雪「所持デッキ来た、これで勝つる」
1年「ヒビキ出します」
雪「( ノД`)」
生徒会室では今正に、目覚めてから初めての雪のデュエルが行われていた。
「ヒビキ・・・面倒な・・・ドロー、プチョヘンザをマナへ、ターンエンド」(マナ4)
「ドロー、シャコガイルをマナへ、2マナでアナリス召喚、破壊、マナをチャージ、3マナでもう一体ヒビキを召喚、ターンエンド」(マナ6)
「これはキツいなぁ・・・・・・」
凪は盤面に並ぶ2体のヒビキを見て雪が動き辛いのだろうと推測した。
爆鏡ヒビキ、その効果は相手が呪文を唱えた時に相手のマナゾーンからカードを1枚墓地へと送るランデスクリーチャー。対して雪が扱うのは最初の動きやマナゾーンにプチョヘンザが見えることから高コストデッキだと考えられる。つまりはフェアリー・ライフといったマナ加速を序盤に行い、肥えたマナで大型を出すのが理想の動きなのだろう。しかしフェアリー・ライフを打った所でヒビキの能力でマナは増えない。寧ろ減るのである。雪が苦い顔をするのは仕方がない。
「ヒビキ2体・・・ドロー、ゼンメツー・スクラッパーをマナへ、5マナでカーネルを召喚。効果でヒビキは次の自分のターンまで攻撃、ブロックが出来ない。ターンエンド」(マナ5)
「ドロー、マナを・・・いや、ここは・・・・・・チャージせずターンエンド」(マナ6)
チャージしない・・・コスト7のカードか?だとしたら多分サイクリカか英知と追撃の宝剣。ランデスで嫌という程苦しめられたから何となく分かる。
「ドロー、う、駄目か・・・ホワイト・グリーンをマナへ、ターンエンド」(マナ6)
「ドロー。あ・・・英知と追撃の宝剣をマナへ、ターンエンド」(マナ7)
多色事故か・・・?これは大きいな。ここらでどうにかしたいが・・・
「ドロー。・・・・・・っ!モアイをマナへ、手札のG・W・DのB・A・D 2の効果で2コス軽減、4マナでG・W・Dを召喚。効果によりG・W・Dとヒビキをバトル。G・W・Dがバトルに勝ったことで1枚ドロー、更にG・W・Dは
「除去しつつドローまで・・・・・・受けます。トリガー無しです」(シールド4)
「ターンエンド、G・W・DはB・A・D 2の効果で破壊されます」
自壊するG・W・D感謝しつつ、雪は次の一手を考える。幸いカーネルが居る為、万が一にマナロックが出てきても返しの動きはそれなりに出来る可能性がある。しかしやはりマナに触られるのはかなりキツい。
「ドローします。アナリスをマナへ、5マナで焦土を打ちます。マナをチャージしてマナのゼンメツー・スクラッパーを墓地へ送ります。ターンエンド」(マナ9)
「ドロー、やっとか・・・。修羅VANをマナへ、カーネルでシールドへ攻撃、その時――」(マナ7)
雪はカーネルで攻撃宣言をした直後、そのカーネルを手札へ戻す。一見すれば何をしているのかさっぱり分からない行為。そして、カーネルの代わりにドローしたカードをバトルゾーンへと送り出す。
「革命チェンジ、プチョヘンザをバトルゾーンへ。プチョのファイナル革命の効果でこのクリーチャーのパワー未満のクリーチャーを全てマナゾーンへ送りますが、クリーチャーが居ない為不発。プチョヘンザはT・ブレイカー、よってシールドを3枚ブレイクします」
「受けます。シールドチェック・・・S・トリガー、テック団の波壊Go!を発動します。コスト6以上のクリーチャーを破壊。対象はプチョヘンザで。更にフェアリー・シャワー、ドンドン吸い込むナウを発動します。シャワーの効果で山札の上から2枚を見て、1枚を手札に、1枚をマナへ、ドドスコの効果で山札の上から5枚を見て1枚を手札に加える。サイクリカを手札に」(マナ10)
「処理されたかぁ・・・しかもマナに置いたのがそれってことは・・・ちょっと不味いかもなぁ・・・。ターンエンド」
場にはクリーチャーが存在せず、シャワー、ドドスコと優秀なS・トリガーを踏んでしまう。本来ならタップイン効果と高パワーを持つプチョヘンザで優位に立つ予定であった雪だが、流石に3枚もS・トリガーを引いてしまうのは予想外であった。おまけに手札補充とマナ加速。サイクリカが手札にあるのも確定している。そして何よりも雪が恐れているのが、先程のシャワーでマナに置かれたカードである。
『Dの博才 サイバーダイス・ベガス』水のコスト5のD2フィールドで自分のターン終了時に発動する置きドロー能力に相手のクリーチャーが自分を攻撃する時に発動できる能力がある。
それが、水のコスト7以下の呪文をノーコストで手札から使えることである。
雪は既にマナが肥えている生徒会1年がアドの塊のようなダイス・ベガスをマナに置くとは考えられず、マナに置いたということから、既に手札に握っていると推測した。
――ゆっきーが攻撃しても、シャワーやドドスコ、ダイス・ベガスで手札が肥えている状態だとカウンターを受ける可能性が高い・・・。でも、サイクリカでランデス呪文を何度も打たれてしまえば、ゆっきーは更に思うように動けなくなる・・・・・・。これは、ゆっきーが押されてる・・・・・・?
