リボルブこと鷹弘がトードスツール・デジブレインと戦っている間にも、翔が変身した仮面ライダーアズールとストライプが
ロボットリンカーによって防御を固めて攻撃を耐え凌いでいたアズールであったが、戦況には徐々に変化が起きていた。
ポーンとナイトの挟撃を受け続けているアズールが、右膝を地に着けた。敵の連続攻撃で蓄積されたダメージは、既に限界を迎えつつあったのだ。
「このままじゃやられる!?」
「今更気付いたのかい? お前はここで終わりなんだよ!」
嘲るヴェインが、奪ったアズールセイバーで顔面を斬り上げる。それを受けてもロボットリンカーは健在であったが、直後にヴェインはトランサイバー中央のENTERアイコンをタッチした。
そしてトランサイバーに向け、音声入力を行う。
「ファイナルコード!」
すると、その声に答えるようにトランサイバーから音声が流れる。
《
突如、地面にチェスボードのような白と黒のマス目が浮かび上がると、アズールの全身に背後から出現したチェック模様のキングの駒のエネルギー体に取り憑かれ、拘束される。
身動きがとれなくなり、その隙にヴェインは軍刀とアズールセイバーで全身を滅多打ちにした挙げ句、首を蹴りつけた。
その必殺技によりアズールは後方に吹き飛ばされ、ついに仰向けに倒れ込んだ。
「がっ!!」
「あ……!」
電灯の陰に身を隠していたアシュリィが、思わず声を上げた。
するとそれに気付いたヴェインは倒れたアズールの胸を軍刀で斬りつけながら、高笑いしてアシュリィに呼びかける。
「良い事思いついたよ、よく見てな。君の目の前でさぁ! こいつの首を吹っ飛ばしてやるからぁ!」
アズールの腹を蹴ってうつ伏せにし、背を踏みつけて首筋にアズールセイバーを突き付けた。
それを聞いたアシュリィは目を見開き、思わず手を伸ばして懇願するように叫ぶ。
「ダメ……やめて!」
「もう遅い! 死ねぇぇぇ!」
ヴェインは容赦なく剣を振り下ろした。
そして、その直後。
「――ダメェェェ!!」
そんなアシュリィの叫びと同時に、ヴェインの下顎に突然身を反転して起き上がったアズールの拳が命中し、取り落した剣を奪い返された。
一瞬の出来事だった。ヴェインは何が起きたかも分からず、地面に倒れ込んだ。
「あ……あ?」
束の間の驚愕の後、ヴェインは即座に身を起こして臨戦態勢を取る。
今、自分は何をされた? なぜ倒れた? 殴られたのか? あの状況で? アズールセイバーも奪われている?
様々な疑問が彼の頭の中を駆け巡るが、最終的にはこの状況で一番も重要な、ただひとつの疑問に絞り込まれる。
なぜ、ロボットリンカーがあんな速度で動けるのか。
殴られた事など最早どうでも良かった。ただ、ロボットリンカーがあのスピードで動けるのには大いに疑問がある。あの姿は、スピードを犠牲にしてパワーと装甲に重点を置いた形態なのだ。
なのに、ヴェインですら認識できない速さを叩き出す事などあり得ない。あってはならない。
「お前……一体何をした!?」
軍刀をアズールに向け、ヴェインは叫ぶ。しかしアズールは何も答えない、ただ肩で息をしているだけだ。
というよりも、本人にさえ、たった今何が起きたのか分かっていないようだった。
さらに。
「あ、ぐっ」
アズールの両膝が地に付くと、ついに変身が解けてしまった。度重なるダメージで完全に限界を迎えたのだ。
「悪運が強いようだね。少し予想外の事も起きたが、まぁいい。何も変わらない」
何が起きたのか判然としないままトドメを刺すのは、ヴェインにとっては気持ちの悪い話だが、勝機ではある。
ゆっくりと近付き、ヴェインは翔の目の前で軍刀を振り上げる。
「今度こそ……死ね!」
もう翔には抵抗する手段など残されていない。そう思ってヴェインはその軍刀を、容赦なく振り下ろした。
だが、それでも翔は軍刀を持ったヴェインの腕を抱え込むように掴み、生身で攻撃を受け止める。
肩に刃が食い込み、血が伝って地面に滴り落ちた。
「ぐっ、う」
「……まだ動けるのかい。本当に往生際が悪いな、どの道自分が死ぬって事が分からないのか?」
「それでも……」
翔の腕と脚に再び力が入り、ヴェインはバイザーの奥で瞠目する。
「それでも僕は諦めない!」
「……意味がわからないね」
出血を顧みずに抵抗を続ける翔を見て、ヴェインが吐き捨てた。そして、今度は何も持っていない左腕を真上に掲げる。
