仮面ライダーアズール   作:正気山脈

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 夜、帝久乃市のビル街の屋上にて。
 一人の男が、地上を見下ろしていた。
 誰もが皆な日常を謳歌し、些細な諍いが起きる事もなく、平和に暮らしている。。

「……」

 男はフードのついたコートを羽織っているため、目元や鼻などが影に隠れており、その素顔は窺い知れない。
 しかし、明らかにその内側にある表情は、怒りで満ち溢れている。

「ブッ壊してやる、こんな世界」

 その言葉と同時に、男の姿は消える。


File.05[天獄変]
EP.51[そして楽土に至る]


 ――1月11日の帝久乃市。

 冬休みが明けて最初の授業が終わり、太陽を背にして放課後の道路を学生たちが闊歩する。

 その学生たちの中には、当然翔の姿もあった。

 

「今日は久々の授業だったねー。皆、どうだった?」

 

 彼と共に歩くのは、兄である響や友人の鋼作と琴奈だ。

 鋼作と琴奈は、げんなりとした様子で翔を振り向く。

 

「だるい」

「ほんとにそう。だっっっるい」

「なー、マジでなー。勉強がイヤとかそういうんじゃなくて……なんか夏休みやら冬休みが終わってからの授業ってだるいんだよな」

「ねー。こたつ入ってゆっくりしたいねー」

 

 そう言って、二人は深く溜め息をつく。

 響と共に苦笑しながら話を聞いていた翔だったが、ある事実に気付いて首を傾げた。

 

「あれ? 琴奈さんの家ってこたつありましたっけ?」

「え? あぁそっか、こたつは鋼作の家だった」

 

 あっけからんと笑う琴奈と鋼作。

 しかし、天坂兄弟はこの事態を一大事と認識し、ヒソヒソと話し始める。

 

「この二人、いつの間にそんなに仲良く……?」

「うぅん、分からん。元々仲は良かったと思うが、確かに心なしかいつもより距離感は近い気がするな」

「冬休みの間に何かあったのかな」

 

 そんなとりとめのない事を話している間に、彼らは目的地であるそれぞれの自宅に近づいていく。

 鋼作たちに別れを告げ、翔は鍵を開けた。

 すると、響が思い出したように「あっ」と声を上げる。

 

「すまん翔、実は後で出かける事になってるんだ」

「あぁー……もしかして面堂さんのところ?」

「そうだ」

 

 ゆっくりと頷き、響は見るからに胸を躍らせている様子で笑顔を浮かべる。

 

「実は彩葉さんだけじゃなく、彼女の両親も一緒に夕飯に行く事になってな」

「へぇ、良かったじゃん! じゃあ、あの人を『姉さん』って呼ぶ日も遠くないね?」

「そ、それは気が早いぞ翔」

「そんな事言って、本当は嬉しいクセに」

「むむむ……とにかくそういうワケだから、今日は夜に帰る事になる」

「オッケー。楽しんで来てね」

 

 照れ笑いしながら、響は扉を開いて翔と共に家に入った。

 すると、すぐに三人の少女が出迎える。アシュリィとツキミとフィオレだ。

 

「おかえり。ショウ、キョウ」

「お兄様! 今日も良い子にしてましたわ、褒めて下さいまし!」

「翔兄ちゃーん、後で一緒にゲームしよー?」

 

 にへらー、と八重歯を見せながらそんな提案をするフィオレを押しのけ、アシュリィは頬を膨らませながら翔に抱きつく。

 まるでフィオレから翔を守ろうとしているかのようだ。

 

「フィオレ姉さん、最近ベタベタしすぎ」

「ええ~。良いじゃんちょっとくらい、別にアシュリィから取り上げるつもりなんかないって」

「あらあら、うふふっ」

 

 三姉妹が集まり、まさしく姦しく喋り合う。

 翔は、そんな彼女らの様子に苦笑しつつも手を挙げ声をかけた。

 

「あの~……とりあえず中に入れさせて……?」

 

