起きたらチェンジ・ザ・ワールドしてた件   作:change

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遅れました。ボリューム約2倍です。


特別編【UA約2000突破記念】メデタイン2019

『明けおめ~』

『明けおめっす』

「明けおめ・・・・・・っと」

 

AM0:00をスマホが表記する中、凪と憐からのRAINに雪も同じように返す。

新年を迎え、新たに1月1日がやってくる。新年の迎え方は人それぞれだが、雪は年明けの瞬間に完全勝利UCを、凪はRAINの女子のグループで会話しながら、憐は部屋の床中にバロムを敷いて合掌することで新年を迎えた。おいお前ら凪さん見習えよ。

 

『あ、明日ダイダロスで正月大会あるけど逝く?』

『ミス、行く?』

『憐さん、逝くんですか?w』

『www』

 

上から憐、雪、凪である。

ダイダロスとは、雪達F専が通う事の多いカードショップの名前である。カードをファイル形式で管理しており、全てのカードがファイルにある為、欲しいカードがあれば直ぐに手に入ることから粘度の高い客が多いことで有名だ。

それに加え、ダイダロスは珍しくVRデュエルが可能な場所でもある。通信販売が進化して行く中、こうしたカードショップは如何に通信販売では味わえない魅力を作って行くかが店の存続に掛かっていた。ダイダロスはVRデュエルが正にそれだったのだ。

 

『今回はオールカップじゃなくてホワイトカップらしい』

『白か』

『さぁ!行きますよ!伊原さん、白菊さん!!』

 

瞬時に脳内に流れる某紫色の宇宙人ボイス。それにしてもこの会長、ノリノリである。

 

『じゃあ明日の13:00なんで忘れずに』

『了解』

『了解~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年1月1日、ホワイトカップ開催。

ダイダロスの中は既に沢山のカードゲーマーで賑わっている。中でもこの時間はデュエマプレイヤーが多い。

 

「あ、凪さん。憐居ました~」

「あ、居た居た」

「ん、あぁ、来たっすね。じゃあそこの席にでも座りますか」

 

ホワイトカップと呼ばれる光文明をデッキに15枚以上必要とされるこの大会では、そのルールから自然とプレイヤーは光文明をメインにしたデッキが多くなる。中には光はS・トリガーのみという者も居るが、そういった違いを楽しむ為の大会でもある。

 

過去にダイダロスのホワイトカップで多く見られた優勝デッキタイプは赤白轟轟轟とサッヴァークの2種類。方や速攻なのに対し、もう片方は耐久型と、同じ光文明でこうも正反対になるのもこの文明大会の魅力でもある。

 

「エントリーシート書いたっすか?俺は普通に『バロムの尖兵A』っすけど」

「書いたよ~。『復活の惨タム』って」

「私は変わらず『会長』って書いて来た」

 

エントリーシートの名前は自由だが、ふざけ過ぎでは無いだろうか?何だ『復活の惨タム』って、通常の3倍の速度出せるようになってから出直して来い。というかクリスマスは終わった。

 

「憐、大会っていつからだっけ?」

「もう始まるかと」

「んじゃ準備するか」

「そうだね~」

 

お互い、デッキを見せないように使うデッキをバッグから取り出す。それと同時に店員が大会の対戦表を発表し、その指示を受けた雪と凪、憐はそれぞれ違う卓で対戦相手とゲームをする。全4卓で一番最初に終わったのが凪であったのは、流石昨日あれだけテンションが高かった人だと雪と憐は思わされた。

雪の相手は赤白轟轟轟、S・トリガーでカウンターを決めた雪は危なげに1試合目を突破。憐は青白サザンに追い詰められるも、無事に勝利することが出来た。

 

速攻とか糞だわー、と愚痴る雪と憐。尚、速攻からすれば耐久とか糞だわー、という感想である。速攻と耐久は相容れることの無い宿命なのかもしれない。

 

雪と憐、凪が感想戦をしている内に、大会は着々と進行して行く。VRの迫力あるクリーチャー達が暴れ回る映像があちこちで見受けられる。広い店だからこそ、クリーチャーもここまで迫力があるのだろう。クリーチャーが映像化している分、何のデッキか遠目からでも分かってしまうという難点もあるが。