今度は腕甲の爪で翔を斬るつもりだ。今度こそ、翔に抵抗する手段はない。
「これでもそんな事が言えるかぁ!」
振り上げられた爪が、翔へと向かう、その瞬間。
突然ヴェインの左側頭部に火花が散り、衝撃で体が吹き飛ばされた。
「あがっ!?」
悲鳴を上げ、ヴェインは地面を転がる。そして周囲を見回し、たった今何が起きたのかを突き止めようとする。
「ど、どこだ!? 誰が攻撃した!?」
狼狽しながら敵の正体を探るが、どこにもいない。しかし再び、今度は眉間に衝撃が走った。
瞬間、ヴェインは悟った。これは、長距離から自分を狙い撃っているのだという事に。
「く、くそっ!」
堪らず翔から離れ、ヴェインはチェスポーン・デジブレインを盾として身を隠した。
すると、徐々にエンジン音がこの戦場に近付き、高架道路にある男が姿を現す。
「誰だか知らねェが、そのデジブレインと仲良く一緒にいるって事は……敵ってワケだな」
リボルブだ。オラクルリンカーの状態でトライマテリアラーを駆り、ついに翔の援護をするために到着したのだ。
その右手に握られているのは、リボルブラスター。それも、新たなアタッチメントで変化したものである。
銃身と銃床のため全長が今まで以上に長く、上部にスコープが備え付けられており、さらに先端には
これがリボルブラスター・スナイプモードである。リボルブはこれを使って、遠距離から翔を援護しつつ、トライマテリアラーで接近していたのだ。
「静間さん……」
「随分やられてるじゃねェか」
怒りに満ちたリボルブの声。しかしその怒りは翔にではなく、ヴェインへと向けられている。
「下がってろ、後は俺がやる」
リボルブは高架から飛び降り、翔の前へ歩きながらそう言った。
しかし翔は再びマテリアフォンとマテリアプレートを手にすると、リボルブの隣に並び立った。
「僕だってまだやれます」
「……勝手にしろ」
溜め息を吐き、諦めたようにリボルブはそう言った。
そしてリボルブは、翔の変身を邪魔させまいと、リボルブラスターでヴェイン自身とその駒たちを牽制し始めた。
その隙に翔も、ブルースカイ・アドベンチャーのマテリアプレートを起動してアプリドライバーに装填する。
《ユー・ガット・メイル!》
「変身!」
《
風が吹き、長い銀色のマフラーがたなびくと共に、青い戦士が戦場に返り咲く。
アズールは右手を前に掲げ、剣を呼び出して握り込み、ヴェインに向かって疾駆した。
《アズールセイバー!》
「行くぞ、ヴェインコマンダー! 今度こそ負けない!」
「ふざけろ! また返り討ちにしてやる!」
ヴェインがポーンの肩を踏み台にして跳躍し、飛翔。アズールも空を飛び、剣と軍刀で鍔迫り合いとなった。
さらにヴェインは自分のスマートウォッチ型のアイテム、トランサイバーに手をかけると、四つのボタンの内一つを押した。
《
「ビショップ、出ろ!」
すると地上にチェスビショップ・デジブレインが出現し、ヴェインと地上の駒全てに強力な光の結界を貼る。
これで、ある程度ダメージを軽減する事が可能。しかも現在ヴェインの駒たちはカスタマイズされており、マジックバリアと装甲強化、戦闘AI強化によって戦闘力が向上している。
つまりリボルブがジェイルリンカーやダンピールリンカーにチェンジしようとも、この駒たちだけでもある程度対抗できるというわけだ。
「そぉらぁっ!」
「うわっ!」
さらに、ヴェイン自身も強大な戦闘力の持ち主だ。アズールひとりで容易に突破などできるはずもなく、軍刀によって地面に叩き落される。
「く……」
「おい、お前新しいマテリアプレートは使わねェのか」
いつの間にか背中合わせとなって、不意に、背中越しにリボルブが声をかける。
アズールは素直に「向こうはマジックリンカーの能力を防ぐバリアを使ってるんです」と答える。すると、リボルブは納得した様子で頷いた。
「だったらそのバリアを剥がしてやる」
「……できるんですか?」
「なんだ、俺の力が信じらんねェのか?」
質問を返すリボルブに、アズールはふっと微笑みつつ、ワンダーマジックのマテリアプレートを取り出して起動した。
「お任せします!」
《ワンダーマジック!》
空中戦に勝利し、図に乗って駒たちの方に戻ったヴェインを見ながら、アズールはプレートを装填する。
