AR15の「真っ暗で怖いよ……。誰か、助けて……。」に「昼戦やぞ…………何言うてんねや」って思ってたけど漸く目が潰れてると気づけました。ゲス顔が止まらない、趣味が悪いぞ。
ゴメンな、防御演習で目潰し決めてる悪い人は俺だ…………では本編。
「指揮官さん指揮官さん、私とハグして下さるかしら?」
「Why!? 何でだ」
何時も通りもぬけの殻だったデータルームでサボっていると、やってくるなりKar98kがニコニコと提案してきた。
Kar98k。自己申告では162cmと言うが実際は明らかに150cm程度、尚ヒールで誤魔化している模様。軍人と豪奢の合間のような華美な服装と裏腹に、とても子供っぽい要素の多いRFの一人だ。
お嬢様育ちな思考設計が成されているらしく、俺を驚かす突飛な発言の尽きない彼女であるが取り敢えず事情聴取。相互理解に必要なのは情報共有だ。
「好きな人とハグをすると一日分のストレスが解消されるんですって」
「うん、どういう事だ」
「私の事は嫌いかしら?」
いや、そうではなくて。異世界人との会話じみた妙なズレに頭を抱える。
――くっそこれ妙に逃げても逃げ切れない奴だよな、此処は素直に応じておくか。
「オーケー、オーケー理解した。何秒がご所望かねお嬢さん」
「ええっと、3分ぐらい?」
「暑苦しいわ。まあ良いけど」
早く早くと手を広げて歓迎ポーズを取っているKar。これ何か凄え色々間違ってるけど文句言ったら誰かから尻にでけえ大剣とかぶっ刺されて死にそうだし黙っておこう。
今更拒否できそうもないので必死に背伸びしているKarにそっと抱きつく。変に触ったら腰をボッキリ折りそうで怖い、多分折られるのは俺なんだろうが。
率直な感想を言うと――――――コートめっちゃもこもこってぐらいかな! 残念、華奢だなとか言ってやる感性もなければもこもこしすぎてよく分からんのですよ!
「ふふ、どうでしょうか?」
「柔らかくてもこもこ。これはハマる」
「そうでしょうそうでしょう、もっと褒めてくださっても良いのよ?」
むっ。唐突に閃いた。
思わず口元が歪に歪むのを触って確認した後、背中をポンポンと叩きながら
「Karちゃんはマジで可愛いと思うよ俺」
「――――――!?」
「個人的に背が低い女の子の方が俺は好きなんだよな、いや別に庇護欲をそそるとか上から目線なのではなくサイズ感は可愛さに直結すると言うか」
「っ!? っ!? っっっ!?」
「これで銃の腕前も抜群とか誓約するしかねえな困ったなー!」
効いてる効いてる。意外と攻めに回るのも楽しいもんだな。
――いやーね? 誰に言い訳するわけでもないけども俺はあくまで「過剰に褒めただけ」なのであって、決して罵倒も意地悪もしていないわけですよ。
人を褒めるという行為は優しい人間の行動だと思いがちだが、実のところ見いだせる俺スゲーだとか褒めてる事に快感を覚える変態も居る。要は楽しいんですよ。
Karは見事に反応しやすい部類だったらしく、ギュッと強く抱き締めてくる。これは効いているぞ、分かりやすいゲージが有るのは良い。
「な、何ですの急に!? 私をからかうのはお止めになって!?」
「事実を述べただけだ、うん」
いつも何だかんだ巻き込まれる側だから偶には加害者がしたい。そういう時も有る。
嬉し恥ずか死に陥ったKarは俺の胸に顔を埋めて表情を隠す。ああ~、堪らねえぜ。
人形の変な側面ばかり見てるとまるで俺はヤバイヤツと一つ屋根の下で生きているようだが、忘れないでほしいのが基本は人形が異常な程の美人であるということ。俺が積極的にアクションを起こしてこういう表情を引き出せば、まるでバラ色の人生を送っているように見えなくもないのだ。
だが現実は非情である。そんなホクホクばかりかと言うとそうでもない、一々言わないだけ。言うと悲惨だから。
「しきかぁーん、またサボりかな――――――おっと。これは不倫現場ということだよね?」
そう。例えば45に目撃されるとか。
「チッガーウ!」
「いやでもこれは完璧に『同僚との不倫キス現場を探偵に抑えられているのに妻に対して必死で言い訳する予定で焦る思考で屁理屈を捏ね続ける夫』みたいな顔だよ、私詳しいから」
「昼ドラでも見たのか45」
そんな訳ないでしょ、とヘラリと笑うのは良いがお前って出まかせの時はサイドテール弄ってるの気づいてるか?
