虹色のアジ   作:小林流

50 / 50
完結しましたが、もしかしたら外伝的なものも書くかもしれません。
多分、書くかも、です。
ちょっと自信ないですが、もし書きましたらよろしくお願いいたします。


嘘予告

嘘予告 1

 

 

 

 学園都市最強の超能力者である少年は入院中であった。とあるクローンの少女のために、銃弾をその頭部で受けたのだ。脳の大部分にダメージを受けた彼は、妹達と呼ばれるクローンに脳の演算処理を補助してもらってようやく生活ができている状態だった。

 だからといって彼の恐ろしさは変わらない。数分しか能力が行使できずとも、彼が学園都市で最強であるのは変わらない。

 

 

 

 そんな彼、一方通行(アクセラレータ)だったが、今やピンチに陥っていた。

「なンだよ、お前は!?」

 彼の頭部はガッチリと固定され、濡らされている。

 正確には巨大な狼の如き存在に頭を甘噛みされて、ペロペロと舐められているのだ。

 

 

 

「すごいすごい!映画の山犬そっくりかもって、ミサカはミサカは食べられそうになるあなたを尻目にはしゃいでみる!」

 打ち止め(ラストオーダー)と呼ばれる少女は一方通行の頭を咥える狼の背に乗って笑っている。

「黄泉川アァ!!!?コイツを何とかしろォオ!!!」

 一方通行がなんとか頭を動かして助けを求めた女性、黄泉川愛穂はケラケラと楽しそうに笑っていた。

 

 

 

 

 入院中の一方通行はリハビリの途中、打ち止めがある少年と遊んでいるのを見つけた。定期的に検診を受けているその少年はアジという名前らしく、打ち止めは友達だとない胸を張って彼に紹介した。背中から伸びるタコのような触手に持ち上げられている打ち止めを見て、コイツ捕食されそうだなと思ったものだ。そこから彼の保護者である黄泉川と知り合い、今ではアジを連れて見舞いに来ることが多くなっていた。

 

 

 

 

 ペロペロと嬉しそうになめるアジに、一方通行の怒りのボルテージが上がっていた。イライラする彼の耳に、着信音が聞こえてきた。どうやら黄泉川の電話らしい。彼女は少し会話をすると、仕事じゃんと言って一方通行の病室から出て行った。

「あんまりうるさく遊んで看護師さんに怒られないようにするじゃんよ~」

と付け加えて。

 

 一方通行の怒りの咆哮が響いたのは言うまでもない。少しして解放された一方通行は肩で息をしており、打ち止め、アジの頭にチョップを何度も何度もお見舞いした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘予告 2

 

「馬鹿な!?」

ローマ正教の司教ビアージオは怒声をあげた。海に眠る巨大霊装「アドリア海の女王」を使い、学園都市を崩壊させようする彼の目論見はなぜか居合わせた天草式の魔術師とツンツン頭の少年に妨害されていた。

 いや、それならばよい。異教のサル共が少々群れたところで多勢に無勢。一発の砲撃でも命中すれば、鎧の氷像で囲んでしまえばどうとでもなるはずだ。

 問題は突然現れた巨大な影だ。

 

 

 

「撃て!撃ち続けろ!くそ!なんなんだアイツはぁぁあああ!!!?」

ビアージオが乗り込んでいる戦艦の目と鼻の先に現れたモノ。いくつもの爆炎をともなった砲撃がいくつも命中したが、黒煙が晴れてみれば見えてくるのは受けてもびくともしない巨体。ゴツゴツとした皮膚、暗がりの中で輝く眼、伝説の龍か怪物の如き姿。

 

 

 

 知っているものがいたならば叫んでいただろう。

海魔。魔術社会を脅かす怪物の名である。

 海魔は咆哮を上げて女王の艦隊にその牙で食いつき、触腕で拘束する。莫大な魔力を使った霊装であるアドリア海の女王は、彼にとってごちそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘予告 3

 

 破壊された自動車から火が上がっている。その中を悠然と歩くのは白髪の少年、一方通行である。彼の反射は強力無比だ。炎の熱も銃弾の一撃も、彼を傷つけることはできない。彼を取り囲む車の一台から白衣の男が降りてきた。顔には刺青を入れた凶相。一方通行は彼を知っている。

 そして笑った。

 

 

 