《ユー・ガット・メイル!》
「リンクチェンジ!」
《
ブルースカイリンカーを解いてマジックリンカーに変わったアズールが、マジックワンドを片手に炎の魔法を起動する。
《ワン・チェイン! ツー・チェイン! スリー・チェイン!》
「ハハハッ、バァカ! ボクらにそれは効かないって言ったろ!」
ヴェインに嘲笑われても、アズールはチャージを止めない。
《フォー・チェイン! ファイブ・チェイン! シックス・チェイン! セブン・チェイン!》
チャージが最大に近付いた瞬間、リボルブが動く。
殲血のダンピールのアプリをリボルブラスターに装填し、チェスポーンの背後にいるヴェインへと狙いを定めた。
《フィニッシュコード!》
「受けてみな、こいつは俺の反撃の狼煙だ」
《
長大な光線がリボルブラスターから放出され、それから主を守るように二体のチェスポーンが前に出て盾で防御する。
しかし護りきれず、散ったエネルギーがヴェインや他の駒たちにも降り注ぐものの、光の結界や装甲によってダメージは大幅にカットされた。
が、その瞬間。オラクルリンカーの遮断の能力が、ヴェイン及びポーン・ナイト・ビショップの光の結界とマジックバリアの効力を完全に消し去った。
《エイト・チェイン! ナイン・チェイン!》
「……んん? 何だ?」
《フル・チェイン!》
真っ先にヴェインが異変を察知したものの、時既に遅し。
アズールはマジックワンドから指を離し、最大までカタルシスエナジーが蓄積された炎の魔法を解放する。
「喰らえ!!」
《イッツ・ア・マジック! フル・チェイン・ファイア!》
十の巨大な炎の塊が、ヴェインたちを飲み込まんと飛んで行く。
ヴェインはそれを受け止めようとして、寸前にマジックバリアの消失に気付いた。
「なっ!? しまっ……」
炎はポーンの盾と装甲を溶かして全滅せしめ、ナイトの槍と鎧を燃やし尽くし、ビショップを一瞬で焼滅させる。リボルブのオラクルリンカーが初見であったが故の悲劇だ。
駒たちを指揮する立場であるヴェインも、負傷は免れなかった。ポーンらを盾代わりにしていたのである程度被害は少ないものの、両腕の爪が溶け軍刀を失っている。
「お前らぁぁぁよくもぉぉぉ!!」
怒りの叫びを上げるヴェイン。
リボルブは鬱陶しそうに左耳のある位置を押さえ、そのまま銃口をヴェインに向けた。
「うるせェんだよボケ。これで終わりなら、一気に決めさせてもらおうか」
「そうは行くかッ! クソ……クソ! こうなったら!」
再びヴェインがトランサイバーに手を伸ばし、三番目のボタンを押し込んだ。
《
勝てないと見てクイーンを呼ぶつもりか。そう思ったアズールとリボルブであったが、その予想は裏切られる。
ヴェインは空へと飛び、大きな声で叫んだ。
「キング! キィィィング!!」
キングだと、とリボルブは小さな声で言う。確かに今まで、キングの駒だけは自分たちと交戦した事はなかった。
だとすれば一体どんな敵なのか。マジックリンカーなどの対策をしているのは当然として、クイーンよりも強いのか。
チェスの内容に則っているのだとしたら最強の駒はクイーンという事になるが、ではなぜこの状況でキングを呼ぶのか。
アズールとリボルブが思考していると、上空のヴェインから声がかかる。
「こいつを呼ぶのは侵攻戦の時にするつもりだったけど、もういい! お前らのどんな抵抗も無意味になる方法で殺してやるよ!」
「ハッ、口先だけは達者だな。そんな事できるワ……ケ……」
転送されて来たそのデジブレインの姿を見て、リボルブは愕然とする。アズールも絶句している。
そこに現れたのが――全高約8mもある、マントを羽織り王冠を被った巨大な人型のロボットだからだ。
車で駆けつけた琴奈やエージェントたちも驚愕し、そんな場合ではないというのに鋼作は一瞬目を輝かせている。
圧倒的な巨体、最悪の展開。絶望がホメオスタシスを襲う。
「う、嘘でしょ……これと戦うんですかぁ!?」
「クソッタレめ、流石にこいつァ予想外だぞ……!」
リボルブも仮面の中で脂汗を流している。
確かにこの方法なら、マジックバリアを突破しようとロボットリンカーやダンピールリンカーのパワーで攻めようと、全く関係ない。ただ上から押し潰せるのだから。
では、何故ヴェインは今までチェスキング・デジブレインを出さなかったのか?
