ISーマテリアルズの魂を持つ者ー   作:レリ

37 / 37

お久しぶりです。

学園祭真っ只中、その中でやるヤツと言ったら?そう『シンデレラ』。どんな『シンデレラ』になるんでしょうかね。

始まります



第三十四話

「はあ、はあ、はあ、はあ…………ふぅ」

 

 

急いで物陰に隠れてから乱れた息を整わせてから息を潜める。そして周囲の動きに集中する。

 

遠くから悲鳴と銃声、何かが斬られる音、そして殴ったような音が物陰に隠れた者、龍輝の耳が捉える。だけど違う。龍輝はそう思った。捉えたい音は違う音なのだ。だが他の音は一切聞こえない。

 

どう動いてくるのか……どっちから来るのか……。この二つの考えが頭の中を埋め尽くす。

 

その時ーーー

 

シュッ!タンッ!

 

 

物陰近くにどこからかナイフが飛来し、突き刺さる。それに驚きながらも龍輝は誰の仕業なのか辺りを探す。

 

が、その直後に物陰から勢いよく飛び出す龍輝。そして龍輝が数瞬前までいた場所に銃弾が着弾した。

 

 

「危ねぇ!!」

 

 

そう叫びながらジグザグに移動して狙撃させないようにする龍輝。だが……

 

 

「貰ったよ!!」

 

 

突如、物陰から飛び出て来た人物が一人。白ドレスに身を包み、薙刀を構えた簪である。

 

簪は構えた薙刀を龍輝に向かって突きを放つ。それを龍輝は急ブレーキしながら身をよじって避けてから後ろに跳ぶ。

 

 

その行動を予感してたのか、簪はすぐに薙刀を体を軸にしながら振り回して上段の構えにしてーーー

 

 

「はっ!」

 

 

振り下ろした。

 

 

「せいっ!」

 

 

カキンッ!

 

 

「なっ!?」

 

 

龍輝は振り下ろされた薙刀の刃部分にナイフで受け止め、そして押し返した。簪もまさかナイフで押し返されるとは思っておらず、驚いて体勢を整えることができずに後方に向かって押され、止まったと同時に片膝を地面についてしまう。

 

 

「薙刀の一撃を……ナイフで押し返すなんて……!」

 

「その分、力をすごく使うけどな。めっちゃ疲れた」

 

「その割に疲れてるようには見えないけど。それよりも龍輝。その王冠を私に渡して」

 

「断る。簡単に渡したら面白くないし、さっきの楯無さんの放送を聞く限り外したら電気が流れるらしいから外したくない」

 

「龍輝……《バルニフィカス》の電気と比べたら大したことないんじゃないの?」

 

「いや、あの人俺のやつだけ調整したらしくてめっちゃ強力になってるみたい。で、喰らったら俺でも後日に影響が出る、かもしれないってさっきシュテルが解析した」

 

「かもしれない、なんだね(お姉ちゃん……余計なことしないでよ!!)」

 

 

交渉しようとした簪だが、龍輝に拒否され、その理由を聞いた簪は余計なことをしてくれた姉に内心で悪態をついていた。

 

 

「(交渉は無理かぁ……。できればシャルロットが来る前に渡して欲しかったんだけど、仕方ないか。なら……)」

 

 

交渉は断念。ならばと思考する簪。だが、簪は思考に没頭してて気づかない。離れた位置から自分を見ている存在に。

 

 

 

○◎○

 

 

 

スコープ越しにターゲットである龍輝を見た後にスコープを少しズラして自分のライバル、簪を見る人物。

 

 

「(どうやら交渉は無理のようだね。だとするなら無理やり奪うしかないか。今なら狙えるけど、運良く当てて落とす事ができても目の前に簪がいるんじゃ取られるのが目に見えてるからできない。なら、接近戦といこうかな)」

 

 

持っていた得物、スナイパーライフルを置いて近くに置いといた得物を手に彼女、シャルロットは動き出す。

 

