アカネとナツメの生放送ラジオは続いていた。その後もジムリーダー仲間の噂や
『ジムリーダーあるある』、『ここが辛いよジムリーダー』など、もうこの立場に
戻ることはできないからか、何の遠慮もなく二人は語りつくした。きっと多くの
人間、特にかつての同僚だった者たちは怒るだろうと思うと、ナツメは笑みを
隠せなかった。それがわざわざラジオ収録に付き合った一番の狙いだったからだ。
(よし、これでいい。ジョウトとカントーのあらゆる地から実力者とその
ポケモンたちの憤りが向けられているのを感じる。これこそわたしの望み。
彼らのあらゆる激しい感情が何をもたらすのか・・・それをわたしは見たい。
きっとわたしの超能力など取るに足らない現象が起こるはず・・・)
主人であるサカキを馬鹿にされた相棒スピアーの憤怒、またゴールドを軽んじる
発言に炎のような闘争心を沸き上がらせるクリスタルと、その熱を共有する
チコリータ。それ以外にも自分を恨み、倒してやりたいという思いを抱く者たち。
全てはナツメの求めていた展開そのものだった。だが果たして彼女が自分への憎悪を
集めて何を企んでいるのかはいまだ彼女しか知らない。そしてそんなナツメにも
理解できない点があった。隣にいるアカネの不謹慎で過激な発言の数々だった。
(・・・わたしの真の狙いには気がついていないはず。なのにどうしてここまで
自らの身を危険に晒すような言葉が次々と飛び出すのか。皆が言うほど
このアカネが馬鹿ではないことはすでにわかっている。ジムリーダーたちや、
特に現チャンピオンに対して自分から敵を増やすようなことをなぜ・・・)
あっという間の三時間弱だった。最終的に激しい賛否両論、応援と抗議の数が
拮抗したところで放送は終了した。もちろん次回放送は未定である。
「いや~・・・どうなるかと思ったけど無事に終わってよかったわ!アカネちゃん、
お疲れ様や!それにナツメさんも。必ず機会は作るさかい、また来てくれや!」
これを無事に終わったと言っていいものなのかとナツメは疑問に感じながらも
何も言わずにアカネと共にラジオ塔を後にした。改めてコガネの街を眺めると、
ほんとうに建物が多く、それも規模の大きいものばかりだった。
「ヤマブキとコガネはリニアで一直線だというのになかなか来る機会がなかった。
もしかしたらわたしのヤマブキやタマムシよりも都市として上かもしれないな」
「せやろ~?そのうちこの国の中心はカントーからジョウトになる、そんな未来も
ありえるで!特にこのコガネシティは他の追随を許さぬ大都市やからな!」
「わたしが昔来たときはもっと何というか・・・・・・いや、いつ来たのかも
思い出せないんだが・・・こんな街並みではなかった気がする」
自らの記憶とにらめっこを始めかけたナツメの背中をアカネは平手で力強く叩いた。
「アハハ。いくつやねん、あんた。コガネの街が変わったのはうちが生まれるより
結構前の話やで。でもあんたが見たとかいう景色なら・・・ヘイ!」
アカネはタクシーを捕まえた。車でそれほど時間はかからず、そこは中心部とは
また別の騒がしさと熱気に包まれていた。昔からの商店街と民家や長屋が密集し、
この地区の人々でなければ進んで足を運んだりはしないだろう。
「おお、そうだ。コガネといえばこれだ。なるほど、少し移動すればこんなものか。
これでは総合的に見ればヤマブキのほうが上だ。しかし・・・このような場所が
消えずに残っているのはわたし個人の意見ではあるがいいものだ」
「アホか、消えられたら困るわ。だってここはうちの・・・・・・」
アカネがナツメに『ツッコミ』の構えをしたときだった。目の前から四十代半ばと
思われる中年の男が近づいてきた。男は土木作業員なのだろう。仕事着のまま
家に帰る途中といった感じだった。そこを偶然有名人、しかも地元のスター、
アカネがいるのだから向かってくるものだと、すぐそばにいたナツメだけでなく
誰もがそう考えるはずだ。しかしその予想は外れた。というより予測できないだろう。
「あっ・・・オトン!今日はいつもより早いやんか!ちゃんと仕事したんか?」
「ハハハ、今の現場は朝早いぶんこの時間には終わりや。アカネ!お前こそいま
