記憶を取り戻したホメオスタシスの面々。
彼らは上空の島への侵攻作戦を決断し、仮面ライダーたちがバイクでケーブルを伝って上陸する事になった。
浮遊する孤島を見上げた鷹弘は、マテリアフォンでアプリドライバーを呼び出し、トライマテリアラーの運転席に跨る。
「よし……準備は良いな! 行くぞ、お前らァ!」
号令と共に、鷹弘はマテリアプレートを起動。それを装填し、走行しながら変身する。
背後でパルスマテリアラーに乗る翔や、ライドマテリアラーを使う響たち、ジェットマテリアラーで走る翠月・浅黄も同じく、一斉に変身を始めた。
『変身!』
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マシンを走らせる十人の姿が、徐々に変わって行く。
それと同時に、歪んだ空間から何十体ものエンジェル・デジブレインが飛来する。この数を無視して進むのは不可能だ。
やはり現れた敵襲に対し先陣を切るのは、鷹弘の変身するリボルブリローデッドだった。
《羽撃く戦艦、フルインストール!》
「さっさとどきやがれェッ! オラオラオラァーッ!」
ヴォルテクス・リローダーとリボルブラスターの二つの銃撃と、トライマテリアラーのガトリング砲が、天使の身体に的確に命中。
しかし、やはり脳天や胴体を砕かれても、エンジェルの攻勢は止まらない。
『異端者を検知。排除シークエンスを開始します』
「チッ!」
戦闘継続可能なエンジェル・デジブレインの数は、まだ半分も減っていない。
剣を持ってリボルブへと襲いかかろうとしている場面に、キアノスと雅龍が文字通り駆けつけた。
《迷宮の探索者、インストール!》
「助太刀します!」
《龍氷鳳武、エクストラアクセス!》
「気にせず突っ切れ、リーダー!」
ボウガンのインク弾によって凍らせ動きを封じ込める雅龍転醒と、凍っているエンジェルに斬撃やマテリアラーの体当たりを食らわせ砕くキアノス。
二人のコンビネーションにより、リボルブは先へと進む。それに続く形で、後続のライダーたちもケーブルを走破し続ける。
《義賊の一矢、アクセス!》
「みんな頑張れー!」
ザギークも援護に加わり、エンジェルの翼を穿って撃ち落とす。
だが、浮遊島への距離が約半分を超えた時。
天使たちの動きに、変化が起こった。
『警戒域への到達を確認。排除シークエンスをレベルアップ』
「え?」
サイレンの音と共に、エンジェルが剣を手放し、空間の歪みから現れたロケットランチャーやライフルを装備したのだ。
武装が剣のみだと思いこんでいたオペレーター組は、想定外の出来事に声色を変える。
『オイオイそんなのアリか!?』
『落ち着いて! ロケットランチャーを優先的に攻撃、撃たれる前に撃ち落としましょう!』
慌てる宗仁を遮るように進駒が叫び、その指示と同時にネイヴィが動いた。
《紺碧の反逆者、インストール!》
「任せろ」
ガトリングアームを装備した彼は短く言い、左腕の銃砲で上空のエンジェルたちが持つロケットランチャーを破壊。
破損によって誘爆し、天使のデジブレインはことごとくが消滅していく。
だが、ライフルを持つタイプは健在だ。
《
「ここは私たちに任せて」
風を斬るようにレイピアを掲げる、仮面ライダーピクシーとピクシーセインL・R。
彼女らが前に出て、銃弾を斬り裂いたりナックルガードで衝撃を吸収する事で、一行は先へと進む。
さらに、ピクシーレイピアが吸収した衝撃を音として解き放ち、エンジェルの数も減らしていく。
「よし、あと少しで……!」
『危険域への到達を確認。排除シークエンスを最大レベルへ移行』
「何っ!?」
先程よりも大きな警戒音の直後、エンジェル・デジブレインがさらに増援に現れ、ケーブルの最終地点で一つに固まっていく。
そしてそれらは白く巨大な一本の腕、エンジェルアームを構築し、尖った爪が真っ直ぐにライダーたちへ振り下ろされようとしている。
《殺戮と復讐の使者、インストール!》
「アズール! 道を作れ、俺がアレをブチ破る!」