傍観している凪は声には出さずに今の状況から雪が劣勢であると判断する。そしてそれは、実際にプレイしている雪が感じ取っているものでもあった。
「ドローします。アナリスをマナへ、7マナでサイクリカを召喚。効果で墓地の焦土を唱えます。マナをチャージしてテック団を墓地へ、唱えた焦土を手札へ戻し、ターンエンド」(マナ12)
「優先するのは妨害だよなぁ・・・ドロー、あ、これは・・・良いかもな。修羅VANをマナへ、5マナでフェアリー・ホールを唱える。効果でマナをチャージし、超次元ゾーンから時空の喧嘩屋キルを2体バトルゾーンへ。ターンエンド」(マナ8)
「あっ、そっか。キルなら・・・」
「キルですか。プレイングが上手いんですね」
「ん?あぁ、ありがとね」
時空の喧嘩屋キルは火のコスト2のサイキック・クリーチャー。パワーは1000と低いものの、相手ターンにバウンスされない耐性を持つ。生徒会1年のデッキには除去札としてドドスコとテック団が入っているが、どちらもバウンスカード。テック団には破壊効果もあるが、キルはコスト6以上ではない為、破壊出来ない。そしてキルは覚醒すると自然のコスト7のサイキック・クリーチャー、巨人の覚醒者セツダンとなり、サイキック・クリーチャー全てにバウンスへの耐性を普及する。つまり、ダイス・ベガスによってバウンスカードが発動されたとしても、サイキック・クリーチャーは除去されない。セツダン2体だけでも今のような状態ならブロッカーやシノビが無ければダイレクト・アタックまで持っていける。
「ドロー、シャワーをマナへ、7マナでサイクリカを召喚。墓地のドンドン吸い込むナウを発動、山札の上から5枚を見ます。シャワーを手札に加え、今出したサイクリカを手札へ戻し、ドンドン吸い込むナウを手札へ戻します。そして5マナでサイバーダイス・ベガスを展開。ターンエンド時、カードを1枚ドロー」(マナ13)
「出てきたかベガス・・・ドロー、2マナでフェアリー・ライフ。マナをチャージ、6マナでバイケンを召喚。ターンエンド」(マナ9)
キルの覚醒条件はパワー6000以上のクリーチャーが自分のバトルゾーンに居ること。このままでは2体のキルは覚醒してしまう。雪も本来ならバイケンを召喚などしないのだが、強引にでも覚醒をさせようと動く。
――本当の目的を隠しながら。
「ドローします。シャワーをマナへ、6マナで呪文、ガロウズ・ホールを唱えます。対象はバイケン、超次元ゾーンから勝利のプリンプリンをバトルゾーンへ。プリンプリンの効果でキルは次の僕のターンまで攻撃、ブロックが出来ません。更に7マナでサイクリカを召喚。効果で墓地のガロウズホールをもう一度唱えます。効果でサイクリカを手札に戻し、超次元ゾーンから勝利のガイアール・カイザーをバトルゾーンへ。その後、ガロウズホールを手札へ戻します。」
何度も出現するサイクリカ、実際にクリーチャーが実体を持っていたとしたら今は疲労しきっているだろう。
「勝利のガイアール・カイザーは出たターンアンタップしているクリーチャーを攻撃出来ます。ガイアール・カイザーでキルを攻撃」
「受けます。覚醒は許されず、キルも1体除去されたか・・・」
「ターンエンド、ダイス・ベガスの効果で1枚ドロー」
「ドロー、バイケンをマナへ、10マナ・・・やっと出せる、古代楽園モアイランドを召喚」(マナ10)
「あっ!」
雪の出したクリーチャーに生徒会1年は思わず、しまった!と声を出す。それもそのはず、何を隠そうこのモアイランドというクリーチャーの効果は――
「モアイランドの効果により、相手は呪文の発動とD2フィールドの展開が出来なくなります。ターンエンド」
そう、
「ドロー・・・焦土をマナへ、ターンエンド時にダイス・ベガスの効果で1枚ドローします・・・」(マナ15)
「ターン開始時、モアイランドのパワーは18000。よってキルの覚醒条件を達成、覚醒しセツダンになります。ドロー、カーネルをマナへ、5マナで呪文、フェアリー・ホールを唱えます。効果でマナをチャージ。超次元ゾーンから勝利のガイアール・カイザーをバトルゾーンへ、行きます、モアイランドでシールドをブレイク」(マナ12)
