起きたらチェンジ・ザ・ワールドしてた件   作:change

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遅れました。テストも今週で終わりますので、これからはある程度安定した速度で投稿出来そうです。
やっぱりカードゲームは動きを取り入れないと描写が難しいですね・・・・・・
再誕でPCでゲームと考えるとコルベニクゥゥゥゥゥ!とか、罵ってアイナたーんとか、漏らしたとも、とかが何度も脳裏を過る作者でした。


再誕のデュエリスト

ぼやけた視界に映る一つの卓とその向こうに座る黒髪黒目の青年。懐かしさを感じるその少年の眼は真っ直ぐ此方を見ている。

 

『竹宮さんの最初のエースカードって何でしたか?』

 

最初のエースカード、というのが青年の趣味であるカードゲームの話であることは直ぐに分かった。今でも忘れない。最初のエースカードの名前は――

 

『ん?《Z》だったな』

『いやいや、《Z》って言われても、どの《Z》か判りませんって』

 

そうだった。種類も沢山あるしフルネームでなければ伝わらないか。

 

『俺の一番最初のエースは――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベッドの上で目を覚ます。目覚ましにと設定した『NAMI no YUKUSAKI』は、その音色を大音量で流し始めるまで後3分という所だった。

 

ベッドから出ずに時計を視線を動かし確認する。現在7時37分。目覚ましをOFFにして洗面所へ行き顔を洗う。

 

冷水が不抜けた顔を引き締める。

懐かしい夢だった。あれは俺とアイツが会って仲が良くなり始めた頃の出来事だった・・・かな?流石にそこまで鮮明では無いが、そんな時だった筈だ。

 

「今頃になって、またデュエマに関わることになるとはね・・・・・・」

 

アイツに聞かせたら驚くだろうか?と、ふと考える。もし目の前にアイツが居たとして、大して驚かないのだろうな、と思った。アイツは他人に興味があるようで殆ど無いのだから、適当に、「え!そうなんですか!?凄いですねぇ・・・・・・へぇ~・・・・・・」と、まるで本当に驚いたかのように見せるだろう。デュエマではハッタリが上手かったが、実際、それ以外では半年くらい付き合いがあればそれなりに分かる程度のものだった。

 

CONAMIの社長である大森さんからプロジェクトへの勧誘が来たが、少し迷っている自分が居る。

あれだけ励ましてくれた大森さんには悪いが、正直、プロジェクトに参加してもチームから意見しか出さない、と叩かれるのが用意に想像出来てしまうからだ。それに、俺の知っているデュエマは過去の物であり、現在の物では無い。そこを理解している自分が未来のデュエマを、カードゲームを支える等、あまりにも許せないのだ。

 

タオルで顔を拭き、深く溜め息をつく。廊下のヒンヤリとした空気が自分の心と体を冷やす。

 

大森さんとの話し合いから数日後、時間が出来た俺と先輩、夢木さんとで飲みに行った。

本当にただ先輩達の良く通う居酒屋という理由だけでそこで飲んだのだが、正直、先輩が夢木さんに好意を抱いていることを知っている俺はどこか邪魔ではないか、と思ってしまい、あまり居心地の良いものでは無かったが。

 

先輩とは飲んだことが無い訳では無いが、仕事の詫びでの飲みは初めてで、何だか自分が就職に成功したような気分だった。

 

最初は、先輩の働くあの会社で働こう、と思った。

しかし、今は未来にカードゲームを統括する会社への勧誘が来ている。

 

どっちが高収入で難しい仕事なのかは分かりきっている。自分の嘗ての趣味が活かせる仕事だということも。

 

――趣味を仕事にして嫌いになるのだけは、絶対に嫌ですね

 

「はぁ・・・・・・」

 

洗面所の鏡に、また深い溜め息をつく男の姿が写される。

ここの所、アイツの言葉が何度も思い出される。自分の考えを正当化出来るものだけが、こうして記憶から掘り起こされる。

 

悪い傾向だ。自分の都合の良いように解釈してはいけない。要は趣味だったものを仕事にしても嫌いにならなければ良いのだ。

これにはまず、その仕事によって生じるであろうストレスの発散や、専門知識の不足や一般知識の不足から来る罪悪感や劣等感などの問題を解決出来るようにすることが大切だ。

その為には――

 