《無限に拡がる大宇宙、エヴォリューショォォォン!!》
「お任せします!」
アズールメビウスに変身した翔がそう言うと、スターリットフォトンがケーブル上に散布され、島へと続く光の坂道を作り出す。
当然、エンジェルアームはそれを叩き潰そうとするが、それよりも速く仮面ライダージェラスのライドマテリアラーが突撃した。
「シャラァッ!」
勢い良く飛び込んだジェラスは巨大な掌を貫き、さらに崩れる腕を後続のアズールたちが破壊。
もう邪魔立てする存在はなくなり、一行は島へと上陸するのであった。
「よし、なんとか到着したな」
そう言って、限界時間を迎える前にジェラスは変身を解除。他の面々も変身を解き、周囲を見渡した。
空の孤島には、磨かれた大理石のような光沢を放つ大地が広がっており、中心に白く巨大な塔が突き出ている。
「あそこにアクイラが……」
「やっと全てに決着をつける時が来たってワケだな」
塔を見上げる翔に、隣で声をかける鷹弘。
その時、近くを飛んでいたフォトビートルが、陽子の声を発した。
『みんな! 街の人たち、さっきの戦いの騒ぎで大勢が楽土に気付き始めたみたいよ!』
「ようやく目を覚ましたか」
そう言って、響は外界を見下ろす。
ここからしっかりと全てが確認できるワケではないが、確かに島に向かって指を差している者たちがいる。
彼らが今の状況をどう思っているのかは、定かではない。しかし、少なくともホメオスタシスの行動は無駄にはなっていないという事だ。
「これが、最後の戦いだ……!」
翔が言い、背後の仲間たちも翔に向かって頷く。文彦も、待ち切れないとばかりに拳を鳴らしている。
準備は万端、決戦の舞台である塔の中へ向かおう。そう思って歩き出した、その時。
孔雀仮面の男が目の前に降り立ち、黒い炎が一行を飲み込んだ。
「『原罪の
「スペル……!?」
「そして、さようなら」
その声を聞くと同時に、フォトビートルを含むホメオスタシスのメンバーは、一瞬でその場から姿を消した。
「う……?」
目を開いた時、翔は見知らぬ場所にいた。
真っ白い無機質な空間が広がる世界。床も壁も天井も、視界一面が白一色。
「ここは!?」
「塔の中ですよ。案内させて頂きました」
数m先に黒い炎が灯ったかと思うと、その炎の中から孔雀の仮面の男が現れる。先程炎で翔たちを飲み込んだのと同じ人物だ。
彼の姿を見て、翔はすぐさまアプリドライバー∞を呼び出す。
「スペルビア!!」
「おやおや、お手が速い。もう少し話を聞いてからでも良いと思いますがねぇ」
「……皆をどこへやった!」
睨みつけながら、マテリアプレートを手に取る翔。
スペルビアはにこやかな表情で、しかし嘲笑うようにその質問に答える。
「ご安心下さい! まだ生きていますよ、今のところはね。お連れの方々は、それぞれ相応しい相手の居場所にご案内致しましたぁ」
「相応しい相手だと?」
「ええ。覚えているでしょう、アクイラ様がお作りになった七体のバックアップ用デジブレインを」
言われ、翔はハッと目を見張る。
確かにマテリアプレートに封入されていたデジブレインたちがどうなったのか、その行方を誰も知らない。
それらが今、解き放たれて塔の守護に加わっているのだとすれば。
「彼らは皆、拘束具によって本来の力を大きく削いだ上でプレートとして使われていました。その拘束がなくなればどうなるか……楽しみですねぇ?」
「くっ!」
「そしてあなたには、この『天獄の間』で私に殺されて頂きますよ」
「死んでたまるか……!」
《
スペルビアが仮面に手を伸ばし、翔がプレートを起動。
そして、翔はそれをドライバーにセットし、マテリアフォンをかざした。
《ビヨンド・ザ・ブルースカイ!!》
「変身!」
《
翔の姿が光と共に変わり、スペルビアも黒い炎で全身が燃え上がる。
そして、アーカイブレイカーとアズールセイヴァーを装備したアズールメビウスへの変身を遂げ、ピーコック・デジブレインへと飛びかかった。
《夜空に瞬く幾千の綺羅星!! 銀河を彩る神々しき惑星!! 無限に拡がる大宇宙、エヴォリューショォォォン!!》