 

「えー、それでは第2試合を開始しまーす。呼ばれた方から準備が出来次第、ゲームを始めて下さい。『バロムの尖兵A』さんと、『復活の惨タム』さん――」

 

遂に始まる第2回戦。定員MAXの16人集まったホワイトカップも、現在8人しか生き残りは居ない。しかし店内の客は減る所か増える一方。冬だというのに暑く感じるくらいだった。

 

「呼ばれたな」

「行くっすか」

「“逝く”の間違いじゃないか?」

「さぁ!逝きますよ!復活の惨タムさん!!」

 

道連れとか聞いてない。憐の発言を耳にし、周囲の観客は雪と憐を面白がり、その試合を間近で見ようと群がる。昨日の事件をネタにしてきた雪への憐の些細な仕返しだった。

 

――通常の三倍の速度を誇り、自分をサンタと自称する奴と何故か光文明に特攻仕掛けて来たバロムの尖兵って濃すぎない?

――正月だしな

 

観客も既に二人のエントリーシートの名前だけで盛り上がっている。もしここにエンタメカードゲーマーのような人物が居れば、かなり高評価されていたかもしれない。

 

「おい憐お前ふざけんなめっちゃ見られてんじゃん」

「デュエルで・・・・・・笑顔を・・・・・・」

 

よし決めた。今日ここでコイツを殺す。

雪はゲームの準備を終えると、そう胸に誓った。

 

二人の準備が終わり、VRフィールドが展開される。二人の目の前に先行後攻の表記が現れる。

 

「俺のターン、《音階の精霊龍 コルティオール》をマナへ、ターンエンド」(マナ1)

「ドロー、《フェニックス・ライフ》をマナへ、ターンエンド」(マナ1)

 

初見なら、《コルティオール》なら連ドラか?と思うかもしれない。だが生憎と、憐は雪のデッキが何なのか、1回戦の試合を確認している為知っている。そして雪もまた、バロムの尖兵と名乗っておきながらエンジェル・コマンドを使う憐のデッキを把握している。

つまり、情報はほぼ開示されている状態でのデュエル。試されるのは単純な先読みとプレイング、デッキ構築の腕。

 

「ドロー、《深海の伝道師 アトランティス》をマナへ、ターンエンド」(マナ2)

「ドロー、《閃光の守護者ホーリー》をマナへ、ターンエンド」(マナ2)

「動きは無し・・・っと。ドロー、《アトランティス》をマナへ、ターンエンド」(マナ3)

 

動きが無いあまりにも静かなゲームに、観客も釣られて静かになる。マナのコストが高いということから、ビマナのようなタイプかと思っていたようだが、フェアリー・ライフを確認出来ていない為、その予測も正しいものなのか怪しくなって来ている。

 

「ドロー、《緑銅の鎧》をマナへ、2マナで《フェアリー・ライフ》を唱え、1マナチャージ。ターンエンド」(マナ4)

 

遂に憐が動いた。マナが1増え、そろそろ動いて来る頃合いと雪は判断する。

 

「ドロー、《ホーリー》をマナへ、2マナで《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》を召喚。ターンエンド」(マナ4)

 

浮遊する円盤のような石。その様に例えられる造形をしたクリーチャー、《ミクセル》は目に見える妨害電波を垂れ流し、バトルゾーンに居座る。

 

「・・・・・・ドロー、《星門の精霊アケルナル/スターゲイズ・ゲート》をマナへ、5マナで《スターゲイズ・ゲート》を唱え、手札から《新・天命王 ネオエンド》をバトルゾーンに」

「《ミクセル》の効果で山札の下へ」

「《新・天命王 ネオエンド》の効果でかわりにシールドを2枚手札に加え、ターンエンド」(マナ5)(シールド3)

 

神々しき姿をした光の龍、《ネオエンド》が《ミクセル》の妨害電波をもろともせずに降り立つ。

強引に《ミクセル》の効果を撥ね除けて見せた憐。シールドは減ったが、かわりに減少した手札を増やし、万全の状態と言った所だろうか。

しかし、雪もそれは想定内。《ミクセル》が居る状態で打開されるとするならば真・エスケープやPG(パーフェクト・ギャラクシー)のような能力を持ったクリーチャーくらいしか憐のデッキタイプにはそう居ないはず。そう考えていた。