 その後。

 夕飯を摂り終えて風呂も済ませ、四人はモンスターハンティング系のゲームに興じる。

 アシュリィは翔と会った頃からゲームを始めているためある程度上達しているが、ツキミ・フィオレはそうではない。

 なのでプレイスキルにどうしても差があるものの、三人にとって師匠である翔がその穴をカバーしている。

 

「あっ、やば! 誰か回復を……」

「はい回復」

「わお! 流石翔兄ちゃん!」

「尻尾は私にお任せを」

「お願いツキミちゃん。アシュリィちゃん、閃光残ってる?」

「今使ったよ、これで品切れ」

「オッケー。じゃあこれで仕留めよう」

 

 そうして四人で協力プレーをしている内に、モンスターを倒してレザルト画面に移る。

 すると、フィオレが両手を上げて歓喜の声を発した。

 

「やったー! やっとこのドラゴンからタマが出たー!」

「待って待って待って。フィオレちゃん、タマじゃなくて(ぎょく)。宝玉ね?」

「えータマで良いじゃん。二つ出てるし金色で光ってるし」

「ダメです! 違います! っていうか金じゃなくて黄色だからそれ!」

 

 慌てて指摘する翔の横で、ツキミがくすくすと含み笑いをする。

 

「お姉様本当にお好きですのね、タマタ――」

「ツキミちゃんもはしたないからやめなさい!! もー、ツッコミが追いつかないよぉー……」

「あらあら、お兄様ったら女の子に『突っ込み』だなんて。うふっ」

「そういう事じゃないからね!?」

 

 翔がそんな反応を示すと、二人は無邪気に笑顔を見せる。

 一緒に生活する事になってから、ツキミとフィオレは翔にすっかり懐いていた。無論肇や響にも家族として仲良く接しているが、翔に対しては特に好意を見せている。

 彼の作る料理が美味であるというのも理由のひとつだが、基本的に翔は面倒見が良い上に世話焼きなのだ。

 なので必然的に接する機会が多くなり、彼女らの方からスキンシップを取る事も増えている。

 さらに、アシュリィの様子にも変化があった。

 

「ショウ」

「ん、何?」

「私まだタマ出てない」

「宝玉ね!?」

「ふふ……冗談だよ」

 

 クリスマス以降、このように冗談を飛ばしたり翔へ素直に笑顔を見せる事が増えたのだ。

 呆れつつも、翔は楽しそうな彼女らを見て笑みを浮かべる。

 

「幸せだな……」

 

 何気ない日々。嫌な事を忘れられる時間。

 翔にはとても心地が良かった。愛するアシュリィや、響と肇と過ごす時ももちろん、新しい家族であるツキミやフィオレと遊ぶのが楽しいと思えた。

 たとえ、それが彼にとっていつもの事(・・・・・)だとしても。

 

「でも今日はここまでにしよっか。さ、皆寝るよー」

『はーい』

 

 三人が声を合わせ、それぞれ就寝の準備を始めた。

 

 

 

 翌日。

 翔はベッドの上からゆっくりと身を起こし、大きく伸びをして素裸の上半身を布団から晒す。

 その隣では、アシュリィが眠っている。同じく裸体を晒しており、肢体には小さく赤いシミのように見える吸い痕が点々と残っていた。

 布団の外の冷気を感じると、アシュリィはブルッと身を震わせてから目を開く。

 

「ショウ……さむい」

「ふふ、ごめんごめん。おはよう」

「おはよ」

 

 小さく頷くアシュリィの額に口づけをし、翔は「ちゃんと着替えなよ?」と言って微笑み、寝間着を着直してから部屋を後にする。

 

「さて」

 

 洗面台の前に立ち、鏡を見る翔。

 いつも通りの黒い髪、いつも通りの青みがかった瞳。

 蛇口から水を出して顔を洗い、口内を濯ぎ、再び見上げる。すると翔は、はだけたシャツから覗く胸の付近に違和感を覚えた。

 と言っても大きな目立つ傷があるというのではない。

 