「お前とも今日こそ決着だ! 行くぞスペルビア!」
「良いでしょう。私も……いや、俺もそろそろ本気で相手をしてやらないとなァ!!」
その叫びと共に、ピーコック・デジブレインのマスクや黒い拘束具が外れていき、まるで脱皮したかのように孔雀の羽根も剥がれて落ちる。
アズールの一閃は空振りに終わり、白い空間の上空を、真っ黒な皮膜の翼が広がった。
「なにっ!?」
「ピーコック・デジブレインとは拘束具を纏った偽りの仮面」
黒い鱗がびっしりと埋め尽くされた、鋼鉄めいた筋骨隆々の四肢。
燃え盛る黒い炎を吐き出し、ずらりと並んだ鋭い牙が覗く大きく裂けた口。
そして、左右に伸びる巨大な角と、仮面ライダーを見下ろす真紅の眼光。
トカゲなどと評するにはあまりにも強剛にして壮麗。
その姿は、まさしく――。
「これぞ我が真の姿!! ドラゴン・デジブレイン、スペルビアだ!!」
咆哮がビリビリと空気を振動させ、床から黒い炎が噴き上がる。
「ドラゴンだって……!?」
あり得ない、と翔は思う。
デジブレインたちは実在の動物のデータを取り込み、その姿に変化する情報生命体だ。
ニュート・デジブレインのようにサンショウウオに関係する伝承からサラマンダーを部分的に取り込んだり、ハーロットがやったように童話のデータと生物のデジブレインを結合させて改造する事は確かにあった。
しかし、ハーロットの改造術はアクイラが倒された後に生み出されたものであって、ドラゴンが
「考え事をする余裕があるのか! 傲慢だなァ人間!」
「くっ!」
スペルビアの口から放たれた黒い炎が、白い地表を焼き尽くす。
アズールはショートテレポートでスペルビアの背後に回って避けるが、その瞬間に胸へ漆黒の剣が突きつけられる。
「おっと!」
アーカイブレイカーで切っ先を逸らすと、続けてアズールはスターリットフォトンを散布してリボルブラスターとリボルブラスターV2を生成。
一斉射撃を行いつつ、アズールセイヴァーを手に斬りかかった。
「ハハハハハハハハッ!」
しかしスペルビアは突然大笑いしたかと思うと、銃撃を全て黒い炎で焼き払い、自らの剣でアズールと真っ向からぶつかり合う。
「パワーは互角……なら!」
呟いた後、アズールは腕に強く力を込めながら、頭上からもう一度斬りかかる。
スペルビアもそれに応じ、剣をアズールセイヴァーに叩きつけ、鍔迫り合いとなった。
「今だ!」
その瞬間、アズールメビウスはグラビティガイアの能力を起動。
自らの全身に重力をかけつつ、さらにスペルビアに対しても垂直落下させるように重力を付加する。
「ぐ……!?」
ズシッと剣全体に重みがかかって亀裂が走り、さらに翼も動かせなくなって、スペルビアは地面に叩き落された。
「むううっ!」
「よし、このまま圧し斬って……!」
「させるか!」
スペルビアが口を開いた直後、黒い炎が飛び出してアズールを襲う。
如何にグラビティガイアが防御型のスタイルと言えど、至近距離から食らっては多少なりともダメージはある。
しかも自分自身に重力をかけてしまった今、ショートテレポートも使えずアズールはその身で炎を受けてしまった。
「ぐうっ!?」
「おやおやァ! 無様だなァ人間!」
重力を解除するも、続け様に降りかかる灼炎。それらをアーカイブレイカーで対処するが、攻撃の勢いは止められない。
さらなる追撃としてスペルビアは剣に炎を纏わせ、斬りかかろうとしている。
「これで終わりだ!」
「させるか!」
手にしていた剣を納刀し、口から飛んでくる炎の一撃を防ぎつつ、アズールはマテリアプレートを生成。
そして、それらを盾の表面にタップしていく。
《タップ! ジェイル・アプリ! ダンピール・アプリ! オラクル・アプリ! アーセナル・アプリ! ギガント・アプリ! ブルースカイ・アプリ! ウラノスエフェクト!》
火炎弾を避け、そして剣を振り上げたスペルビアが間合いに入った瞬間、アズールは剣を抜刀した。
「そぉりゃあああっ!!」
《ウラノスフィニッシュコード!