それは、この駒の修復には極端に時間がかかる上、他の駒と併用しているとやたらと動かし辛いからだ。一手誤れば味方を踏み潰しかねない。
また、市街地や山中でこれを出そうものなら、足場が崩れてむしろ不利になる。パワーはクイーンより上だがスピードも大した事はなく、小回りが利かない。
故にキングは最強にはなり得ず、クイーンに軍配が上がる。
だが、この状況でならば。
足場が安定した、見晴らしの良い戦いやすい地形で、他に駒がない。これならば、キングは最高の駒になる。
ヴェインはキングの肩に乗り、命令を下した。
「殲滅しろ、キィィィング!」
キングが指先を地面に向ける。その直後、指先からビームが放たれ、地上のアズールとリボルブを攻撃した。
「うわぁぁぁ!」
「がぁぁぁ!?」
被弾はしなかったものの、爆風に巻き込まれ吹き飛ばされる二人。
直後、ドシンという足音が断続的に響き、アズール及びリボルブの方に向かう。
「そ、そんな……どうしたら……!」
「……アズール、お前アイツの肩にいるストライプを狙えるか?」
リボルブに問われ、ひとまずアズールは「攻撃するだけなら、なんとか」とだけ答えた。
するとリボルブも頷き、リボルブラスター・スナイプモードの照準をヴェインに合わせる。
「攻撃すればヤツの指令にも乱れが出る、そして倒せばキングも消えるはずだ。マトモにやり合う道理はねェ、だろ?」
「……なるほど! 分かりました!」
リボルブから出されたのは、至極単純な攻略法。だが、最適解であった。
アズールはわざわざキングに立ち向かう必要がないという事を見落としていたのだ。本体は、あくまでもヴェインなのだから。
そしてマジックワンドを岩の魔法に切り替え、前進しながらチャージを開始した。
「行くぞ!」
《ワン・チェイン! ツー・チェイン! スリー・チェイン!》
「今だ!」
《イッツ・ア・マジック! スリー・チェイン・ストーン!》
アズールが杖を掲げると同時に、キングの右の足元から石柱が伸び、転倒させんとする。
慌てたのは肩に乗るヴェインだ。
「おおっ!?」
結局転倒せずに体勢を整えたが、隙は生まれた。
アズールはワンダーマジックを引き抜き、別のマテリアプレートを起動、装填する。
《ユー・ガット・メイル!》
「リンクチェンジ!」
《
「行くぞぉ!」
《アズールセイバー!》
剣を取り、飛翔してヴェインの立つ場所を目指すアズール。
しかしその狙いに勘付いたヴェインは、すぐさまキングへと指示を飛ばした。
狙うのは――。
「荷電粒子砲、チャージ開始!」
口部に備わった装置が稼働し始める。キングのスピードは大したものではないので、アズール ブルースカイリンカーに当てるのは困難だろう。
だが、アズールはここで奇妙な違和感を持った。
ヴェインもキングも、自分を見ていない。ではリボルブを狙っているのかと思えば、そうでもない。リボルブのいる高架下ではなく、木の並ぶ公園付近を見ている。
そう、アシュリィのいる場所だ。
「まさか!」
それに気付いたアズールは、スピードを上げてアシュリィの方に向かう。
アシュリィもキングが自分に照準を合わせているのに気付いてはいるものの、仮面ライダーたちに比べ格段に脚が遅い。
生身では辛うじて命中を避けたとしても、余波による致命傷は避けられないだろう。
「やめろぉぉぉ!」
間に合わない。そう判断したアズールは、全身でキングの荷電粒子砲からアシュリィを護ろうとする。
それこそがヴェインの狙いだった。非戦闘員を狙えば、迷わず殺されに来るだろうと。最初からアシュリィを狙う気などなかったのだ。
チャージは完了した。後は、ただ命ずるだけだ。
「撃てぇぇぇ!」
キングの口部から、荷電粒子砲が発射される。
その瞬間、無数の銃声と共にキングの体が大きく後ろに傾いて倒れた。
「へぇっ?」
危うくキングの肩から落ちかけたヴェインが、マヌケな声を発する。
見れば、高架下にいたはずのリボルブがオラクルリンカーからジェイルリンカーに切り替え、ジェイルターレットと共に接近してキングの足元を一斉射撃しているではないか。
そのせいで後ろに体重のかかったキングは上空を向き、そのまま明後日の方向へと荷電粒子砲が放たれたのだ。
「アズール、今だ!」
その呼びかける声と同時に、アズールは剣を振り上げ、体勢を崩したヴェインへと剣を振り下ろした。
「そぉりゃあああっ!」
「ナメ……るなぁっ!」
ヴェインは咄嗟に拳を突き出し、アズールセイバーの攻撃を受け止める。
そして同時にキングへと指示を飛ばすと、アズールの体をその巨大な右手で握り込ませた。
「ぐぁっ!?」
「しまった……アズール!」