彼女たちは現在やっている演し物に全力を出して動く。

 

全ては

 

 

「「(龍輝とのルームシェアは絶対に譲れないんだから!!)」」

 

 

生徒会長である楯無が会長権限で可能にした龍輝とのルームシェアの権利を獲得する事ができる生徒会の演し物、『シンデレラ』で龍輝と同じ部屋にするために。

 

 

 

○◎○

 

 

 

ある一角では一夏とのルームシェアを巡る戦い、いや、一夏にとっては刀による攻撃や銃撃、ヒールによる蹴り、ナイフの投擲といったものが一夏自身に降り注ぐので命がけである。だが安心してほしい。全て非殺傷能力である。

 

そしてーーー

 

薙刀による舞うように繰り広げられる簪の攻撃をナイフを使いながら徐々に後退して凌ぐ龍輝。シャルロットは未だいない為、簪はどうにかして今のうちにルームシェア獲得の鍵、龍輝が被っている王冠に嵌め込まれた赤い宝石を奪おうと必死になっている。

 

 

「ちょこまかと!いい加減に諦めてその王冠、宝石を私にちょうだい!!」

 

「断ると言った!欲しいなら力ずくで奪えばいいだろう!」

 

「そう言うなら避けないでよ!!」

 

「ゲームとして面白くないだろうが!」

 

 

なんて二人で言い争いをしているが実際は薙刀が凄い速度で振るわれ、それを避け、時にはナイフでいなす龍輝。シンデレラで出てくる白いドレスを着ていながら見事な薙刀術を披露する簪に驚くが、その薙刀をナイフ一本でいなす龍輝も龍輝である。

 

と、その時ーーー

 

 

「っ!」

 

「?」

 

 

突然、龍輝が跳躍した。それも、距離を取る為ではなく、上に跳び、空中で一回転しながら少し離れた後方に着地したのである。タイミング的に簪が薙刀の一撃を入れた時に跳躍した為、回避するために跳躍したのだろうと思った簪だが……

 

 

「(…………今の、なにか引っかかる)」

 

 

そう思った簪だが、シャルロットが来る前にと考えて龍輝に攻撃するために進んだ。

 

 

それが過ちだった。

 

 

プチン

 

 

何かが切れた音が簪の足元からした。

 

 

「っ!?まさか、ワイヤートラップ!?」

 

 

切れたモノ、それは極細のワイヤーだった。即座にそれがガンダムシリーズでお馴染みのワイヤートラップだとわかった簪。

 

 

ピー!バシュッ!

 

 

驚愕による硬直で即座に動けなかった簪はワイヤートラップによって発動した煙幕に呑み込まれた。

 

 

「嫌な予感がして跳んだらまさかワイヤートラップだったか。それにトラップはただのスモーク……目眩ましが目的なのか?だとしたら……」

 

「………………正解だよ、龍輝」

 

 

ドゴッ!

 

 

声が聞こえた瞬間、龍輝はすぐに避けた。直後、重い物を地面に叩きつけた音が響く。

 

 

「シャルか!このトラップもお前が仕掛けたのか!」

 

「ご名答だよ!全てはまた龍輝と同じ部屋にするためにね!さあ、その宝石を僕に渡して!」

 

「簪にも言ったが、簡単に渡すわけにはいかん!」

 

「そうだよね!龍輝ならそう言うよね!ならこうするだけ!」

 

「っ!?お、おい!?まさかそれは!?」

 

 

シャルロットが持ち出した得物、それはーーー

 

 

「ツインメイスだとぉ!?」

 

 

シンデレラの白いドレスには合わない、黒く無骨な鈍器、ガンダムバルバトスルプスが装備していた『ツインメイス』をシャルロットは握っていた。さしもの龍輝もそんな物を持っている事に驚いている。

 

 

「ちょ、待て!?なんでそんな武器が!?」

 

「蒼に頼んで作って貰った!レクスの大型メイスに慣れるように特訓するためにね!」

 

「あのバカ野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

しれっとえげつない物を作り上げた幼馴染みに向かって盛大に悪態をつく龍輝。

 

しかも、慣れる為と言っておきながらIS用じゃなくて生身で行う特訓用として注文するシャルロットもシャルロットである。

 

 

「ラウラからの贈り物じゃあ、これには敵わないよね!!」

 

 

メイスの怒涛の攻撃に遂に龍輝が持っていたナイフ、ラウラから使えという意味を込められて投擲されたものが破壊された。

 

 

「くっ!?」

 

「もらっーーーっ!」

 

 

ガキィィィィンッ!