白光を放つアズールセイヴァーと、スペルビアの黒い炎の剣がぶつかり合い、白と黒の斬光が爆ぜる。
「くっ!」
「ぬぅ!」
必殺の一撃の威力は、ほぼ互角。
それを認識すると、スペルビアは舌打ちして距離を取り、剣を前に掲げた。
「アクイラ様復活の鍵となるから今まで生かしておいてやったが、事ここに至っては最早邪魔だ! 潔く刎刑となるが良いわ!」
「そうは……行かない! 僕らはアクイラを止める、この楽土を終わりにするんだ!」
剣を突きつけ、睨み合う両者。獣のような咆哮と共に、再び斬り結ぶ事となった。
※ ※ ※ ※ ※
同じ頃、巨塔内の『地獄の間』にて。
黒い炎の中から、四人の男女がその場に降り立った。
肇・文彦・浅黄・響の組み合わせだ。だだっ広い無機質な白一色の空間の中で、周囲を見回している。
「ここは……塔の中か?」
一歩ずつ、殺風景な場所で前へ進み出る響。
すると、キィィィンという耳鳴りのような音が響いた直後、目の前に白いローブを纏った四体のデジブレインが姿を現す。
それを見て浅黄と肇は身構えた。
「うっ!?」
「む!」
デジブレインはローブを脱ぎ捨て、その姿を晒す。
一体は頭部と翼が鷲で、獅子のように強靭な五体を持つ魔獣、グリフォン。
その隣には、下半身が魚のようになっている空中を泳ぐ人魚に、頭部に一角を生やした馬の姿をしたデジブレインが並ぶ。
さらにそのユニコーンの隣に、燃え盛る翼を生やした鳥型のデジブレインが立つ。
それぞれグリフォン・デジブレイン、マーメイド・デジブレイン、ユニコーン・デジブレイン、フェニックス・デジブレインだ。
「起動確認。排除シークエンスを実行します」
「そうか、つまり敵なんだなてめぇら」
文彦はそう言って唇を釣り上げると、アプリドライバーの左側にVRゴーグルのような形状の機械を装着する。
アプリドライバーのマテリアクター部を包む黒いカバーのようなもので、表面には『∞』の字を描いて自らの尾を噛む蛇がデザインされている。
これが新造した制御装置、ウロボロスユニット。これとの合体により、アプリドライバーはウロボロスドライバーへと姿を変えるのだ。
さらに手に取ったマテリアプレートは、グリップのようなものが外付けされている。
《
起動の後、プレートを装填。カシュンッという音と共にゴーグル部がスライドし、マテリアクターは完全に保護された。
文彦はマテリアフォンを手に取り、表面にかざす。
《デッド・オア・ダイ!》
「変身ッ!」
《
文彦の姿が変わっていく。
以前の黒いマントコートと鋼鉄の髑髏の仮面をそのままに、コートがヘビ柄となり、フードには蛇の眼と牙が追加されている。
背中には白いウロボロスの紋様が浮かび、両肩にも蛇の頭部のような形状のアーマーが装着された。
さらにその手には、片刃斧とライフルを一体化させたような紫色の武装が握られている。
《レヴナントアックス!》
「仮面ライダージェラスレヴナント。さて……蹂躙してやるか」
肇たちも背後で変身を始める。
そして仮面ライダーたちとデジブレインたちが、正面からぶつかり合い、戦いが始まった。
一方、同じく塔内の『煉獄の間』でも戦いが始まろうとしていた。
「起動確認。排除シークエンスを実行します」
敵は棍棒を持つ軽装の鬼と、両肩に犬の頭部を生やした凶暴な魔犬、そしてヤギの角とコウモリの翼を生やした艶めかしい女性の悪魔のようなデジブレインだ。