大騒ぎやないか。こんな道端で油を売っとる場合か・・・と、言いたいところやが
せっかく帰ってきたんや。母ちゃんも喜ぶで、ほな、いこか」
「せやな、久々の我が家・・・ナツメ、あんたも来いや」
「・・・・・・・・・」
断る間も与えずに親子が腕を引っ張ってナツメを強引に連れていく。テレポートで
無理やり脱出することもできたかもしれないが、そのような考えに至るのは後になって
からであり、この場ではナツメはもう雰囲気に飲まれるしかなかった。
「帰ったで――っ!!母ちゃん!そこでアカネと偶然会うた!ホレ!」
「あっ、ホンマや!アカネ、家にもっと顔出すように言うとるやないか!」
「オカンは相変わらず元気そうで安心したわ。声の張りも絶好調やなぁ」
アカネの実家はこの辺りに並んでいる古い家々のうちの一軒だった。ジョウトの
ジムリーダーはほとんどが裕福な家庭かポケモンに関わる家系の生まれであると
ナツメは公式の資料で読んだことがあるが、このアカネは例外だろう。両親は
ポケモントレーナーではないようだし、彼女はジョウトでは異色の存在だった。
家に入るとすぐにアカネが何らかの大会で優勝したと見られる写真が貼られていた。
数々のトロフィーや表彰状も飾られ、娘の活躍を誇りに思っていることがわかる。
もともと広くない家が更に狭く感じた。
「こんな家ですけどゆっくりしてってください。いまお茶を出しますわ」
「・・・ありがとうございます、お気遣いなく」
座布団の上に腰を下ろすナツメ。アカネの父は彼女に対して言う。
「どうして娘があんなに稼いでいるのにいまだにこの一家はボロ家に・・・
ナツメはん、そう思ってらっしゃるやろ?」
「いや、そんなことはありません。ですが理由があるのなら聞いてみたいですね」
「あくまでアカネの金はアカネの金。そいつを使ってでかい家を建てたりキレイな
マンションに引っ越すっちゅうのは何か違う・・・そう思いましてね。それに
アカネの稼ぎに頼ってもうたらワシら多分働きたくなくなりますわ!」
「ハハハ、何を言うとんねんオトン!うちが稼ぐずっと前から時々仕事サボって
ゲームコーナーで遊んでたやないか!昔は給料の半分ギャンブルに突っ込んでた、
オカンがそう言っとったで。だからオトンに金を渡さんって決めたやん」
父娘の漫才のようなものが始まりかけたが、ナツメはすっかり驚いたような表情を
見せると同時に感心し、心からの賛辞の言葉を述べた。
「素晴らしいことだと思います。近頃は十代前半から大金を稼ぐ者が多いこの世界、
その親や親族が賞金を使い込んだり表に出てくることも少なくないなかで
正しい基準と考えをお持ちでいられるのですから。親がそこを間違えると
金がなくなるだけならまだいい、家庭が崩壊して不幸になってしまいます。
そんな心配とは無縁のこの家庭、誰もが模範とすべきだとわたしは感じました」
褒められて悪い気分にはならない。アカネもその父もにやけた顔になった。
「そ、そこまで言われると照れますがな。そういやナツメさん、でしたか。
あんさんの親は・・・・・・」
話の流れでナツメにも語らせようとしたが、当たり障りのないはずのこの一言が
失敗だった。ナツメのほうがどう答えたらいいか、そのような顔になっていた。
「・・・両親はわたしがまだ幼い日にどちらも死にました。家族も誰もいません」
「あ・・・・・・そ、そりゃあ知らなかったとはいえ悪いことを・・・」
「うちも初めて聞いたで・・・オトンがすまんなぁ、気分悪くしたやろ・・・」
実のところこの話は後々ナツメの隠してきた自分の感情や秘められた過去を知るうえで
重要なものとなり、彼女の秘密のなかでも特に衝撃的な一つだったのだが、いまの
アカネがそれに気がつくのは無理だ。とにかく早く空気を変えたかった。いきなり
違う話題にするのも不自然で、それでもどうにかしたかったアカネは言った。
「よし、なら今日からここがナツメの家、それで決まりや!うちもずっと一人っ子
やったし、ここらで姉ちゃんの一人くらいできてもエエやんか、なあオトン!」
「おお、そうやな!ナツメはん、いやナツメ!今日からはワシがお前の父や!
