美遊兄が行く仮想世界   作:花火先輩

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遅スギィ!さすがにまずいですよ!ちょっとこれは更新頻度をあげなきゃいけませんねぇ……。それはそうと、FGOのクリスマスイベ、皆さんはBOXどれだけ開けましたか?自分は……5箱です(震え声)
とりあえず、最新話をどうぞ。


第6話 confronting

 

 

 SAOの中で夢を見るなんて、ありえないと思っているだろう。しかし、私は夢を見た。幼い頃に生き別れた、妹の夢。でも、突然空間が真っ暗になり、気づけば、私は全く別の場所にいた。

 特に変わった所のない、普通の町だ。いや、1つだけ、変わったモノがあった。

「何、あれ……」

 視界に入ったのは、町を飲み込むドーム状の黒いナニカ。それは規模を徐々に拡大していき、あらゆるモノを破壊していた。

 周りを見ると、黒い闇から必死に逃げる人々がいた。そのうちの1人に、とりあえず話を聞こうと引き止めてみたのだが。

「あ、あのっ──」

 伸ばした手は、スッと空を切る。そうだ。ここはまだ夢の中なのだ。町の人々が私の存在を感知するなんてことはない。

 というか、このままではあの闇によって町が完全に飲み込まれてしまう。かといって、あれを止める術なんてある訳ない。そう思っていたのだが。

「えっ!?」

 突如、眩い光が闇を覆い、激しい閃光と共に消し去ったのだ。

 突然の出来事が連続で起こりすぎて、もう頭が混乱しそうなのだが、逆にこれ以上考えることをやめて、光の発生源に向かうことにした。

 

 

 道路は当然、渋滞を起こしていた。警備員が必死に車を誘導している。出来れば手伝いたいが、今の状態では出来っこない。これじゃあ車は当分動けないだろう。が、人間ならその限りではない。

 先に進もうとしたその矢先。私の傍の車から話し声が聞こえた。

「くそっ……、これ以上は車では無理か……」

「キリツグ、俺先に行く!」

 ドアを開け、1人の子どもが勢いよく飛び出す。

(──!?あの子……!)

 その子どもは、私のパートナーと同じ見た目をしていた。顔は彼よりも幼いが、赤銅色の髪はそのままだ。

「もしかして、エミヤ君……なのかな」

 だとしたら、今私は幼い頃のエミヤ君の夢を見ている、ということになる。他人の夢を見るなんて2次元のことだけだと思っていたが、現実でも有り得るみたいだ。

「待てシロウ、シロウ!」

 キリツグと呼ばれた男が止めるも、エミヤ君は止まらずに走っていった。

 人に気づかれることはないのを利用して、私も『KEEP OUT』と書かれたテープを跨いで彼の後を追いかけた。

 

 

 ──後で気づいたが、今の私は物や人をすり抜けるので、別にテープを跨ぐ必要はなかったかもしれない。

 

 

 竹林の道をエミヤ君と共に走る。最も、目の前の彼にとっては1人で走っているふうにしか感じていないだろうが。

 道に沿って走ると、長い竹林をようやく抜ける事が出来た。

「うわ、何これ」

 まず目に飛び込んできたのは、直径数百メートル位の巨大なクレーター。やっと広いところに出たってのに、また色々とすごいものを見せられた。

 

 

 チリン、チリン。

 

 

 何処からか鈴のような音が聞こえたので、横を向いて見ると、クレーターの傍の家屋に少女がちょこんと座っていた。その子は私たち、いや、エミヤ君の存在に気づいたのか、顔をこちらに向ける。

「……君は?」

 瞬間、エミヤ君の声を遮るように、家を支えていた柱が折れ、支えを失った屋根が倒壊した。

(駄目、まだ倒れないで!)

 私の祈りが通じたのか、家屋の倒壊がまるで時を止めたかのように静止し、そのおかげでエミヤ君は少女を救出することに成功した。

「今のは、一体……」

 今起こった現象はなんだったのだろうか。私じゃ到底理解出来ない。倒壊が不自然に止まるなんて、まるで魔術みたいだ。いや、魔術そのものかもしれない。まさか、あの子がやったのか……?しかし、これは魔術と呼べるものかは分からない。一応、私は魔術師の端くれだけど(才能は妹の方が優れていたが)、こんな奇蹟は初めて見た。誰かの願いに呼応する──そう、まるで聖杯のような……。

「……苦しい」

 エミヤ君に抱かれた少女が口を開く。

「母様以外に抱っこされたのはじめて」

 母様以外、とはどういうことなのだろうか。まさか、彼女は家の人以外の人物に触れられたことはないのか。でも、どうして……?

