やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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記念すべき100話なのですが、今回の話はなんか番外編みたいな内容となっております。

『この素晴らしい世界に祝福を!』 世界に転生した比企谷父の視点となっております。

転生した世界が、このすば世界なので、同作品より、今回は、御剣 響夜(ミツルギ キョウヤ)と彼のパーティーメンバーであるクレメアとフィオがゲスト出演します。

キョウヤの中の人が八幡と同じ人の為、彼に今回災難が降りかかってしまいます。

キョウヤ ファンの方々には申し訳ございません。



100話

ここで、視点はシュテル‥‥もとい、八幡たちが転生した世界から別の異世界へと移る。

 

この異世界は、八幡たちが住んでいた世界、そして新たに転生した世界と比べると、所謂ファンタジーな世界と呼ばれる世界だった。

 

文明のレベルは中世のヨーロッパ並みであるが、その世界には魔法が存在していた。

 

それが、ファンタジー世界と呼ばれる由縁であった。

 

その他にもジャイアント・トードと呼ばれる巨大なカエル、外見は普通の野菜なのに生物のように生きているキャベツやレタス、アダマンマイマイと呼ばれる巨大なカタツムリ、ジャイアント・アースウォームと呼ばれる巨大なミミズ、更にはドラゴンなど、地球では想像上の生物やゲーム・漫画・アニメでしか登場しない様な幻獣生物が存在していた。

 

更にこの世界は、魔王と呼ばれる存在が君臨し、その軍隊‥‥魔王軍までもが存在し、日々この世界の人々を苦しめていた。

 

幸運の女神とされるエリスの先輩女神、水を司る女神であるアクアは、これまで大勢の死者をこの世界に転生させていた。

 

しかし、ある死者の転生としてこの世界へ特典として強制的に連れていかれた。

 

アクアが異世界へ強制的に連れていかれたことで、アクアの職務は後輩女神であるエリスが引き継いだ。

 

そしてこの世界に先日、一人の男が転生した。

 

彼は、自殺、事故死、病死ではなく、無事に(?)天寿を全うした。

しかし、その最後は寂しく、そして空しく、病室では彼の最後を看取る身内は誰も居なかった。

 

 

そんな彼は、死後にはエリスの手によって、この異世界にやってきた‥‥

 

この世界は、魔王軍と戦うための人材を送ることも念頭に置かれていた為、転生者の体力、頭脳が前世の中で最も活発的な時期の肉体になり、転生される。

 

赤ん坊からの転生では、魔王軍と戦うまでに成長するにはかなりの時間を有するので、その時間をショートカットするためだ。

 

成長過程で病気や事故で死んでしまっては折角の人材が無駄になってしまう事を防ぐ目的もあった。

 

この世界に転生した転生者はまず、この世界のシステムを知るため、チュートリアルを兼ねて、『アクセルの街』 と呼ばれる街に転生する。

 

転生者はこの街で、クエストと呼ばれる住民からの依頼をこなしながら、冒険に必要な能力を身につけたり、自身を強くする装備品、冒険をする為の資金や消耗品を購入し、新たな街へと旅立って行く。

 

この世界で冒険者と言う職業に就くには、アクセルの街のギルドと呼ばれる酒場で、冒険者カードに登録する必要がある。

 

なお、手数料に1000エリスの代金を支払う。

 

この世界に転生した転生者は大抵この冒険者になる。

 

それにはまず、この冒険者に就くための手数料を稼がなくてはならない。

 

転生者は、大体が転生の特典で、優れた武器、自身に強力な能力を身に着けてこの世界に転生しているので、すぐに手数料ぐらいのお金は稼げる。

 

だが、中には折角の特典をくだらない事に使ってしまう転生者も居る。

 

今回、この世界に転生したこの男も残念ながら、折角の特典をどうでもいいことに使ってしまった。

 

彼の転生特典‥‥

 

それは、自分が孕ませた女性が生むのは、必ず女子になると言う特典だった。

 

地球と同じ近代レベルの文明世界ならともかく、中世と同じぐらいの文明レベルで、正直この世界で役に立つのかと言う特典だ。

 

前世で彼は、社畜のサラリーマンだったことから、近代レベルの世界は嫌だと言って、敢えて前世よりも文明レベルが劣るこの世界に転生してきたのだ。

 

だが、彼はこの世界を舐めていた。

 

