みほとまほ 山を歩く   作:極限環境微生物

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まず、昨日の夜に評価を下さった方、また今日お気に入りにしてくれた方へ感謝します!本当に嬉しい。
このお話が引き続き西住姉妹の妄想の一端となることを願います。


第2話

  日中は気温がすぐに上がる。夏山の中は蒸し暑いが日陰が多く我慢できないほどではない。

  しかし虫刺されや草木によるかぶれを防止するために私たちは長袖長ズボンで訓練に臨む。

  初めて山籠りの訓練中にカクレミノでかぶれたことがあったから、その事については慎重だ。ウルシでなくてよかった…。

 

  そうそう。訓練っていうのはね、私とお姉ちゃんが中等部の頃から始まった、夏休みにする三泊四日の山籠りことなんだ。

  去年まではお父さんやたまにお母さんも居たけど、私が黒森峰女学園に入学した今年からはお姉ちゃんと二人きりになってね。

  持ち物として2人用のワンタッチテントを1張と2〜3人用ツエルトを1張、救急パックや着替え、寝具、ライト、地図、時計、水を一人20Lまで。それと火をつけるための道具はマッチだけ。食材は持ち込み禁止、調味料は可。

 あとはナイフや安全面の配慮としてGPS付き通信機器や非常用の固形燃料も許可してもらってるよ。

  これはみんなも登山計画書を記入してお近くの交番や警察署で提出すれば出来るから良かったらやってみてね。ネットでの申し込みも出来るようになったけど、コピーを家族か友人に渡しておくことも絶対必要だからね。

 

 ーーーーーーーー

 

  ブーーーーン

 

「! スズメバチのパトロールだ。みほ、帽子をしっかりかぶって屈んで。タオルを首から下げて目や鼻、口を守って」

 

  お姉ちゃんがすぐに反応した。私はアブやハエとは違う甲高く周囲をぐるぐると回り続ける初めて聞く音に対応が遅れたが、言われた通りにした。

 

  カチッカチッ……カチカチカチ。連続した、爪と爪を弾くような音。

 恐怖で地面を見て通り過ぎるのを待っていた私の肩を、お姉ちゃんがゆっくりと押した。

 

「……警告音だ。巣が近いのかもしれない。この体勢のままゆっくりと来た道を戻ろう」

 

  お姉ちゃんが私の背を押すように後ろに居てくれる。しかし時折近くに聞こえてしまう羽音にいちいち反応してしまう。砲撃による土砂や破片が顔の近くをすり抜けるよりもずっと不快だった。

 

 

 

 

「もう大丈夫そうだ。少し迂回する」

  10mは移動しただろうか。怖かった。

  落ち着かない私の手を握って、お姉ちゃんはとっておきの対処法を教えてくれた。

 

「私は小さかった頃にも追いかけられたことがある。スズメバチは目が上についているから、急に伏せられると標的を見失う。私はたまたま転んで、その際にお母様にスズメバチをなすりつけて助かったことがある」

 

  ちなみに後でお父さんに聞くとお母様はスズメバチを裏手打ちで撃ち落としたらしい。

 

  私がやったらお姉ちゃんになすりつけちゃうよ、刺されちゃうよと言うと「みほが刺されて痛い思いをするより痛くはない」だってさ。

 

  ……うぅ…っ。キュンときてしまう。

  お姉ちゃん、やっぱりかっこいいなぁ。

 

 私のお姉ちゃんは、自分がやらなければならないことややるべきことをすぐに察して行動する。それは学園内や戦車道でも同じ。

 だからこそ下手なウソはつけないし、やりたくないことは理論立てて回避する。そんな実直な姉の優しい言葉、染み込まないはずがないからずるい。

 

  だけど私、気付いてたよ。私のことを落ち着かせるためにとっておきを話すお姉ちゃんの手も震えていたこと。




スズメバチは本当に危険です。私も8月に山で作業をしている時にケブカスズメバチ(キイロスズメバチ)に肩を一度刺されていますが、やはり激しい痛みに襲われました。
激しい痛みじゃ分かりづらいので私なりの表現をすると、嫌いな奴から鋭利なピンセットで皮膚を刺し潰しながらつまみ上げられるような痛みでした。
なぜ嫌いな奴かというと、容赦ないからです。痛みが走った瞬間に頭の中には「長い長い痛みが長い。やめてやめてもう許して」こんなので脳のCPUが埋まっちゃう。これ以外考えられない。ほんと思い返すと屈辱です、最低な奴ですよ。しかもカチカチって警戒音なしでブーンぐさっでしたからね。

スズメバチは種類を問わず、パトロールに遭遇してしまったり、木の幹に止まっていた場合はすぐに逃げてください。逃げ方はまほが知っています。
ちなみに既に刺された場合は転ばないように走って逃げて下さい。スズメバチは一度針を刺して攻撃した時に警報フェロモンを分泌し、仲間を呼んで更にそのフェロモンの着いている相手を攻撃します。そうなったら急に伏せても無駄です。刺され続けます。
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