(___おはよう、新しい世界。)
二話目。拙いですがどうぞよしなに。
「お前の名は『ディオ』だ」
ディオ。
(それは、俺の“名前”?)
目覚めて初めに目に映ったのは、揺蕩う紫黒。美しいそれを暫し眺めてから、彼はスゥと立ち上がった。彼を前にして、年長二人は興味を、後の二人は困惑をそれぞれの瞳に宿している。当然である。四人には、目の前の生物に対して面識どころか見覚えさえ無いのだ。困惑もしよう。
一方の『ディオ』と名付けられた彼も、内心首を傾げていた。目の前の彼らは誰?ついでに言うと自分も誰だ?もはや「ココハドコ?ワタシハダレ?」状態である。色々心許ない。不安でシュンと眉尻が下がった。
((((......可愛い...))))
一瞬でハートを射ぬかれた。チョロい。
ディオは自分の手を握ったり開いたりし、次に顔をぺたぺたと触りだした。頬に触れ、瞼、眉ときて、額の二本の角に触れた所でその動作がピタリと止まる。
その宝玉のような琥珀色の瞳をまん丸に見開いて、仕切りに額の角を触り、そしてカーズの角に目を留めて更に瞳を見開く。その「驚いた」と言わんばかりの表情に、ついにエシディシが吹き出した。
「ブフッ、クッ、ブハハハ!なんつー面だ!」
「こらエシディシ、笑ってやるな。恐らくディオには『記憶』が無いのだ」
「___『記憶』?」
ディオがキョトリとした表情で聞くと、カーズはディオの美声にやや驚嘆しつつも「うむ、」と頷いた。
「ディオよ。お前は此処に誕生する前、何をしていたのか覚えているか?」
カーズの問いかけにディオは首を傾げた。誕生する前に何をしていたのか?思い返そうとしてみるも、ベールが何枚も重ねられているかの様にハッキリとしない。思い出せるのは自分の性別くらいである。
「......以前は、男だった気がする」
「それだけか?」
「...他は、ハッキリしない...」
やはりそうか。
呟いて、カーズはふむと考え込んだ。...原因は......何の法則が......とブツブツ呟くカーズに困り果てたディオは隣に立つエシディシへと視線を送る。
「すまん、カーズは一度考え出すと止まらねェんだ。
おい、カーズ!正気に戻れ!」
「ハッ!」
エシディシがカーズの頭をひっ叩いた、と同時にカーズが我に返る。困惑の色を浮かべた瞳でカーズとエシディシを見詰めるディオに声をかけようとしたエシディシは、そこでやっと重要な事に気が付いた。
「......まず服だな。ディオ、お前全裸だろ」
「「「あっ」」」
「......」
─────────
「よし、これで良い。そんじゃ、自己紹介といくか?」
カーズに手を引かれ他三人に囲まれながら部屋を出たディオは、物珍しげに遺跡をキョロキョロと眺め、興味津々といった様子で着替えを終えた。カーズ達と同じく一族の伝統衣装を身に付けたディオを見詰める四人の眼には慈愛が浮かぶ。
彼らから見ればディオは、言うなれば生まれたばかりの幼子である。その琥珀色の瞳に映るのは純粋な感情ばかりで、どこか危なっかしい雰囲気を感じさせる。どうしても庇護欲が湧き出してしまうのだ。
耳飾りをソワソワと弄るディオに微笑んで、エシディシの提案を皮切りにカーズから順に口を開く。
「カーズだ。知識を求めるならば私に聞くと良い」
紫黒の髪を揺らして名乗るはカーズ。四人の中では頭脳派にあたるが、実力も兼ね備えている最年長。年は此方の世界だけでも12万8千280歳。
「エシディシだ。分からん事があれば聞け」
ニィ、と笑いながら名乗るはエシディシ。カーズと年が近く、唯一カーズを止めることが出来る人物と言えるだろう。実力と経験で敵を瞬殺する熟練の戦士。
「俺はワムウ。戦闘技術ならば教えてやれるだろう」
誠実さを宿した瞳で見詰めながら名乗るはワムウ。若輩ながら天性の戦闘センスを持つ生粋の戦士。戦闘への誇りと誠実さを持つ。
「......サンタナという。肉体操作については俺が教えよう」
薄く微笑みながら名乗るはサンタナ。カーズとの確執はあったものの、肉体操作は四人の中では一番上手い。学習能力も高く、日に日に実力を上げる。
カーズ。エシディシ。ワムウ。サンタナ。
四人の名を反芻し、しっかりと脳に刻み込む。少しの間名前を繰り返していたディオは、暫らくして顔を上げ、その麗しい声を響かせた。それは嬉しそうに。
「俺の名はディオ!分からない事が沢山あるがこれから宜しく、“兄上達”!!」
「「「「ゴフッ」」」」
吐血した。
口調が定まらない...。
「短い!」と思った方、スミマセン。次回は善処します。