まあ知られたくないとのことなので詮索はしまい。ムカついた時に的確に急所として突きに行くからな――――――何だ、俺が見逃す人種だとでも? だとしたらアンタちょっと優しすぎるな。
「合意の上ですから、ね?」
重要参考人が要らぬことを嘯き出した。
45の口元が釣り上がる。不味いコイツ尾ひれをつけて焚きつける気だ、多分416とかAR15とかを!
「待て待てKarちゃん!?」
「指揮官さんは私の事、嫌い…………だったかしら…………」
「そうです俺達は合意の上だよバカヤロウ!」
そんな悲しそうな眼でコッチを見るな! 幾ら俺でも言葉に困るだろうが!
45のやつ状況は完全に理解してやがるのにこの笑顔。ううーん敵なら顔の原型は留めていないぞ☆
後ろに回していた手からボイスレコーダーを見せてくる。用意周到どころじゃねえぞお前、もはやライターの才能すら感じるわ。俺がいい仕事場所紹介してやれば嬉々として大企業を二つや三つ潰す気がする。
「じゃ、今のデータはバラ撒いておくね」
「おっと待てい、ナインが俺にだけ教えてくれた『ヒミツ』に興味はないか」
「話だけは聞いてあげよっかな」
三行堕ち。ナインは最強、ハッキリ分かんだね。
明らかにデレデレした笑顔でこちらににじり寄ってくる45はサイコクレイジーレズという単語がピッタリなそれだ。凄え強い魚雷とか開幕で撃ちそう(小並感)。
――今のは実はハッタリでもなくて、だからといってKarにお聞かせ出来る内容でもない。
「ちょっと耳貸せ、大声で言えない」
「唆るじゃない、しょうもない内容だったらネットにばら撒くからね」
「た、多分大丈夫だろう」
内容はご想像にお任せしておくが、俺の耳打ちが終わると45が明らかに上気した顔で
「9!? 話は夜にたっぷりと身体に聞かせてもらうからね!?」
とかなり歪んだ笑顔を携えて走っていった――――――という辺りで大体ご想像いただきたい。
というかアイツ何をする気なんだ。拷問? それとも………………いやいや、まっさか~。
「という事が有っただけだ」
「浮気ですね、指揮官」
「魔女狩りと大差ないこの切り捨て方よな」
AR15に見つかりました(いつもの)(実質正妻)(逃げたい現実)(誓約で差をつけろ)。
彼女の監視網をくぐり抜けるのは至難の業だ。いや、監視網と言うより「よく分からないが揉めるとAR15が発見してしまう『運命力』」みたいなものから逃げるのが難しい。人はコレをご都合主義と呼ぶ。
「つ、付き合ってもないのにハグだなんて! しかも三分も!」
「アメリカ出身が何ほざいてんだよ」
「そういう問題じゃありません!」
大人の観点から言わせてもらって下らん、実に下らん。ハグだのファーストキスだの童貞だのにぶっちゃけて言って価値はない。過ぎてしまえばそんなものの価値というのは幻想である。
――とは思うのだが、年頃の精神状態なのでそう言ってやるのは酷だ。夢は見ていいと思う。
「何だ、したいって言うならしてもいいぞ」
「そういう問題でも――――――――?????????」
「本気で困惑するところかコレ」
今にも「僕は今、冷静さを欠こうとしています」とでも言いそうな狼狽しきった顔で固まってしまう。
「えっと、それはどういう…………」
「いやそのまんまだけど」
ほら、自称正妻みたいだからさ。それぐらい平気だと思って。
Kar曰くハグはストレス軽減に役立つのだから、他人に過敏になりがちなAR15としては願ってもないだろう。まさか嫌われてはいまい、嫌われてたら泣く。
口を覆ってオタオタと目線を泳がせて考え込んでしまうAR15。地蔵を決め込んでいたKarがニコニコとしながら彼女の手を取る。
「何を迷うことがありますの?」
「い、いえ…………ですがまだそういうのは速いと言うかその――――――」
慌てふためくAR15をKarがそっと抱き寄せる。
「K、Karさん!?」
「100回好きを重ねるよりも、こうした方が好意は伝わるものではなくて?」
「そ、それはそうですが…………」
少しだけ紅潮しながら肩に顔を埋めるAR15。え、ウチのARってこんな可愛いんだ…………!?
