ずっと言い忘れていましたが、受験勉強のため、更新が亀並に遅くなります。ご了承ください。そしてホントに申し訳ございません。
そのニュースが報道された時、しばらくわたしは状況を理解出来なかった。それは、ミユも同じだった。SAOがデスゲームと化したなんて、小学生の頭で直ぐに理解出来るハズもなかった。
やがて思考が追い付き、全てを認識したわたしとミユは思いっきり泣いた。
お兄ちゃんが、もう2度と目を覚まさないって考えると、悲しみのあまり沈んでしまいそうになるくらいに。一応、ミユに確認を取ってみたのだが、ナーヴギアには、ヒトの脳を焼く位のスペックはあると彼女は言った。それを聞いて、わたしはさらに絶望した。もしお兄ちゃんが死んでしまったらって、考えたくもなかったけど、こういうときに限って容易に想像出来てしまった。
その後、泣き疲れてちょっとウトウトしてたら、お医者さんが来て病院にお兄ちゃんを搬送したそうだ。
どうやら、ちゃんとした設備の下でお兄ちゃんのような、SAOに囚われた人たちを看護するってことらしい。
そして、あれから2ヶ月位が経った、ある日。
「お兄ちゃん、大丈夫かなぁ……」
「心配しなくても、お兄ちゃんは絶対にゲームをクリアして、目を覚ましてくれるから」
「……うん、そうだよね。いつかきっと、現実世界に戻ってくれるよね」
「ん。だから、私たちは、お兄ちゃんを信じて待とう?」
ミユの言葉に、小さく頷く。
少し呼吸の荒いお兄ちゃんを見ていると、今も必死に戦っているのかな、と思うときがある。ゲームの外からはお手伝い出来ないけれど、こうして心の中で無事を祈ることくらいは出来る。
今、この病室にいるのは、わたしとミユだけだ。お父さんたちはお仕事が忙しいから、ここにはいないけれど、誰よりもお兄ちゃんを心配している。だって、お知らせを受けてから直ぐに日本に帰ってくる程だからね。その後、また海外に戻ったけど。
「あっ、いけない。そろそろ帰らないと」
時計を見ると、針は5時半を指していた。
「もうこんな時間……。またね、お兄ちゃん。また来るからね」
本当はもうちょっと居たかったけれど、直葉お姉ちゃんが帰ってくる頃だから、わたしたちも帰宅しなきゃいけない。
因みに、わたしたちは今、小学生2人だけじゃ何かと心配だからってことで、お隣さんの桐ヶ谷さんちに居候させてもらっている。桐ヶ谷家とは小さい頃からの付き合いだから直ぐに馴染めたけど、やっぱりお兄ちゃんが居ないと寂しいと思ってしまう。
でも、その想いは、お兄ちゃんが戻ってくるまで我慢しなきゃ。
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「……?」
また、変な夢を見ているらしい。眼前に広がるのは真っ白な雪原と雲で覆われた夜空。そして、雪原に突き刺さる無数の剣。形も種類も様々で、当然だが私が殆ど見たことのないものばかりだ。
それ以外は、なにもない。月明かりはなく、星の瞬きもない。他に特筆すべきものは皆無だが、それでも、この光景は異質の一言に尽きる。それに、見れば見るほど、何だか哀しくなってくる。そう思えてくるほど、この空間は"空っぽ"だった。
「何なんだろ、ここ」
しかし、その問いに応える者は誰一人おらず、私の疑問は闇夜に消えていった。
とりあえず、前に進んでみると、光のないはずの雪原に、一条の輝きを放つ何かが見えた。
目を凝らすと、ソレは剣の形をしていた。いや、アレは正真正銘、本物の剣だ。
「綺麗……」
思わず、そんな声が漏れてしまった。それほどまでに、あの剣が放つ黄金の輝きは神々しくて、美しかった。
暫く見蕩れていると、後ろから何者かが近付いてくる気配を感じた。一体誰なんだろうと思い、後ろを振り向くと。
「……エミヤ君?」
その人は、私のパートナーにそっくりだった。でも、何処か違う。顔つきはより大人びていて、目は死んでいる。それに、体格も異なっていた。あれでは高校生並だ。だが、エミヤ君は見た感じ私と同世代だと予想していた。もしかして未来の姿なのでは、と思ったが、やはり分からない。
私が色々と思索に耽っていると、エミヤ君が光の剣の前に立ち、徐に口を開いた。
"
そう言い、彼は剣を抜き放つ。それと同時に、眩いばかりの光が、この空間の全てを飲み込んだ。
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「んぅ……」
