紅いイレギュラーハンターを目指して   作:ハツガツオ

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前回までのあらすじ

レイ、魔法弾(バスター)を習得。そして両親からイレギュラー判定を受けそうになる。


修行日記その2 刀という名のゼットセイバー……なのだが

*月 Z日

 

 ゲイトテンションによる魔法弾乱射事件から数日が経ったこの頃、今日から太刀の属性力の引き出しを練習することにした。

 

 あの魔導書にも書いてあったが、この世界には"属性"という概念が存在している。種類は六つ。火・水・土・風の基本の四つと、光・闇の特殊な部類である二つだ。当然ながらこれらには優劣の関係があり、火は風に強いが水には弱い、水は火に強いが土に弱い……という風に成り立っている。火に水をぶっかければ消えるし、風が吹けば強くなるという様な感じを想像すれば分かりやすいだろう。光と闇は互いに相反する存在の為に、お互いが弱点でありながら優位でもある。

 

 この世の万物はこれら属性の"元素"から構成されているとされ、全ての物質は何かしらの属性を宿している。例を挙げるとラーメンを食べる時に使われるチョップスティックス。あれらは火の元素で構成されていることから火属性を宿している。……何故木製なのに火の元素なのかが非常に謎だが。熱々の麺をすするためか? まあ、それは創造神のみぞ知るというやつだ。この理でいけば、俺の太刀も風属性を宿していることから風の元素から構成されていることが分かる。

 

 勿論人間もこの理の内にある。人が生来持つ魔力もどれかの性質に偏っていることが判明しており、自身に適した属性でなければ扱えない。どの属性に適しているかは個人によって異なり大半は一つの属性となっている。二つ以上を扱うには魔法力や相応の修行が必要となり、全ての属性を操る者は歴史上類を見ないとか……ちょっと待て。そういえばゼロの技って結構な数の属性を使ってるよね? 

 えーっと、まず【龍炎刃】や【断地炎】の火属性、【氷狼牙】や【飛水翔】の水属性(氷も大元は水の元素なためにこちらでは一括して水属性として扱われているらしい)だろ? 【落鋼刃】……は多分土の属性。【疾風牙】は風とかか? 光は【裂光覇】と【滅閃光】とかで、闇は空間とか時間に作用するとか聞いたから【ダークホールド】辺り……――って諸に伝説レベル必須じゃねえか!? そんな桁外れの才能なんぞねえわ!! ……いや、諦めるな。どこぞの誰かが言ってた様に諦めないことが大事なんだ。何かしらの方法や抜け道はある……と思う。

 

 ここまで色々述べたけど、発動手順含めて某忍ばない忍者漫画を参考にして貰えればすごく分かりやすい。術式や呪文は印に置き換えたりすればいいだけだし。俺も大体そんな感じでやってる。

 

 属性の概念を一通り整理し終えたところで刀の属性を引き出してみることに。魔法弾の時の事を忘れず、自分の魔力を刀に送り込んでゼットセイバーよろしくビームサーベル状の刃を展開するイメージでやってみたが……まあ、最初だからかそよ風が吹いた程度。知ってた。

 

 こっちもこっちで練習あるのみだろう。イレギュラーハンターを目指すのに楽な道は無いということだ。

 それに俺は魔法弾の件、そして途中発狂不可避と言われしオワタ式X6を乗り越えているんだ! それらと比べたら、この程度の苦難どうということはない!!

 

 

+月 :日 

 

 今のところは順調だ。刀身から風が周囲へと吹き出している。だが、こんなものでは俺の理想であるゼットセイバーには程遠い。

 

 ここで豆知識として俺が躍起になっているゼットセイバーは実は二本存在している。

 一本目は、X2にて復活したゼロが引っ提げて来たビームサーベル。大破したゼロを奪ったシグマ直属の親衛隊カウンターハンターの一人サーゲスが搭載したものであり、あまりの切れ味と出力から彼以外に扱えないという凄まじい武器だ。しかもこのサーベル、大口な設定に違わず、X3においては隠し武器として何とラスボスすら二発で仕留めるチート性能を誇っている。そしてこのビームサーベルを改造、X4からX5まで使用し、後のX6でゼロの形見となるのが湾刀状のゼットセイバーである。

 そして二本目が、通称千歳飴とか呼ばれてる棒状のセイバーだ。 こちらはX6でのゼロが復活と共に何処で手に入れたのかしれっと持参してた。詳細は不明だけどファンの間では『ライトと同じく何かしらの方法で生存しているワイリーが修復のついでに制作した』『形状からしてカーネルが持っていたセイバーを改造した』など色々な説が挙がっている。【ガードシェル失礼剣】はあまりのヤバさに「こんなのロックマンじゃない!」と封印した。アレを登場させるには些か光速(はや)すぎたんだ……。