それぞれゴブリン・デジブレインに、ケルベロス・デジブレイン、サキュバス・デジブレイン。
対するは、鷹弘の変身するリボルブリローデッドと、翠月の雅龍転醒、そしてアシュリィたち三姉妹が変身するピクシーズだ。
「こいつら……あのマテリアプレートの中にいたデジブレインか?」
「そういう事だろうな。まさか、今更戦う事になるとは思わなかったぜ」
武器を構えながら、ゆっくりと間合いを測る雅龍。同じく敵に銃を突きつけ、リボルブも距離を保っている。
唸り声を上げて睨みつける、ゴブリンとケルベロス。そしてサキュバスが鞭のようにしなる尻尾を叩きつけた、その瞬間。
「来る!」
ピクシーの呼びかけを合図としたように、ゴブリンとケルベロスが突撃を始める。
それと同時に、リボルブはゴブリンへ放銃し、雅龍はケルベロスと取っ組み合いになった。
サキュバスは彼らの頭上を飛翔し、飛び越えてピクシーズの前に降り立つ。
「あなたの相手は私たち、って事なんだ……」
その言葉を肯定するように、サキュバスは尻尾で地面を叩き、右腕をピクシーに向ける。
すると右掌から黒い光弾が放たれ、ピクシーはそれを避けながらレイピアで刺突を繰り出す。
サキュバスは素速く宙返りし、その一刺しを回避。空中で悠然とピクシーを見下ろし、無機質に声を発する。
「排除シークエンス、継続」
「お姉ちゃん、行くよ!」
三人はレイピアの剣先を重ね合わせ、羽をはためかせて飛翔。サキュバスへと立ち向かうのであった。
※ ※ ※ ※ ※
『クソッ、翔たちは一体どこへ行ったんだ!?』
原罪の創世巨塔の外。鋼作の声が響き渡る。
取り残された八体のフォトビートルが、塔の周囲を目まぐるしく飛び回っているのだ。
『恐らく塔の中に転送させられたのだとは思うが、それにしても……』
『この塔、一体どこに入口があるんです?』
鷲我と進駒がそう言いながら塔をくまなく調査しているが、扉はおろか窓さえない。
それどころか表面には一切の繋ぎ目も隙間も存在せず、脆い部分が全くないため、フォトビートルではぶつかって穴を開ける事すらできないのだ。
『屋上を調べてみよう!』
律の提案により、フォトビートルは屋上へと飛んで行く。
頂点は円盤状になっており、同じく表面に隙間はない。しかし、中央には大きな穴のようなものがあった。
『よし、あそこからなら――』
鋼作の操るフォトビートルが穴へ向かおうとした、その時。
銃声のような音が響き、一筋の光条がフォトビートルを貫き、破壊した。
『えっ!?』
『あ!?』
驚く琴奈と陽子の声と、再度光線が放たれるのは、ほぼ同じタイミングだった。
さらに律と進駒、鷲我のマシンも破壊されてしまう。
残ったのは、彩葉のフォトビートルのみとなった。彼女だけは、辛うじて敵の姿を捉えていた。
『あの人は、まさか!?』
屋上で剣のようなものを掲げる、白いローブを纏った男。一瞬だけ見えたその内側の顔に、彩葉は驚きを隠せなかった。
男は、再び切っ先をフォトビートルに向ける。そして、剣の表面に配備された四つの砲身からビームを放った。
『ひっ……!』
小さく悲鳴を発し、攻撃を避けようとする彩葉。
しかし、まるで動きを先読みされたように、動いた位置に光線がクリーンヒット。
フォトビートルは、無残にも熱に溶かされ砕け散る。
「……」
全ての機体が破壊されたのを確認すると、男は何も言わずその場から立ち去るのであった。