重い瞼を開けて、ベッドから起き上がる。まだ眠いが、もう起きなくてはいけない。
──あれは、何だったのだろう。何かの魔術の詠唱か、それともただの独白か。或いは、その両方か。
考えれば考えるほど理解が追いつかなくなってくるので、もうその事について考えるのはやめにした。
ベッドから出ようとすると、コンコン、とドアがノックされる。
覚束無い足取りで扉まで歩き、そのまま開ける。
「……あっ、おはよー、エミヤくん」
ドアの前に立っていたのはエミヤ君だが、私を見るなり顔を赤くし、目を逸らしていた。
「……?」
「えぇっと、まずは着替えてくれないかな?目のやり場に困るというか……」
「ふぇ……?」
そう言われて、自分の格好を確認してみると、上は黒を基調とした背中が殆どまる見えの部屋着で、下は白と黒のホットパンツという、露出度の高い服装だった。それ故、色んな部位が見えてしまうのである。例えば、胸とか、腋とか、太腿とか。
「────!」
自分の状態を認識した途端、かぁっと顔が真っ赤になる。怒りではなく、羞恥によって。多分。今ではパートナーとしてより仲が深まってはいるが、それでも男性に自分のこのような姿を見られるというのはとても恥ずかしい(でもエミヤ君になら見られてもいいかなと少しは思っちゃう自分がいる)。なので、パニくるのも当然であって。
「きゃああああっ!!!」
「なんでさーーっ!?」
バチン、と乾いた音が室内に響いた。
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「ご、ごめんね、エミヤ君。いきなりひっぱたいたりして」
「い、いや、ちゃんと確認とか取らなかった俺にも非があるし……」
その後もあーだこーだ言っていたが。
「じゃあ、どっちもどっちってことで!」
というわけで、さっきの出来事に関しては丸く収まったのだが、俺の脳裏にはあの時のシチュエーションがしっかりと残っている。アレは健全な中坊(精神的には高校生だが)にはかなり応えるというものだ。生前は美遊の着替えを手伝っていたりしていたが、レインと美遊では格差が激しいというか。なんの格差かって?それは……さすがに言えない。
現在、漸くアインクラッドの攻略が全体の4分の1を越え、今の最前線は27層だ。ここの層の迷宮区はトラップが他のダンジョンよりも多く、25層の時程ではないが、いつもより進行がやや遅れている。罠に引っかかった例が幾つもあったが(俺たちもその中に含まれる)、着実に進んでいるようだ。
話は変わるが、ここに至るまでに、色々なことがあった。2層クリア後、ディアベルが前線から退き、彼に次いでリンドがリーダーとなった。が、リンドとキバオウは仲が悪かったため、些細な事でよくいがみ合い、とうとう攻略組は
そして、ALSとDKB間の不和がピークに達した頃、ある出来事が起こった。そう、25層でのALS壊滅だ。あの層はクォーター・ポイントなだけあって、今までとは一線を画す攻略難度を誇っていた。それはボスも例外ではなかった。戦力を大幅に削がれたキバオウは2度と前線に参加することはなかった。だが、そこに颯爽と現れたのが、当時は小規模であった新興のギルド、《血盟騎士団》だった。団長のヒースクリフを始め、かつてのキリトのパートナーであり副団長を務めているアスナ、ヒースクリフの勧誘によって前線復帰したディアベルなど、人数は多くなかったが、どれもかなりの実力を持った者達で構成された少数精鋭のギルドだ。それに続いてDKBを吸収した《聖竜連合》が加わり、攻略組はこの2強が仕切ることとなった。で、今に至る、というわけである。
「悪だのなんだの言われるのは慣れていたつもりだったんだけどなぁ……。やっぱり多少は心が痛むもんだよ」
「でも、1部ではエミヤ君のことを『正義の味方』だって言う人もいるよ?」
「正義の味方、か。いや、俺にはそれを名乗る資格なんてないんだ」
そうだ。俺は正義とは程遠い存在だ。なぜなら、生前に自分自身で悪でいい、と宣言したから。だから、今更その通り名で呼ばれるのには抵抗がある。かといって嫌というわけでもなく、少しは悪くないとも思っている。
しかし、心の奥底では、まだ正義だの英雄だの、そういうものに憧れている自分がいるのかもしれない。
「……?それって、どういう──」
「まあ、無駄話はこれくらいにして、さっさと迷宮区に行こうぜ」