「あっ」

 

 赤いアザ、というよりも吸い痕がある。しばらくは元に戻らないだろう。

 幸いにも今は冬なので、クラスで誰かに見られる心配はない。洗面所から出た翔は、朝食の準備に取り掛かる。

 次第に響やアシュリィも部屋から出、ツキミとフィオレも起きて来る。肇はまだ帰っていないようだ。

 雑談をしながら手を合わせて、五人は朝食にありつく。

 

「三人で住んでた頃だったら、今でもおせち余ってたんだけど。今年からはもっと作らなきゃいけないかな」

 

 翔は楽しそうに笑い、箸を進める。

 朝食を済ませると、翔と響は学生服に着替えて学校に向かう準備をする。

 そして鞄を持って玄関前に立つと、アシュリィはそっと翔の前に近づいて、彼の両肩を手にかけて背伸びをする。

 

「ショウ、いってらっしゃい」

「うん。いってきます」

 

 小さく唇の触れ合う音が鳴り、二人は照れながら微笑む。

 その後、ツキミとフィオレに茶化されるアシュリィに手を振って、翔たちは通学路に向かった。

 

「……なんというか。まるで新婚みたいだな」

「まだ学生だけどね」

 

 あはは、と嬉しそうに笑う翔。

 すると響は「そういえば」と切り出して、鞄の中からN-フォンを取り出した。

 

「新婚で思い出したが、静間さんから連絡があってな」

「なに?」

「二月に結婚が決まったそうだ」

「えっ、ほんとに!?」

 

 響は頷き、画面を見せる。

 そこには左手の薬指に指輪をはめて瞳を潤ませながら微笑む陽子の姿と、その右隣で号泣している彼女の父親、そしてそれを大笑いしながら見ている母親の姿があった。

 陽子の左側には鷹弘も座っており、柔和に微笑んでいる。

 

「じゃあ皆でお祝いしないとね!」

「フフッ、そうだな」

 

 楽しみが増えた、というような笑顔で翔も響も歩き続ける。

 途中で鋼作・琴奈とも合流するが、正門まであと少しというところで翔のN-フォンからメッセージの着信音が響く。

 

「うん?」

 

 アシュリィたちだろうか、と思って手に取り確認する翔。

 相手は、自分の知らない人物だった。名前には『F』と記載されている。

 Fからのメッセージは、以下のようなものであった。

 

『本当にそれで良いのか?』

「……なんだこれ?」

 

 首を傾げる翔。きっとスパムや詐欺の類だろうと思い、メッセージを削除して校舎に急いだ。

 

 

 

『本日の激熱大陸が密着取材するのは、国境を跨いで活動する医師、金生 樹さんです。この方は……』

 

 帝久乃学園の昼休み。

 クラスの男子生徒たちが見ている動画から流れる音声を聞き流しつつ、翔は男女を問わず友人と共に食事を摂っていた。

 その途中、再び着信音が鳴る。

 

「……また?」

 

 再度、翔は確認する。やはりFという人物からだ。

 

『お前はこのままでいるのが正しいと思っているのか?』

 

 文面を確認して、翔は眉をしかめながらまた削除する。

 何が何やら意味が分からない。どうせイタズラなのだろうが、一体この人物が自分の何を知っているというのか?

 翔はそう思いながら、卵焼きを口に運ぶ。

 

「そういえば天坂、年末年始どうしてた? やっぱテレビ見てたのか、それともゲーム?」

「えっ? えーっと」

 

 記憶を遡る翔。

 1月10日は、友人である伊刈 律が仲間と共にミュージシャンとしてメジャーデビューが決まったので、栄 進駒やアシュリィたちと一緒にそのお祝いに行った。

 9日には特に何もなく、8日・7日・6日・5日は家族皆で温泉へ旅行に出掛けていた。

 4日・3日は鷹弘や翠月や浅黄など普段お世話になっている者たちに挨拶して回ってついでにお年玉を貰い、2日は初詣だった。

 そして、1月1日は――。

 