 それと余談としてセイバーの形状はゼロシリーズでも違っていたりする。一応セイバーそのものは同じなんだけど、世界観が違うからか形状が三角状のものとなっている。あとはゼクスのモデルZの刃の部分が突出した形状とかもあったりとバリエーションは割と豊富なのだ。

 

 俺が再現したいと思っているのはパケ絵でお馴染み湾刀状セイバー。一番見慣れているし、刀身が反っているところが刀と一致しているからやりやすいだろうと思った。ゼロシリーズの奴は下手すると使い手の腕に刺さりそうで危なかったからね……。

 で、再現の仕方としては太刀の刀身部分を風の層で覆うようにする感じ。武器が宿している風の属性を魔力でコントロールすればセイバーの形状を取れるだろう……というのが俺の考えだ。元素の影響からか風は少し緑がかっているため、よりゲーム版に近づけられて最高にCOOLである。

 

 で、問題は飛ぶ斬撃――電刃零のことだ。

 あちらは見る限りセイバーを振って斬撃を飛ばすという非常に単純なもの……なのだが、実際にやれと言われて初見で出来る奴はいないと思う。

 そもそもアレは本当に斬撃なのか? よくある真空破とかならまだしも、X5とX6のソレはプレイヤーを追尾して曲がってくるという実に意味不明な仕様に仕上がっているから尚更分からん。ゼットセイバーのエネルギーを飛ばしているにしても追尾って……。いやまあ、フィクションに突っ込んでたらキリがないんだけどね? エックスの武器なんてもっと意味不明だし。【カメレオンスティング】なんて最たる例だよ。何だよチャージしたら無敵状態な上に攻撃がすり抜けるって。光学迷彩の域を超えてんだろ。エグゼの【インビジブル】じゃねえんだぞ。

 

 話を戻すと、俺は死神代行が使う技を参考に後者のエネルギーを飛ばす方として解釈した。真空破というバトル漫画における定番技も憧れるけど、地味に人間卒業してる技を取得出来るかどうかも分からないので泣く泣く諦めた。麦わら海賊団の三刀流? いやほら、あっちはヤバい奴らしかいないから……。

 エネルギーは刀身に纏わせた風で代用。あらかじめ余分に纏わせておいてから振れば、余剰分を斬撃として発射可能なのではないかと考えている。追尾性能に関しては謎のままではあるものの今は置いておくことにした。術式や呪文で付与するにしろ、今のレベルではそこまで追いついてないからだ。魔法の技量がある程度まで習熟してからやろうと思う。

 

 そういえばそうそう、以前成功した魔法弾に関してなんだけど……なんと、本当にバスターとなってしまったのだ!

 あ、興奮しかけたところで悪いが、腕が変形したとかアームパーツをカプセルから入手したとかじゃないからな? 俺が人間なのは判明してるしカプセル自体埋められてないし。俺が言いたかったのは、魔法陣と呪文を使わずとも魔法弾(バスター)が撃てるようになったということだ。

 

 何ヶ月もの間延々と魔法弾を撃ち続けるというツクヨミめいた日々を送った影響からか感覚が身体に染みついていた。練り込む魔力の量、魔力の魔法弾への変換の方法やコツ、発動から発射までのタイムラグ等々。そのおかげで術式や呪文を介さずとも魔力を弾丸に変換して腕から発射という芸当が可能になったのだ。

 どうやらこれは別段珍しくも無いらしい。流石に大規模なものや何かを呼び寄せたりする高度な魔法は不可能だが、習熟度の高い魔法は陣や呪文無しに行使出来るようになる。所謂『詠唱破棄』とか言うやつか。

 

 とにかく、魔法弾限定だが陣無しで撃てるようになった。本家をリスペクトする身としては魔法陣が一々展開されるのは不格好だと思ってたからなー……。変形はしないけども正直有り難いの一言に尽きる。

 後は精度と反動、チャージショットにダブルチャージ、【ゼットバスターレックレス】が今後の課題だ。え、何? 最後に一個増えてんじゃねえか? 気にするなッ!! ……噓です。ちゃんと説明します。

 【ゼットバスターレックレス】。これはX6のゼロナイトメアが体力を半分切った時点より使用し、大量のバスターを広範囲に一気にばら撒くという単純ながらも強力な技となっている。ダブルチャージを目指すのなら、発展技であるコイツも習得したいよね。そんな理由だ。本家ゼロも好きだけど、偽物もまた違って好きだし。あの妖しさを感じさせるカラーリングがイカすのだ。

 

 何かいつも以上に内容が濃くなったからこの辺で。外回り行ってきまーす。

 

 

$月 %日

 

 今日は一旦修行はお休みにして自宅でのんびりしている。いくら鍛錬したいとはいえ動きっぱなしは良くないし、そろそろ刀もメンテしないといけないからね。なので太刀を武器屋のおっちゃんに預けてきました。

