という訳でエムフォエルを崇めろ。ちなみに今回は別に出てこない。
長すぎたから中編でゆるして。AR15とかマシマシにするからゆるして。
「指揮官!? また浮気ですか!? しかもまたKarさんと…………やはりアレなんですか!? 私より大人な女性じゃないと駄目ということなんですか!?」
「「うん事情を話すから座ってくださりますか?」」
扉のすぐ前のダクトから落ちてきたAR15に、俺とKarは史上最大に冷静な返しを入れた。
「成る程、それだけの事でしたか…………」
スプリングフィールドが困ったように笑う。まあこれは俺でも困るからどうのこうのという事もあるまい。
改めて紹介しようか。一応彼女は至って真っ当なライフルだ。戦闘に関しても素直に優秀な人で、副官の時は俺のコンディションについていつも気にしてくれる良妻賢母の匂い芳しい皆のライフルママ。
――戦闘に関して素直じゃないというのは、例えばこのモコモコドイツライフルみたいな近接戦に持ち込んで、挙げ句マントで誤魔化しながら四面楚歌を乗り切る変態の事を言う。実のところ俺の人形はそんなやつばっかだ。
「で す が ! これはやはり不倫だと思います、指揮官!」
「あのですね、俺はお前と婚姻どころか誓約すら果たして無いただの上司と部下でだな」
「た、「ただの」上司と部下――――――!?」
要らないこと言ったからAR15の顔色が悪くなる、ディレイ無しで飛んできたライフル勢お二人の視線に俺は「それでもコイツは彼女じゃない」とガリレオ・ガリレイもかくやの異端審問の気分を味わう羽目になった。
何故俺がアウェーなのかはこの際突っ込まずに正当性だけを主張する。全否定から入ると言い分は通りにくい、要らない所は黙認してしまうのに限るのだ。
「待て待てお二人方、実際俺はAR15に色目を使う程の穢れた感性してねえし。どうせならもっとこう――――――――キツくないやつ、そうだな。M4ちゃんとかをだな…………」
誰が呼んだか安らぎの大天使エムフォエル。確かアレは珍しく酒を飲んでしまったSOP大先生が名付けた悪乗りの異名だった気がするが、アレ以来この基地では欠乏状態にある癒やしを供給される度に
『流石エムフォエルだ、ヒロイン力が違いますよ』
だとか
『大天使エムフォエルのお恵みなんだね、分かるとも!』
とかSOP大先生とか45辺りがイジりに現れるのも恒例行事だ。どうでも良いわそんな情報。
さてさて、M4という愛すべき同輩を褒める言と暗に「お前キツイんだよ」というニュアンスの摩擦に遭遇したAR15はというと、何というか悶絶でもしそうな悩ましげな表情になる。
「くっ――――――――凄くもやもやしますね…………! しかしそれはともかく握手しましょう、M4が良いというのは同感です」
「エ、アッハイ」
お前仲間にアレな方向の親愛を向けてるからなあ。この前M4と「ほら、M4って男の相手下手そうだし」とか言いながらちゃっかりデートにしゃれこんでたしな、俺はアレ以来お前を「節操のない変態人形」と念頭に置いて行動してるんだ。何頬染めてんだよお前マジで俺のこと好きなの? エムフォエル好きなんじゃないの? お恵み欲しいんじゃないの?
何が怖いってその時の出来事を事細かに俺に報告して、まあ要するに「やっぱりM4可愛くないですか!?」って全力で推してきた所。お前そっちも行けるのかよってなるよなそりゃあよ。
――――――俺はAR15のかつての凶行に気を取られ、前方から迫る鉄の鈍色に気が付かなかった!
「捕まえました――――――」
「何!?」
ガチャリという嫌な音共に俺の手首に冒涜的な冷たい感触。見るまでもなく手錠だ。
「テメエまだやる気有ったのかコレェ!?」
「やはり正妻が誰かを身体に教え込まなくてはなりませんよね!」
「ノリノリだなお前!?」
笑い方が黒い、離せ! 離せぇ!