 

 

体勢を崩した龍輝に向かって攻撃しようとしたシャルロット。だが、突如煙の中からシャルロットに向かって薙刀が突きだされ、不意打ちの攻撃をメイスで防御に成功した。

 

煙が晴れ、不適な笑みを浮かべている簪がいた。

 

 

「ちょっと時間かかっちゃったけど、タイミング的には最高だね」

 

「簪……もうちょっと時間かかるかと思ってたのに」

 

「舐めないでよね。これでも私は日本の代表候補生なんだから。それに、あの子たちがサポートしてくれるし!」

 

「なっ!?それはずるくない!?」

 

「ずるくない!!そういうシャルロットだって小賢しいトラップ仕掛けてるじゃん!!」

 

「小賢しいってなに!?これも龍輝と簪の影響で得た知識なんだよ!!」

 

「劇に使っていいトラップじゃないでしょ!!」

 

 

いつの間にか、シャルロットと簪の喧嘩に発展し、龍輝は完全に蚊帳の外である。

 

 

「はぁ……」

 

 

蚊帳の外である龍輝はため息しか出てこない。仲が良いのか悪いのかよくわからない二人の喧嘩は見慣れたが、ため息はいつも出てしまう。

 

 

『マスター』

 

「(っ!どうした、シュテル)」

 

 

突如、念話でシュテルが話しかけてきた。突然なのに喧嘩をしていた二人も動きを止め、龍輝を見つめる。ちなみに二人にはシュテルの念話は聞こえていない。

 

 

『イチカの反応が劇場からロストしました』

 

「(ほう。反応は捉えてるのか?)」

 

『ご心配なく。既に捉えています。場所はーーーです。それとーーー』

 

「(そうか、わかった。報告ありがとう。あとはこっちでやる)」

 

『ご武運を』

 

 

シュテルとの念話が終わり、龍輝はシャルロットと簪に視線向け、小さく頷く。

 

それに対してシャルロットは苦笑しながら頷く。簪はため息を出してから頷く。そして二人は移動していった。

 

 

「さて、俺も行くか」

 

 

二人がいなくなってから呟いた龍輝も移動したのだった。

 

 

 

○◎○

 

 

 

「ぐっ!」

 

 

薄暗いロッカー室。劇場の地下にある使われていないロッカー室からくぐもった声が響く。

 

 

「おいおい。男性操縦者ってこんなに弱いのか?期待外れなんだが」

 

「ちっ、言ってくれるじゃねぇか」

 

 

男口調だが、女性の呆れ声に応えるように舌打ちをする男性。白式を装備している一夏である。対して相手は蜘蛛型のIS、『アラクネ』。その相手に一夏は苦戦していた。龍輝との特訓で強くなっているのだが、ロッカー室という閉鎖空間での戦闘に慣れておらず、一応学園の物なので壊すわけにもいかない考えで思うように雪片を振れずにいるのである。一方で相手のアラクネは糸を飛ばすことで縦横無尽に移動するので相手の方が有利で一方的にやられているのである。

 

 

「聞いた話じゃ強いっていうのに、全然じゃねぇか。まあいいや。さっさと終わらせるだけだな」

 

「なにを……」

 

「さっさとその白式を俺に寄越せっていうんだよ。おら、さっさと寄越せ!」

 

「誰が!」

 

 

アラクネが仕掛けてきたが、一夏は避ける。だが、運が悪かった。

 

