鬼の体でFate   作:辺境官吏

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PDCAサイクルは仕事の基本です。


第五話

小学校の休学が正式に決定した。

 

学校には家族を一度になくした影響で心身衰弱状態であり、今は田舎で療養中と伝えたらしい。

 

当然といえば当然の境遇なので、怪しまれることもなく、すぐに受理されたそうだ。

 

 

 

…そんなどうでもいいことは置いといて、これでいよいよ鍛錬に熱が入るというものだ。(今までも熱は入っていたが。)

 

前々世、前世を含めてここまで一つのことに集中したことが無かったから、少し楽しい。

 

鍛錬が楽しいというと脳みそまで筋肉で出来ているマッチョみたいで嫌だが(マッチョを嫌っているわけではないし、むしろ好きだ。だが同じ扱いはして欲しくない)、一工夫すればすぐ目に見える形で成果があらわれるのだ。これに興奮しない男はいないと思う。

 

自分は感情を揺らすことも少なく無関心な男だと思っていたが、単純に良い出会いに恵まれなかっただけかもしれないな。

 

そんな事を無表情で思いながら、切嗣に言われた型の稽古をひたすら繰り返す。

 

未だ体力が底を尽いたことがないため、狩りと食事以外の時はひたすら型稽古を繰り返す。

 

守破離でいうところの、守の段階だ。

 

最初はゆっくりと繰り替えす。それこそハエが止まるほどのスピードで。

 

次第に速度をあげていき、高速へ。最終的に無意識の反射の域に達したらひとまずクリアだ。

 

焦ってはいない。だが、のんびりしてもいられない。

 

小学校を休学できたとはいえ、時間制限がある。

 

切嗣がイリヤスフィールさんに会いにいってる間に、なんとか仕上げないといけない。イリヤスフィールさんに会えるか否かは問わず、切嗣はアヴァロンを返還するだろう。

 

そうなれば死へのカウントダウンが始まることになる。

 

1年か2年か。10年は流石にもたないだろうが…それまでに独り立ちできる強さを手に入れなければならない。

 

ここが頑張りどころだ。

 

仕事でも何でもそうだが、スタートダッシュが一番大事なんだ。

 

燃え上れ俺の魂。熱くなれ!!

 

 

 

 

───衛宮士郎8歳。灼熱の時。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

恰好つけてはみたものの、この体の性能なのか、元から格闘の才能があったのかは不明だが、特に燃え上ることもなく、一週間ほどで一通りの型は形になった。

 

それほど苦労していない。

 

なにせ体力は有り余るほどあるのだから。そもそもしんどいと感じないし、反復運動なんて得意中の得意だ。

 

連続して鍛錬を行ったため、精神の疲労はやや感じるものの、少しだけだ。

 

思うに精神の疲労は体力の少なさからやってくるものだ。体力が100なら5分集中するだけで疲れるだろうが、体力が100億あれば50時間集中しても何ともない。

 

もともと、集中が得意というのもある。

 

食事以外は全て鍛錬の時間(寝ている時間も気配を感じる特訓だ。)という・・・まともな人間には真似のできないレベルでの過酷な鍛錬を積んではいるが、それを苦とは思えないのは・・・自分は体力バカになったのだなと改めて思う。

 

なんかズルをしているような気もする。

 

 

「───しかし、結果が出てるならいいか。良いことだ。」

 

 

社会人になれば誰でも知っていることだが、過程なんてどうでもいい。結果がすべてだ。

 

ベストは過程も結果もいいことだが、それは余裕がある者がやればいい。

 

未来の自分に任せよう。(未来の自分がやるとは言ってない。)

 

今はまだ余裕があるとは言えないのだ。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

そういえば幸運なことがあった。餓えたクマに荷物を狙われたのだ。

 

当然、荷物は取り返し、ついでに命もいただいておいたが・・・この経験は良かった。

 

人殺しの処女なら第一次世界大戦で捨てているが、あくまで銃での話だ。

 

自分が素手での殺しを経験したらどうなるんだろうか・・・と考えてはいたが、なんてことはない。蚊を殺すのと大差はなかった。少なくとも心理上は。

 

興奮することもなく、焦ることもなく、ただ相手の動きを観察し、行動を予測し、急所を狙い、命を奪い去る。

 

最初の一頭は少し狙いが外れてしまったので(やはり動く的は難しい)、半径5km圏内に潜むクマ、猪、野犬は練習台になってもらった。

 

経験に勝るものなし。

 

主な相手はクマや猪であったが、一対一では相手が怯えて話にならない。子供を痛めつけて、怒らせた親を相手にしたが・・・やはり怒らせてはダメだな。

 

闇雲に突進や爪を振り回すばかりで、練習台としては不適当になってしまった。大きくとも所詮は畜生ということか。力の上回る相手に力で対抗しても無駄だ。

 

その点、野犬の群れとも戦えたのは良い経験であった。

 

一頭を相手にしている間に後方から飛び掛かってきたりと、良いコンビネーションを見せてくれたからだ。

 

本当ならこちらを殺す武器を持っていると緊張感があっていいのだが、それは望みすぎというもの。

 

目をつぶす、衝撃波で耳をつぶす、前足を切断する、首を落とす。

 

いろいろな潰し方を経験させてもらった。感覚のズレは修正し、今では狙い通りの動きができる。

 

PDCAサイクルは仕事の基本だ。今のところは良いサイクルが回せているといえるだろう。

 

…動物愛護団体の弾劾待ったなしの所業だが、要はバレなければいいのだ。

 

弱肉強食の畜生道に堕ちた彼らが悪い。

 

自分も一歩間違えれば畜生道に堕ちていたし、彼らも来世は人間に生まれることが出来ればいいな。

 

 

 

 

***

 

 

 

ところで自分って、このままだと間違いなく修羅道に堕ちそうな気がする。

 

これは対策をした方がいいかもね。

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