「受けます。シールドチェック・・・無いです」
「ガイアール・カイザーでダイレクトアタック」
「ニンジャ・ストライク7でサイゾウミストをバトルゾーンへ。効果で自分の墓地のカードを全て山札に加え、シャッフルし、山札の上から1枚を新しいシールドとして置きます。攻撃をシールドで受けます・・・無いです」
「セツダンで・・・ダイレクトアタック」
「・・・受けます。ありがとうございました」
「ありがとうございました・・・ふぅ・・・・・・」
緊張から解放され、雪はゲームが終わると同時に息を吐き出す。モアイランドの攻撃が無事通り安心したからだろう。
あの時、雪には一つだけ心配があった。それはシノビである。幸いにも今回はサイゾウミストだけであったが、もし佐助の超人とバイケンもあったら、モアイを戻されて負けていただろう。
「すみません、一つ質問良いですか?モアイはいつから握っていたんですか・・・?」
「フェアリー・ホールでキルを2体出した時だったと思う。本当はプチョヘンザの革命チェンジ用に取っておこうと思っていたんだけど、ドローでモアイを引いてね。後はさっきの盤面を作れるようにとキルに注意が行くようにバイケンを出したりしたって所かな?」
「成る程、そこまで考えて・・・・・・勉強になりました。ありがとうございます」
そう言うと生徒会1年はデッキを片付け、バッグを持ってソファから立ち上がり、自分の教室へと戻って行った。
「ゆっきー、お疲れ様。・・・・・・どうだった?デュエマは?」
「楽しかったですよ。それに、あの子強いんですね。ランデスがこのデッキの苦手に分類されるのもありますけど、プレイングが特に・・・。あれで4c以上は扱うのが苦手だなんて信じられないです」
「うん、私もそう思う。彼はこの学校の1年の中で1番強くて、この前の高校生大学生限定の世界大会出場を決める日本代表戦に選ばれたこともあるんだ。まぁ、負けちゃったみたいだけどね・・・・・・」
「えっ、それ、本当ですか・・・・・・?」
日本代表とはつまりそれだけ腕の立つプレイヤーだったということだろう。雪はそんな人物を倒したことにとても驚くが、それ以上に勝てたことに嬉しくなる。
「本当だよ。でも、良かった。デュエマが嫌いになったんじゃないかと思ってたんだけど・・・楽しそうで安心した」
「・・・・・・?俺がデュエマを嫌いになんてならないと思いますよ?これからもずっと」
「そっか・・・・・・そっかぁ~・・・・・・うん、そうだね。心配なんかする必要なかったね」
凪は雪の言葉を聞き、心の底から安心した。デュエマを嫌いになっている、なるんじゃないかという不安は、今度こそ完全に消え去った。
「・・・・・・あ、もうそろそろで部活の休憩時間終わっちゃう。ごめん、もう行くね!」
「あ、はい。お疲れ様です」
「じゃあね、家でまた会おう!」
バイバイと手を振り、生徒会室から出て行く凪の姿を見届け、雪は無言でソファに座りながら某新世紀アニメの司令官のポーズを取る。
――そうだよな、あの人と同じ空間で生活するんだよな・・・俺・・・・・・。ヤバいヤバいヤバいヤバい。どうしよう助けて竹宮さん。女の子と同居とかどうしたら良いかわからない!わからないよっ!
白菊 雪。ここに来て人生で一番のパニックとの戦いが始まる・・・・・・
用語解説
多色事故:多色カードを使う際にマナに必要な色が足りなかったり、多色カードがマナゾーンにタップして置かれる為にマナが足りなかったりすること。多色カードによっておこる事故のこと。
除去、処理:カードをバトルゾーンから取り除くこと。
バウンス:カードを手札に戻すこと。
アド:アドバンテージの略
遅れました・・・文化祭が終わって少し落ち着きました。まぁ、体育祭があるんですけどね(泣)
デュエマは文にするのが大変ですね~。少し苦労しました。これは対戦ログを先に作っておいて正解だったかもしれません。おかげで文章の工夫程度で済みました・・・。
次の話は雪視点から離れて意外な人物の目線から物語を作って行きたい所。
感想を貰えると作者は追加ターンを無限に得たくらいに元気を貰えます。いつでも感想や誤字指摘、お待ちしております。