助け出そうと射撃攻撃を放とうとしたリボルブだが、それはキングの左手の指先から出るビームで阻止される。
「もう遅い! このまま……首からブッ千切れろぉ!!」
アズールの体が、キングの手で絞め上げられる。
まるで全身を巨大な万力で圧し潰されているかのような痛みに、アズールは悲鳴を上げた。
このままではアズールが殺される。リボルブは再び彼を救出するため、動き出した。
《ユー・ガット・メイル!》
「リンクチェンジ……!」
《
「オラァッ!」
《バーサーキング!》
ダンピールバンカーの十字架を押し込み、リボルブ ダンピールリンカーは疾走する。
途中で襲いかかるビームは盾で防ぎ、防げずともひたすらに前進し続ける。
「ぐ、おおおっ……!」
「チッ、だったらお前も始末して……!?」
ヴェインがリボルブの方へと飛び立とうとした瞬間、突然超音波がその耳を襲う。
「うぐぉぉぉっ!?」
頭を抱え、ヴェインは膝をつく。
琴奈の放ったドルフィンタイマーが妨害したのだ。さらにフォトビートルが周囲を飛び回り、撹乱する。
「えぇい、鬱陶しい!!」
ヴェインが二本目の軍刀を出し、まるでハエ叩きのようにブンブンとフォトビートルに向かって振り回し続け、勢い余って放り投げてしまった。
そして、その切っ先はキングの親指の関節部に突き刺さる。
「あ」
ヴェインが間の抜けた声を上げた。
そして、その一瞬の隙と勝機をリボルブは見逃さなかった。
リボルブはその軍刀を思い切り捩じ込み、キングの親指を斬り落としたのだ。
「し、しまったぁぁぁっ!?」
キングの力が緩み、さらにリボルブは両手でキングの右手をこじ開けようとする。
だがキングもただ見ているだけではない。自分に被弾するのも構わず、指先からビームを発射した。
それでもリボルブは手を緩めない。背中に攻撃を受けようとも、アズールの救出を優先する。
さらには、装填済みのアプリを押し込み、必殺を発動した。
《フィニッシュコード!》
「これで……」
《
「どうだ、オォォォラァァァッ!!」
カタルシスエナジーと共に両腕に力を込め、キングの右手を精一杯に広げる。
そうしてついに、アズールは完全に拘束から解放された。
それを確認すると、リボルブは仮面の奥から勝ち誇ったような声を絞り出す。
「へ……やって、やったぜ」
キングの胸の上で、リボルブが自ら変身を解く。
バーサーキングと必殺の発動によって、体力を大きく奪われたのだ。このまま続けていれば意識を失っていただろう。
アズールは鷹弘に肩を貸し、フォトビートル・ドルフィンタイマーと共にすぐさま距離を取った。
「静間さん……ありがとうございます、ゆっくり休んで下さい」
アズールは息の荒い鷹弘をそっと放し、キングとヴェインの方を睨みつけるように振り返った。
キングは既に立ち上がっており、ヴェインもその肩に乗っている。戦闘態勢だ。
それと同時に、陽子から通信が届いた。
『お待たせ翔くん! 最後の一つ、クイーンにも勝てるとっておきが完成したわ!』
「転送お願いします!」
『オッケー! それじゃ、行っちゃって!』
その言葉と共に、アズールはアプリウィジェットに追加されたプレートを起動した。
《ギガント・エクス・マギア!》
電子音声を聞いて、琴奈はぎょっと目を見開く。
ギガント・エクス・マギア。魔法仕掛けの巨神を意味するそのアプリは、現在アニメが放送されている程の人気タイトルなのだ。
地球に似た惑星に突如飛来した異星の怪物に対抗するため、古代の巨神の遺体を発掘してそれに乗り怪物と戦うという内容。
ゲーム的には、魔石というアイテムを消費してカードを入手し、巨神を手に入れるというものだ。また、巨神の中には三種類の姿に変身できるモノもいる。
実は琴奈もゲームのファンなのだ。
アズールはそのマテリアプレートを、すぐにアプリドライバーへと装填した。
《ユー・ガット・メイル! ユー・ガット・メイル!》
すると、アズールのウォリアー・テクネイバーとの合体が解け、代わりに背後からキングと同等の巨体を持つ紫色の装甲を持つテクネイバーが現れ、キングを殴り飛ばした。
胸にライオンの顔、背中に隼の翼を背負うその巨神は、ギガス・テクネイバーだ。アズールはその姿を見上げつつ、マテリアフォンをかざした。
《
直後、ギガス・テクネイバーの体が分解され、跳躍したアズールの体と合身する。
《ギガント・アプリ! 巨大なる破壊神、インストール!》
合身に成功した時、アズールは紫色の球形の空間の中にいた。そしてその中に備わったホログラフモニターから、眼前にいるキングを睨みつけている。
