無感動な少女と魔眼使いの少年   作:なるなる

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 お待たせです!


九話「死なせないし、泣かせない」

ーしゅうたー

 やちよさんとの電話を終えた後、まさらやこころちゃんと合流し建設放棄地に向かっている。

 焦っている、今回の事件はもっと早急に対処すべきだった。

 魔法少女の死は日常茶飯事。

 いつ死んでも可笑しくないのが、魔法少女だ。

 だが、俺はそうは思ってない。

 

 

 死なせないし、悲しませない。

 もう誰も……

 

 

「柊断、どうかした?」

 

 

「何かありましたか?」

 

 

「いいや、何でもない。急ごう、手遅れになる前に」

 今は取りあえずやちよさんやももこを信じるしかない。

 出来る限り急がなければ。

 

ーいろはー 

 やちよさんにかえでちゃんの相手をしてもらい、私とももこさんはレナちゃんを追う。

 だが、ウワサの結界は魔女とは少し雰囲気が違い気味が悪い。

 

 

「ほんと、何なんだこの結界……。噂が現実になるって信じた所為かかなり異質に見えてくるな……」

 ももこさんが言葉を言い終えた瞬間、凄まじい魔力を感じた。

 

 

「――っ!?いろはちゃん、今の魔力感じた!?」

 

 

「はい……強いです……。さっきの使い魔なんかより全然強いです!」

 格が違う、何だが全然別物のように感じるレベルに。

 

 

「おいおい、まさか魔女のお出ましか……?ともなると、余計に理解不能だな……」

 

 

「はい……つまり、階層の無い結界……ですよね……?」

 

 

「つーことになるよな……」

 

 

 魔女の結界には階層……ようはいくつかの層がある。

 魔女に近づけば近づくほど、層に深く潜っていくことになっていく。

 原理は良くは分からないが、そういうことになっているのだ。

 

 

「――っ!?ももこさん、来ます!フゥっ!」

 

 

「なんちゅう、衝撃だ……」

 本当に、比べ物にならない強さだ。

 ただの衝撃波だけで、軽く意識が飛びかけるなんて。

 

 

「|ラ↑ン↓ラ↑ンラ/‼|」

 ……不味い、レナちゃんが魔女の所に!

 

 

「ももこさん、魔女の所にレナちゃんが!」

 

 

「|ラ↑ン↓ラ↑ンラ/‼|」

 

 

「くっ、ぁぁぁ……」

 あれは……もしかしてレナちゃんのことをかえでちゃんみたいに洗脳する気なの?

 

 

「ちっ、かえでと同じように。レナまで洗脳しようってか……?させるかよ……させて、たまるかああああああ!」

 次の瞬間には、ももこさんは魔女に攻撃を仕掛けに行っていた。

 

ーももこー

 がむしゃらに攻撃をする。

 何とかレナを助けないと!

 

 

「せやぁあああ!」

 振り上げた大剣は魔女に当たるものの、全くもって怯む様子はなく逆に鐘を鳴らして出す音の攻撃を喰らってしまう。

 

 

「くっ!いろはちゃん!サポートお願い!」

 

 

「はい!」

 いろはちゃんにサポートを頼んだはいいが、これからどうすればいいんだ……

 攻撃が通ってる気がしない、もしかして力が足りないのか?

 

 

「だったら、これでぇえええ‼‼」

 今度は、飛んで上空から回転を加えて斬撃を繰り出す。

 だが、これもダメージが通った様子はなくまたしても相手の攻撃をもろに喰らってしまう。

 

 

「づぅうう!……くそっ、なんなんだよ……。攻撃が通ってる感じがしない……」

 

 

「苦戦してるみたいね」

 

 

「やちよさん!」

 やちよさんがここに居るってことは、かえでは?

 

 

「かえではどうしたんだ!?」

 

 

「しばらく眠ってもらってるわ」

 良かった……でも、まだ安心はできない。

 

 

「そっか……ありがとう」

 

 

「あら、ずいぶん素直なのね」

 こういうところは、変わっちまったのかねぇ。

 

 

「感謝するべき時は、誰だろうとちゃんとするさ。それで、あの魔女……そうやって倒せばいいんだ?」

 

 

「そんなの、分からないわよ」

 へっ?

 い、今、何て言ったんだ?

 

 

「っ、はあ!?噂を調べたりするのはアンタの専売特許な筈だろう!?」

 

 

「『神浜うわさファイル』だって、そんな万能じゃないわ。解決されたこともないのに、うわさがつくわけないでしょ。このうわさの続きはね、私たちで新しく記すしかないの」

 ああ、もう。

 何で、こういう時にアイツは居ないんだよ!

 

 

「くぅぅ、役に立たない」

 

 

「ようやく状況が掴めたからって簡単に人を頼ろうとしないで、また私の金魚の糞になるつもり?甘えん坊のももこちゃん」

 

 

「か、過去を蒸し返すなぁっ!」

 

 

「|ラ↑ン↓ラ↑ンラ/‼|」

 

 

「は……あなたの……しもべに……」

 

 

「いけない……急がないと……レナちゃんが……」

 

 

「|ラ↑ン↓ラ↑ンラ/‼|」

 

 

「ックゥゥゥアアアアア‼」

 

 

「ももこさん、やちよさん!このままじゃ、レナちゃんが!」

 そうだ、こんなところで言い争ってる場合じゃないんだ。

 

 

「えぇ、分かってるわ。だけど、ここからは本当に無策よ」

 

 

「ただ、3人の力で押していけば、気絶くらいは狙えるかもしれない」

 

 

「そんなの、希望的観測でしかないわ」

 やっぱり、この人は空気を壊す事しか言えないのか。

 でも、今はそんな希望的観測にすがるしかない。

 

 

「希望が微塵もないよりマシだよ。おし、いろはちゃん!」

 

 

「ちょっと待った‼3人じゃなくて4人だよ!」

 ……待ってたぞ、アタシのヒーロー。

 

ーしゅうたー

 ももこたちの目の前に着地する。

 今回はいろはちゃんも居るのか……こころちゃんやまさらをどうしたかって?