何なら今日は親子の絆を深めるためにいっしょに風呂に・・・」
「・・・そのへんにしとき。あんまり調子乗ったらアカンで」
アカネの母が茶を乗せていたお盆で夫の頭を手加減なく殴った。重い空気は
とっくにどこかへ行ってしまい、再び和やかな会話を皆で楽しんだ。ナツメも
これには助けられたが、同時にラジオ収録の際に抱いた疑問が再び頭を過る。
(アカネ・・・場の空気や人の心の流れを掴むのが上手いな。だからこそあのような
暴言や批判の数々・・・どうしてなのだろう。まるで別人、もしくは二重人格!
そこまではいかないとしてもあれは・・・・・・くくく、このわたしが言えた
ことではないか。誰よりも人を欺き正体を隠す人間であるわたしが・・・・・・)
そして夕食の時間、特別とも言えないごく普通の食事が出された。アカネが帰り、
客まで連れてくるのならもっと豪勢にしたのに、とその母は言ったが、アカネに
とってはむしろこのほうがよかった。育ち盛りの彼女の箸が止まらない。
「うまい!やっぱオカンの料理はエエわ。まさに家庭の味や。ナツメのも
エエんやけどレストランみたいな感じでな、慣れるまでは緊張するんや」
「料理が上手なんですか?ナツメはん」
「ふふ・・・もともと好きでしたから。もしジムリーダーになっていなかったら
コックになるつもりでいました。最近はなかなか時間がとれなくて。
あれ、そこにあるのは・・・これも久々だな、ちょっとよろしいですか」
世間に知られることのないナツメの多彩な趣味の数々。すでに別荘で明らかに
なっていた料理に加え、今度は部屋にあったギターを許可を得てから手に取ると、
慣れた感じで弾き始めた。その曲が偶然にもアカネとその父のよく知るものだった。
「おおっ、コレ知ってるで、うちもちょこっと歌える。でも曲名は知らんのや。
オトンが風呂でいつも歌っとるのを聞いてるだけやからなぁ」
「まさかあんたみたいな若い人がワシの十代だったころの青春のフォークを!
