無感動な少女と魔眼使いの少年   作:なるなる

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遅れてスンマセン


四話「いろはを追う影」

ーしゅうたー

 「人は失う事でしか成長出来ない。」、こんな言葉を聞いたのはいつだっただろうか。二年前の()()があってから誰かが口にしていた。俺も時々、そうなんじゃないかと思う時がある。でも、本当は何も失わないで済むのが一番なんだ。

 

 

 

ーいろはー

 調整屋を飛び出して来たものは良いものの、段々と魔女の魔力は薄くなっていった。

「はぁ…はぁ…はぁ…!」

 走って場所を移してからもう一度魔力を探す。

「、、、、、、、、、。ダメだ、魔力が薄くなってる。」

(早くしないと…手がかりが…)

「待ちなさい。」

 

 

 突然声を掛けられて少し驚いてしまう。女の人だ、だが。

「ーっ!?ごめんなさい!今、急いでるんです!」

 私は焦っていて、謝罪をして直ぐにその場を去ろうとする。けれど女の人は関係ないと言わんばかりに、行く道を阻む

「私は待ちなさいと言ったはずよ。」

「あの、私ほんとに急いでて…!」

「どうしても通ると言うなら、私を倒してからにしなさい。」

「どうして…。」

 女の人の言葉に私は竦んでしまう。でも、この女の人は一体誰なんだろう?

 

 

「あなた自身が一番よく分かっているはずよ。魔女の結界で無様にやられてたんだから…。」

 あれ、この女の人は。そうだしゅうたさんと一緒に助けてくれた。

「もしかして、あの時の…。」

「そう、まだ意識があったのね。覚えてるなら話が早いわ。邪魔が入ったお陰でおそくなったけど。これで心置きなくあなたを町から追い出せる。」

「町から…追い出す…。」

 何で、そんな事を。この人何なんだろう、全く読めないし分からない。

 

 

「そう、あなたは私の前で証明してしまったから…。この町で生き抜く実力がないということをね。」

「-っ!?]

(嫌だ!まだ上手く掴めてない。あとちょっとで届きそうなのに。)

「いや、です…。私、目的があってこの町に来たんです…だから!」

「だからどうしたの?目的も果たせずに死にたいの?」

「でも私、調整屋さんにソウルジェムを弄ってもらって…。だからもう、大丈夫です。」

 大丈夫、私はまだ頑張れる!ここで折れる訳にはいかないから。

 

 

「また、しゅうたとももこのお節介ね…。はぁ、わかったわ。」

「通してくれるんですか!?」

「えぇ、あなたが自分の強さを証明できればね。」

「-っ!?」

「かかってらっしゃい。あなたがこの町で生き抜けるかは私の眼と腕で判断するわ。」

 辺りが一瞬光に包まれると、そこには魔法少女への変身を終えた女の人の姿があった。私も変身を済ませる。進まなきゃ!前を向いて進まないと何も変わらない!でも…

 

 

(せっかくあのキュウべえを見つけたのに…どうして。)

「覚悟は出来たかしら…退くなら今のうちよ…。」

「、、、、、、、、」

 無言で武器を構える、こうなったらやるしかない。退くことはしない!

「あなた、気が弱そうに見えて結構、頑固なのね…。」

 私は、無言で戦いに移っていた。

 

 

 

ーしゅうたー

 俺たちはいろはちゃんを追いかけて色々な所を探し回っていた。

「クソ!見失った…。案外足早いなあの子は。」

「にしてもだよ!如何すんのさ?このままだとやちよさんに見つかってゲームオーバーだよ。」

「だよな~。俺も今考えてるんだが、あんま人前でこれ使うのも不味いしかと言って、路地裏まで行ってゆっくり探す時間も無いし。」

 

 

 俺は目を指さしながら言う。魔眼のことだ、ももこのことだから分かるだろう。諦めて別の手段を模索しようとしたところに、一本の電話が掛かって来た。

「はい、もしもし藍川ですけど。」

「もしもし、柊断君。今いいかな?」

「咲良さん。はい、ちょっと急いでますけど大丈夫です。」

「ならいいかな、そこから近い所で魔法少女同士が争ってるんだよね。ただの稽古かもしれないけど、心配だから急いで見に行ってくれないかな?場所は今から送るから。」

「了解です!任せといてください、何かあったら連絡します。」

 

 

 

 電話を切ると同時にLINEに来た住所にを確認する。確認をとったら走りながら意識を集中させてある眼を引っ張り出す。

(頼むぞ、千里眼!)

