ファッションホモとはホモではないのにホモの真似をする人の総称である。
(適当)
「自分ホモなんで」
「え゛っ!!」
唐突なホモ宣言に固まる吹雪さん。
そして空を見上げ血涙を流す祭。
「そっ、そうなんですねっ!い、いやだな~、冗談ですよ!」
「あっ、そうだったんですね!すみません。勘違いしちゃって」
アハハハっと両者から空笑いが出る。
まだ中学生ぐらいの女の子に無理させている自分が憎いっ!
「じゃ、じゃあ執務室まで案内しますね!」
「はい...」
その後、執務室に着くまで二人の会話は無かった。
「司令官。吹雪です。例の男性をお連れしました」
吹雪さんが厳格そうなドアをノックしてそう言った。
「はーい、入っていいよ~」
そのドアの奥からは気の抜けるような声が聞こえてきた。
吹雪さんがドアを開けて入るように促す。
祭は失礼の無いように恐る恐る中に入った。
「し、失礼しみゃす」
思いっきり噛んだ。
「ふっ、あっはっはっは!」
中に入るとロングストレートの長い黒髪が印象的な女性が爆笑していた。
先ほどの挨拶のせいだと分かっているので祭は顔が真っ赤になる。
「ふふっ、ごめんごめん。噛み方が可愛くって」
「い、いえ、失礼な挨拶ですみません」
女性は「気にしなくていいよ」といい、自己紹介をした。
「私はここ、第九鎮守府の提督をしている飯田 香織(いいだ かおり)だ」
先ほどまではニヤニヤしていたのに真顔になり自己紹介をした飯田さん。
そのギャップに驚くが先に自己紹介をすることにした祭。
「根掛 祭です、今回は急な訪問にも関わらずありがとうございます」
初めのミスを取り戻さなくてはといつものふざけた自己紹介を止める祭。
しかしすでにいろんなミスが起きている気がする。
「ふむ。礼儀はしっかりしているようだね。祭君?」
飯田さんにこう言われ内心ガッツポーズを決める。
「しかし君が同性愛者だとは驚きだよ」
「ぶっ!!」
まさかの言葉に思わず吹いてしまう。
えっ?なんでさっきの知ってるの?と困惑するが飯田さんが説明した。
「すまないが、先ほどの吹雪とのやり取りは盗聴させてもらってね、君が危険かどうか見極めさせてもらったんだ。同性愛以外は普通そうで良かった」
その言葉に狼狽する祭。
このままでは俺はファッションホモではなくただのホモになってしまうと。
そこに天からのアドバイスが下りてきた。
吹雪さんも傷つけずホモにもならない最高の回答が!
「あ、あれは言葉の綾で本当はホモではないんです!」
「ほう?」
「自分バイなんです!」
「...」
空気が死んだ。
終わった...などと考えていると飯田さんが此方に歩いてきた。
顔は軽く俯いており表情が窺えない。
俺、もうだめかもしんない。と死を覚悟すると
ムニュリ
「!!???」
飯田さんが尻を鷲掴みにしてきた。
あまりにも突然かつ大胆なセクハラに声が出ない祭。
あぁ、痴漢の被害者の女性が声出せないのってこんな感覚なのかと思っていると
「し、し、司令官!何をしてるんですか!?」
吹雪さんが飯田さんを止めに入った。
やはり天使は存在した。
さっきの告白受ければよかった、などと今さらなことを思う祭。
「いや、何。ホモじゃないなら私に尻を揉まれても問題ないと思って、な?」
「な?じゃないですよ!!理由が理由になってませんよ!!」
「いや、正直海辺に男が来るのは稀だしどうせならイチャつきたいじゃない?」
「セクハラですから!捕まりますよ!?」
「ここでは私が法だ!!」
「なんだコイツぅ!?」
飯田さんと吹雪さんの姿を見て、争いは醜いなと改めて思う。
なお、今も尻を揉みしだかれている模様。
手袋を着けた手で揉まれているのでくすぐったい。
「にしても祭君。君はまったく動じないね?嫌じゃないのかい?」
「いえ、少々くすぐったいですが別に文句を言うほどでは...」
「ほう、つまり私が好きと...」
「司令官!いい加減にしてください!!」
「ふむ。もう少し揉みたかったがしょうがない」
「なんで私が我が儘言ったみたいな感じなんですか!?」
漸く尻揉みを止めた飯田さん。
正直男の尻を揉んで楽しいのか?と思うが本人がしたかったのならいいか、と思い考えることを止めた。
元々いた机に戻り椅子に座る飯田さん。
そして今の出来事が無かったかのように話出した。
「君のことは憲兵から聞いている。急にここに居たとはどういうことだい?」
「司令官、無かったことにしようとしても無理ですよ」
吹雪さんが飯田さんに文句を言っているがどう返すかで悩む祭。
正直、変にごまかして説明するより本当のことを話たほうがいいと思い今日の出来事を一から話した。
「ふむ。男女比に差のない世界か...羨ましいな!」
「司令官!ちゃんと聞いてください!!」
「だって考えてみろ!男女比が等しかったらここの鎮守府にも男が居たんだぞ!」
「うっ、それは確かに羨ましいですけど...」
吹雪さんが飯田さんに流されかけている!
「吹雪だって彼氏と仲良くしっぽりできたんだぞ!」
「な、仲良くしっぽり...」
あ、だめだこりゃ
「ま、この話は置いといて、だ」
「しっぽり...うぇへへへ」
天使は何処へ行ったのか妄想で顔が惚ける吹雪さん。
そんな彼女を置いて普通に話し始める飯田さん。
なんだこれ?
「君の身分証明書を見せてもらってデータ照合をさせてもらったが君の戸籍は存在しなかった」
「えっ?」
急に明かされる衝撃の事実に驚きを隠せない祭。
戸籍がない?
まさか男女比が変わっただけでなく自分が生まれてないことになっているのか?
「つまり君は今の状態では日本国籍を持っていないということだよ」
「...それって俺は不法入国者になってるってことですか?」
「簡単に言うとそうだね」
「...」
あまりの展開に追いつけない。
自分が不法入国者?
生まれも育ちも日本なのに?
「!家の住所はどうなっていました!?」
「君の住所は存在しない」
そういわれ頭が真っ白になる。
存在しない?
どういうことだ??
「それって、どういう...」
「その地域は深海棲艦との戦闘が激しく荒れ果てて放棄されている」
その事実を聞いて祭は肩を落とした。
住処がなくなる。
それはあまりにも苦しいことだった。
「じゃあ、自分は逮捕されますか?」
不法入国なら犯罪だ。
当然逮捕されるだろう。
落胆した声で飯田さんに聞くと
「いや、そんなことはない」
とケロっとした回答が返ってきた。
「え?なんでですか?」
「君の免許証を解析したところ日本国で作られたものには間違いが無さそうなんだよ」
まだ、調査が残っているけどね、とつけたした。
「まだ君の免許証を直接は送ってないから完璧にそうだとは言えないけど画像解析の結果は日本で作られたものとなっている」
「なので君の身柄は私が預かることになった」
だから心配しないでいいよと言われ祭は涙が出そうになった。
訳も分からず知らない土地に来て、深海棲艦がどうとか国籍がないとか不安なことだらけだった。
「ありがどう、ございます...」
涙をこらえてお礼を言う。
そんな祭を見て飯田さんは祭を抱擁した。
それに思わず泣いてしまう祭。
何も言わず抱きしめる飯田さん。
そして抱きしめながらも祭の尻を撫でていた。
今回は短いです。
そしてなんかシリアスっぽい部分もありますが次回からはギャグに戻します。