「・・・・・・久し振りに、触るか」

 

一度は止めてしまったことを、もう一度、始めてみるのが良いのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこだったかな・・・」

 

散乱する段ボールの群れ。本来は見えていた筈の木の床も、その殆どが物置部屋から持って来た段ボールの中に入っていたノートやファイルで隠れてしまっている。

行動に移したまでは良いが、所詮は1年前の片付けの記憶。どの段ボールに入れたのか等、欠片も覚えていない。

普段名前を書く行為を面倒臭がっているからこうなるのである。完全に自業自得というものだ。

 

「おっかしいなぁ・・・・・・」

 

片っ端から段ボールを中身をひっくり返したが、やはり見つからない。デッキケースとカードボックスが一緒に入った段ボールが確かにある筈なのだが。

床に落ちた眼鏡を探す人の様に、四つん這いになって移動する。そんな時、足に何かプラスチックのような物が当たった感触がした。冷たさを感じるそれに、まさかと思い顔を向ける。

 

「ぁ、あったぁぁ・・・・・・」

 

ボルメテウスクロニクルデッキに付属していた赤いデッキケースだった。中には自分のカードが入っていることが重量から分かる。この付近にまだある筈、と目を凝らすが、それ以外は見つからなかった。当然、プラスチックケースも発見出来なかった。

 

そんな時だった。発見したデッキケースの中に、何やら白い紙が入っているのが確認出来たのは。

 

思わずデッキケースを開け、中のカードに目もくれず一目散に紙に目を通す。

 

「・・・・・・そういえば、そうだった・・・・・・」

 

紙に書かれた内容に、時間を掛けてプラスチックケースを探し回ったのは意味が無かったと判明し落胆する。

紙というのは、自分が昔に走り書きしたメモだった。

 

『他カード実家』

 

大凡書いた本人以外解読出来ないだろう文字で書かれたそれは、残りのカードの在処を示していた。

しかし実家に今から行くのも面倒だ。ここは東京、向こうは宮城。およそ360kmの距離があり、車で行ったとしても往復で8時間以上、電車でも2時間は掛かる上に1万以上の出費になる。今の時期に1万は自分からすると少々痛い。

大学の面倒な提出レポートもあるから休日は実質1日くらいしか無いと考えて良いだろう。卒業論文も本格的に作成し始めなければマズい、と同じ大学の奴らが嘆いていた。其方もそろそろやらなければならないか。

 

カードなんか大人になってからすれば良い。今は勉強。と親に言われていた時期があったが、「大人になってからなど何年後だと思っている。その頃には日本の労働環境がもっと悪化して、休暇なんてほぼ取れないかもよ」と反発していたことを思い出す。あの時は何だかんだ休日に好きなことをする時間が割とあったのだが、今はアルバイトなどで疲れきった体を短い期間で癒やすことで必死だ。休日が伸びて欲しいという願いは、どうやら、小学生時代から変わらないようだ。

 

「仕方ない、今はコイツでも動かしてみるか・・・・・・」

 

そう言って片付けもせずにデッキケースから懐かしさ溢れるデッキを取り出し、その中のカードを一通り見て感覚を思い出す。

 

2ターン目に《リセット》、3ターン目に《タッチ》・・・・・・良し。

 

「カードショップは・・・・・・カードプールに差があるから、取り敢えずネット対戦で要望出して待機するか・・・・・・」

 

パソコンの電源を付けると即座にパスワード入力画面へと移行する。

 

pass:*********

 

9文字のパスワードを入力し、見慣れたホーム画面に移る。しばらくして画面右下にロード中の表示が現れ、喪服の様な服を着た女性キャラクターが表示される。色とりどりのPC画面に表示される白黒のキャラクターは、どこか暗いイメージを持っていた。

 

『要件は何ですか』

【       】

 

「Duel Masters Calculator・・・・・・っと」

 

Enterを押すと、目的であったサイトが開かれる。

Duel Masters Calculator ――通称DMCと呼ばれるソレは、簡単に纏めるとDAKARATOMYが公式ホームページに設置したデッキ作成ページを応用し、通信対戦を可能にしたサイトだ。現在でも多くのDMPが参加しているのが、画面端にあるページ閲覧者数の数字ですぐに分かった。

 