 

「うおっ!?」

 

 

アラクネが貼っていた糸に捕まってしまい、動けなくなってしまった。

 

 

「はっ、雑魚がぁ!!」

 

「ぐっ!?」

 

 

その隙を逃すほど相手は甘くなく、キツイ一撃を叩き込まれ、派手に吹き飛んでしまった一夏。

 

 

「がはっ!?」

 

 

運悪くロッカーに激突ししてしまい、その衝撃で肺の中にあった酸素が吐き出されてしまった。床に崩れ落ち、酸素を求めようと動けずに咳き込んでいるとアラクネがゆっくりと近づいてきた。

 

 

「はっ、呆気ねぇなぁ。白式の操縦者ってこんなに弱いんだな。これならもう一人の男の操縦者の方がやりごたえありそうだ」

 

「へぇ~、ならいつも特訓の相手をしてる僕たちはやりごたえあるかな?」

 

「っ!?」

 

 

ドゴォ!!

 

 

「ぐはっ!?」

 

 

アラクネの操縦者の言葉に続くように呟かれた声。それを聞いた瞬間、アラクネのパイロットが派手に吹き飛んでいった。

 

 

「おま……え……は……」

 

「一夏。お待たせ」

 

 

まだ咳き込みながら新たに乱入した人物を見ようと一夏が顔をあげると、一夏の目の前に背を向けて立っている白いドレスの金髪の少女。手には似つかわしくない無骨な二つの鈍器と思われる物が握られている。

 

 

「シャル……ロット……?」

 

「ごめんね、遅くなって。でも、ここからは僕たちも参加するから」

 

「テメェ!いきなり現れたと思ったらなにしやがる!!」

 

「あ、流石にIS相手じゃダメか。ツインメイス自体に損傷は無いし、相手にダメージは見受けられない、か。まあ、生身で懐に入って吹き飛ばすって流れなら奇襲にはいいか」

 

 

怒鳴りながら起き上がるアラクネにシャルロットは淡々と呟きながら思考していた。あまりのシャルロットの態度に怒りのボルテージが上がっていくアラクネのパイロット。

 

 

「テメェのその余裕な態度、すぐに叩き折ってやる!!後悔しな!!テメェはこの俺、『亡国企業』のオータム様を怒らせたんだからな!!」

 

「『亡国企業』のオータム、か。それが襲撃、いや、一夏の白式を盗もうとしてきた奴らの存在か。ご丁寧に名乗ってくれて助かるよ、ありがとう」

 

「テメェ…………!」

 

 

どこまでも相手を煽るシャルロット。アラクネのパイロット、オータムも我慢の限界なのかワナワナと拳を強く握っていく。

 

だが、シャルロットの言う通り、これはオータムが普通にやらかした。名乗らなければ襲撃をかけた謎の存在としてなっていたのにご丁寧な自己紹介に襲撃者の存在がまるわかりになったのだから。

 

 

「あの、シャルロットさん?何もそこまで煽らなくても」

 

「なに言ってんの。ああいう奴は怒らせることで動きが単調になるの。その方がやりやすいの」

 

「それ本人の前で一番言っちゃいけない言葉なんじゃないですかねぇ!?」

 

 

いつもと違う雰囲気のシャルロットに一夏もツッコミをいれる。

 

 

「もういい。テメェは泣き叫ぼうが四肢を斬り落としてもう一人の男の目の前に持っていってから男の目の前で殺す」

 

 

怒りの形相だったオータムが怒りを通り越した表情、無表情でシャルロットに言った。それを聞いたシャルロットは……

 

 

「へぇ?」

 

 

物凄く冷気を放っているんじゃないかと思うほどの声を出した。現に一夏は顔を真っ青にしてガクガクと震えている。

 

 

「面白いこと言うねぇ?僕の四肢を斬り落として龍輝の目の前に持って行く?…………………………やれるものならやってみろ」

 

 

直後、オータムに向かって豪速球でツインメイスが投げられた。

 

 

「ぐ……」

 

 

アラクネのサブアームでツインメイスを弾くオータム。だがーーー

 

 

ズドォォ!!