憐のデッキはブロッカーを主軸とした天門デッキと酷似している。超次元が無いことや、踏み倒すのに必要では無い《フェアリー・ライフ》や《母なる星域》と組み合わせて使われることの多い《緑銅の鎧》などが入っているのは不明だが。前の試合で意図的に憐が情報を隠しながらプレイしたのだろう。

 

まだまだ憐のデッキの真の正体は分かっていない。が、雪の計画は既に実行されている。《ミクセル》で出来るだけ《シールド》を減らす。これだけだった。

 

「ドロー、《エイエイオー》をマナへ、ターンエンド」(マナ5)

「ドロー、《龍幻のトラップ・スパーク》をマナへ、ターンエンド」(マナ6)

 

着々とターンだけが過ぎて行く。あまりにも、静か過ぎる。

既に10ターンが経過している。普通は呪文やクリーチャーが盛んに登場する筈のターン数だ。観客もあまりの静けさとプレイヤーの無表情さに異質なものを感じ取る。

 

「ドロー、《南国別荘 クジハウス》をマナへ、ターンエンド」(マナ6)

「ドロー、《ネオエンド》をマナへ、4マナで《フェニックス・ライフ》を唱え、効果で山札の上から2枚を見る。そして1枚をシールドに、1枚をマナへ。ターンエンド」(マナ8)(シールド4)

 

手札は3枚、マナは8、大型をこれから憐は出して来るだろう。・・・・・・いや、出す。確実に。憐は雪のデッキを知っているが故に攻撃出来ない。カウンターを受ければ、今のままでは負けてしまうから。雪の操る見えない軍勢(・・・・・・)に、蹂躙されるしか無いから。

 

「ドロー、《プチョヘンザ》をマナへ。5マナで《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》を唱える。効果で1ドロー。ターンエンド」(マナ7)

「《チャフ》か・・・・・・ドロー、《ヘブンズ・ゲート》をマナへ、8マナで《天門の精霊 ヘブンズ》を召喚。効果で手札から《ネオエンド》をバトルゾーンに」

「っ、《ミクセル》効果」

「《ネオエンド》の効果で除去を回避、シールドを2枚手札に加える」(シールド2)

 

上手い。ミクセルの効果を回避しながら、手札を途切れさせない憐の手腕に、雪は感服する。そして雪に取って、これはかなりピンチである。

 

雪の予定では、シールドを5、3、1と追い込み、除去耐性を使えない状況を作り出すことが目的だった。しかし、憐の《フェニックス・ライフ》が状況を変えた。《ネオエンド》の耐性ストックが1つ増えてしまったのだ。それだけではない、2体目のネオエンドとなると、少々骨が折れる。1体目も2体目も、除去耐性のストックはシールドに依存する為変わらないが、それは耐久面での評価。問題は1つ目の効果、自分のドラゴンが攻撃する時、相手のクリーチャーを1体選びフリーズする効果。つまり《ネオエンド》が2体居れば、1体のドラゴンの攻撃で2体のクリーチャーがフリーズされてしまうのだ。

 

攻撃は、まだ良いだろう。問題はブロックが出来なくなる点だ。

 

「ターンエンド」(マナ9)

「う、ドロー。マナはチャージせず、4マナで《メメント》を展開。ターンエンド」(マナ7)

「ドロー・・・よし」

 

憐の隠されていた真のエースカードが、遂にその姿を現す。

 

「《ネオエンド》に気を取られ過ぎたっすね、雪ちゃん。俺の本当のエースはそいつじゃない」

「《ネオエンド》じゃ、ない・・・・・・?」

 

そんな、馬鹿な。

《ネオエンド》は強力なカードだ。コストも大きい上に種族もパワーも優秀だ。これ程のカードがエースじゃない。

仮に憐の言う通りだとすれば、俺は何を忘れている・・・・・・どこかにヒントがあったはずだ・・・・・・どこか・・・・・・

 

――ドロー、《緑銅の鎧》をマナへ・・・・・・

 

《緑銅の鎧》・・・・・・?