「あーっ、今明らかにはぐらかしたでしょ!今の話、ちゃんと聞かせてよ~!」
「んー、それは──」
顎に手を添え、わざとらしく溜めを作ってから。
「まだ語るべきじゃないな!」
と、某名探偵の真似をしてみるのだった。
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この迷宮区には、岩で出来た人型モンスターや、ピッケルを持ったドワーフなどが出てくる。どちらも攻撃が単調なので、全部避ければ問題ない。
「フッ!」
《granite elemental》が自分の腕を持って振り回してくるが、それを防いで、《バーチカル・スクエア》を叩き込む。手応えは悪いが、残り少なかったヤツのHPを消し飛ばす。
「んー……」
「やっぱり、硬いよね、あの岩のモンスターって」
「ああ、メイスとかが有効かもな。持ってないのが残念だけど。いや、鍛冶ハンマーならワンチャン……?」
さすがに無理があった。
その後も、順調に進んでいき、ボス部屋の前までたどり着いた。レインが少し覗いてみようかと言ったが、さすがに止めとこうという結果になった。
帰りは行きよりモンスターが多く、苦戦を強いられたが、そのおかげかレベルが1つ上がった。レベルアップで得たポイントを筋力と敏捷にそれぞれ振り分ける。この世界には重要なステータスの中に、筋力と敏捷が含まれる。レベルが高いと、必然的にこの2つの値も大きくなる。筋力は武器毎に設定された要求値を満たすためとかに必要になるし、敏捷の方はそのまま走る速さなどに直結するので、どちらも大事となる。中にはどちらかのステに極振りする者達(例としてエギルやアルゴがいる)もいるが、満遍なく振る方が個人的には良いと思う。
午後6時を過ぎた頃に主街区に戻ると、いつの間にかキリトからメッセが来ていたことに気付いた。
そういや、アイツは下の層に行くと言っていたが、やけに帰りが遅いので、何かあったのかと思っていたところだ。
「えっと、なになに。『今11層にいる。帰りは明日になりそうだ』か。何かあったのか……?」
「うーん、時間が経ったのに気づかなかった、とか?」
「その可能性も無くはない、かなぁ」
他にも理由があるのだろうが、ひとまずそれは置いておくことにした。
と思ったその矢先。
次のメッセージの内容に、俺は大いに驚くことになる。
『俺、ギルドに加入した』
「……は?」
幻視でも見えたかと感じ、目を擦って再び送られた文を見るが、やはり結果は変わらなかった。
「え……」
「エミヤ君?」
「ええええええええええええ!?!?!?」
だから俺は、盛大に仰天した。
「ひゃあっ!?い、いきなりどうしたの!?」
「見ろよ、これ!」
そう言い、ウインドウを可視モードにし、レインにも見えるようにする。
「えっと、キリト君、ギルドに入ったの?」
「そうなんだよ!ギルドと無縁のアイツなのに、どういう風の吹き回しなんだ!?明日にでも全員強制ログアウトされるんじゃないか!?」
「そ、そんなに驚くことなの?」
「当たり前だ!パーティー組むのもいつも俺とだけだったんだぞ!キリトには悪いけど、俺がいなかったら万年ボッチだったかもしれないアイツが他人と一緒にやるなんて絶対に有り得ない!」
事実、キリトはリアルでもゲームでも俺以外の友達はいなかったし、それにより、遊び相手も俺だけだった。彼が他者とつるむ姿なんて見たことがない。だからこそ、あのギルド加入の旨は正にびっくり仰天ものであったのだ。
「なんか、そこまで言われるキリト君が可哀想に思えてきたよ……」
彼女の呟きは、エミヤの叫声にかき消されてしまったのであった。
その夜。
「……ん」
何故か、目が覚めてしまったので、ベッドから出て時間を確認する。
「まだ2時か」
殆ど眠気が消えたため、特にやる事もないので、とりあえず下の階にあるカフェに行くことにした。
下に降りて、目に付いたオープンテラスのテーブル席に座ろうとしたのだが。
「あれ、レイン?」
「えっ、エミヤ君?」
どうやら、先客がいたようだ。
「君も、目が冴えてしまったのか?」
「うん、まぁそんなところかな。エミヤ君も?」
「ああ。こういうことは、あまりなかったんだけどな。……ここ、いいか?」
うん、と頷くレインを見て、向かい合うように席に座る。
月明かりが彼女を照らし、それによって、その姿がより一層綺麗に見えた。人やモノは、見方やシチュエーションによってこうも印象が変わるものなのか。また、俺が知ることのなかった知識が1つ増えた気がする。