 

 

「がはっ!?」

 

 

ツインメイスを弾いた瞬間、シャルロットが別の武器で突撃してきた。それも物凄い速度で。その攻撃に反応できなかったオータムはもろに腹に喰らいまたもや吹き飛ばされる。

 

 

「……脆いな。せめてパイルバンカーを発動させてよ」

 

 

そう呟くシャルロット。その手には巨大な武器、超大型メイス。そして腕も先ほどとは違って展開されたシャルロット専用ISの腕、ガンダムバルバトスルプスレクスの腕である。

 

 

「ぐ、て、テメェ……!武器を投げたと思ったらいきなり突撃かよ!っ!?」

 

「戦術としてはシンプルでしょ。でもさあ、あんた脆くない?受け身取るとかしないの?もしくは足を床に食い込ませて耐えるとかさ。ま、それをやったらパイルバンカーをぶちこむだけだけど」

 

 

さらっと恐ろしいことを言うシャルロット。オータムも起き上がりながらシャルロットを睨むとシャルロットが纏う殺気やらのオーラと表情に息を呑んだ。なぜなら、シャルロットの瞳に光が無く、闇を彷彿とさせるものだったのだから。

 

 

「さあ、早くやろ?僕の四肢を斬り落とすんでしょ?ほら。僕も本気で相手するから」

 

 

そう言った瞬間、シャルロットが光に包まれた。光が収まると、そこには全身を展開したIS、ガンダムバルバトスルプスレクスの姿があった。しかもツインアイを赤く光らせて。

 

 

「それが情報にあったあの男が作成した全身装甲のISか!ついでにソイツもいただくぜ!!ガキがぁ!!」

 

「奪う?奪えるなら奪ってみなよ、おばさん。でも、初めてだなぁ、こんなに怒ったのは。この怒り、全部お前にぶつける!!」

 

 

○◎○

 

 

そこからはもう蹂躙だった。阿頼耶識のリミッターの最小限解除したシャルロットのバルバトスの動きにオータムは追い付けずにシャルロットに攻撃できずに完膚なきまでに叩きのめされた。

 

 

「ぐ……うぅ…………こ、のぉ…………」

 

 

完膚なきまでに叩きのめされた為にオータムはボロボロ。アラクネの特徴であるサブアームも全て破壊されている。

 

 

「そういえば援護なかったけど、なんでだろ?って、そういうことか」

 

 

シャルロットはバルバトスの阿頼耶識リミッターを解除しており、本来援護があるはずだったのに一切なかったことに疑問に思いながら一夏の方を向くと、一夏の前に何枚かの緑色の板が浮遊していた。

 

 

「流石に阿頼耶識の動きについていけなかったのかな?いや、援護どころか一夏を守るのに精一杯だったのかな?」

 

「テメェ、どこまでも俺を…………!クソォ!!」

 

「え、あ、まさか!?簪!!」

 

 

学生であるシャルロットにコテンパンにされたオータムは余裕そうにしているシャルロットに怒りながらもアラクネが使い物にならないので、最後の悪足掻きをした。

 

 

その悪足掻きが、アラクネの自爆である。しかもご丁寧にオータムはアラクネのコアを取り外して逃走してから残ったアラクネの残骸の自爆である。

 

突然のオータムの悪足掻きだが、間一髪でシャルロットが簪が遠隔操作していたビットを使ったことでアラクネの自爆で傷を負うことはなかった。代償として、オータムの逃走だったが。

 

 

 

○◎○

 

 

 

シャルロットがマジギレしてオータムをボッコボコにしてる時、IS学園のモノレール駅がある反対側ある港部分の上空、そこに滞空する存在がいた。

 

滞空する存在はただじっと海の方を見ている。まるで、誰かが来るのを待っているかのように。

 

 

「…………来たか」

 

 