手元にあるデッキを双極編までのが殿堂に合わせ再現し、対戦する為の部屋を作る。『双極編までのカードプールと3月までの殿堂』と注意書きされたその部屋は、数ある対戦部屋の中でもかなり珍しい要求メッセージであった為、非常に目立った。

 

カード検索をしていると、そのカードが収録されたパックの情報も表示される。竹宮はそこで双極編が『ツインパクトNO.1』というパックで終了している事を知った。しかし、自分が実際にカードを使ってプレイを続けていたのは《Q.Q.Q.X》のパックまで。正直、その頃もあまりやる気が無かった為そこまでプレイもしていなかった。殿堂について調べたが、自分の知っているものとかなりの差異があった。まさか《アストラル・リーフ》がもう何ヶ月も前に帰って来ていたとは・・・・・・

 

双極編が終了すると、GRゾーンという物が出来たらしく、簡単に言えば第2サイキックゾーンの様な感じだろうか。サイキックが出た当初、混乱するDMPが多かったらしいが、今の自分もかなり混乱している。これは順序立てて追って行くしか無いなと思い、まずは自分がやっていた双極編までの環境でデュエマをしてみることにしたのだ。

 

しばらくして、ポーンとPCからハ長調ラ音の通知音が。来たかと思い、PCの方に向かい、座っていた椅子を引く。

久し振りのデュエマだ。

 

bamboo:宜しくお願いします

グルコサ民:よろしくお願いします

 

対戦待ちのページから、対戦ページへと画面が切り替わり、《FORBIDDEN STAR ~世界最後の日~》が自分のフィールドに展開される。

先行は・・・・・・相手からか。

 

[グルコサ民は、手札の《撃髄医 スパイナー》をマナへ置いた](マナ1)

[グルコサ民は、ターン終了した]

 

「成る程、墓地ソか魔導具と言った所か・・・・・・?もしくは9軸ガチロボ?」

 

前者2つは可能性があるが、後者は少し可能性は低いだろう。

 

[bambooは、カード《マインド・リセット》をドローした]

[bambooは、手札の《超次元ガード・ホール》をマナへ置いた](マナ1)

[bambooは、ターン終了した]

 

このチャット画面だが、プレイヤー自身が引いたカードなどは自分のチャット画面にのみ表記されるように出来ている。巻き戻しの際に何ターン目に何を引いたかなどが分かるように、どこがプレミだったかを後から分かるように、など理由は様々だ。

 

[グルコサ民は、カードをドローした]

[グルコサ民は、手札の《暴走龍 5000GT》をマナへ置いた](マナ2)

[グルコサ民は、マナの2枚をタップした]

[グルコサ民は、《カツラデランス/「アフロ行きま~す!!」》を唱えた]

[グルコサ民は、手札の《一なる部隊 イワシン》を墓地へ捨てた]

[グルコサ民は、カード《フェルナンド・ソシュール/プライマル・スクリーム》をドローした]

[グルコサ民は、カード《一なる部隊 イワシン》をドローした]

[グルコサ民は、《一なる部隊 イワシン》の効果を解決]

[グルコサ民は、カード《フェルナンド・ソシュール/プライマル・スクリーム》をドローした]

[グルコサ民は、手札の《一なる部隊 イワシン》を墓地へ捨てた]

[グルコサ民は、カード《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》をドローした]

[グルコサ民は、手札の《フェルナンド・ソシュール/プライマル・スクリーム》を墓地へ捨てた]

[グルコサ民は、バトルゾーンの《カツラデランス/「アフロ行きま~す!!」》を墓地へ置いた]

[グルコサ民は、ターン終了した]

 

「なぁにこれぇ」

 

竹宮はPCの画面を前に意味不明といった顔でフリーズしていた。

 

――今の墓地ソってこんなにいきなり墓地肥やせんの・・・・・・?