地球では社畜として積んだ経験が地球よりも遅れた文明のこの世界ならば、十分なアドバンテージになるかと思っていた。

 

だが、現実はそんなに甘くなく、彼のアドバンテージになるかもしれないと思われていた彼の考えや、やり方は、かつて地球において天動説が主流の中、地動説を唱えたガリレオ・ガリレイが異端視されたように、彼は周囲の人からあまり相手にはされなかった。

 

転生者とは言え、生きている人間には変わりない。

 

生きていれば当然、お腹も減る。

 

食べ物を得るにはその対価であるお金が必要である。

 

その他にも衣類や住む場所が必要になる。

 

そして、その対価となるお金を得るには労働をしなければならない。

文明レベルが中世なこの世界‥‥すぐにつける仕事は土木作業のバイトぐらいだった。

 

社畜が嫌で、敢えて文明レベルが遅れている世界に来たのに、その遅れている世界でも、自分はこうして前世と同じく社畜をしている。

 

文明レベルが遅れているせいで、法整備も整っていないのか、最低賃金?

 

労働基準法?

 

なにそれおいしいの?

 

そんな、レベルの労働環境なので、日々の宿も人間が寝泊りするような宿ではなく、馬小屋や時にはその馬小屋でさえ泊まることも出来ない時があり、路上で夜を明かすこともある。

 

前世よりもひどい生活‥‥まるでホームレスの様な生活を送っている。

 

ここでの生活は自分が夢見ているハーレム生活とはあまりにも無縁な世界だった。

 

「くそっ、これなら、前の世界で社畜をしていた方がマシだったぜ‥‥選ぶ世界を間違えた‥‥」

 

こんな事なら、社畜でもいい、文明レベルが前の世界と同じ世界にすれば良かったと彼は後悔した。

 

そして、今日も彼は労働時間と労働量に見合わない安い給料を手に愚痴りながらアクセルの街を歩いていた。

 

その時、彼の耳に聞き慣れた声が聞こえた。

 

「あぁ~‥‥今回のクエストは、本当にくたびれたぁ~‥‥」

 

その声は半世紀ぶりに聞いた声であったが、彼にとっては忘れもしない声だった。

 

「キョ―ヤ、お疲れ様」

 

「今日のキョ―ヤ、格好良かったよ」

 

「あ、ああ‥ありがとう。二人とも‥‥」

 

彼がその声がする方を見ると、其処には青い甲冑に同じく青いマントを身に着けた美男子が美女二人と共に何やら疲れている様子で歩いていた。

 

この青い甲冑の美男子の名は、ミツルギ・キョウヤ (御剣響夜)。

 

彼、ミツルギ・キョウヤも転生者であった。

 

キョウヤの職業はソードマスターで、転生特典として神器、魔剣グラムを貰っていた。

 

性格は正義感が強く、容姿は葉山同様、なかなかのイケメンであり、パーティーメンバーからも慕われていた。

 

その他にも、転生特典の魔剣の力によってある程度の実績を兼ね、エンシェントドラゴンと呼ばれる強敵なモンスターを討伐した功績もあってか、たくさんの冒険者たちからも尊敬され、アクセルの街や王都の住人たちからも非常に頼りにされていた。

 

そして、キョウヤが疲労しているのは理由がある。

 

ある日、キョウヤはいつもの様にクエストを終え、パーティーメンバーと共にアクセルの街を歩いていた。

すると、大きく丈夫そうな檻に入れられた青髪の女性を見つけ、その人に声をかけた。

檻に入れられていたのは、自分に魔剣グラムを渡し、この世界に転生させた女神だった。

キョウヤは檻に入った女神を見て、彼女を連れていた青年に女神が強制労働されていると勘違いし、辺りは険悪な雰囲気となる。

 

この女神を檻に入れ、連れていた青年こそ八幡が選択の間に来る少し前、エリスの先輩女神であるアクアを特典として異世界に連れていった張本人であった。

 

その後、パーティーメンバーへの待遇の悪さに激昂して、青年に掴み掛り、何でも一つ言うことを聞く権利とパーティーメンバーの移籍を賭けて勝負を持ちかけるも、不意打ちをくらいキョウヤは負け、敗北の戦利品として魔剣を青年に取り上げられてしまう。

 