 しかし、考える暇を与えずに、夢は覚めてしまった。

 

 

「はっ!?」

 目を覚ましたのは、前から利用している宿屋。どうやら、1連の出来事は本当に夢だったようだ。

 時刻は9時半。私は急いで用意をし、集合場所に向かった。

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 12月4日、午前10時。今日この日、1ヶ月かけて攻略された迷宮区の最上階に鎮座する《イルファング・ザ・コボルドロード》討伐作戦がいよいよ決行される。ここに至るまでの道のりは決して短くはなかったが、ようやくゲームクリアへの第1歩を踏み出せる。

 集合場所は噴水広場。そこには俺たちを含む48人のプレイヤーが集まっていた。

「はぁ……」

「……昨日のことか?」

「あぁ……」

 昨日のこと、というのは、俺とキリトが使っている宿(と言っても、ドラ〇エのように《INN》の看板の付いた宿屋ではなく、農家の2階を丸ごと借りているだけだが)の風呂を借りていたアスナが着替えようとしたアルゴと遭遇し、驚いたアスナが風呂から出て──おっと、これ以上はいけない。因みに、俺はいち早く危機を察知して外に退散していたので被害はない。

「まあ、考え事にかまけて注意力がお留守になってたお前もお前だよ」

「そりゃあそうだけどさぁ……思い出したら腐った牛乳ひと樽ってのはちょっと」

「女性ってのは恐ろしいモンなんだ。割り切ってくれ」

「妙に、説得力があるな」

 キリトの言葉に、誤魔化すようにあはは、と笑う。平行世界の俺は、女性の恐ろしさを何度も味わったそうだから、説得力があるのも頷ける。

 その後、取引について聞いてみると、どうやら向こうがキャンセルしたらしい。どういう風の吹き回しだとは思ったが、この際深く考えないようにしよう。

 

 

 時間が10時ぴったりになったところで、ディアベルが噴水の縁に立ち、みんなの注目を浴びていた。

「みんな、いきなりだけど──ありがとう!たった今、全パーティー48人が、1人も欠けずに集まった!」

 直後に、沢山の歓声と拍手が広場に響く。俺も、周りに合わせて手を叩く。

「今だから言うけど、オレ、実は1人でも欠けたら今日は作戦を中止しようと思ってた。でも……そんな心配、みんなへの侮辱だったな!オレ、すげー嬉しいよ……こんな、最高のレイドが組めて!」

 ディアベルの叫びに応じるように、拍手喝采がさらに強まる。少しは緊張感を持った方がよいのではと思ったが、まあ大丈夫だろう。

「みんな、もうオレから言うことはたった1つだ!」

 そう言い、腰の剣を抜き放つ。

「──勝とうぜ!」

 それと同時に、広場全体を鬨の声が揺らす。かくして、ディアベルの励声を以て、ボス攻略作戦が始まったのだった。

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 迷宮区への道中はとても賑やかだった。思えば、ベータテストのときもあんな感じだった気がする。これからボス戦だというのに、この雰囲気はさながらピクニックや遠足のようだ。時折モンスターが現れたりするが、腕のいいプレイヤーたちが瞬殺してくれる。後ろからも敵が湧いてきたが、すかさず殿を務めている俺たちが率先して倒す。

 

 

「すっごい賑やかだね。まるで遠足みたい!」

 集団の雰囲気に影響されたのか、ユウキも子どものようにはしゃいでいた。いや、彼女もまだ子どもか。

「はは、遠足か。確かに、そうとも言えるかな」

「ベータテスト?のときもこんな感じだったの?」

「んー……、そういうときもあったし、ないときもあった。まあみんなの気分次第だな。もしくは、単に恐怖を誤魔化そうとしているだけなのかもしれない」

 質問を投げかけるユウキに、簡潔に答える。

「そっかぁー。でも、何事もこういうふうに楽しくやる方がいいかな」

「……それも、そうか」

 思えば、今は色んなことを精一杯楽しんでいるが、生前は美遊のことで頭がいっぱいで何かを楽しむ余裕などこれっぽっちもなかった。ゲームだって、キリトに勧められるまで手をつけたことすらなかったのだ。