仮面ライダーアズール ギガントリンカー。その姿はギガス・テクネイバーと同様に獅子の頭部と隼の翼を持ち、長い尻尾を生やしている、巨大な神の如きロボットだ。
青いボディカラーをベースに、紫色の装甲で体の各所をプロテクト、頭部には金色の角が輝いている。
その姿を見てヴェインは一瞬動揺するも、すぐに強気になって「なんだそんなもの」と言い放つ。
「キング! やれっ!」
命じられるまま、キングは両手をギガントリンカーに向かって伸ばし、掴みかかる。
アズールもそれに応じ、コクピットの中で同じように両手を振り上げて、キングの両手を掴んだ。
手四つだ。アズールとキングは互いに手を押し合い、握り合って競う。さらには頭と頭をぶつけ合った。
ギリギリギリと、しばらくそうして競り合っていると、先にキングの右腕が軋みを上げ始め、そのまま圧し曲げられてしまう。
「あ……ああっ!?」
思わずヴェインが声を上げ、キングが先に手を離して後ろに下がる。
その瞬間を狙っていたかのように、アズールは右手にハンマーとバズーカが一体となった武装、大槌砲『ギガントストロンガー』を握った。
「そりゃあっ!」
アズールはそれを上段から思い切り振り被り、キングの頭を潰した。
これで荷電粒子砲は撃てない。
「そ、そんなバカな!? キングが押し負けるハズが……!?」
ヴェインは驚いているが、これは当然の結果である。
何故なら、陽子は最初からこのリンカーをキングとの対決ではなく、クイーンとの対決を想定して調整しているのだ。
圧倒的なパワーで上から押し潰し、なおかつ巨体ながらスピードもクイーンに追い付ける。最強の駒の打倒を目指しているのだから、キングの上を行くのは当然だ。
「まだまだ行くぞ! モードチェンジ!」
アズールが叫ぶと、ギガントリンカーが跳躍し、その姿が四足の獣に変形する。
鬣を生やして吼えるその姿は、ライオンだ。これは、ギガントリンカーの三種の形態の内のひとつ、獣神モードだ。先程までのものは巨神モードである。
この形態では手が使えないためギガントストロンガーを持つ事はできないが、代わりにハンマーを背負って叩きつける事はできる。
「せやあああ!」
怯んでいるキングに、素早く牙と爪とハンマーの連撃を浴びせる。そのパワーは巨神モードを上回っており、キングの装甲をズタズタに引き裂いた。
それもそのはず、獣神モードは射撃武装が一切使えない代わりに白兵戦に特化した形態なのだ。
さらに畳み掛けるように、アズールは跳躍してもうひとつの形態へとチェンジする。
それはまさしく翼を広げた疾き隼、鳥神モード。飛行形態であり、そして射撃特化の姿だ。
「喰らえ!」
翼の先端に備え付けられたバルカン砲から無数の弾丸を放ち、地上のキングを圧倒する。
さらに、背にはバズーカ砲。上空へ一気に飛翔した後、キングへ向けて発射した。
「く……ナメるなぁ!」
しかし、これは半壊している右腕を犠牲にして弾かれ、逸らされた。
「クソ、クソォッ! キングがここまで損傷するなんて……!」
計算外だ、とばかりにヴェインは憤る。
しかし、この展開はある意味当然の事で、今までのリンカーと同様にアズールのカタルシスエナジーの出力がダイレクトに反映されており、その分だけ戦闘能力も増大しているのだ。
とはいえ流石にこのまま自分だけ攻撃を受け続けるワケにはいかない。ヴェインはキングに命じ、指先からビームを打たせる。
だが、アズールも空中を飛び回ってそれを回避し、もう一度巨神モードに戻って真っ直ぐに落下する。
「行くぞぉぉぉ!」
《フィニッシュコード!》
アズールがドライバーのプレートを押し込み、必殺の態勢に入った。
それを察知したヴェインは、顔を青くしてトランサイバーに手を伸ばす。
「ま、まずい!」
焦っている間にも、アズールは必殺の準備を完了した。ギガントストロンガーを構え直し、バズーカモードにしている。
バズーカにエナジーをチャージし、必殺を放つつもりだろう。だが、ヴェインも入力を終えていた。
《
「よし、これで!」
その瞬間、キングの姿が消失する。
ヴェインの最後の能力、それは駒の送還だ。これによって損傷した駒たちを全壊する前に修復させる事ができるのだ。
後は、この場から逃げるのみ。こんな状況でマトモにやり合う必要などない、このままゲートを開いて逃げてしまえば、アズールの必殺は無駄撃ちとなるのだ。
ほくそ笑みながらヴェインは翼を広げ、その場から飛び去ろうとした。
しかし、その時。
《フィニッシュコード!》
「……え?」
《
地上から高速で何かが飛んで来たかと思うと、ヴェインの左翼が鋭く貫かれた。