翌日、キョウヤは再び青年の前に姿を見せるも、女神からゴッドブローを喰らわされた上に檻へと入れられていた時のクエストで得られなかった報酬を慰謝料として支払うことになり、更にキョウヤは青年に転生特典だった魔剣グラムの返還を求めると、なんと青年はキョウヤから戦利品として奪った魔剣グラムを武器屋に売却していた。

 

その為、キョウヤは急ぎ、武器屋へと走り、魔剣グラムを買い取ったが、そこでも多額のお金を払うことになり、今後のパーティーの運営費を稼ぐ為、今回難易度が高いクエストに挑んだのだ。

 

クエスト自体は、何とか無事にクリアしたが、過去にドラゴン討伐に成功したキョウヤが此処まで疲労しているという事は、今回こなしたクエストがかなりの難易度であったことが窺える。

 

しかし、難易度が高いクエストほど、支払われる賞金も多い。

女神に払った慰謝料と魔剣グラムを買いなおした代金も今回のクエストの賞金で、プラマイゼロか微々たるものであるがプラスになった筈だろう。

 

「あぁ~それにしても今日のクエストは本当に大変だった‥‥さっさと食事して宿で休みたい‥‥」

 

疲労しているせいか、キョウヤの声は普段よりも低く沈んでいる。

 

そこへ、

 

「おい!!」

 

キョウヤへ声をかける人物が居た。

 

 

彼は、青い甲冑と青いマントを羽織っている青年の声を聞いて確信した。

 

(あの声は!?‥‥あの声‥‥間違いない!?あのクズのろくでなしだ!!)

 

(アイツのせいで、俺は‥‥俺は‥‥!!)

 

青い甲冑の青年‥‥キョウヤを見て、疲労していた筈の身体に沸々と怒りがこみ上げてくる。

 

(あのゴミクズのせいで、俺の人生も小町の人生も滅茶苦茶になった!!)

 

(小町が高校受験に失敗して、引きこもりになったのも、警察に疑いをかけられたのも、離婚をしたのも、俺の人生があまりにも空しくなったのも、ここでホームレス生活をしているのも、全部あのゴミクズのせいだ!!)

 

(それなのに、アイツはあんなに綺麗に身なりを整え、女二人を侍らせているだと!?許さん!!絶対に許さん!!)

 

物凄い偶然かもしれないが、疲労しきったキョウヤの今の声と八幡の声がそっくりだったのだ。

 

疲労したキョウヤの声を聞いて、彼の目にはキョウヤが八幡に見えたのだ。

 

しかもキョウヤのパーティーメンバーを見て、更に怒りがこみ上げてくる。

 

愚息だと思っていたのに、綺麗な女性二人を侍らせている事が彼の怒りの火に油を注ぐ‥‥

 

我慢できなくなった彼は、キョウヤに声をかけていた。

 

「おい!!」

 

「ん?」

 

彼の声にキョウヤは気づき、振り向く。

 

「お前‥‥お前‥‥お前のせいで‥‥お前のせいで俺は‥‥俺の人生は‥‥」

 

血走った目でキョウヤに近づいてくるホームレスの様な服装の男。

 

「えっ?えっ?ちょっ、待ってください、僕たちどこかで会いましたっけ?」

 

キョウヤにしてみれば、全く面識のない男がどうして、あそこまで自分に殺気をにじませているのか分からなかった。

 

「 『どこかで会った?』 だと?ふざけるな!!十七年間も育ててやった恩を忘れ!!俺にあれだけの迷惑をかけやがって!!」

 

「えっ!?」

 

バキッ!!

 

身体は疲労していた筈なのに、男の渾身の一撃がキョウヤの顔面にヒットする。

 

「「キョーヤ!!」」

 

殴られたキョウヤを見て、同じパーティーメンバーのクレメアとフィオが声を上げる。

 

キョウヤとしてみれば、面識のない男に十七年間育ててもらった覚えもないし、何故、自分が殴られたのかも分からなかった。

 

殴られたキョウヤは地面に倒れると、男はキョウヤに馬乗りになると、彼の顔に何度も拳を叩きつける。

 

「死ね!!死ね!!死んじまえ!!このクズが!!」

 

普段のキョウヤならば、こんな村人並みの戦闘力しかないホームレスに負ける筈はないのだが、今回のクエストの疲労はそれほど、大きかった。

 

「お前のせいで!!小町は高校に落ちて引きこもりになったんだぞ!!俺たち夫婦は警察に虐待容疑をかけられるわ!!会社じゃあ左遷されるし!!それが原因で母さんとも離婚することになったんだぞ!!」