内心、少しドキッとしたのは内緒だ。
「ご注文をどうぞ」
と、ここでNPCのウェイトレスが注文を取りに来たので、レインはカプチーノを、俺はブラックコーヒーを頼んだ。
「それにしても、アインクラッドの攻略も、もう4分の1まで進んだんだよね」
少しして、レインが徐に口を開く。
「ああ。ここに来るまで、色々あったな」
思い返すのは、この階層に至るまでの記憶。
1層をクリアし、2層でちょっとしたハプニングに巻き込まれ、3層から9層を股にかけて大型キャンペーン・クエストを進め、10層でベータ版では勝てなかったボスとの再戦をしたり……そして、攻略組が分裂してしまったこともあった。
「──なぁ、レイン」
「なぁに?そんな顔しちゃって」
「あの時……第1層で俺がしたことは、間違っていたんじゃないかって思うんだ」
「え?」
「間違い続けてきた俺だから、あの行いも、きっと間違っていたのかもしれない。時々、そう考えてしまうんだよ」
思えば、あのときのことは自分でも何故そうしたのか、よく分からない。体が勝手に動いたのか、良かれと思ってやったのか、それとも、
攻略組内の不和を無くしたいという身勝手な理想を彼等に押し付けるためなのか。なんにせよ、関係を保てたのは一時的なものだった。結局、ああまでしても、彼等の仲を取り持つことは出来なかったのだ。
正義の味方になれなかった、いや、それを手放した俺がヒーロー紛いのことをしても、上手くいく筈がないのに。だから俺は、自分の行いを悔いていた。
「……違う」
「?」
ぽつり、と彼女の口から呟きが漏れる。
「君のしたことは決して間違ってなんかないよ。だって、エミヤ君のあの行動がなかったら、もっと早い段階で攻略組が決裂してたかもしれない。わたしは、君のしたことは正しいと思うな」
言われてみれば、確かにそうかもしれない。どうせ攻略組は遅かれ早かれ分裂することになるのだから、それを一時的に食い止めたのならそれで十分だった。
参ったな。どうも俺は物事をポジティブに考えることが出来ないようだ。
「そう、か。……ははっ、確かに、そうとも言えるか」
いつの間にかテーブルに運ばれたコーヒーを呷る。現実のものとはまた違った、深みのある味わいが広がる。いい豆を使っているのだろう。そもそもSAOにコーヒー豆があるかは疑わしいところなのだが。
「ありがとう、レイン。君のお陰で気が楽になった」
「ふふっ、どういたしまして。……ふわぁ……」
「……そろそろ、寝るか」
「うん、そうだね」
そして、カフェを後にし、階段を昇ってそれぞれの部屋に入ろうとしたのだが。
「ち、ちょっと待って!」
「ん?」
「ええっと、その……」
(どうしてこうなった……?)
今、ベッドに横になりながらそう思考する俺の隣にはレインがいる。
彼女曰く、「1人だとまた怖い夢を見てしまうかもしれないから」と言うことらしい。まぁ別に断る理由もないのでとりあえず了承したはいいが。
うん、改めて考えてみると、ものすごく恥ずかしい。というか、年頃の男女が一緒のベッドで添い寝など、まるでマンガやラノベみたいなシチュエーションだ。まさかこんなことが実際に起こるとは、思いもしなかった。
「まだ眠れないの?」
「ああ。なんか、色々と考えてしまって」
「そっかぁ……。実は、わたしも寝られないことはよくあるよ。あはは……小心者だから、気になることがあると、よくそうなっちゃうの」
意外だ。彼女からはそんな雰囲気は出ていなかったのだが、そういうときもあるというわけか。俺もそうだが、人は心の内に様々な事情を秘めているものだ。それを他人が知ることは難しいだろう。
「でも、そういうときには、よく歌を歌うんだ。子守歌ってやつかな。小さい頃、お母さんによく歌ってもらったんだ」
また、彼女の知られざる一面を知った。だが、レインは《吟唱》スキルを習得していないはずであるが、あくまで趣味の範疇なのだろうか。
……どんな歌なのか、個人的に興味が湧いてきた。
「へぇ、どういうものなのか聴いてみたいな」
「えっ?聴きたい?」
その言葉に一瞬、驚く様子を見せた。
「あはは……ここで歌うのはちょっと恥ずかしいかな」
「あー、無理強いはしないぞ?」
「ううん、そこまで言われたら、歌わないわけにはいかないよね。じゃあ歌うね。……笑わないで聴いてね」
しかし、彼女は頼みを引き受け、俺のためにわざわざ歌を披露してくれることになった。