 

軽く、恐怖した。

しかし、弱点らしき物も分かった。相手の墓地を見るに、どうやらツインパクトカードが多いらしい。いつかツインパクト対策として強くなるかも知れない、と入れていたカードが今自分の手札にある。そして墓地ソの基本は1:1交換。それが墓地ソの強味であり、弱点でもある。害悪スライム(プラチナ・ワルスラS)のような物が居ない限り増えることはほぼ無いと考えて良い筈だ。

 

[bambooは、カード《英雄奥義 スパイラル・ハリケーン》をドローした]

[bambooは、手札の《英雄奥義 スパイラル・ハリケーン》をマナへ置いた](マナ2)

[bambooは、マナの2枚をタップした]

[bambooは、《マインド・リセット》を唱えた]

 

《マインド・リセット》。効果は呪文版《解体人形ジェニー》だ。ツインパクトはクリーチャーと呪文の混合カード。クリーチャーとしても呪文としても扱えるカードというのは途轍もない力を持つが、代償として、致命的な弱点を作るのだ。

 

[bambooは、《マインド・リセット》の効果を解決]

[bamboo: 失礼します]

[bambooは、相手の手札4枚を見た《爆撃男》《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》《フェルナンド・ソシュール/プライマル・スクリーム》《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》

 

ハンデス出来るのは3枚、選択肢は2択。相手のマナは2マナ、次のターンには3だ。どうせここで《プライマル・スクリーム》を落としたとしても、《終焉の開闢》で回収されるだけ。ここは・・・・・・

 

[bambooは、相手の手札の《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》を墓地へ捨てた]

[bambooは、バトルゾーンの《マインド・リセット》を墓地へ置いた]

[bambooは、相手の手札3枚を元の向きに戻した]《爆撃男》《フェルナンド・ソシュール/プライマル・スクリーム》《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》

[bambooは、ターン終了した]

 

[グルコサ民は、カードをドローした]

[グルコサ民は、手札の《爆撃男》をマナへ置いた](マナ3)

[グルコサ民は、マナの3枚をタップした]

[グルコサ民は、《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》を唱えた]

[グルコサ民は、山札の上の《カツラデランス/「アフロ行きま~す!!」》を墓地へ置いた]

[グルコサ民は、山札の上の《撃髄医 スパイナー》を墓地へ置いた]

[グルコサ民は、山札の上の《フェルナンド・ソシュール/プライマル・スクリーム》を墓地へ置いた]

[グルコサ民は、墓地の《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》を手札へ加えた]

[グルコサ民は、バトルゾーンの《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》を墓地へ置いた]

[グルコサ民は、ターン終了した]

 

《オブザ》回収にまだ墓地を肥やすつもりなのが分かる。大方、《クロスファイア》か《5000GT》辺りが落ちるのを待っているのだろう。

しかし――

 

「まぁ、関係無いけど」

 

――呪文が手札に残るという考えは、このデッキ相手には通用しない。

 

[bambooは、カード《超次元リバイヴ・ホール》をドローした]

[bambooは、手札の《超次元リバイヴ・ホール》をマナへ置いた](マナ3)

[bambooは、マナの2枚をタップした]

[bambooは、《復讐のバイス・カイザーZ》を召喚した]




竹宮 深の使った《復讐のバイス・カイザーZ》。夜にライトアップされた燃えるように美しい紅葉をバックに作成。人に見えないだけで、もしかしたらクリーチャーは世界中で生活しているのかもしれない・・・・・・

・・・・・・載せて大丈夫なのかな?心配なんだけど。駄目そうだったら消しときます。
竹宮 深の《復讐のバイス・カイザーZ》

【挿絵表示】


まさか現環境の黒緑マゲに安定して勝つとは思わなかった竹宮の青黒ハンデスt白マゲvsエグい速度で墓地を肥やすツインパクト墓地ソの対決です。正直、今までこの小説で出てきた自作デッキで1番安定した強さを持つかも知れない。
今回の対戦で出てきた《マインド・リセット》ですが、正直、私は現環境との対戦では高騰しまくっている《ロスト・マインド》より強いと思っています。
理由としては2ターン目にツインパクトか呪文を確ハン出来るので、あの絶対3ターン目EXターン獲得するマンの片割れこと《"必駆"蛮触礼亞》を事前に落とせる上に、先行なら初ターンの相手の《フェアリー・ライフ》、他にも《ヘブフォ》や《ミクセル》も落とせるし、《ドゴンギヨス》のコストで2枚自分で手札を削らなければいけないのも、先に《リセット》しておけば相手にとっては手札に余裕が無くなり辛かったりしますので。
今一番オススメのカードです。

これの続きは・・・・・・また5話くらい経ってからかなぁ

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