龍雅家の水神さん   作:リュオネイル

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連投出来ました!……今思えば、あらすじ変ですかね?話を進め次第、あらすじを更新するかもしれません。その時は、どうか暖かい目で見守ってください!


第2話

 

 幽奈が龍雅湖に連れ拐われて数時間──。夕方での帰り道、冬空コガラシと雨野狭霧は一緒に家路を辿っていた。

 

「狭霧と帰り一緒になれるなんて珍しいよな~。今日は誅魔忍の任務はねーのか?」

「そういつもあるわけではない。貴様こそ、バイトはどうした?」

「晩飯食ったら行くさ。バイト増やしてーんだけど、なかなか無いんだよなぁ……。呑子さんにアシ先の紹介頼んでみっかなー……」

 

 コガラシが空を見上げながら模索していると、狭霧が前を歩いているこゆずを発見した。

 

「ん?……こゆず?」

「ッ!狭霧ちゃん、コガラシくん……!」

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 一方、ここは龍雅湖。そこに建てられている龍雅城には幽奈を抱えた玄士郎と、その玄士郎の後ろで供をしている朧とオロチの姿があった。

 

「玄士郎様!」

「お帰りなさいませ!」

「此度の湯治はいかがでしたか!?」

 

 龍雅家に仕えている魚の頭をした魚人達が三人の出迎えをした。その時、魚人の一人が、玄士郎の腕に抱えられている幽奈の存在に気づいた。

 

「ややっ!?その娘さんはもしや……!?」

「うむ!余の妻となる幽奈という!」

「おお~!祝言じゃあぁ!!」

「(ど……どんどん大変なことに……!)」

 

 玄士郎の祝言に賑わう魚人たちとは反対に、幽奈は事態がどんどん大変なことになっていっていることに焦りを見せていた。

 

「……………………」

 

 魚人たちが賑わっている中、朧の後ろに佇んでいるオロチはどことなく顔に影がかかっていた。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

「幽奈が……!」

 

 こゆずから事の経緯(いきさつ)を聞いた俺と狭霧は、驚いていた。

 

「ゴメン……ゴメンね!ボクも止めようとしたんだけど……!」

「……こゆずのせいじゃねーよ」

 

 幽奈を助け出せなかったこゆずが自分の責任だと感じ、泣き出しちまった。俺はこゆずのせいじゃないと慰めるように頭に手を置いた。しかし……。

 

「(龍神……か。どんな化け物かしらねーが……)行くしかねーか……信濃の龍雅湖、だったな?」

「冬空コガラシ!?どうする気だ!?」

 

 俺は幽奈を助けに向かおうと移動しようとすると狭霧に止められた。

 

「幽奈を助けに行くに決まってんだろ?」

「あ……ボクも行くよ!」

「おう!?ちっちゃくもなれるのか!?こゆず!」

 

 俺が助けに行くことを告げると、こゆずは自分の頭に葉札を置いて手のひらサイズになった。すると狭霧が忠告するように声を掛ける。

 

「二人ともわかっているのか!?龍雅湖の黒龍神といえば、誅魔忍軍において“神”に分類されている存在だ!真っ向から挑んでどうにかなるものではない!」

「“神”に……分類?」

 

 狭霧の言葉におうむ返しに聞く俺。

 

「誅魔忍軍では手に負えんと判断した霊的存在を、“神”と称しているのだ。誅魔忍軍総出でも滅すること叶わぬ存在だとな……!」

 

 そういうもんなのか……。狭霧の説明に平然と聞いている俺と反対に恐ろしそうに声を震わしていた。

 

「そ……そんなにとんでもない相手なの……!?」

「まして救出対象の幽奈は幽霊……。誅魔忍として……手を貸すことはできん」

「だったら俺とこゆずだけで行く。ゆらぎ荘に連絡入れといてくれ」

「馬鹿を言うな!貴様らだけで何ができる!」

「なんだよ、止める気か!?」

「私も行くと言っている。誅魔忍としてではなく、幽奈の友人としてな」

 

 そう言いながら俺の隣を走る狭霧。全くこいつは……。

 

「狭霧ちゃん……!」

「回りくどいんだよ、オマエは」

「大体貴様ら、信濃といえば長野だぞ?交通費の持ち合わせはあるのか?」

「「う……!」」

 

 狭霧の言葉になにも言えなかった俺とこゆずだった……畜生、貧乏の辛いところだぜ……!