当然戦術人形には抵抗できないのであっさりAR15の左手首と俺の右手首は見つめ合う形になってしまった。
「顔だけは良いよなお前」
「顔『さえも』良い!?」
「凄い都合のいい耳だな」
さて。
「「まあこの部屋は汚いですよね」」
「はい3対1で俺の勝ち~~~~~~~~!!!!!!!!!」
まあ議論の余地すら無いわな。俺も何か勝ち誇ってるけどあまりに見え透いてる感じだったから、正直な所征服感とかはない。
Karは顔を青くして膝をつく。お前もノリノリだなオイ。
「な、何故!? いったい……どこが足りないの! 完璧なはずなのに!」
「それ私の台詞だから取らないでよKarちゃん」
サブリミナル416。扉越しに声が聞こえてきたから、多分ダクトからひょこっと出てきて喋ってどっか行ったんだろう。にしてももうそこまで来たなら部屋に入っていけばいいのに、今回に限っては静観を決め込んでいるらしい。
ガックシ来てるKarは置いておいて、間違いなく女子力のあるスプリングフィールドと(色々怪しいが)AR15を流し見する。ああ、スルーしてるけどまだ手錠で繋がれてる。もう慣れた。
「という訳で整理しようという訳だが、手伝ってもらっても良いか?」
「私で良ければ。これを見たら流石に放っておけませんから」
圧倒的大正義春田ママ。その柔和な笑顔で1スマイル100万円を超える時価相場を俺市場で今この瞬間に叩き出した。
これが正妻力なんだよ、と圧を込めた視線をAR15に送る。分かるか、俺が求める正妻というのはこういう包容力が有って、気遣いも出来て、人並みの配慮というものが有って
「あまりに汚いと此処でUN○出来ませんしね、私も手伝います」
「ああ駄目だお前は私利私欲でしか善行を積めないのかよ!?」
というかUNOって、
AR15の表情は決して「べ、別に心配だからとかじゃないんですからねっ!」みたいな元祖ツンデレのモノでは全くない。予想通り「これじゃあ舞台のセッティングとして不適切ね」みたいな戦闘中の不都合を見た時の顔だ。そういう所で俺はひっそりとお前の女子力測ってんだよ気づけ…………?
その勢いのままに、虫でも触っているようなおっかなびっくりの手付きで一冊の革装丁の本を吊り上げる。
「まあ取り敢えず大きいものから片付けた方が良さげよね。Karちゃん、これは?」
「ええっと…………ああ、それはバーティミ○スですわ」
「意外と良い児童文学読むんだなお前。俺も好きだぞ、下の注釈がしょっぱいようなしっとりしてるような不思議な感じなのが読み心地として非常にいい。しかも注釈だからあくまで「自由意志」なのも有って、端話をちゃんとスルーも出来るから没入性が高い。この本は天才が書いたものだと俺は思う。主人公のナサ○エルの言葉にならないヒネた感じもまた味わい深くてな、是非とも本に強い興味を持つ奴には一度手を取ってもらいたい」
まあとにかく読んでくれよ、王道の魔術モノとしてはかのハリー・ポッ○ーに勝るとも劣らない――――――ってなんだ。どいつもこいつも変な顔して。
しばらく部屋には妙な空気が纏って会話が硬直してしまう。何か言おうと思ったのだが、視線は俺に集まっているようで俺が変に手を加えたからとどうにかなるものでもないのは明白だった。
口を開いたのはKar。
「――――――ちょっと意外ですわね、指揮官さんが熱く語るなんて」
「え? ああそうだな、俺女の子に対するフェチ以外はあんまり語らないな確かに」
「「「それは語らなくても結構なんですけどね」」」
何だよお前ら、こういう時だけ息を揃えてからに。
しばらく一同の空気は完全なる静止を帯びて南極顔負けの氷点下に凍えていたのだが、しかし蜘蛛の糸でも最初はたらりと垂れてくるものだった。段々と空気が生気を帯びて、ついでに俺を無かったものにして進行し始めた。なんで。
「それで、私としては本の処理もやむを得ない量かな。Karちゃん、ちょっと物が多すぎるよ」
アレ、いつの間にAR15はそんなにフランクになったんだ? えっと、前までは敬語で事務関係しか会話はなかった気がするんだけど。
まあ仲が良いのは良いことだ、またKarが舐められているのは置いておくとしても。コイツ地味に強いからあんまり侮らない方が良いんだけどな、ホント。
「私も同意見です。持つのは構いませんが些かこれは…………」
「まあ物量多いわな、せっかくの高級品もチープに見える」
「皆さん寄ってたかってボロカスに言いますのね…………」
およよ~じゃねえんだよさっさとやるぞこの箱入り娘。
自他構わず同じ原作の作品からネタを拝借する趣味があって、便乗じみた事をするかもしれない。「知っていれば」程度なので探してみても良いね。
辞めて欲しい人は直談判してくれたら修正しておきます、迷惑かけたり不快にしたいわけじゃねえし。
しゃちさんのネーミングセンスすき(名前伏せろよ)。エムフォエル、モコモコドイツライフル、さてさて次は何なのやら。あ、使い方こんなんで良かった? 今後も出番は有るよエムフォエル。なんか発音可愛い。
可愛いよエムフォエル! キャー☆ お恵みちょうだーい!
ヤバ過ぎる。忘れてくれ。大天使にして大物アイドルなのか…………? いや違うだろ。
次は某銃紹介小説のオマージュしたいけど許可取ったほうが良いのかな…………分からん。
ちなみに俺のネタもフリー素材。面白い作品が見れればどうでも良い、むしろ使った上で面白ければ長文投下も免れない(やめろ)
今更新が速いのは「気が向いてるだけ」なので遅くなったらまあ察して欲しい。