 SAOは完全なる非日常なのに、それすらも楽しいと思っている自分がいる。まあ、俺は聖杯戦争を経験した身なので、この状況もあたかも日常であるかのように捉えることが出来るのだろう。

「……俺も、ずいぶんと変わったな……」

「?何か言った?」

「いや、ただの独り言さ」

 その後も他のみんなと話していると、いつの間にか迷宮区の入口に着いていた。

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 午前11時に迷宮区に着いて、その1時間半後の12時半に最上階に到達した。死者は今のところない。フルレイドでの戦いは殆どの人が初めてだろうに、1つのミスもないのは、やはりディアベルの采配によるものだろう。その的確さは彼は現実でも何かのリーダーをやっていたのかと思うほどだ。

 とまあ、そんなこんなでディアベル率いるレイドパーティーは巨大な扉の前にたどり着いた。

「……作戦を再確認しよう。まず俺たちは2人1組を3つに分けて行動する。状況に応じてボスに回すか雑魚に回すかを分ける。それでいいな?」

 俺の言葉にキリト、アスナ、レイン、コハル、ユウキが頷く。なぜ無言で首肯したのかというと、ここで声を出してしまうと亜人型モンスターに気づかれてしまうからだ。

 確認を取った後に、ディアベルがこちらに近づいてきた。

「エミヤさん、君たちのパーティーはどんな状況にも対応出来るように、真ん中に配置してほしい」

「ああ、わかった」

 ディアベルの指示通りに、隊の真ん中につく。

 やがて、全てのパーティーを並び終えたディアベルが前に出て、剣を掲げる。みんなもそれに応え、一斉に各々の武器を抜く。

「──行くぞ!」

 それを見て、青髪の騎士は扉に当てた手を押した。

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 当然、ボス部屋の中は前に見た時と変わりはない。前に進む毎に、壁に設置された松明に火が灯り、部屋が徐々に明るくなる。この空間自体はめちゃくちゃ広いというわけでもなく、精々が奥行き100m、左右の幅がその半分程度といったところだ。そしてその奥の玉座に座するここのボス。

 こちらがある程度進行したところで、偉そうに座っていたデカブツが巨体に似合わぬジャンプ力を見せつけ、空中で1回転してから着地する。あれだけ軽やかな動きをするクセに図体はデカいので、着地すれば地響きが起こり、衝撃がこちらにまで伝わってくる。

 ボスの咆哮と共に、4段のHPバーと英語で書かれた固有名が頭上に表示される。《Illfang the kobold Lord》。コボルドの王イルファング、と訳すべきか。

 さらに、奥の壁の穴から《ルインコボルド・センチネル》が飛び出してくる。

 ボスがこちらに突進するのを皮切りに、討伐戦が始まった。

 

 

「せぇい!」

 掛け声と共にセンチネルの攻撃を弾く。コイツは軌道が読みやすいので、容易にパリィ出来る。

「スイッチ!」

 すかさず、後ろのパートナーに合図し、後退する。

「やぁぁっ!」

 レインの放った《ホリゾンタル》が、センチネルの首をスパッと切断する。ウィークポイントの首を断ち切られ、青い光を伴って爆裂四散する。

「……よし」

 それにしても、彼女の剣筋はかなりの精度だ。鉄兜と鎧の間の首を1発で斬るのは中々難しい。レイン自身の腕と、鋭さと正確さに3つずつ振った剣が合わさって出来る芸当と言えよう。