 

「まさか・・・・・・」

「流石は雪ちゃん、今から出すんでその答え、聞かせて貰えるっすか?」

 

これは推測が、何故、憐が《ネオエンド》と《緑銅の鎧》を使っているか。これが問題を解くカギだ。

 

《ネオエンド》は固い耐性を持っているクリーチャーだ。攻めにも守りにも強い。しかし、コストが重い。踏み倒す手段が必要だ。

そう考えれば、《ヘブンズ》や《ヘブンズ・ゲート》を入れるのは、納得の出来ることだ。

そして次に《緑銅の鎧》。コイツは進化、ダーウィンと呼ばれるデッキタイプに入るカードだ。生きた《神秘の宝箱》と呼んで相違無いだろう。

そして、《緑銅の鎧》は《母なる星域》と相性が良い。《ネオエンド》が憐のエースで無いのなら、真のエースは進化クリーチャー、それもエンジェル・コマンド、もしくは光文明を進化元とするのでは無いだろうか?

 

そしてコレは、あくまでも可能性の話なのだが、ダイダロスの大会で過去に多く見られたらデッキタイプを憐は知っている。赤白轟轟轟とサッヴァーク、どちらも光の呪文を扱う。天門という受けの強いデッキならば速攻を警戒せずともそれなりには戦えるだろう。しかし、サッヴァークだった場合、裁きの紋章で除去される可能性はかなり高い。つまり憐のエースが光以外を封じる《アルファディオス》である必要性は、ほんの少しだが、低くなる。赤白轟轟轟なら、盤面に並んだ低コストクリーチャーの除去が出来なければ負けに繋がってしまう可能性が無い訳でも無い。なら、盤面を除去出来なければいけない。

 

この時点で2枚のカードが思い浮かぶ。そして、この盤面で出すカードならば、どちらか予想がつく。

 

「《偽りの悪魔神王 デス・マリッジ》・・・・・・違う?」

「流石、当たりっす。《ヘブンズ・ゲート》をマナへ、《緑銅の鎧》を召喚、効果で山札から《デス・マリッジ》をマナへ、3マナで《母なる星域》を唱えるっす。《緑銅の鎧》をマナへ送り、マナゾーンから《デス・マリッジ》を《ヘブンズ》の上に進化」

 

《デス・マリッジ》、遂に降臨。歪な神、偽りの神が戦場に躍り出る。

戦場に鳴り響く不協和音の祝福の音。恐怖を撒き散らすその姿に、雪は焦燥感を露わにする。

 

「バトルゾーンに出た時の効果で《ミクセル》を破壊、更にお互いのマナゾーンから呪文を手札へ戻す。ターンエンド」(マナ6)

「う・・・・・・了解」(マナ6)

 

憐の手札へ戻って行く《フェニックス・ライフ》に苦い顔になる雪。これで憐のシールドは回復され、《ネオエンド》の耐性を突破することが出来なくなる。

 

「ドロー・・・2マナで《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》を召喚、ターンエンド」

「ドロー」

「メメント効果使います」

「了解、《フェアリー・ライフ》をマナへ、4マナで《フェニックス・ライフ》を唱え、1枚シールド追加、1マナチャージ」(マナ8)(シールド3)」

「うへぇ」

 

減らしても減らしても増やされるシールド。並び立つ重コストクリーチャー。受けに特化した雪のデッキでも、流石にマズイ。

このターンに《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》が除去される可能性は減ったが、雪のデッキでは殴ることに向いていない為、このままもし相手が《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》を出して来た場合、即座に負ける予感がする。

 

「ターンエンドっす」

 

勝ち誇る憐、次のターン辺りで決めに来ても可笑しくはない。というよりも、動きの無い雪のデッキに痺れを切らしたのかもしれない。

 

「ドロー、・・・・・・《プチョ》をマナへ、ターンエンド」(マナ7)

「ドロー、《ヘブンズ・ゲート》をマナへ、《デス・マリッジ》でシールドをブレイク」(マナ9)

