太陽王の娘   作:蕎麦饂飩

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本編最終回
本日00:00エピローグ予定


MELTY BLOOD

「遠坂凛、決着を着けましょう(ラストダンスを踊りましょう)

 

 それは、メルタトゥムの揺るがない意思だった。

 王女でも、お姫様でも無い。彼女自身として戦う為に。

 血液が赤いドレスの様に彼女の裸身を纏う。

 鼓動が激しいタンゴを奏でる。

 

 

 ダンスフロアにはメルタトゥムと遠坂凛。

 それ以外の全ては観衆となった。

 

 凛はフッと微笑むと同時に、鋭い蹴りを親友に向けて放った。

 メルタトゥムは後ろに跳び下がると、己の血を沸騰させた。

 

 BLOOD HEAT

 

 魔力回路を強制解放する奥の手。

 メルタトゥムが地面に足を着ける前に、浮き上がった地面がその足裏に着いた。

 その瞬間暴力的な加速度と美しさで、凛へと跳躍した。

 そして、お返しのような突き蹴り。

 

 凛はその足を躱し、その足が曲がり挟もうとした追撃さえ回避した。

 類い希なる戦闘センスは先祖譲りだった。

 そして、交互に突き出された腕を躱した後に掴み、地面に置かれた足を踏みつける。

 

 回避は封じた。

 掴んでいない方の腕には、宝石が握りしめられている。

 

「零距離取ったぁぁぁっっ!!!!」

 

 しっかりと大地を踏みつけた足に、更に力を込め、震脚の要領で宝石を掴んだ腕に連動するように、身体に捻りを入れる。

 

 

 

 

「足を踏むなんてダンスはまだまだね」

 

 メルタトゥムは凛に踏まれた足を砂に分解し、直ぐ隣にずらしていた。

 故に、遠坂凛は大地をしっかりと踏みしめられたのだ。

 それは、攻撃への回避が間に合うことを意味していた。

 

 捕まれた腕を支点にして、身体を跳ね上げると、その両足は凛の首と肩を締め上げていた。

 そしてそのまま身体を下に向けると、勢いを付けて凛を大地に向かって脚で投げ付けた。

 

 凛は地面に顔面がキスする寸前で、先程使うはずだった宝石の魔力を解放する。

 爆風でメルタトゥムをふき飛ばしつつ、己もその爆風に巻き込んで跳ね飛ばして回避する。

 

 ボロボロになった凛と、傷一つ無いメルタトゥムは対称的だった。

 踊るように回し蹴りを仕掛けるメルタトゥムに対し、凛はダメージを覚悟で身を進めた。

 痛みは覚悟の上で、その上で拳を突き出すことに全力を向けた。

 手の中に宝石は無い。

 ただの愚直な殴打だった。

 

 そしてその打撃は届いた。

 

 

「リン。貴女の勝ちよ。おめでとう。

聖杯はもう機能しないけれど、栄誉は貴女にあげる」

 

 倒れたままメルタトゥムは笑顔でそう告げた。

 

 

「手を取るが良い」

 

 起き上がろうとするメルタトゥムに、ギルガメッシュは手を差し出した。

 

「ありがとう」

 

 メルタトゥムはその手を取り微笑み返した。

 

 

「では、お別れね。

暫く休ませて貰うわ。丁度ここは良い霊脈よ。

起きたらまた逢いましょう」

 

 僅かに干からびた肌を見せながらメルタトゥムは告げた。

 彼女の差し出す右腕の先は、少しだけ崩れかけていた。

 

 虚勢で戦っていたのは凛だけでは無かったのだ。

 

 

「…メディアとサクラは上手くやったようね。

抜け目が無いわ」

 

 王女が抜け目が無いと評した二人は、僅かに苦笑した。

 彼女たちが苦笑した理由は、正の願いを叶えようとする聖杯の力の一部を使って、メディアとエミヤは肉体を得た。

 といっても、永遠を生きられるものでは無く、数十年の耐久期間しかないが、それでも想いは残せるだろう。

 

 

「改めて、さようなら。

また何時か何処かで、きっと逢いましょう。リン」

 

 

 そう彼女が告げると同時に、洞窟の崩壊が始まった。

 彼女と共に残る黄金の二人を残して、それ以外の人々は脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「父上はともかく、受肉している貴方はどうしてここに残るのかしら」

 

 メルタトゥムは疑問を告げたが、それはギルガメッシュにとっては疑問にもならなかった。

 

「夫婦が同じ寝室で寝る事に何が問題がある。

愛する女と共に過ごしたいと願うは、男の願う夢よ」

 

「あら、素敵ね。…ええ、とっても」

 

 

 コホン

 オジマンディアスが小さく咳をすると、微妙な空気は霧散した。

 

「ありがとう。楽しかったわ、父上」

 

「当然のことだ」

 

 魔力が切れかかっているメルタトゥムの負担にならないように、既にオジマンディアスも消滅の寸前まで魔力を自発的に絞っていた。

 

 

「私がそちらに行くまで、母上とお幸せに」

 

「これは長生きして貰わないとな。では、さよならだ」

 

 

 

 その言葉を最後に、大空洞は完全に崩落した。

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