「H隊、こちらに数人回してくれ!」

 雑魚を倒し終えた直後に、ディアベルの声が飛ぶ。H隊、とは俺たちのパーティーのことだ。ここは、彼らに1番近い俺とレインが向かう。

 見ると、HPバーは3本目の半分に達していた。ボス戦にしては早い方だ。

 後ろでポーションを呷り、HPが回復するまで待つA隊に代わって、俺たちがボスに挑む。

「グルアァァッ!」

 雄叫びと同時に振り下ろされた骨斧を、B隊リーダーのエギルが豪快に弾く。その横を通り抜けて、それぞれ《バーチカル・アーク》と《スラント》を叩き込む。

 硬直が解け、正面の攻撃に備えてか、イルファングがバックラーを前に構える。しかし、それを読んだ俺はレインとアイコンタクトを取り、左右に位置取る。そして、ほぼ同時に《ホリゾンタル》を食らわせ、HPを削る。

「一旦下がろう!」

「うん!」

 A隊の復帰を確認し、入れ替わる形で後退する。敵に背を向けるのは危険だが、今は壁役(タンク)がいるので安心だ。それでも過信してはいけないが。

 

 

 少し経って、ボスのHPが4段目にまで減った。それを見て、再び取り巻き共の相手をする。

「そらっ!」

 敵の首目掛けて《スラント》で攻撃するが、切断までには至らない。センチネルが技の衝撃でノックバックするが、直ぐに体勢を立て直し、手に持った鈍器で殴りかかる。これをサイドステップで回避し、今度は《ホリゾンタル》できっちりと仕留める。俺の左では、レインがユウキたちと協力して雑魚を倒していた。

 その時。ボスに張り付いていた隊が歓声を上げる。ちらっと頭上を見ると、HPが4段目の1/4になっていた。

「油断するな!武器が野太刀に切り替わるぞ!」

 ディアベルの指示がプレイヤーたちに伝わり、C隊がボスを囲む。

 イルファングが斧とバックラーを投げ捨て、背中から鈍い光を放つ野太刀を抜刀する。そして、空高く飛び上がる。

「馬鹿っ、取り囲むな!()()が来るぞ!」

 C隊に向けて叫ぶが、彼らが気づいた頃には、ボスの《旋車》が6人全員を吹き飛ばした。オマケにスタンまで付いている。

「追撃がくるよ!」

「その前に止める……!」

 硬直時間の解けたイルファングが狙うのは、正面にいるディアベル。

 野太刀を両手で持ち、左腰に下げるモーションは《浮舟》だ。ダメージはさほどではないが、あれを食らうと次のコンボに繋がるため非常に危険だ。《緋扇》でも食らったら間違いなく死ぬ。

 ディアベルを浮かせようとする野太刀を《レイジスパイク》で逸らす。そのおかげで、彼へのダメージはゼロだ。

「大丈夫か?」

「ああ、ありがとう、エミヤさん」

「1度後退させろ。ここは他の隊が受け持つ」

 頷き、C隊を下がらせる。そこに、H、B、E隊が集う。

「んで、どうするんや、エミヤはん」

「昨日も言ったが、《カタナ》はタルワールに比べて非常に早い。B隊で攻撃をガードし、囲まないよう注意しながら反撃する。だよな、キリト」

「ああ、とりあえずはヒットアンドアウェイを心掛けよう」

「来るで!」

 キバオウの叫びの直後に、イルファングが居合の構えを取る。居合系の《辻風》だ。その左右から、センチネルたちも接近してくる。

「雑魚コボはわいらに任せとき!」

「頼む!」

 

 

「オラァッ!」

 エギルの《ワールウインド》が技を相殺させる。そこにキリトが《スラント》を、アスナが《リニアー》を放つ。

 続いて、イルファングが野太刀を上段に構え、振り下ろす。レインが《バーチカル》で弾こうとするが、ヤツの腕が下に向き、下段に回る。上下ランダムに放たれる《幻月》というソードスキルだ。

「きゃあっ!」

 彼女の細身の身体が切り裂かれ、HPが3分の1削られる。《幻月》は硬直時間が短い。よって、起き上がる間に追撃を食らってしまう。ボスがのしのしと肉薄し、《緋扇》を放とうとする。あれを受ければ、レインは──いや。

「させるものかぁぁぁ!」

 そんなことは、俺が絶対にさせない──!

(頼む、間に合え!)

