本的に他者や自分の治癒に使います。
 致死に至ってなければ、大抵の怪我は治せます。
 ただし、強力なためデメリットがあり。

 契約した時点で、契約者から「死」という概念が奪われて死ぬことが出来なくなります。
 しゅうたくんの場合は、完璧な契約はしてないので首を刎ねられたり、脳天をぶっ刺されたるすると死にます。

 以上解説でした。


 今回は解説が多くなったお話でしたが、次回からは本編の物語が投稿されますのでお楽しみに。
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