「来たか・・・・・・受ける」

 

全てを破壊する偽神の一撃は、シールドを一気に3枚纏めて破壊する。しかし、雪のデッキが動くのはここからだ。受け特化の雪のデッキは、相手のターンにその真価を発揮する。

 

「S・トリガー、《罠の超人》《ホーリー》《クジハウス》。《罠の超人》の効果で《ネオエンド》をマナへ、《ホーリー》の効果で全てタップ、《クジハウス》の効果で《メメント》を手札へ戻す」(シールド2)

「うー、了解っす。《ネオエンド》の効果は使用せずマナに送るっす」(マナ10)

 

迎撃隊の怒涛の攻撃を受け怯む憐のクリーチャー達。《ネオエンド》を1体大地へと還した《罠の超人》の姿は何故か格段に恐ろしく見えた。

 

しかし憐としてもこれは予想外だった。まさか《メメント》を手札に戻してくるとは思わなかったからだ。しかもそれが《ホーリー》と被ってしまった。ブロッカーの《ネオエンド》もタップ状態ではどうすることも出来ない。

 

雪の反撃が、憐を襲う。

 

「ドロー、《アトランティス》をマナへ、4マナで《メメント》を展開、《ホーリー》でシールドをブレイク」(マナ8)

「受けるっす」

 

放たれる一筋の閃光。その眩き一撃は音を置き去りにし、憐のシールドを粉砕する。

 

「っ、S・トリガー、《龍幻のトラップ・スパーク》。ドラゴンが居ることにより効果で《奇石/ミクセル》をマナへ、更に全タップするっす」(シールド2)

「ふざけんなぁぁぁ!?」(マナ9)

 

まさか仕込まれていないシールドからピンポイントでトリガーを引くとは思っていなかった雪。新年の運勢は凶といった所だろうか。

美しい緑と黄色の稲妻は螺旋状となって雪のクリーチャー全てに襲いかかる。美しい光景だが、《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》を除去されつつ全タップされた雪にはそんな風には捉えることが出来ない。

 

「いやぁ今年は運が良いっすね。多分大吉っすわ」

 

完全に浮かれる憐。しかし残念かな、雪はそれに対しやり返すことが出来ない。何せ受け特化デッキなのだから。

 

「ドロー」

「メメント効果」

「了解、マナはチャージせず、9マナで《星門の精霊アケルナル/スターゲイズ・ゲート》を召喚するっす」

「また面倒なのが・・・・・・」

「ターンエンド、その時に効果でもう1体《星門の精霊アケルナル/スターゲイズ・ゲート》をバトルゾーンに」(マナ10)

 

モノアイに戦艦のような姿をした機械の体を持つ天使が2体現れ、憐の場は攻守を更に強化する。増援効果の《星門の精霊アケルナル/スターゲイズ・ゲート》が2体に耐性持ちの攻守において強力な《ネオエンド》、そして呪文禁止の《デス・マリッジ》。

詰んだのでは?と普通なら思うが、普通じゃない雪のデッキならばまだ可能性がある。

 

「ドロー、2体居るんだよな・・・・・・いやでもやっぱり・・・・・・よし」

 

意志を固め、雪は特攻を決意する。憐のデッキ残り13枚が切れるのを待つのは難しいと判断したからだ。

 

「マナチャージ無し、9マナで《エイエイオー》を召喚。連鎖は・・・・・・失敗。《罠の超人》でシールドをブレイク」

「《星門の精霊アケルナル/スターゲイズ・ゲート》でブロック」

「《クジハウス》でシールドをブレイク」

「《星門の精霊アケルナル/スターゲイズ・ゲート》でブロック」

「《ホーリー》でシールドをブレイク」

「受けるっす・・・・・・トリガーは無し」(シールド1)

 

2体のクリーチャーの犠牲によりホーリーの攻撃が憐のシールドをブレイクすることに成功する。これで次のターン、憐が《フェニックス・ライフ》を唱えなければ、《ネオエンド》は2枚のシールドを手札に加えることが出来なくなり、完璧な耐性を失う。