 筋力と敏捷力にものを言わせ、全速力でボスに向かって駆ける。全力ダッシュと共に上段突進技の《ソニックリープ》で迎え撃つ。

 何とか間に合い、初撃を叩き落とすことでその後の連撃をストップさせることに成功する。

「スイッチ!」

 俺の掛け声に応じて、ユウキとコハルが出て、《レイジスパイク》と両手槍基本単発ソードスキル《スティンガー》で攻撃し、ダメージを稼ぐ。

「キリト!」

「ああ!」

 隣のキリトに合図し、一緒にイルファングへと立ち向かう。

「勝負しようぜ」

「望むところだ」

 激しい雄叫びを乗せて振り下ろされるカタナをパリィし、向こうに接近し。

「「おおおぉぉぉっ!!」」

 2人同時に放った《ソニックリープ》がボスのHPをゼロにし、その巨体は青白いポリゴン片となって四散五裂した。

 

 

 少しの静寂の後、プレイヤーたちの歓喜の叫びが部屋全体に響き渡った。ハイタッチをする者、肩を組み合う者、熱い抱擁を交わす者もいる。俺はそれに構わず、ウインドウを確認するが。

「あぁあああ!LA(ラストアタック)ボーナス取られたあぁぁ!」

「はっはっはー!今回は俺の勝ちのようだな!」

「まあでも、黒のコートなんて俺の趣味じゃないし、上層に行けばそれよりもスペック高い防具なんていくらでもあるし」

「あはは、負け惜しみは良くないぞ」

「う、五月蝿い!」

 どうやら、軍配はキリトに上がったようだ。イルファングのLAボーナスは《コート・オブ・ミッドナイト》と呼ばれるロングコートで、もちろん性能は下層では高い方だ。

「見事な指示と剣技だった。コングラチュレーション。この勝利は、あんたたちのものだ」

 途中の英単語をすごいネイティブに言ってのけるエギルに面食らいつつも、自然を装って応じる。やっぱり彼はハーフか外国人なのではないのだろうか。

「ありがとう、エミヤさん、キリトさん。君たちH隊がいなければ、この作戦は失敗していたかもしれない。本当に、感謝している」

「その、なんや。まあ、色々と、助かったで。またよろしゅうな」

 今度は、ディアベルとキバオウが感謝の言葉を述べる。こうやって正面から言われると、むず痒くなる。

「俺たちは、当たり前のことをしたまでです。それが、攻略組の……ベータテスターの義務ですから」

「義務……か。あんたらベータテスターには悪いことしてもうたな。ずっと疑ってたけんど、テスターにもジブンらのような善人がおるんねんな」

「ええ。ですから、俺たちテスターにあまり悪い偏見を持たないでくれると助かります」

「せやな。これからは、そうさせてもらうで」

 そして再び、俺とキバオウは握手を交わした。

 

 

「では、俺たちは2層の転移門をアクティベートしに行きますね」

「ああ、頼む」

 俺が率いるH隊は、次の第2層の主街区に向かうために、玉座のさらに奥にある階段を登る。

「あなた、戦闘中にわたしの名前呼んだでしょ。教えてもないのに」

 と、アスナがキリトに問うている。

「ぷぷぷっ……」

 その質問に、ユウキが笑った。他のみんなも何とも言えない表情をしている。どうやら、知らなかったのは彼女だけらしい。

「な、何よ、みんなして」

「だって、左上にHPバーと一緒に書いてあるじゃん」

 ユウキの指さした方向にアスナが顔ごと向こうとするが、「そうじゃなくて」と顔を固定される。

「あっ……。なぁんだ、こんなところにずっと書いてあったのね」

 今まで身近にあったのに気づかなかったことが可笑しかったのか、ふふっと笑う。

 やがて、2層へと続く扉へとたどり着く。ここから、また新たな1歩が踏み出されるのだと思うと、何だかやる気が湧いてくる。

「みんな、行こう!」

「「「「「ああ!(うん!)」」」」」

 全員が俺に応えた後に、俺は勢い良く扉を開け、第2層の大地に足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 




特に言うことはないです。

聖杯くん~MOREDEBANコンビ~

「出番が!」
「欲しいです!」
「リズくん1人じゃないのか……(小声)。まあまあ落ち着きなよ。これあげるからさ」っ出刃
「「……は?」」
「持っておいて損は無いよ?(ゲス顔)」

次回は幕間です。

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