「……あれ?」

 

 思い出せない。

 自分が何をしていたのか分からない。

 

「どうしたの?」

 

 ハッと顔を上げて、友人を見る。

 翔は心配させまいとして笑顔を取り繕い、首を横に振って「なんでもないよ」と言った。

 

「多分ゲームしてたよ、皆で」

 

 まるで自分自身に言い聞かせるように、翔は告げる。

 するとクラスメイトたちも納得して、それ以上何も尋ねない。翔もとりあえずそれで安心した。

 だが、心の中に芽吹いた違和感を、完璧に拭い去る事はできなかった。

 

 

 

「うーん……」

 

 いつもの帰り道、いつもの四人。

 しかしいつもと違う悩んだ様子で、翔は腕を組んで歩いている。

 隣に並んでいる鋼作は、不思議そうに尋ねた。

 

「どうしたんだ翔? さっきからずっとそんな感じだぞ」

 

 見れば琴奈も響も同じように心配している。

 響は当然として、親しい仲の彼らにも打ち明けても良いかも知れない。翔はそう思って、ひとつの質問を投げかける。

 

「みんな、1月1日って何してたか覚えてる?」

 

 翔からの質問を受けると、三人とも首を傾げる。

 

「そりゃ、お前……ありゃ?」

「そういえば何してたっけ?」

「……妙だな。三人、いや四人とも思い出せないという事か」

 

 響がそう言うと、翔も深く頷く。

 

「クラスの皆はちゃんと覚えてるのに、僕らだけ思い出せない。これはどういう事なんだろう」

「確かに不思議だわ。はっ、まさか洗脳怪獣が!?」

「なんですか洗脳怪獣って……」

 

 呆れたように肩を落とす翔。

 そんな時、再びメッセージの着信音が道路に響く。

 差出人はやはりFだ。

 

『そこで止まれ』

「え……!?」

 

 驚き、翔は周囲を見回す。

 すると、突如として素性からフードを被ったボロボロのコートの人物が、住宅の屋根の上から落ちて来た。

 この事態には全員が愕然とし、翔と響が前に出て、鋼作は琴奈を守ろうと後ろに下がらせる。

 

「だ……誰だ!? まさか、お前がFか!?」

「そうだ」

「一体何が目的なんだ!? 何を知っている!?」

「まだ思い出せないのか、天坂 翔」

 

 名を呼ばれ、翔は目を丸くする。

 マントのせいで顔は窺い知れない。しかし、声は男のものだった。その声を聞いて、翔は不思議な感覚に苛まれていた。

 どこかで聞いた覚えのあるような気がするが、どこで聞いたのか思い出せないのだ。

 さらにこのFという男は、1月1日の記憶を思い出せていない事を知っている。つまり、翔の身に何が起きているのか知っているというのだ。

 Fはどこか苛立った様子で、翔の胸倉に掴みかかる。

 

「いい加減目ぇ覚ませ、自分が今まで(・・・)何してたのかまだ分かんねぇのか!!」

「いま、まで……?」

 

 ドクンッ、と心臓の跳ねる音が聞こえる気がした。

 翔自身の今まで。1月1日以前の事。つまり去年の話といえば。

 大切な事をしていたのは分かる。恐らく、アシュリィやツキミやフィオレたち、進駒とも去年出会ったはずだ。鷹弘と陽子、翠月もだ。

 だが。だが――何も、思い出せない。出会った時の事、それからの日常。何一つ思い出せない。

 これは明らかに異常だった。一体自分は、どうやって彼らと親しくなったというのか。

 翔は逡巡しながら、もう一度尋ねようとする。一体何を知っているのか、聞き出してみようと。

 しかしその寸前、翔たち四人は驚くべき事態に遭遇する。

 

『異端者を検知。異端者を検知』

『排除シークエンスを開始します』

 