Karの方もさながら母親のごとく(居もしないもので例えるのはアレなのだが、本当にそういう表情なのだ)柔らかく微笑んで背中を擦ってやっている。俺の母親もアレぐらい綺麗で優しかったらなあ…………俺ももうちょっと慈悲が有ったかもしれない。
「手錠は無理だがハグなら受け止められるぞ」
「ほら、指揮官さんもああ言っていることですし」
特殊性癖は対応しかねるが別にハグぐらいはね?
何だかんだAR15の異常行動の大半は俺がどうのこうのより「人間相手の承認欲求」から来ているもので、多分だが相手は誰でも良いんだと思うのよな。
早く自信を持ってもらえると有り難いね、俺は人形みたいにその気になれば無限に生きていけるって訳でもないし。
「ほれほれ、胸板は厚いと評判だぞ」
「指揮官さんその評判どうやって流れたのかしら」
「9と416に脱がされたんだよ言わせんな恥ずかしい」
45は唆したり碌な事をせん――――――――待て。ナイン大丈夫かなあ……………………ま、ダイジョーブっしょ!
何が有ったかとか聞かないで、俺もあんまり思い出したくはないねアレは。
AR15は疑心暗鬼じみた怪訝な表情で俺を見る。
「妙に甘くありませんか」
「馬鹿言え俺は原則甘々だわ」
甘々でも看過できない事例が大量に起きてるんだよ。
個性と逸脱に関して俺は世界広しと言えど実に寛容な部類の上司だとご理解していただきたい。普通殺人手刀で決めにかかる部下を野放しにするような奴居ねえよ、ギャグ小説だからじゃなくて俺の懐の広さだぞマジで。
――――というとだいぶ傲慢だけども、実際甘い。
AR15は貰ってきた子犬みたいに何度か俺の眼を見て何か読み取ろうとしていたが、まったくもって俺の思考が「無」と気づいてしまったのかゆっくりと歩み寄ってくる。
面倒なので俺から抱きついた、どうせこうなる。
「ちょ、ちょっと――――――ッ!」
「ながいくだりはおれきらいなのよなー」
Kar程ではないがアウターがかなりもこもこしている。皆もこもこし過ぎだな、俺がハグ魔になりそう。
しかしKarもそうだったのだが体の線が本当に細いこと細いこと。手を回してみると何だか不安になってくる、やっぱ本気で蹴ったら複雑骨折するだろ――――――実際は俺が複雑骨折するが。
どうでも良いが凄い強く抱きついてくる、愛が重い。
「AR15さん? 俺の腰がポッキリいかれるんだけど」
「嫌です」
「あらあら、愛されているようですわね」
そういう問題か?
この後密着状態で五分ほど仕事をしたのだが、45に見られて見事に事故ったのは別の話。
K a r ち ゃ ん 可 愛 く な い ?
別の作品で散々書いてるだろとか言われても私は語りますよまずKarちゃんはイラストの銃との比率から背がえげつなく低いんですがどうしてもイメージと合わないので150cmで勘弁してください実際は140とかそんなレベル個人的には指揮官へのお高く止まろうとして微妙に空回りする人懐っこいキャラを忠実に書くのも吝かではないのですがどうせなのでAR15にお姉ちゃんムーブをかます形にしました皆さん的にはKarちゃんは「お姉様」か「お嬢様」かどちらでしょうか僕個人としてはどちらでもありどちらでもないとだけ語らせていただきましょうところで200連は超えたけど何時になったらKarちゃんは俺とご挨拶してくれるの?
今回は可愛いにだいぶポイント振ってると思う。使ってるキャラが今の所14体ぐらいなのでレベリング終わるまでキャラチェンジは我慢して下さい、無理。
私の小説のテンションって勇なまの魔王に近いもの有るよね。
指揮官はウザく腹が立ちモテてる理由を本気で問いただしたくなるように作ってます。そうしないとモテムーブの後のあまりの不運が不憫に見えるからね。ちなみにお父さんポジを意識してます。