 千里眼を発動させて先程の場所に視点を移す。そこには槍で攻撃を仕掛けるやちよさんと、それをなんとか耐えるいろはちゃんが見えた。

 

 

「ももこ、いろはちゃんの場所が分かった。もうやちよさんと戦闘になってる、早く行くぞ。」

「咲良さんのお陰か、分かった飛ばそう!」

 俺とももこは急いでいろはちゃんたちの下に向かった。

 

 

 

 

ーいろはー

「うあぁ!」

 私は槍の水平に薙ぎ払う攻撃で飛ばされてしまう

「所詮は付け焼き刃ね強化しても経験は追いつけないわ。」

 やっぱり、付け焼き刃程度ではどうにもならない。

 

 

「っ…!」

「あら、まだやる気?」

 何とか立ち上がり、もう一度向かい合う。

「お願いです…私、キュウべえを探してるだけなんです!小さいキュウべえを…。」

 私は、戦ってるはずの相手に、懇願するように呟く。

 

 

 女の人は、面食らっている。小さいキュウべえをしっているのだろう。

「…小さいキュウべえ。」

「…せっかく見つけたのに…。」

「--っ!?そう、あなたなら近付くことができるのね…。だけど…いい加減諦めなさい!」

 

 

 さっきまでの覚悟が砕けそうになっていた、そこに二人の影が現れた。

 

 

 

ーしゅうたー

「「まてーい。」」

 ももこと声を揃えてやちよさんといろはちゃんの間に着地する。

「-っ!?」

「キャッ‼」

 二人ともビクッ!としていた。いろはちゃんの方に怪我はない、相変わらずそういうのは上手いな。

 

 

「ふぅぅ…いやはや、間に合ってよかったよ。」

「だな!大丈夫?今日二回目のピンチだね。」

 笑顔でいろはちゃんの方を向きながら、ふざけた口調で言う。

「し、しゅうたさんにももこさん!?どうしてここに…?」

「やちよさんがいろはちゃんを襲うのは分かってからね。」

「まぁ、少し遅れちゃったけどそこはごめんね。」

 

 

 いろはちゃんぼ心配をしつつ、やちよさんを警戒する。

「相変わらず趣味の悪い女だよ…。」

 ももこが悪態を突くが俺も何とかフォローする。

「ももこやめろよ。どうもやちよさんさっきぶりですね。」

「そうね、しゅうた。それとももこ、趣味じゃないわ。ただ、この町に無駄な死体を増やしたくない…それだけよ…。」

 やちよさんも弁明を混ぜつつ、返事を返す。だがももこは、あまり聞く耳を持たない。

 

 

「はっ、よく言うよ。大方、魔女の数が減るからだろ?町に魔法少女が増えりゃ個人の取り分も減るからな。だから、「ももこ!」…悪い。」

 俺がももこを叱責する。やちよさんも少し息苦しそうだ。

 

 

「、、、、、、、、。いい加減、誤解されるのも気分のいいものじゃないわね。…そうね。ねぇ、あなた。小さいキュウべえ見かけたってどこで見かけたのかしら?」

 いろはちゃんは、いきなりの質問に戸惑いつつも何とか受け答えていた。

「えっ、あの、砂場の魔女の結界です…。」

 やちよさんは、考える素振りを見せると新たに提案を出した。

 

 

「そう、そえじゃあこうしましょう。砂場の魔女を先に倒したら実力を認めるわ。ハンデとして私はひとり、そっちはタッグで構わないわ。これで、どうかしら?それと、タッグの相手はももこよ。」

「え、そんな勝手に…!私は小さいキュウべえさえ見つかれば別に…。」

「乗ったー。」

「乗るなよ!バカももこ!」

「えぇ!?ちょっとももこさん!?あの、私は別にそこまで認めてもらえなくても…。」

 ももこが勝手に乗ってしまった所為で、余計面倒臭くなった。

 

 

「これで、あの堅物が認めてくれるっていうなら安いもんさ。それに勝ちさえすれば、気兼ねなく探せるだろ?」

 俺の方を見てアイコンタクトをしてくる。何となく分かるが、ルールに抵触しない範囲で手助けしろってことか。

「ああ!もう、好きにやれ!」

「あ…うぅ…」

 いろはちゃんは少し唸っていた。

「やるぞ、いろはちゃん!」

 

 

「はい、分かりました…。」

 結局、いろはちゃんが押し負けて了承していた。相変わらず押しが強いなー俺の幼馴染わ。

「よし、それじゃあ決まりだ。」

「決まりね。」

 そして魔女の結界探しが始まった。

 




オリキャラが登場しましたが、そこらへんは後々に。

主人公の説明をしていなかったので手短に
名前:藍川 柊断
外見:身長は170前半で、赤褐色の眼、本人は普通だと言っているが中々のイケメンである。髪は黒。
誕生日:2月3日
血液型:B型
星座:水瓶座
好き:魔法少女仲間、ミルクティー、普通の日常
嫌い:無力な自分、仲間を傷つける人
趣味:読書、料理
特技:ピアノ

今後ともよろしくお願いします
10月26日に血液型追加しました。

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