それの正体は、フォトビートル。鷹弘が起動用の擬似プレートを引き抜いて、代わりに自分のマテリアプレートを装填し、投擲したのだ。
見事命中し、ヴェインはバランスを乱してふらふらとその場で滞空する。
そして、その真上から落下してくるアズール。見上げれば自分を狙う銃口。
《
「ち、ちくしょう……」
「これで終わりだぁぁぁ!」
「ちくしょおおおおおお! うわあああああっ!」
バズーカから巨大なエネルギー弾が発射され、爆発と共にヴェインは地上へと叩き落された。
「や……やった、やったぞ!」
車の中で、鋼作が声を上げる。続いて、琴奈が中から出てきて両腕を上げた。
「やったわ、バンザーイ! ついにストライプを倒したのね!」
ホメオスタシスのエージェントたちの間で、喜びの波が広がって行く。
アズールもゆっくりと地上に降り立って変身を解き、ふらつく体を駆けつけたアシュリィによって支えられた。
「ありがと、アシュリィちゃん」
「……別に」
プイ、と視線を背けるアシュリィ。翔はニコリと笑い、しかし直後にヴェインが落下した地点を注視する。
鷹弘も同じくその場所を見つめていた。一瞬、クレーターのできあがったそこで何かが動いた音がしたのだ。
「く、くそ……まだだ……」
クレーターの中心から声がし、もうもうと舞う砂煙の中から、這うようにしてその人物が姿を現す。
それを見て、翔も鷹弘も愕然とした。アシュリィも「え?」と声を発し、鋼作や琴奈も「ええっ!?」と驚きの声を発していた。
「ボクはまだ負けてない! まだ完全に手を出し尽くしたわけじゃないぞ、クイーンだって直るんだ! ボクは……天才なんだ!」
そう言ったストライプの姿は、軍服の巨人――ではなかった。
端正な顔立ちだがまだ10歳にも満たない、くりくりとした金髪が特徴的な小さな男の子だ。
軍帽は被っておらず、軍服ではなく白のワイシャツとサスペンダーが付いた黒い短パンを履いている、釣り上がった目の少年なのだ。
一瞬別人と入れ替わったのかと全員が疑うものの、彼自身の言動と左腕のトランサイバーが本人である事を証明している。
すると、彼らの視線に気付いたのか、少年は自分の体を見下ろす。
そして明らかに焦燥したように悲鳴を上げた。
「し、しまった……アバターモードが解けてる!?」
直後に少年は顔を上げ、強気な口調ながらも一歩ずつ後ろに下がって行く。
「く、くそぉっ! 見るなよ、ボクを見るなぁ! こんなはずじゃないのに!」
「なんというか……」
明らかに困惑した様子で翔は声を絞り出して、鷹弘に視線を向ける。
彼も驚いており、未だに信じられないものを見たとでもいうように瞠目していた。
「俺ら、こんなガキ相手に躍起になってたってェのか? マジかよ……」
「ガキじゃない! ボクは……ボクはぁ! 天才なんだぞ! チェスで負けた事なんて一度もないんだ!」
「チェス?」
何の話をしているのか鷹弘には分からなかったが、ともかく彼を放置するワケには行かなかった。
「そんなんじゃもう抵抗もできねェだろ。大人しく一緒に来い」
「嫌だ、嫌だぁ! こんなのボクの『現実』じゃない! ボクは、ボクは願いを叶えるんだ! ボクの『理想』の城を造らなきゃいけないんだよ!」
「……? さっきから何言って……」
泣いて喚き、明らかに錯乱状態の少年を訝しみつつ、鷹弘と翔は一歩近付く。
しかしその時、少年と二人の間に巨大な槍が降って来た。
「うおっ!?」
「なんだ!?」
見れば、槍の頂点には何者かが立っている。
左腕に少年と同じくトランサイバーを装着した、赤茶色の髪の宗教家風の男。文字が支離滅裂に敷き詰められたカソックを纏う人物。
その姿を見上げ、少年は声を発する。
「ヴァ……ヴァンガード」
「よう。負けちまったのかよ、お前」
「ち、違う! ボクはまだ負けてない……!」
「だよなぁ。そんじゃあさっさと撤退しな、とりあえずここは任せろ」
言われて少年はトランサイバーのENTERアイコンを押し、音声入力でゲートを開く。
振り向きながらそれを確認したヴァンガードは、消失し始めた槍の上から飛び降りて翔・鷹弘の前に立った。
「初めまして、で良かったよなぁ? 俺の名はヴァンガード。アイツと同じCytuberの一人だ」
「テメェもかよ……一体何人いやがる」
うんざりだ、とでも言いたげに鷹弘が吐き捨てた。
するとヴァンガードはケラケラと笑いながら、睨みつけて来る鷹弘に「安心しろよ」と言い放つ。
「俺たちCytuberは666人いるが、全員が全員このトランサイバーの所持者ってワケじゃない。大抵はただの人間世界のスパイだ。これを持ってんのは選ばれた七人だけさ」