しかしこれは脆刃の剣。かわりに雪のブロッカーは《エイエイオー》1体、シールドも2枚とピンチ。《ネオエンド》によって《エイエイオー》はブロック出来ないであろうことは、雪も理解していた。

だからこそ、ピンチだからこそ、掛ける価値があった。

 

「ターン、エンド」(マナ9)

「ドロー、ここは・・・マナチャージせず、《ネオエンド》でシールドをブレイク。攻撃時効果で《エイエイオー》をフリーズ」

「受ける。S・トリガー・・・・・・っ、《クジハウス》、《アトランティス》。まず《アトランティス》の効果で相手は自分のクリーチャーを1体選び、それ以外を手札に。その後《クジハウス》を出し、効果は強制、よって《メメント》を手札に。」(シールド0)

「ならこっちは《星門の精霊アケルナル/スターゲイズ・ゲート》を残し、残りを手札に戻すっす、《星門の精霊アケルナル/スターゲイズ・ゲート》で攻撃っ!」

 

決まったな、《クジハウス》を出さなければ勝っていたかも、などと思いながら周りに居た観客は散って行く。

だが、この瞬間を誰よりも、今正に攻撃している憐よりも望んでいた雪は、この勝負に決着を付けるべくこのデッキのエースカードを場に出す。

 

「革命0トリガー、《ミラクル・ミラダンテ》を3枚オープン」

「な、」

 

雪の本当の運試しはここからだ。雪のデッキに残る光文明のクリーチャーは残り4枚。しかし、雪のデッキにはまだ18枚のカードがある。この18枚から4枚ある光文明のクリーチャーを1枚引き当てる確率は約22%。

 

「最後の最後に運試しってことすか・・・・・・」

「正月だからね・・・っ」

 

山札に、手を乗せる。ゆっくりと祈るように、そのカードを捲る。

 

「来てくれっ、」

 

捲られたカードに、去ろうとしていた観客達も目が釘付けになる。

コスト8、パワー12500。このデッキでは珍しくS・トリガーではないクリーチャー。そして、雪の数多のデッキにおいて、活躍してくれたエースカード。

 

「お前が来てくれたか・・・・・・《プチョヘンザ》は光文明のクリーチャー。よって《ミラクル・ミラダンテ》をバトルゾーンに。残りの2枚の内1枚をオープン。光では無いのでデッキトップ固定。効果により次の自分のターンのはじめまでこのクリーチャーに「ブロッカー」を与え、相手のコマンドは攻撃できない。《ミラクル・ミラダンテ》で《星門の精霊アケルナル/スターゲイズ・ゲート》をブロック」

 

敗北の未来を書き換え、《ミラクル・ミラダンテ》が颯爽とバトルゾーンに現れる。

黄金の鬣に強靭な足。宝石のように美しい瞳を持つ白き龍は、機械の天使の攻撃をもろともせず、口から放たれた光線により木っ端微塵にする。

 

「・・・・・・ターンエンドっす」(マナ10)

「ドロー、《メメント》を展開し、《アトランティス》で最後のシールドをブレイク」

「トリガーは・・・・・・あー・・・・・・無いっすねぇ」(シールド0)

「《ミラクル・ミラダンテ》で、トドメ」

「・・・・・・ありがとうございました」

 

およそ30分に渡る戦いは、劣勢かと思われていた雪の勝利で終わった。

疲労困憊、二人とも終わった後には精神的にクタクタだったと言う。

 

 

この後、雪は準決勝にて敗北し、3位決定戦でも負けてしまったが、凪が決勝で準決勝の雪の相手を完封。堂々の1位となった。

 

「来年もまた1位になるぞぉー!」

「わからないっすよー?会長は来年になって死んでたりして?」

「次回、凪さん死す。デュエルスタンバイ!」

「酷くないっ!?」

 

帰りに笑う3人の笑顔は、夕陽に照らされ、美しいものであったという。




因みにUA2000にはまだなってません。でもほぼなってるようなものなので約2000と勝手ながら書かせて貰いました。
雪のデッキはS・トリガー獣デッキでした。ウザいですよねこのタイプ・・・・・・書くのも大変でしたよ・・・・・・。
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