「あ、ああ。頼む」
「~~~♪」
子守歌を聴くのは何時ぶりだろうか。小学生中学年辺りを越えた頃以降から聴くことはなかった気がする。
中学生(
にしても、いい歌だ。先程、趣味の1つだろうとは言ったが、それは撤回しよう。彼女の歌唱力は普通の人よりも優れていると思う。多分、現実でも歌を歌っていたのかもしれない。
それにこの言語は……確かロシア語だった記憶がある。何故ロシア語?とは思ったが、彼女は純粋なロシア人なのか、それともハーフかクォーターなのか。……いや、あんな流暢な日本語を話しているので、日本人の血が混じってるだろう。あくまで憶測だが。
「くぁ……」
今更ではあるが、子守歌は、子供を寝かしつけるためのものだ。故に、自ずと眠くなるのは当然のことであって。
(いけないな……。全部聴きたかった、けど、だんだん、眠く……)
思考と視界が暗転する。意識が沈み、そのまま俺は、眠りについた。
朝。目が覚め、首を動かすと、隣にはすやすやと眠るレインがいた。
思わずぎょっとしそうになったが、昨日のことを思い出して冷静を保った。
「んぁ……」
しばらく彼女の寝顔を眺めていると、目を半分開けてレインが起き上がった。
「おはよう、昨日はありがとな。いい歌だった」
「えっと、どういたしまして──」
俺を見るや否や、周りをきょろきょろしだしたかと思いきや。
「~~~~~~~~~~っ!!!」
ベッドから文字通り飛び起きて、その勢いで部屋を出ていってしまった。
「お、おい…………参ったな、これじゃあ合わせる顔がないな」
結局、その日は顔もまともに直視出来ずにいたので、別行動をとることにした。
と言っても、何もすることがないので、転移門をなんとなしに見つめていると、見慣れた黒ずくめのプレイヤーを発見した。
「キリト!」
「ん?おお、エミヤか」
「お前、一体どこで何をしていたんだ!?」
「落ち着けって。今から話すから」
そう言われて、荒い呼吸を整える。
場所は変わり、とあるNPCレストランで事の顛末を話すことにした。
「で、昨日はどうしてたんだ?」
「ええっと、俺がギルドに入ったのは知ってるよな?それの歓迎会をやってたんだ」
「ああ、そういうことか。ってか、そのギルドってなんだ?血盟騎士団?聖竜連合?」
キリトほどの実力者が入るギルドなんて、このくらいしかないだろうと思い、この2つに絞ってみたが、予想外の答えが返ってくる。
「……いや、下層プレイヤーたちが興したやつさ」
「ええ?何だってそんなとこに」
「素材集めの帰りに助太刀してやったら、そのままギルドに誘われてさ。それで、入団したんだ」
「そうか……。って待て。お前、自分のこと、どう説明したんだ?──まさか、虚偽の情報を言ったんじゃ」
「……フー、フー」
ヤツの態度が一気に崩れた。更に鳴らない口笛まで吹いてやがる。カマをかけたつもりだったのだが、ホントにそうなのか。
「おい」
「……ハイ。嘘付いてしまいました」
「はぁ、お前ってヤツはなんでこんなこと……」
最早怒る気力すら失せてしまった。
「いや、だって──」
「だってもヘチマもあるか。どうせ自分がビーターだと罵られるのが怖かったんだろ」
「うっ……」
キリトが何故分かった、と言うような顔をする。こちとら物心ついた頃から親友やっているのだから、彼の考えなんて手に取るように分かる。
「その選択にあーだこーだ言うことはしない。けど、これだけは言っておく」
「……」
「
「……」
「んじゃ、俺はそろそろ行くよ」
「……ああ」
そうして、俺は精算を済ませてレストランを後にした。
──自分の心の内に、言いようのない胸騒ぎを残して。
おまけ※長いです。
大河「おーっす!みんな元気ー!?タイガー道場出張版、始まるぞー!」
「っていうか、FateとSAOのクロスって割とあるあるじゃない?まぁ私が主人公なら文句無しなんだけど~」
「ああ、きっとキリト君を超える活躍をして、ヒロイン達のハートをぶち抜いてハーレム作っちゃうんだろーなー。いやだわ、私ったら罪なオ・ン・ナ♡」
主「いいえ、本編での活躍は一切ありません」
虎「……は?」
主「ですから、出番はないと──「嘘だーーー!!!」」
虎「Fateの顔たるこの私が出ないなんてどーゆー了見だってのー!有り得ないでしょーがー!くぁwせdrftgyふじこlp」
主「あー、一応言っておきますが、失踪はしません。次回もお楽しみに。それでは、また」