そういえば1ターン目にラッキーダーツでデリートを引き当てると運が良いと感じますよね。(尚、試合には負ける模様)
開幕デリート小説
『11で、オールデリート』
「あぁー・・・やっぱり妨害もうちょい入れようかなぁー・・・」
2018年7月26日。俺はSkypeを使い、近くのカードショップで知り合ってから長い付き合いの竹宮さんとデュエマをしていた。オールデリートによって封印が全てデッキに戻った禁断の攻撃で敗北した俺は自分のデッキの調整を考える。
『まぁ、パクリオとかで十分じゃない?普通にデリートとかミラクルスターとか盾送りにしちゃえば勝ち目あるし。エメラルーダとか出されなければ』
「やっぱエメラルーダ強いんだよなぁ・・・アイツ出ると普通に盾送りにしたの回収されるし。ミラクルスターにもなれるし盾仕込めるしで色々可笑しい。かといって解体だとミラクルスター、他のデッキ相手の時にマッドネス系統とかでなぁ~・・・」
『解る』
と、デュエマの雑談を日付が変わるまでした。そろそろ終わりにしますか?と俺が提案すると竹宮さんも、だね。と了承し、明日の大会で会おうと言ってSkypeを切ってパソコンの電源を切る。
ベッドに入り部屋の電気を消し、目を瞑る。ビマナデッキでどこまで勝てるか。もしくはネタデッキで場を盛り上げるか。非公認の大会でどのデッキを使おうか考えている間に、徐々に眠気が襲ってくる。
「まぁ、どれでも良いか」
楽しめれば良いか。と結論を出し、眠りにつく。
どこかの校舎。制服を着た長い黒髪の女性と茶髪の男性が夕日で紅くなった廊下を歩きながら話をしている。
「確かに4cとか5cのデッキ使える人って凄いよね~・・・あ、そういえば、彼も5c使ってたような・・・・・・」
「ん?彼って誰すか?5cなんて使えんのが知り合いに居るって会長マジすか・・・・・・?」
「入院しててね。もう2年近く昏睡状態でね・・・・・・」
「あぁー・・・、事故っすか?」
「そう・・・だね。うん、事故だった。夢原翔真のZプロジェクトってあったでしょう?」
会長、と呼ばれた彼女は少し暗い雰囲気で茶髪の男に話し始める。
「あぁ、Zプロジェクトの被害者っすか・・・・・・。でもそれがどう昏睡と関係するんすか?確か俺の記憶だと被害者の誰一人としてそんな症状が出たとは報道されてなかったような・・・・・・・・・」
「うん、彼はね―――」
変な夢を見た。目を覚ました俺はガバッと体を起こし朧気に記憶に残っている夢を思い出して一人で顔を覆う。
「はぁ・・・中二病みたいで恥ずかしい・・・」
若干あの続きが気になるのが更に恥ずかしい。駄目だ、考えるなと意識すると余計意識して考えてしまう・・・。
「ヒャッ!?」
「うわぁぁぁぁぁっ!?!?」
聞き覚えのない声が聞こえ心臓が止まる勢いで驚いた俺は思わず大声を出してしまう。驚いて大声を出したお陰か眠気は全て吹っ飛んだ。
「え?え?ここどこ・・・?え?え?」
「っ!」
病室のように見える部屋に自分が居ることに気付き自分が何でこんな場所に居るのか。浚われたのか寝てる間に誰かに刺されたのかと色々考えるが記憶にない。まるで現状が理解出来ない。混乱する俺を差し置いて看護婦の人は急いでどこかへ行ってしまう。
「ちょ、一人にしないでっ!?」
慌てて声を掛けるが既に女性の姿は無い。仕方なくしばらく自分に対して落ち着け、落ち着け、と暗示を掛ける。
「落ち着け俺、KOOLになれ・・・最っ高にKOOLになるんだ・・・・・・」
もう手遅れとか、言わないで・・・・・・
「目を覚ましたんですか!?」
ガタッと勢いよく席を立ち、電話の相手に確認を取る。近くで一緒に文化祭の企画書類のチェックをしていた茶髪の男はあまりの大声に驚いてペンを落とす。
「ちょ、会長。耳元でいきなり大声出さないで下さいよ~」
「あ、ごめん!今から向かいます。はい、分かりました・・・失礼します」
「え、会長何言って――」
「ごめんこれ任せた!先生に伝えといて!」
「会長っ!?ちょ、多過ぎだろ!」
書類を茶髪の男に渡し、急いで彼の居る病院に向かう。
2年だ。2年もこの日が来るのを待っていたのだ。彼が目を覚ます日を。
「え!?行方不明って、マジ・・・・・・?」