 

彼はキョウヤを殴りながら、これまで自分の人生が息子(八幡)によって無茶苦茶にされた事をぶちまける。

 

「そんなお前が!!この世界で、ハーレムを築くなんて許さん!!絶対に許さんぞ!!」

 

キョウヤを殴り続け、彼が意識を失った頃に男はキョウヤを殴るのを止めた。

 

「ちょっと、アンタ!!」

 

「キョーヤに何しているのよ!?」

 

彼のパーティーメンバーのクレメアとフィオが男に抗議する。

 

いきなり訳の分からないことを言って、自分たちが敬愛する彼をボコボコに殴って来たのだから、彼女たちの不満と怒りは当然だった。

 

キョウヤをボコボコにし、彼のパーティーメンバーに抗議を受けると、ゆっくり彼女たちの方へと顔を向ける。

 

「あぁ~君たち、このクズに騙されているんだね?コイツは、今はこんな顔をしているが、本当は腐れ眼で性格は根暗で捻くれて、愛想もない、どうしようもない不良品な男だったんだよ」

 

男は八幡がこのキョウヤと呼ばれている男だと信じ切ってきた。

 

「それにコイツの名前はキョウヤなんかじゃない‥‥比企谷八幡と言うボッチで、女っ気のない人間のクズなんだよ!!」

 

八幡が行方不明になり、失踪宣告が受理され、八幡は書類上では死んだことになった。

 

遺体は見つかっていないが、八幡は実際に死んでおり、自分同様あのエリスとか言う女神にこの世界に転生してきたのだろうと彼はそう判断した。

 

そして、転生特典として、容姿を変えてもらい、八幡と言う名前を捨て、キョウヤと言う偽名を使い、二人の女性を騙してきたのだと思い込んできた。

 

だが冷静さに考えてみれば、自分が天寿を全うした年月と八幡が死亡したとされる年月を考えてみれば、それらの年月が矛盾していることぐらいは気づきそうだが、彼は冷静を欠いているので、年月の差と言う事をすっかり忘れている。

 

「君たちを騙すクズはちゃんと俺がお仕置きしておいた。こんな奴の所に居るよりも俺の所に来ないかい?」

 

キョウヤに馬乗りになって殴っていた彼は、キョウヤの意識が無いことを確認した後、立ち上がり、両手を広げ、ゆっくりとキョウヤのパーティーメンバーの下にゆっくりと歩み寄る。

 

そして、彼はキョウヤの下を去り、自分の所に来いと言う。

 

「はぁ?何言ってんの!?」

 

「誰がアンタみたいな冴えない乞食の所なんて行く訳ないでしょう!!」

 

「大体、腐り目なんて言うけど、アンタの目の方が腐っているわよ!!」

 

「アンタ、本当に人間なの!?ゾンビじゃないの!?」

 

服装・ルックスを見てもキョウヤと目の前の男と比べたら、どう見てもキョウヤの方が勝る。

 

それにフィオの言う通り今の彼の目は、八幡以上にドロドロと腐っていた。

 

「君たちはコイツに騙されているだけなんだぁ~‥俺が‥‥俺が君たちを救ってあげるよぉ~‥‥俺と一緒に温かい家庭を作ろう‥‥俺との間には可愛い娘が生まれるぞぉ~‥‥それこそ、小町以上の天使が!!」

 

血走った目でゾンビみたいなゆっくりとした足取りでキョウヤのパーティーメンバー、クレメアとフィオに近づく。

 

「「ひぃっ~‥‥」」

 

二人もこの男の異常性に気づく。

 

すると、男は自分たちに飛び掛かってきた。

 

狙われたのは、服でも布の面積が少ない服装をしていたクレメアだった。

 

男はクレメアに馬乗りになり、

 

「さあ、俺の子供を産んでくれ‥‥俺と君との間に生まれる子だ。きっと可愛い娘が産まれるぞぉ~」

 

男は片手で器用にズボンのベルトを緩め、路上なのに自身のイチモツを出す。

 

「い、いやー!!」

 

「だ、誰か!?誰か!?助けて下さい!!」

 

男は、クレメアの服を脱がそうとする。

 

凄腕のキョウヤがこの男に負けるほどの疲労をしている通り、彼のパーティーメンバーの二人も疲労しており、普段ならば押し倒される前にこんな乞食みたいな男に負ける筈はないのだが、今日はMPもHPもほとんど、残っていない為、いとも簡単に押し倒されてしまったのだ。

 

労働で疲れている筈の男は性欲が精神を凌駕していたので、疲労感を感じなかったのだ。

 

フィオは周囲の人に助けを求める。

 

このままクレメアはこの男に強姦されてしまうのだろうか?