「木原クンよォ!ンだァ、その思わせぶりな登場はァ!?」

「俺だってテメェみたいなクソガキと会いたくなんてなかったぜ」

 木原数多はやれやれと肩をすくめている。

「でも上が手が回らないらしくてな、俺が駆り出されたってわけだ。だからさ悪いんだけど、ここで潰れてくれや」

「イカレちまったのかな、木原クン。お前が俺をどうこうできるわけねぇだろう」

 

 

 

 一方通行は余裕の面持ちで木原を睨みつけた。木原は無謀にも彼に向って走り出す。木原は大振りの一撃を一方通行の顔に打ち込んだ。馬鹿かコイツ?一方通行は笑った。

 

 

 

 

ズドンという鈍い音が、一方通行から聞こえた。拳は彼の顔面に突き刺さったのだ。

「い………がァ……ッ?」

何が起きたのか一方通行にはわからなかった。

反射が突破されたのだ。すぐさま指でチョーカーの電源を確認するが異常はなかった。混乱する一方通行と対照的に目を細め、顔を歪めて木原は笑っている。

「驚いたかな?このクソガキ、テメェみたいなゴミに時間をかけたくねぇんだよ。なにせ、テメェを殺したらあの化け物を自由にしていいってお達しだからさ。速攻でぶち殺してやるよ」

 

 

 

「な、なにを言ってやがる」

「わからなくていいぜ、お前も、あのガキも、あの化け物も今日で仕舞って話だよ!」

 また実験ができる。そう考えただけで木原は喜び震えていた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

とある科学の極限生存(サバイバル)(作者:冬野暖房器具)(原作:とある魔術の禁書目録)

 苗字は2文字で名前も2文字。普通の高校生だった主人公は、気がつけばとあるシリーズの住人になっていた。原作にはない名前を与えられた主人公は、とある学生寮の一室で目を覚ます。そこから一歩踏み出すと、待っていたのは一人の魔術師だった……▼ 原作知識をもった主人公が、とある魔術の禁書目録の世界にいないはずのキャラとして迷い込むお話です。科学と銘打ってますが、基本原…


総合評価:30793/評価:8.86/連載:79話/更新日時:2024年03月03日(日) 12:00 小説情報

Fate/argento sister(作者:金髪大好き野郎)(原作:fate/zero)

目が覚めたら銀髪銀眼の美少女になってました。何を言っているのかわからないと思うが、私にもさっぱりわからない……! そして唐突な出会いが訪れる。金髪碧眼の子可愛い。え? fate? アルトリア? え、マジで――――そんな感じで始まる物語。▼この小説はセイバーさんに転生(仮)した姉がいたらといった妄想をしながら書いた作者の趣味です。金髪好きだけど主人公は銀髪です…


総合評価:14426/評価:7.46/連載:54話/更新日時:2017年03月05日(日) 00:00 小説情報

黎明のフリーレン(作者:新グロモント)(原作:葬送のフリーレン)

フリーレンの腐れ縁で魔法にほどほどに興味がある転生者。▼そんな大人が情緒の希薄なフリーレンとその弟子を育てる温かい旅路を描く物語。


総合評価:20645/評価:7.73/完結:147話/更新日時:2026年03月08日(日) 21:59 小説情報

聞こえるか、この鐘の音が()(作者:首を出せ)(原作:ロクでなし魔術講師と禁忌教典)

それはある信者の剣。▼自身の信念と信仰を捧げ、終わらぬ生涯振り続けたまさに信念の剣。それが振るわれるのは天が告げし鐘。彼のものは、天の告―――その代行者だった。▼身の丈に合わない。まさにその通り。少年はその鐘の音を自らの意思とは関係なく受け継ぐこととなった。自身にその力は重すぎる。そう自覚していても、守りたいもののために彼はその鐘を鳴らす。▼「―――聴くがよ…


総合評価:14376/評価:8.42/完結:24話/更新日時:2017年09月14日(木) 22:20 小説情報

ギアス世界に転生したら病弱な日本人女子だったんだが、俺はどうしたらいいだろうか(作者:緑茶わいん)(原作:コードギアス)

元日本人男子の「俺」が転生した先はコードギアスの世界、しかもブリタニアと開戦する以前の日本だった。▼このままだと戦争で死ぬ。▼由緒正しい忍者(?)の家柄である篠崎家の娘、百合として、彼は生き残るための方法を模索する。▼※読者さまからいただいたイラストはまとめて活動報告に掲載させていただいております。▼まことにありがとうございます。▼※本編完結しました。▼※p…


総合評価:35895/評価:8.89/完結:94話/更新日時:2024年10月24日(木) 19:15 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>