『はい、俺も今日アイツの母親から電話があって・・・・・・』
「え、何で?何で消えたの?」
『誰も分かってないみたいで・・・。竹宮さんも何か知りませんか?』
「知らん。何も聞いてないしそんな様子も
なかったと思う」
『そうですか・・・あ、警察が竹宮さんの方にも行くかもしれません。最後に会話していたのは竹宮さんなので』
「あぁ、うん。分かった」
電話を切る。アイツの友人からの電話の内容はアイツが行方不明になったということだった。カードゲーム仲間というだけで学校も家もどこか知らないが、それでも心配だ。
「早く見つかれよな・・・」
「深刻な脳へのダメージで2年も寝てたのか・・・・・・って、どういうことだ?ドッキリかコレは?どこかでカメラを通してモニター越しに誰か俺を驚かせようとしてるのか?そもそもこれが夢の可能性も・・・いや、どうしてさっきまで居た日常の世界が現実だと言える・・・・・・?」
俺は部屋から出ていった看護婦さんが連れて来た医師に自分の現状を告げられ、それでも信じられなかった俺は次第に疑心暗鬼に陥っていく。
「どっちが・・・・・・止めよう。これ以上考えたら壊れそう・・・・・・」
俺は自分が段々可笑しくなっていくような気がして考えるのを止めた。ベッド付近の窓から見える外の景色を眺める。綺麗な蝶々が飛んでいる。黒い羽の蝶々だ。しばらく見ていると少しだけ気持ちが落ち着いたような気がした。
・・・・・・こんな訳の分からない世界でも、蝶は飛ぶし、空は青いし、人が居る。そう考えたら、少し安心、かな・・・
いかん、中二病みたいだなコレ。
一人そんな事を考えていると、部屋の扉が開きどう考えても病院の関係者じゃなさそうな制服の女性が入って来る。
「あ、えっと、ゆっきー?久し振り・・・って覚えてないかな・・・・・・」
「あ、はい・・・・・・すみません」
ゆっきーというのが渾名なのはこの世界でもそうらしい。最も、最近は幼なじみとその友人くらいからしか聞いていなかったような気もする。
俺が知らないと言うと女の人は少し動揺するが少しして自己紹介を始めた。
「えっと、
「あ、そうなんですか・・・。すみません、本当に記憶が無くて・・・・・・」
全くもって記憶にない名前と容姿をしている彼女、柴崎 凪に少し申し訳無さを感じる。いきなり幼なじみだったと言われても全く以て実感が湧かないのだ。それにこんなに綺麗な人が幼なじみだったなんて正直、夢としか思えない。やはりこの世界は夢なのだろうか。
「あ、気にしないで。これ、プレゼント。今は夏休みだけど、いつか学校に来てみてね。私も憐も・・・あ、憐っていうのは私の友達。
「デュエマ?」
そこまで話して柴崎さんは暗い表情を浮かべながら恐る恐る聞いてきた。その、俺としては物凄く気になる。というか聞き覚えのあるフレーズが、単語が聞こえてきた気がするのですが気のせいか?気のせいなのか?
「・・・ごめん、喋り過ぎちゃったね。じゃあ私はこれで、じゃあね、また今度」
「え、あ・・・・・・」
部屋から出て行く柴崎さんを止められず呆然とする。美人を呼び止めるのはチェリーボーイの俺には少しハードルが高すぎる為、仕方が無い。
にしても気になる。『デュエマ』と彼女は言った。それはもうハッキリと。もしあれで聞き間違いだったのなら俺の聴力は既に死んでいる。価値としてはパンの耳のほうがよっぽど役に経つだろう。
気になって仕方がない。というのは俺がデュエマ好きだからだろう。きっと竹宮さんが俺と同じ境遇に居たら同じくデュエマ発言について気になることだろう。
「そういえば、俺の家ってどうなってるんだろ・・・竹宮さんも母さんや父さんも・・・」
新たに不安が生まれるが、今考えていても仕方がない。なるようになれ、という位の気概でいなければどうにかなってしまいそうなのだ。
「そういえば、プレゼント貰ったんだっけ」
俺は柴崎さんから貰ったプレゼントを思い出し、丁寧にラッピングされたプレゼントを開けると、中から木箱が出て来た。何が入っているのだろうか・・・・・・?
「開けてみるか・・・・・・ん?これって」
中から出て来たのは、2枚の写真。
俺と柴崎さんが写っているのと柴崎さんと茶髪の男性や何人かの同じ制服の男女。何かのグループだろうか?