 

いや、アクセルの街は初心者の冒険者が多く集まる街であるが、決して治安が悪い街ではない。

 

故に、

 

「おい、アンタ!!何しているんだ!?」

 

「その女の人から離れろ!!」

 

「この変態め!!」

 

クレメアの悲鳴とフィオの叫び声を聞きつけ、あっという間に人が寄ってきた。

 

周囲の人々はクレメアに馬乗りになっている男を引きはがす。

 

「クレメア!!大丈夫!?」

 

「フィオ~!!怖かったよぉ~!!」

 

クレメアはフィオに駆け寄り、泣きながら彼女に抱き着く。

 

「衛兵を呼べ!!」

 

「離せぇ~!!俺は悪くない!!俺は!!彼女たちをあのクズから解放してあげようとしたんだ!!悪いのは全部そこにいるクズなんだ!?」

 

「何訳の分からないことを言っている!?」

 

ガタイの良い冒険者の男たちに取り押さえられた彼は自分の正当性を叫ぶが、どう考えても無理がある。

 

その後、彼は下半身丸出しのまま、この街の衛兵に連れていかれた。

 

 

後日、王都にある裁判所に彼の姿はあった。

 

証言台には今回の事件の被害者であるキョウヤ、クレメア、フィオの三人の姿があった。

 

労働に関する法整備は整っていないこの世界だが、犯罪に関する法に関しては、存在していた。

 

しかし、DNA鑑定を始めとする科学捜査、防犯カメラ技術も存在していない為、正直この世界の犯罪に関する法律、裁判も穴だらけなモノで、証人だって金を掴ませれば、被告に不利な虚偽の発言をする。

 

きっと、この世界では冤罪なんて、日常茶飯事の事なのだろう。

 

被告人である彼が証言台に連れてこられると、罪状認否が行われる。

 

彼の罪状は暴行罪及び強姦未遂罪だった。

 

勿論、彼はこの罪状を否認した。

 

彼にとって、自分がしたのは犯罪ではなく、正当な行為だと思っていた。

 

自分の人生を滅茶苦茶にした愚息に制裁を与え、その愚息に騙されている女性たちを救い、彼女たちの間に自分の子供たちを産んでもらう‥‥

 

それなのに、何故自分がこうして裁判で裁かれなければならない?

 

むしろ、その理由が理解できない。

 

彼は証言台で自分の正当性を主張するが、検察、裁判官、弁護士、傍聴人、そして被害者であるキョウヤたちも彼の主張には呆れていた。

 

今回の裁判に関しては、証言も目撃情報も多数あり、冤罪にはならず、弁護士でさえ、弁護を投げだす始末だった。

 

裁判の結果、彼には鉱山での強制労働刑が下された。

 

 

それから数日後‥‥

 

王都所有の鉱山では沢山の囚人たちが強制労働をさせられていた。

 

その中には先日、アクセルの街で冒険者とそのパーティーメンバーの一人を強姦しようとしたあの男が居た。

 

囚人たちは鉱山でつるはしを使って鉱石を掘り出す者、

 

掘り出された鉱石をトロッコに積む者、

 

そして、採掘された鉱石が積まれたトロッコを手で押す者、

 

そんな囚人たちの監視役として、手に鞭を持った看守が怠けている囚人、手間が悪くノロノロ働いている囚人に容赦なく鞭を振る。

 

(くそっ、こうなったのも全部あのクズのせいだ!!)

 

(ここを出たら、奴を必ず殺してやる!!)