 ラッパのような音と声が突然に響いたかと思うと、上空の空間が波打った。

 それを目にして、Fは舌打ちをする。

 

「気付きやがったか……!」

 

 槍と盾を携え鎧を纏う何者かが現れる。

 背に翼を生やし、光る輪を頭上に浮かべるその姿は、まるで。

 

「怪人……いや、天使!?」

 

 琴奈が思わず口走り、その場にへたり込んだ。鋼作も、いきなりの出来事に激しく困惑している。

 

「なんだ、なんなんだよこれ!?」

「分からない……でも。でも、何か前にもこんな事があったような……」

 

 焦りながらもそんな言葉を口走る響と、それに同意して頷く翔。

 そんな彼らを振り返り、Fはまたもや舌打ちする。

 

「しょうがねぇ、あんまり派手に立ち回りたくなかったが。やるしかないようだな」

 

 Fはそう言って懐からある物を取り出し、それを操作する。

 N-フォンに似た機械だ。それを入力する事によって、腰にベルト状の物体が装着される。

 見た事もないはずなのに、四人ともそれらの機械(デバイス)に、妙な既視感があった。

 

「邪魔だ足手まといども、戦えねぇヤツはさっさと退いてろ」

 

 そう言って、Fは懐から一枚のプレート状の物体を取り出し、起動する。

 

BOOGIE WOOGIE ZOMBIE(ブギウギゾンビ)-VR(ヴェンジェンス・リターン)!》

 

 電子音声が鳴り、Fがプレートをベルトに装填。すると、さらに電子音声が道路上に鳴り始める。

 

《デッド・オア・ダイ! デッド・オア・ダイ!》

「変身ッ!」

 

 手に持った携帯端末のようなそれをベルトにかざすと、Fの全身が光に覆われて、姿が変わっていく。

 

Alright(オーライ)! アヴェンジング・マテリアライド!》

 

 その場に姿を現したのは、真っ黒なフードつきのマントコートを羽織った、鋼鉄の髑髏の仮面の男。

 コートの下は鈍く光る金属のプレートで覆われており、骸骨の意匠が散りばめられている点から、死神を彷彿とさせるようだ。

 

《リターン・アプリ! 殺戮と復讐の使者、インストール!》

「行くぜ……」

 

 Fが変身したその死神の如き戦士は、拳を掲げて天使に殴りかかる。

 その姿を見て、翔はハッと双眸を見開いた。

 

「あ……!!」

 

 気付けば全身が震えている。

 なぜだか翔自身にも分からないが、悪寒がするのだ。

 

「翔、大丈夫か!?」

 

 蹲る翔を見て、響がその背をさする。

 段々と意識が遠のき始め、息遣いが荒くなり、翔は胸を手で押さえた。

 その瞬間、翔は明確な違和感に気がついた。

 否、思い出したのだ。

 

「傷痕がない!?」

 

 以前、自分は死に瀕する程の傷を負った。アシュリィを助けるために必要な手段として、自ら付ける事になったのだ。

 何から助けるためだったのか? 彼女の身に何が起こっていたのか?

 そしてあの戦士は、何者なのか。

 今、翔は思い出しつつあった。それと同時に、彼の身体に劇的な変化が起きていた。

 

「きゃあああああっ!?」

「翔、お前……どうなってんだ!?」

 

 全身にノイズが走っているのを見て、鋼作も琴奈も恐怖と驚きの叫びを発する。響も声こそ出さないが、目を見張っていた。

 さらに全身を埋め尽くしていたノイズが徐々に消え始め、翔の見た目が大きく変わっていく。

 青い髪、黒く染まった白眼に猛禽のような瞳孔。そして胸に出来上がった傷痕。

 

「そうだ……どうしてずっと忘れてたんだ。僕は……僕は!」

 

 ピシッ、とノイズに亀裂が走って砕け散る。

 翔の右手には、Fが使っているのと同じマテリアフォンが握られていた。

 

「仮面ライダーアズールだ!」

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