あの頃は女の子にモテたくてワシもよく学校でギターを弾いて・・・」
三十年ほど前のジョウト出身のバンドの曲だった。ナツメのギターに合わせて
アカネ一家が歌い始め、雰囲気は非常によいものとなった。両親とナツメが
瓶ビールを数本開けて楽しそうに語る姿に安心したアカネは、大人たちの話が
まだ続きそうなのを見て先に風呂に入ることにした。ナツメの別荘と比べるのも
失礼と言えるほどの小さな浴槽、安いシャンプーだがやはり落ち着くものだ。
「ほんとうにいろんな特技と趣味を持っているんやな。しかも心から満喫しとる。
自分の正体を煙に巻くためにそうしとるわけでもないみたいや。うちのような
ポケモン漬けの人間からすれば驚かされることばかりやで・・・」
一方、アカネがいなくなると、それまで調子よく話していた彼女の両親の様子が
変化した。急に顔つきは締まりのあるものとなり、座り方もきちんとしていた。
「ナツメさん、あの子も席を外しましたし、少しよろしいですか」
コガネ弁ではない、これから真剣な話がしたいという二人を前に、ナツメはきっと
文句を言われるものだと理解した。大切な娘を馬鹿なクーデターに巻き込んで
どうしてくれるのかと詰め寄られるのだろう。サカキたちとのバトルに敗れ、
企てが失敗すれば待っているのは破滅だけだ。ジムリーダーの座は当然のこと、
トレーナーとしての資格剥奪も濃厚で、有期なのか永久になのかが問題となる。
相手から言われる前にナツメは彼らの顔をしっかりと見て、こう言った。
「わかっています。今回の件に関してでしょう。これは完全にわたしが首謀者であり
アカネさんには何の罪もありません。いまこの舞台を降りればおそらくまだ
間に合うでしょう。協会に謝罪しわたしたちとの関わりを断つことで、処分も
軽くなります。もしお二人がそれを望まれるのでしたら、わたしはいま一人で
帰ります。どうぞアカネさんはこの家に留まらせてください」
ナツメはアカネの両親の反応を待った。ところがしばらくしても返事は帰ってこず、
やっときたと思えば、それは予想していた答えとは全く違うものだった。
「いいえ、それはありません。あの子はもう自分で考え決定することができる。
あの子自身があなたといっしょに何かをしようと決めたのなら私たちは
止めません。だから一人で帰るなどと言わないでください」
「・・・・・・」
「妻の言う通りです。ナツメさん、私たちが言いたかったのはそんなことではない。
実はアカネがこうして友達を家に連れてくるというのは・・・実に久々なのです。
十代になってからは初めて、かもしれません。私たちはあなたに感謝しているのです」
真の友人など一人もいない、アカネがハヤトとの戦いの後に彼に対して言った言葉だ。
アカネ本人がそれは自分に原因があると言い、ナツメから見てもその通りだった。
感情のままに動き言いたいことを何でも言えばそうなるのも仕方がなかった。
それでもナツメは腑に落ちないと思っていた点がいくつかあったが、アカネの両親は
ずっと彼女と接してきたのだ。ナツメの疑問に、聞かれるよりも先に答えた。
「・・・親バカと思われるでしょうが、アカネはとてもいい子に育った。明るく
誰にでも近づき、常に皆を楽しませようとしている、リーダーシップもある子です」
「・・・・・・わたしもそう思います」
ナツメは頷いて同意した。それは彼女の本心だった。
「十歳のときポケモントレーナーになりたいと言われ、まあペットのようなものだろうと
私たちも反対せずに最初は女の子向けの可愛らしい小さなポケモンを買いました。
ですが・・・まあまた親バカで悪いのですが、アカネには才能がありましてね、
ポケモンの扱いが同世代の子たちと比べてとても上手だ。素人の私の目から見ても
それは明らかで、だんだんこの広いコガネでも注目されるようになり・・・
ついに数年後、大会に初出場で初優勝!あ、そのときの写真とトロフィーが・・・」
コガネジュニアカップ優勝と書かれ、ピッピとミルタンクがアカネの両隣にいた。
全身で喜びを表現するアカネ。だがこれからが真の絶頂期の始まりだった。
「ナツメさんはご存知ですか、ちょうどこの時期前のジムリーダー、まあ面白くて
気さくな男だったのですがセクハラだとかでクビになってジムリーダーの座が