 

鉱石が積まれたトロッコを押しながら、ここを出所したら、次は殴るだけではなく、キョウヤを亡き者にしてやると、決意する。

 

しかし、アクセルの街ではホームレスだった彼は、皮肉にも囚人になることで衣食住を手に入れることが出来たのだった‥‥

 

 

 

 

ここで、視点を異世界からシュテルたちが転生した世界へと戻す。

 

シュテルは七月、夏休みの予定を確認する。

 

「はぁ~、やっぱり、Rat事件の影響で七月の夏休み部分は補修か‥‥」

 

「それだけじゃないみたい」

 

「ん?」

 

「八月の上旬も、ドイツから飛行船母艦が来て、なんでも新型の自走式気球の講習があるみたいだよ。ドイツからの留学生組は絶対に受けないといけないみたい」

 

「それにブルーマーメイドフェスタもあるし‥‥」

 

「九月には遊戯祭もある‥‥」

 

「マジかぁ~‥‥」

 

七月にはRat事件の影響で遅れた分の補習があり、八月にはドイツから運ばれてくる新型の自走式気球の操縦講習があり、今年の夏休みは三週間ぐらいしかないみたいだ。

 

しかも、夏休みなので、当然学校からは宿題も出される。

 

それに八月中旬には横須賀のブルーマーメイドの基地でブルーマーメイドフェスタが開催される。

 

主役はブルーマーメイドなのだが、横須賀女子でも露店を出店したりする。

 

それに、学生艦の見学、体験航海もあり、それに間に合うように、駿河はドックにて補修中で、今年はドイツ、キール校のヒンデンブルクもその体験航海に参加するみたいで、ヒンデンブルクも駿河同様ドックの作業員の他、万里小路重工からも作業員、技術者が出向して、駿河、ヒンデンブルクの補修作業が行われている。

 

「今年の夏休みも色々と忙しくなりそう‥‥」

 

去年はダートマス校の体験入学をして、通り魔事件、演劇祭と、何かと忙しかったが、今年の夏休みも勉強とイベントの予定がぎっしり詰まっていた。

 

「それに、九月にある遊戯祭も他校の人たちが集まって、結構大きなイベントになるみたい」

 

今年の横須賀女子の文化祭兼体育祭は、呉、舞鶴、佐世保の海洋学校の生徒たちが学生艦と共に横須賀にやってくるらしい。

 

横須賀、呉、舞鶴、佐世保、そして留学組で体育祭として様々な競技で、得点を競い合うらしい。

 

他にもブルーマーメイドフェスタの様に横須賀女子の各々のクラスは露店や出し物をする。

 

(夏休みに文化祭か‥‥)

 

(ルミルミの奴は大丈夫だろうか?)

 

(この世界の俺は、ルミルミを助け出すことは出来るだろうか?)

 

シュテルは、夏休み、文化祭と言う単語を聞いて、前世の事を思い出す。

 

高校二年生の夏休み、妹の小町と平塚先生に嵌められ、無理矢理群馬県の千葉村に連れていかれ、そこで出会った鶴見留美。

 

彼女は同級生からいじめを受けていた。

 

「みんな仲良く」 の葉山が彼女のいじめ問題に首を突っ込んだ。

 

彼は自分の目の前の人間も仲良くできていなければ、気が済まないのだろうか?

 

葉山の意見に小学生時代、葉山のせいでいじめが悪化した雪ノ下は真っ向から彼のやり方を否定した。

 

その後も不毛なやりとりが行われ、最終的に八幡が、葉山グループのメンバーを使って、小学生たちに脅しをかけて留美のいじめを強引に解決させた。

 

今思えば、一つ間違えれば重大な問題に発展していたかもしれないと思いつつ、あの時間が無い状況ではああするしか手が思いつかなかった。

 

そして、悪評がつくきっかけとなった文化祭‥‥

 

ノリと目立ちたいがために実行委員長になった相模。

 

OGなのに、首を突っ込んできた雪ノ下の姉である陽乃の余計な一言を真に受け、文化祭の開催が危うくなりながらも開催された文化祭のエンディングセレモニーでは、集計表を持って逃げ出すが、態と見つけてもらいたい場所‥‥屋上に居た。

 

八幡は自らが悪役になることで相模を会場に戻した。

 

しかし、これで、八幡に悪評がつき、これを見て、葉山は八幡の解決方法‥‥

 

自己犠牲をするのだと自覚し、修学旅行の依頼を奉仕部に‥‥八幡に丸投げしてきたのだ。

 

その二つの出来事がこの世界でも近づいている。

 

この世界に存在しているかもしれない自分が前世の自分と同じ方法で解決するのではないかと心配になるシュテルだった。

 




このすばのキョウヤと俺ガイルの葉山‥‥

同じ金髪イケメンでありますが、八幡は声が似ているキョウヤにも苦手意識を向けるのかな?

転生者組がそれぞれ転生者だと気づく 気づかない

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