そう呟かれた。それと同時に海上から太陽光によってキラリと光った。その光は金属特有の光だった。

 

 

 

○◎○

 

 

 

海上を凄いスピードで飛んでいる機体。それはISサイレントゼフィルスである。向かう先はIS学園。そこに任務として向かっているが、ふとしたきっかけで任務を放棄するかもしれないとゼフィルスのパイロットは考えていた。

 

その時ーーーハイパーセンサーに反応があった。

 

 

「なんだ?」

 

 

パイロットはハイパーセンサーに反応があったことに若干驚きながら前方を見る。

 

ーーーまさか待ち伏せか?ーーーと思ったパイロット。だが、それは流石にあり得ないとも思った。自分は限界まで出せる最高速度で向かっている。レーダーにも反応しないようにしている。なのになぜ反応が?と。そして、光学カメラが捉えた映像が映し出されたのを見た瞬間、パイロットは絶句した。

 

 

「な……なぜ、その機体が……」

 

 

映し出された機体は、黒をベースにされた装甲に青い装甲がある全身装甲の機体。極め付きは目立つ二つのブレードアンテナと紫に光るツインアイ。機体名ガンダムヴィダールである。

 

 

「……ガン……ダム……」

 

 

ゼフィルスのパイロットは減速させて相手、ガンダムヴィダールの前に止まる。対してヴィダールは動かない。手には何も持っておらず、武器と思われる物は全てマウントされている。

 

 

「機体の詳細は……不明。パイロットも不明か……。何もかも謎に包まれたガンダム…………それがどうした?お前にはどこでその機体を手に入れたのかきっちり吐いてもらう。その機体を、ガンダムを、『あの人』が造り上げたガンダムを!!」

 

 

ゼフィルスのパイロットはライフルを構え、突撃した。

 

 

○◎○

 

 

 

学園にある港の上空、そこには二つの光が縦横無尽に飛行していた。

 

 

「(イギリスのISサイレントゼフィルス、確かセシリアのブルーティアーズの兄弟機だったはず。強奪されたのか)」

 

 

ガンダムヴィダールのパイロット、龍輝は冷静に相手の機体の情報を解析していた。兄弟機であるため、BIT兵器を搭載している機体。ヴィダールならば苦戦することなく制圧できるだろう。ただーーー

 

 

「(『あの人が造り上げた機体』か……。奴は俺のことをどう知っている?一方的なものなら『あの人』とは言わないはず…………う~ん、わからん)」

 

 

先ほどふと通信で聞こえたパイロットの声。聞き覚えがない声だったが、セリフに違和感を覚えた龍輝は思考を巡らすがわからずである。

 

すると、相手はゼフィルスの特徴と言える武器、BIT兵器を展開してきた。ビットから繰り出されるレーザー、それを龍輝はひらりと避けていく。だが相手の方も龍輝の動きがわかるのか、ビットの攻撃精度が上がり、レーザーを繰り出していく。

 

 

「(このビットの動き…………どこかで……)」

 

 

相手が操作するビットの動きに何故か既視感が芽生えた龍輝。考えるが、それよりも先にビットの攻撃が激しくなっていく。それを龍輝は腰にマウントされている二丁のハンドガンを引き抜き、連射した。

 

 

「なっ!?」

 

 

相手から驚愕の声が聞こえる。それもそのはずだ。なんせ、ハンドガンを展開して連射したと思ったら一瞬で展開していたビット全てを破壊されたのだから。

 

 

「(動きに既視感があったから容易くビットを墜とすことができたが……この既視感はなんなんだ……。考えても仕方ない、速攻でキメる)」

 

 

ハンドガンをしまい、バーストサーベルを引き抜いたと同時に突きの要領で突撃する龍輝。ブースターを吹かして速度を上げるのも忘れない。

 

そのせいでか、速度はとてつもないものになってしまい、突撃は一瞬で敵の目の前に移動したように見え、ゼフィルスのパイロットはなにも反応することができずにヴィダールのバーストサーベルの突撃を喰らい、そして龍輝はサーベル部を切り離しーーー爆破。