 そんなの雑魚の露払いに行かせたに決まってるじゃないか。

 あの二人にいきなり大本のウワサを相手させるのはキツイと思ったから、小物を任せたって訳だ。

 

 

「しゅうた、遅かったわね」

 

 

「いやぁ、道に迷っちゃって……アイツがウワサか……。迫力あるな~」

 

 

「ナイスタイミングしゅうた!いろはちゃん、アタシとやちよさんとしゅうたで前に出る。だから、後方でサポートして!」

 

 

「分かりました!援護射撃なら任せて下さい!ひゃっ‼」 

 いろはちゃんが居る場所の地面から、不自然に植物のツタが伸びてくる。

 嘘だろ、もう目が覚めたってのか……

 

 

「えっ、今の攻撃って……」

 

 

「かえで……」

 

 

「嘘でしょ、もう目覚めたっていうの!?」

 

 

「階段さんの邪魔は許さない……」

 

 

「この身は階段さんのもの……」

 

 

「――っ!?レナまで……」

 

 

「間に合わなかった……」

 結構不味い状況なのが、最高に不味い状況になったな。

 

 

「ももこ……アンタはもうレナたちのリーダーじゃない」

 

 

「ごめんね、ももこちゃん。階段さんの方が魅力的なの……」

 

 

「くっ、何が守ってやるだ……何も出来てないじゃないか……。やちよさんの言う通りだ……、個人的な感情で噂を楽観視してこんな結果を招いた……。リーダー失格だよ、まったく。二人とも、アタシも謝るから目を覚ましてくれ」

 

 

「目を覚ませ?何を甘いこと言ってるの」

 

 

「やちよさん……」

 少し言い方に問題があるが、今はやちよさんの言い分が正しい。

 

 

「やちよさん……でもアタシは、コイツらを守らないと……」

 

 

「傷つけないことは守ることと同義じゃない、それぐらいわかるでしょ。あなたは仲間を傷つけることで自分が傷つきたくないだけよ」

 ……前言撤回だ。

 言い方をもう少し改めた方が良い。

 

 

「でも、そんな簡単にできないだろ仲間を傷つけるなんて……!」

 

 

「あなたに出来ないのなら私がやるわ。なにかあった時は、私をせめな――」

(アンタにそんなことさせる訳ないだろ)

 ここはしょうがないけど、アイツらに頼むしかない。

 

 

「やちよさん、ここは任せて下さい……スーハ~……」

 息を整えて、大声を上げる準備をする。

 そして、

 

 

「まさらーー‼‼こころちゃーーん‼‼」

 

 

 あんまりやらせたくないけど……ここで時間を潰す訳にはいかない。

 ももこもあの二人なら、気兼ねなく任せられるだろう。

 叫んでから数秒もしない内に、背後から声が聞こえた。

 

 

「何かしら?」

 

 

「うわっ!びっくりした~……それ、もうやるなって言ったよな?」

 まさらの固有魔法は良く分からないが、動いてる時や攻撃時に自身を透明化することが出来る。

 それのお陰で気配もなく、俺の背後を取れるのだが……如何せん刺激が強すぎるので注意したことがあった。

 

 

 まぁ、本人はこの調子で今回もやらかしてくれたわけだが。

 

 

「あなたの背後に這いよる混沌……と言った感じかしら……?」

 あの~、某神話生物さんが出てくるアニメの真似は止めてもらって良いですか?

 

 

「いや、普通に背後にカオスがいたら嫌だから!……じゃなくてっ!あの二人の相手をしてもらいたいんだが」

 

 

「レナにかえでね……分かったわ」

 

 

「出来るだけ怪我はさせずに頼む」

 

 

「……善処するわ。こころ行くわよ、合わせて」

 

 

「ちょ、ちょっと待ってよまさら~。柊断さん、あの二人を気絶に持って行けばいいんですよね?」

 

 

「そおいうこと、悪いけど小物どもの相手も引き続き頼むけどいい?」

 

 

「大丈夫です!最近は柊断さんに鍛えて貰ってますから♪」

 何だか、こころちゃんが偉くご機嫌に見えるな……気のせいか?

 

 

「ごめん、こころちゃんにまさらちゃん。アタシの役目押し付けちゃって……」

 

 

 少し引きずってるか……無理もないな。

 仲間があんな状態になったら、リーダーと言う手前嫌でも責任を感じてしまう。

 違うか、ももこがももこだからこんな状態になっちまったのか。

 ……いっちょ、頑張りますかね。

 

 

「ももこ、心配すんな。アイツなら上手くやってくれるし……俺が付いてる」

 俺が誰かの頭を撫でるなんて……偶にはこういうのもいいか。

 ももこの頭を優しく撫でてから、敵の方に向かっていく。

 

 

「時間を稼ぐから、その間に攻略の方法を見つけてくれ」

 魔力で双剣を編む。

 刀身は50㎝程で、持ち手も10㎝ほどに抑える。

 

 

「さぁて、俺の妹分たちを良いように使ってくれた借り。キッチリと返させてもらうぜ、ウワサさんよ‼」

 末来視の魔眼を起動し敵の懐に突っ込む。

 

 

 これが、俺にとって初のウワサとの戦いになった。




 次回もお楽しみに!

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