「自慢のつもりか? そもそもテメェら、どうやってマテリアプレートを利用する技術を手に入れた。このベルトもそうだ」
鷹弘はそう言って、廃工場で入手したベルトを見せる。
「おぉ、そいつはガンブライザーだな。マテリアプレートも返してくれよ、二人共持ってんだろ?」
「返せるワケねェだろ、こんな危険なモン。っつーか、テメェまさか見逃して貰えると思ってんじゃねェだろうな?」
言いながら、鷹弘は再びアプリドライバーを呼び出す。翔も同じく呼び出そうとするも、それはアシュリィに止められた。
既に体は限界に近い、これ以上の戦闘は危険だ。翔自身もそう判断したので、渋々マテリアフォンをポケットにしまう。
鷹弘はデュエル・フロンティアのアプリを取り出し、変身を開始する。
《ユー・ガット・メイル!》
「変……身!」
《
「ブッ潰してやる……!」
そう言って拳を突き出すリボルブだが、彼も既に限界が近い。
しかし、皆が逃げるだけの時間を稼ぐ程度の事ならできる。そのために変身したのだ。
「そうかい、じゃあ」
ヴァンガードの口元から笑みが消える。
そして、彼は懐から一枚のマテリアプレートを取り出し、起動。さらにそれをトランサイバーに装填した。
《フラッド・ツィート!》
「痛い目に遭わせてやるよ」
《アイ・ハヴ・コントロール! アイ・ハヴ・コントロール!》
ストライプの時と同様、エレキギターを掻き鳴らすような音とドスの利いた声が響き渡り、奇妙な姿のデジブレインが姿を見せる。
全身に拘束具を装着しているため、やはり正体は判然としないが、下半身に鱗のようなものがチラチラと見えている。
「
ヴァンガードがENTERアイコンを指で押し込みながら音声入力すると、拘束具の怪物と一体となり、全身が泡立ってモザイクで歪んでいく。
《
ストライプのヴェインコマンダーを蝙蝠とするなら、その怪人の姿は蛇と呼ぶのが相応しいだろう。
爬虫類特有のぬらぬらとした光沢がある紫色のボディは、まるで鱗のように全体にびっしりと文字が刻まれている。
顔は艶めかしくも不気味なヴェネチアンマスクのものであるが、顔の上半分はコブラの形をした緑色のバイザーで覆われており、さらに唇には二本の毒牙が覗いている。
そして両方の掌に、どういうわけか穴が開いている。それが何を意味するのか、見ている二人には図りかねていた。
「これが俺の姿……"羨望"の化身、ジェラスアジテイター参上! ってとこかぁ?」
両腕を天に掲げ、まるでヒーローのように決めポーズを試し試し作るジェラスアジテイター。
その姿を見て苛立ちを募らせ、リボルブは容赦なく頭を狙って発砲した。
すると何に邪魔される事もなく弾丸がジェラスの頭に命中し、火花が散る。
「あでっ」
「フザケてんじゃねェぞコラァ!」
リボルブが疾駆し、翔たちに逃げるよう合図を出した。
それを見た翔がパルスマテリアラーでアシュリィや鋼作・琴奈ら車に乗るホメオスタシスたちと共に逃走するのを確認してから、リボルブはジェラスに拳を振り被った。
「オラッ! オラァァァッ!」
「ぬおっ、と! 中々好戦的じゃねぇか」
「余裕ぶっこいてんじゃねェ!!」
そう言ってリボルブラスターをジェラスに向け、引き金を引こうとする。
だがその瞬間、ジェラスは自身のトランサイバーに手を伸ばし、ボタンをひとつ押した。
《
トランサイバーがその音声を発すると同時に、リボルブラスターの先端で「パンッ」と弾ける音が響く。
すると、リボルブの銃を持つ右手に爆発が起こった。
「ぐおっ!?」
驚き、爆炎でリボルブラスターを取り落してしまうリボルブ。
今、何が起きたのか。ジェラスの攻撃の正体が分からなかった。
「もう一発行くぞぉ?」
《
同じ音声が聞こえ、リボルブは爆発を警戒して咄嗟に両腕で胴と顔をガードする。
だが、今度は弾ける音と同時に頭上から巨大な岩石が降って来た。
「なっ!?」
これは直撃せず、腕で受け止める事ができた。
だが、その隙にジェラスは接近し、リボルブの顔を拳で殴り抜いた。
「がァッ!?」
「ハハハッ! 俺の勝ちだな」
リボルブの変身が解除され、鷹弘は地面に倒れ伏す。その瞬間に、ガンブライザーも落としてしまった。
それを見て満足した様子でジェラスは笑い、マテリアプレートの入ったガンブライザーを拾い上げて自身も変異状態を解除した。
「とりあえず今回は挨拶代わりだ、また遊ぼうぜぇ」
「……見逃すってのか」
「まぁな。俺にも色々、欲望と目的があるんでねぇ……『ゲート』」
音声入力と共に、空間が歪む。そしてヴァンガードはその場から消えてしまった。
「畜生が……!!」
一人残された鷹弘は、地面に拳を叩きつけ、己の無力を噛みしめるのであった。