空位、そのときポケモン協会が目をつけたのがアカネだったのです。話題性や
見栄えを重視したのでしょうが・・・アカネにジムリーダーにならないか、と」
「知っています。それを快諾し今日に至ると。ほぼ前例のない大抜擢でしたが
アカネさんは期待に応えたと言えるでしょう。挑戦者を退ける割合はジョウト
だけではなくカントーやその他の地方を合わせてもトップなのですから」
ジムリーダーとしてあまりにも高い壁なのはいかがなものかと批難されることも
多かったが、実力不足によりその座を追われる者たちもいるなかでアカネは
重責を果たしてきた。しかし決して楽な日々ではなかった。
「あの子は隠せているつもりですが、やはり難しい問題も多いようです。他の
ジムリーダーの方々は皆難しい試験に合格していたり、ポケモン界では名門と
言われる家の人間だったり・・・どうにも見下されていると感じることも
あって、負けたくないので強い言葉で対抗して、その結果ますます人を
遠ざけるというか・・・そんなときあなたがあの子に近づいてくれたのです」
そういうことだったのか、とナツメは手を叩いた。勢いよく他人を悪く言っても、
実は自分がそう思われているので気持ちで潰されないために必死に抵抗しているに
過ぎなかった。ほんとうに『エリート達』からそのような目で見られていたのかは
わからないが、それでも劣等感を抱いていたのは確かなのだろう。自分を天才で
時代に選ばれし人間だと胸を張り、他のジムリーダー、果てはチャンピオンをも
無駄に煽り敵を作る。全ては厳しい環境で生き残るために足掻いた結果だった。
(きっとゴールドを執拗なまでに攻撃していたのも彼への強いライバル心からだ。
自分に勝つためにたった三か月でポケモンを強くして必死だったと笑っていたが、
そんな短い期間でポケモンを鍛えあげる彼の才能に内心動揺していただろう。
他の同世代のエリートたちではなく自分よりも恵まれない環境からチャンピオンにまで
なった数歳年下の少年・・・意識しないはずがなかった。愛する街をロケット団から
救うという栄誉まで彼にとられてしまったのだ。無理もない・・・)
「ナツメさん、あなたならきっとアカネの夢を叶えてくれるに違いない!ジョウトと
カントーのチャンピオンとなり、やがては全国で頂点に立ち、海外でも戦える
トレーナーになる、そんな壮大なアカネの夢をあなたならば・・・」
「いえ、これからも友達でいてくれるだけできっとあの子の支えになるでしょう」
ナツメは少しばかりの沈黙の後、アカネの両親にこう答えた。
「・・・ええ、お世辞抜きにアカネさんの素質は夢を叶えるほどのものを秘めていて、
いまはまだ未完成ですがそこがまた面白いところで、十分な成長の余地があります。
それに周りの人間が言うような悪評は間違いであり、アカネさんと共にいると
元気をもらえる、わたしはこの数日間でそれを自分で理解できました」
ここで言葉を区切った。下を向き、息を吐き俯いたまま小声でナツメは続けた。
「ですがあなた方の願いに応えることはできません。今回の戦い、わたしたちが
二人とも勝ち残った時、最終的にはどちらが上かを決めなくてはならず、その時
わたしは彼女をその夢ごと全力で叩き潰します。ですから友人であるとか
夢を叶えるために協力などというのは・・・・・・」
ところが、一度顔を上げてみると、アカネの両親たちはすでに大喜びした様子で、
「いや~!ナツメはん、ありがたいお言葉や!これでワシらも安心ですわ!」
「・・・・・・?」
「これならアカネを任せられますわ。さあ、堅苦しいのは終わりにして
もう一杯やりましょか!まだまだ全然いけそうやないですか」
最初に話した都合のいいことしか聞いていなかったのか、それとも聞き流して
いるだけなのか。すっかり舞い上がり、またビールを持ってきて栓を開けた。
その後ナツメが何を言おうがお構いなしで調子よく酒宴を始めたので、いよいよ
酒が回った二人相手に話が通じなくなり、もうどうしようもなくなった。
(こいつら・・・だがこの感じは昔にも・・・いつだったかな?)
ナツメは思いを巡らしたが、彼女もまた何杯も飲んでいるため思考が働かずに
考えるのをやめてしまった。アカネの両親に自分の意向を伝えるのと同様、
それは無駄なことであると思ったからだ。