 

 いや、本当なら自分でやるのが一番なんだけど、危険だから。その年から刀ブンブン振り回しておいて今更何を言うのか? ごもっとも。やり方を覚えてないのと道具がないんですわ……。錆を防ぐための油や拭い紙とか打ち粉? とかは一般家庭には無いし。自分でやれるのが本当は一番なんだけどね。愛着も湧くし。 

 

 それと折角なので買い物とか山への薪拾いとかを手伝った。ほら、普段子供らしいことなんて出来てないからさ。お世話になっている恩返しも兼ねてという訳よ。

 

……修行しかしてない十歳児って何か聞こえが嫌だな。別に止める気はないけど。

 

 

@月 ;日

 

 ハッハッハッハ! いいじゃないかいいじゃないか! これだから止められねえ!!

 

 ん? 何でこんなにテンション高いのかって? 引き出せたんだよ、太刀の属性力が!!

 

 あれから刀と向き合い続けて約一ヶ月、とうとう成功したんだ! 最初はそよ風程度だったものが、今では思いっきり吹き出て刀身の周りを巡っているんだよ! まあ、まだ薄い層に形成したり重ねたりは出来てないから完成には程遠いんだけどもね。

 しかしだ。このまま鍛錬を続けて風を操作できるようになれば、ゼットセイバーが完璧に再現出来る未来が明らかとなった!! バスターの方も順調なんだ、この勢いで習得まで漕ぎ着けてやる!!

 

 これだけ良い調子で進んでいるからか、俺のバスターもさっきからビンビンだぜ! 今なら反動と溜め動作無しでチャージショットを乱射したり無限のダブルバスターなんかも容易くやれそうだ!!

 

 もう何も恐くねえ! 今の俺は誰にも止められやしねえぜ!!

 

 ハァ――――ハッハッハ!! 

 

 

\月 /日

 

 さて、実に十日ぶりに日記を書く訳なんだが……結論だけ述べよう。

 

 セ イ バ ー が 再 現 で き ま せ ん で し た 。

 

 うん、だってあれだけ死亡フラグ建てた上に小悪党ばりに思い上がってたんだからそうなるわ。日記を見返した俺でさえ「あ、コレ絶対失敗するパターンだ」ってすぐに分かったぐらいだし。見てて恥ずかしくなった。

 

 まあ、それは置いとくとしてだ。太刀の属性力はあれから練習を重ねたことで問題無く引き出せている。その証拠に刀身から激しい風がうねるように吹き出している。試しに空き地に生えていた木に斬り付けたところ、見事に両断した。威力そのものも格段に上昇しており、斬った際も何の抵抗感もなくスパッといった。そこまでは良かった。後は風をコントロールすればゼットセイバーの完成となる、とその時は思っていた。

 問題はそこからだった。属性力を引き出した上でさらに細かくコントロールし、よりセイバーの形状に近くなるように整えようとしたんだ。けれども形は定まらずに唯々風が出っぱなし。表面に沿うように調節したところで、それ以上は干渉出来ないのか思うようにいかない。纏っていると言われれば正しいが形が全然違う! ただ放出されたとか周囲に渦巻いてるとかではない。刀身に風を薄く纏わせるようにして、如何にも鍔から出現したビームっぽい感じに仕上げたいのだ!! これでは湾刀状もセイバーも何もないじゃないか!! 

 

 クッソ……何ということだ。これはいくら何でも予想外だぞ。武器に宿る属性を引き出せば後はどうにでもなると俺は考えていた。だから魔法弾の時と同じように、時間をかけながら気づきを得ることで先に進むものだと。しかし今回は前提そのものが違ったらしい。

 コレでダメだと言うのなら……いっそ刀に魔法で起こした風でも纏わせてみるとか? 魔導書にも『魔法の才能と剣の才能、その二つを持つものは"魔法剣"が使える』とかいう記述があったし。触り程度にしか書いてなかったけど、多分そのままに考えると『魔法を剣に纏わせる』ってところなんだろう。

 ただ、俺が使ってるのは剣ではなく刀、その時点で上手くいくかどうかも怪しい。流石に失敗して刀が折れたとかはシャレにならない。そもそもやり方自体知らないから試しようがないんだけども。

 

 はぁ、一体どうしたもんかねぇ……。




補足説明

属性の概念などの設定は小説版などを参考。また、魔法剣と属性解放の武器との違いとしては以下の通り。

・魔法剣

術者の魔力を消費して属性魔法を纏わせる。



属性魔法等の設定は、公式で明らかになっている事実に少し混ぜ物がしてありますのでご注意を。ぶっちゃけ魔法剣と属性引き出した武器の違いがビミョーに分からん……。

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