多分これが伊原さんか・・・見た目はチャラそうだが優しそうな顔をしている。人気者なんだろうな。と勝手に想像する。こんなにイケメンならばきっと柴崎さんと付き合っているのだろうか?もしそうなら幼なじみが幸せそうで少し嬉しい。
「夏休みか・・・・・・色々見て回ってみるか」
医師には何かあったら呼べと言われている為、リハビリついでに少し部屋の外に出て新聞を読んでみる。
新聞を読むのは恥ずかしながら久し振りだ。ネットニュースなどは見るがあまり新聞に目を通したことは無い。新聞を見たら高確率で天声人語を読めと親に言われるからだ。
新聞を開き、一番大きい見出しに目を通す。最初は写真からして最近の映画かドラマだろうか?と思ったが、違った。
「何・・・これ・・・」
『ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン撃沈。
日本、中国に全敗。「バニラだと侮っていた。」』
その日、俺は一番の衝撃を受けた。記事の内容を熱心に読む。どうやらデュエマの世界大会があったようだ。日本はチーム戦において全員がボルコンデッキを使ったようだ。対戦相手の中国は3人ともバニラで応戦。普通にバニラによる速攻で勝ったり、ギュウジン丸召喚から形勢逆転したり、バニラを大量展開し超神星マーキュリー・ギガブリザードを使い呪文を封殺、そのまま数で押し切り勝利という中国の勝った時の状況が書かれていた。丁寧にターン毎に何をしたのか全て書かれている。
・・・・・・信じられなかった。
写真はどう見ても立体映像、デュエマのアニメの主人公の一人、切札ジョーがクリーチャー世界でデュエマする時の世界が一番似ているだろうか?それにしてもデュエマの世界大会が新聞に大きく取り上げられていることが驚きだった。
よく見ればまだ続きがある。
超神星マーキュリー・ギガブリザードを世界大会で使ったのは世界でも中国が初、とのことだ。このことから日本は大きく中国にデュエマで差を付けられてしまったと言えるだろう・・・・・・。因みにマーキュリーの値段は・・・ほほぅ・・・・・・
「・・・中国が優勝に加えて話題性まで持っていった訳か・・・・・・確かに完敗だな」
気付けば冷静に考察をしていた。さっきまで混乱していたというのにデュエマのこととなるとすぐコレだ。我ながらデュエマ馬鹿だな。と思う。
「これ、悔しいけど中国のプレイングが日本とは段違いだ。中国は日本のボルコンの除去札を警戒して動いてる。墳墓を警戒して場やマナになるべく同名を置かないようにしている上に打点が減る分確実性を高めるマーキュリーを出すことで呪文が多く採用されている日本のボルコンのトリガーを封じて勝負に出たんだ・・・」
日本のプレイヤーの「バニラだと侮っていた」というのはきっと世界大会でも使われていなかった為、単純に知識が足りなかったのだろう。
「この世界の中国はデュエマも強いのかぁ・・・あ、アメリカはイギリスとやって1ー2で負けたのか。全員違うデッキか・・・あ、バロムvsアルカディアス。成る程見たい、この試合凄い見たい」
気になる試合が幾つかあるが、俺は新聞から目を離し結論を出す。
この世界は、きっとカードゲームがスポーツとして栄えた世界なのだ、と。
・・・・・・結論を出しておいて後から疑わしくなってくる。しかし見れば新聞の番組表からデュエマがスポーツと書かれているのだ。デュエマだけが栄えた、というのは流石に可笑しいのできっとカードゲームというカテゴリーがスポーツとして認定された。または最初からスポーツだったのだろうと考えた。
この結論に至った時、最初は勿論「それはひょっとしてギャグで言っているのか!?」と思ったが、事実は事実。これが現実なのだ。
「おいおい、何だよそれ。遊戯王のアニメじゃないんだから・・・・・・」
嬉しい。確かに嬉しいことなのだ。しかし、大きな問題が出てくるのだ。
じゃあ、学校でもデュエマなどが授業としてあるの?
という疑問だ。と言ってもほぼほぼ答えは出ている。
柴崎さんが、柴崎さんや伊原さんが学校でデュエマ上手くなったよ。という発言から学校でもきっとあるのだろう。無くてもきっと部活があるレベルだろう。カードゲーム部、もしくはデュエマ部とか。
「・・・俺、まだ自分のデッキ見てないんだけどね・・・・・・」
OHブッダよ寝ているのですか?このままでは俺はこのマーキュリー1枚に25万掛かるような世界で1からデッキを組まなくてはいけないのですが。
Skype:ビデオ通話が楽しめるアプリみたいなもの。作者は割と本当にこれでデュエマしてた。
盾送り:シールド送り
マッドネス:手札から墓地に送られた時に自身の効果でバトルゾーンに出るクリーチャーの総称。
ビマナ:ビッグマナ。高コストのクリーチャーを沢山のマナを貯めてバトルゾーンに出し、相手を攻めるデッキタイプの名称。
ネタデッキ:ネタに走ったデッキタイプの名称。勝ち負けやその時のカードの強さや弱さよりとにかく楽しむことを考えて作られたデッキ。別名ファンデッキ。
4c,5c:4色、5色という意味。4color,5colorの略。デュエマは火水自然光闇ゼロの6文明から出来ており、ゼロは無色を指す。この中のゼロを除いた4つの文明が入っているなら4c、5つ入っているなら5cとなる。一般的にはゼロ文明が入っても6cとは言わないので注意。
バニラ:効果を持たないクリーチャー
ボルコン:ボルメテウス・コントロール。ボルメテウス・ホワイト・ドラゴンを主軸とした相手の妨害により優位に立つデッキ。
Zプロジェクト:???
デュエマの小説増えないかな?と仰られていた方が居たので少し考えてみました。ただし先の展開はまるで考えられていないという阿呆の子が私です。因みに主人公が使うデッキは自分がリアルで所持しているデッキにしようかと考えています。
まだ主人公の名前は渾名だけ。次回辺りで出したい所。デュエマはまぁ・・・少ししたらやるよ、うん。
間違いなどがあったら教えて貰えると幸いです。