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 僕は今、龍雅城の天守閣の一室にいる。そこでは、肩を全面的に露出させ胸のギリギリのところを隠している際どい着物を着た幽奈さんと我が主玄士郎さまがいた。

 

「あ……あの、もうやめてください!どうしてこんなことを……!」

 

 幽奈さんは玄士郎さまに目尻に涙を浮かべて何かを止めるように訴えていた。

 

「ふははは!花嫁修業と観念せい幽奈よ!余の術から逃れる術はないぞ!」

 

 対する玄士郎さまは右手に霊力を集中させて何やらただ事ではない雰囲気を醸し出していた。

 ……まぁ、最初からこの現場を見ていると、ある意味ただ事ではないことに間違いはないのだけど。

 

「お次はかつて人間界において、えっちすぎて禁忌(タブー)とされたという古代の遺物よ!その恥辱に、見事耐えてみせよ……幽奈!!」

「いやあああ!!!」

 

 玄士郎さまの手から放たれた霊力を幽奈さんを襲う!そして、その霊力の雷が収まったかと思うと、幽奈さんの格好は別物になっていた。

 白を基調とし胸元部分には『ゆうな』と書かれている上着に太ももを強調した黒いスポーツ用パンツ──そう、ブルマである。昭和時代に使用された体操着だ。

 

「え……体操着……!?」

「おおう……!これが伝説のぶるまあ……!なんとも健康的でよいではないか!」

「涙!?」

 

 どこかで感動したのか、玄士郎さまは拳を握りしめ、涙を流していた。

 

「(な……なんなんでしょうかこの人!?体操着の何がそんなに……!?)」

 

 幽奈さん、何を考えているか分からないけどなんとなく言いたいことは分かる……。

 

「では次だ!ふはははは!どんどんいくぞぉぉぉ!!」

「きゃああ!?」

 

 それから玄士郎さまは幽奈さんにさまざまな意匠を着せる。バニー服やナース服、メイド服などなどもはや着せるものがコスプレの域だ。着せ替え人形みたいになってる幽奈さんには可愛そうというか、申し訳なさがこみ上げてきた……。

 

「おおおおおう!!さすがは余の幽奈よ!!何を着せても可憐よのう~~!」

 

 一方の玄士郎さまはさまざまな意匠を着た幽奈さんを見れてご満悦のご様子。……これはさすがに止めなければいけないかな。

 僕がそう思って動こうとしたとき、ご満悦な玄士郎さまの脳天に手刀が打ち込まれた。こんなことを出来るのは龍雅家には僕を除いて一人しかいない。

 

「そこまでです。幽奈さまはお忙しいのです!」

 

 龍雅家に仕えている玄士郎さまのお目付け役の一人の朧さまだ。朧さまに手刀をかまされた玄士郎さまは後頭部にたん(こぶ)ができて倒れていた。

 

「祝言までに奥方様として、十分な教養を身に着けて貰わねばならないのですから」

 

 そう言う朧さまの両腕には奥方としての教本が抱えられていた。

 

「ええい、そんなものよいではないか!!」

 

 復活した玄士郎さまは朧さまに抗議するように文句を言う。そこに幽奈さんが異議を申し立てるように声をあげる。

 

「あ……あの!わっ、わたしはこちらに嫁ぐつもりなんてありません!帰していただけませんか!?」

「なりません。幽奈さまは龍雅家の女として、未来永劫龍雅湖から離れることは許されません」

「……ッ!」

 

 しかし、朧さまの発する圧によって押し黙ってしまう。

 

「何が不満なのだ幽奈よ!ここにはおまえの愛する余もいるのだぞ?」

「あなたを愛した覚えはありません!!」

「おおう!?」

 

 幽奈さんの否定の言葉にショックを受ける玄士郎さま。

 

「ば……バカな、幽奈よ、何故そんな虚言を……ハッ!?なるほど、これがつんでれ……というヤツだな?」

「ちがいますぅぅぅ!!」

 

 しかしそこは玄士郎さま、持ち前の前向き思考でおよそ現代では死語であろう言葉で解釈した(まぁそれも否定されたわけですが)。

 

「なぜそんなに帰りたいのですか?」

「……もしや、あの小狸ちゃんが言っていた同居人の男が気にかかるのでは?やはり特別な関係があるとしか……」

 

 朧さまの疑問に横から推察したことを言う僕。すると幽奈さんは顔を赤くして否定し始める。

 

「とっ、とんでもないです!わ……わたし幽霊ですし、ドジですし!?ご迷惑ばかりおかけしてますし!?今朝も川に突き落としちゃって……って、わたしなんて疫病神のようなものなのかもですね……」

 

 顔を赤くして否定したかと思ったら段々と声がしぼんでいき、最後には目に見えてとても落ち込んでいた。

 

「ふむ……?であれば尚更、こちらに嫁がれてよかったのでは?その男のためにも」

 

 朧さまの言葉に、幽奈さんは顔を強張らせた。

 

「とにかく、幽奈さまはここに嫁ぐことに変わりません。玄士郎さま、これより祝言の準備をいたしますので、玄士郎さまもご準備を」

「そんなもの、べつによいではないk「また気を失いたいのですか?」……分かった」

 

 最初は断ろうとした玄士郎さまだったが、朧さまが手刀を構えると渋々としながら従い、部屋を出ていく。

 

「オロチ。おまえは幽奈さまを見ておれ。まさかとは思うが、小狸の言っていたコガラシという男が取り返しにくるやもしれん。警戒を怠るな」

「ハッ。この命に代えましても、幽奈さまの身柄は守ります」

「うむ。頼んだぞ」

 

 そう言って朧さまは部屋を後にし、襖を閉めた。




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