 

 

「ぐぁっ!?」

 

 

突撃によるダメージと爆破という予想外の攻撃によるダメージにゼフィルスは動けなくなり、パイロットにもダメージによる負荷がかかり、ゼフィルス同様に動けなくなった。

 

 

「く……うぅ……」

 

 

ゼフィルスは解除されていないため、滞空し続けているが腕すら動かすことができない、パイロットも呻き声を上げるだけである。

 

それを龍輝は黙って二本目のサーベルを連結させてパイロットに突きつける。お前の負けだと。逃げることも不可能だという現実を突きつける。

 

 

『龍輝、シャルロットから連絡きた。一夏を襲った奴に逃げられたって。相手はISを自爆させてその隙にって。だから相手は逃走手段を自分で破壊したようなものだからもしかしたら龍輝が相手しているのが仲間だと思われるから気をつけて』

 

 

唐突にきた簪からの連絡。

 

 

「問題ない。こっちは制圧した」

 

「っ!?」

 

『え、早。てか制圧?相手は逃げないの?』

 

「バーストサーベルで突撃した後に爆破させたからISのダメージも酷いから逃げることはできないはずだ。このままーーー」

 

「…………けた」

 

「なに?」

 

 

簪に状況報告した時、龍輝の声が相手にも聞こえたのか、一瞬だけ顔を上げるとすぐに俯いたのだが、小さな声で呟いた。それが聞こえた龍輝は聞き取れなかったのでもう一度聞こうとした瞬間、ゼフィルスのパイロットが動いた。

 

 

「なに!?」

 

 

まさに不意打ち。動けないと思っていたから容易く懐に入られる、そう思った龍輝はバーストサーベルの切っ先をずらした。だが、そのずらした位置が悪かった。

 

 

「まず……!」

 

 

切っ先が捉えたのは、ゼフィルスのパイロットの頭部、顔だったのだ。だが、ゼフィルスのパイロットは顔をほんのちょっと横にずらした。ちょっとしかずらしていないため、ゼフィルスの装備であるフェイスにバーストサーベルの切っ先が当たり、フェイスが外れ、フェイスによって顔がわからなかったゼフィルスのパイロットの顔が現になった。

 

ゼフィルスのパイロットの素顔は、黒髪短髪の、ではなく、そのウィッグが衝撃で取れ、その下にあった本当の髪、紅蓮のような赤と所々に黒が混じっているロングヘアの少女の顔。だが、その顔はある人物、織斑千冬と同じ顔をしていた。顔は同じだが、赤いロングヘアというのが合わさったことで違和感がある少女である。

 

その少女は、バーストサーベルを避けて龍輝の懐に入り、龍輝にーーー抱きついた。

 

 

「え…………」

 

 

思わぬ行動に龍輝は固まり、呆然としているとーーー

 

 

「やっと、会えました…………『兄さん』!」

 

「………………は?」

 

 

少女の言葉に龍輝は思考が追い付かず…………

 

 

「はああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」

 

 

叫んだ。ただただ叫んだ。

 

 

 

 

その叫びが学園全体に凄く響いたのだった。

 

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございました。

いや~久々に書いたら楽しくてなんかどんどん進みました。

珍しいシャルのガチギレ。めっちゃ怖いわと思いましたよ。それと劇でワイヤートラップなんて発想が鬼じゃねぇですかね?まあ、スモークだから問題ない……のか?見えないのに勘だけで居場所を探り当てる簪も凄いけども。そしてちょっとだけ出てた簪の新しい機体。緑色の板のようなモノ?はて、どんな武装をした機体なのか?

そしてマドカよ。お主の兄にあたるのは一夏じゃないんですかね?それとなんで赤いロングの髪になってるんですかね?なんで龍輝に抱きつくんですかね?あなたそんなキャラじゃないでしょうに。一体どういうことなんでしょうかね?

それでは以上、レリでした!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。