やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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引き続き、晴風クラスのオリエンテーリングです。


104話

 

 

夏休みの初期、Rat事件の影響で四月のカリキュラムに遅れが生じた晴風クラスは座学の補習と小島を舞台にした特別実習が行われた。

 

特別実習は無人島を舞台にしたオリエンテーリングで、四つのグループに別れ、それぞれ別の位置からスタートし、島の中にあるチェックポイントを回りながら、真っ白になっている島の地図を制作することだった。

 

そんな中、四つのグループの一つ、グー・チームのリーダーである明乃は、山野を歩き回っていると、小学生時代の頃を思い出しながら、チェックポイントを探していた。

 

 

一方、他のチームの様子は‥‥

 

 

 

納沙がリーダーを務めるパー・チームは、

 

「発見!!赤のG!!」

 

「赤のGはここ‥‥っと」

 

パー・チームのメンバーの中に野間がおり、彼女はまるでターザンか忍者の様に木の上を移動しながら、チェックポイントを探している。

 

野間が見つけたチェックポイントを納沙は地図に記入していく。

 

「位置の把握はほぼできましたね」

 

「野間さんがいるとすぐポイントが見つかって助かるよね。でも、あれいいのかな‥‥?」

 

鈴はチェックポイントが野間のおかげですぐに見つかるのはいいのだが、みんなで探して見つけるのではなく、野間が木の上から見つける方法はOKなのかと疑問に思った。

 

しかし、木の上からチェックポイントを見つけてはいけないと言うルールはないので、違反ではない筈だ。

 

「さすがマッチ~!!」

 

野間LOVEの等松は、目をハートマークにして黄色い声を上げている。

 

「私たち、一番にゴール出来るかもね!!」

 

「そうね」

 

野間が順調にチェックポイントを見つけているので、自分たちパー・チームは四つのグループの中で、一番最初にゴールできるかもしれないと、士気が高まっていた。

 

「他のみんなは大丈夫かな?」

 

ほまれは、自分たちはこうして順調にチェックポイントを探して、着実にゴールへ近づいているが他のチームは今、何をしているのだろうかと気になった。

 

「どうかしら?互いに連絡を取り合うのは禁止にされているからね」

 

伊勢は他のチームと連絡を取り合うのは禁止になっているので、どうしようもないと言う。

元々トランシーバーや無線機の通信機器を持っていないし、携帯もオリエンテーリング開始前に古庄教官たちに預けている。

 

勿論、他のチームと合流するのも禁止である。

 

「そもそも、これはどういう訓練なの?」

 

武田がこのオリエンテーリングの本質に疑問を抱く。

 

「サバイバル力アップ?」

 

広田がサバイバル能力の向上かと思った。

 

「そうですねぇ~‥‥想定としては、機械の故障などで方角も位置もわからず、孤立した状態での行動‥‥と言ったところでしょうかね?」

 

納沙はこのオリエンテーリングの目的は遭難時での行動じゃないかと口にする。

 

「山でやる必要はあるのかしら?」

 

「いつも海だからね」

 

「理由それだけ?」

 

「さあ?」

 

武田は、目的は兎も角、その舞台が山である意味はあるのかと思う。

 

広田も普段自分たちの実習の地は海なのに武田と同じ意見だった。

 

「とにかく、このままゴールを目指しましょう。地図によるとゴールは‥‥こっちですね」

 

納沙たちは地図を見ながら、ゴール方向へと進んで行く。

 

「次のポイントも探さないとね」

 

「マッチがいれば完璧よー!!」

 

鈴が次のポイントを目指して行こうと言う。

 

等松は、野間が居れば、チェックポイントも直ぐに見つかると、テンションが高い。

 

確かに、野間が居れば、木の上からチェックポイントも直ぐに見つかるだろう。

 

こうして、パー・チームは順調にチェックポイントを探しつつ、ゴールを目指して行った。

 

 

小島の山野の茂みがガサ、ガサと揺れると、

 

「ぷはっぁ!!」

 

茂みからは西崎が出てきた。

 

彼女に続き、立石も茂みから出てくる。

 

「うーん‥‥なるほど、なるほど‥‥」

 

西崎は周囲を見渡し‥‥

 

「‥‥迷った?」

 

「うぃ!!」

 

西崎がリーダーを務めるフレミング・チームはちょっとヤバ目な状況となっており、西崎の顔色は悪く、大谷はオロオロと狼狽えていた。

 

セミの声が鳴り響く中、フレミング・チームはしばし小休止とする。

 

西崎はリュックの中に入っていたミネラルウォーターを飲む。

 

「ぷはぁ!!道に迷って飲む水は美味い!!」

 

「こんなんで大丈夫っすかね?」

 

青木はこのチームの行く先に不安を感じ、それを口にする。

 

そんな中、宇田は地面に膝を抱え座っていた。

 

彼女も顔色が悪く、沈んでいる。

 

しかし、これは決して気分が悪いからではない。

 

(ぬ、ぬかった!!)

 

(ジャンケンによって、四つに分かれたチーム‥‥一見ランダムに決まったように見えるけど、実は好んで手を出すにはその人の性格が大きく関係している‥‥と、私は考えている)

 

宇田は今回のグループ決めには晴風クラスのクラスメイトたちの性格が浮き出ていると考えた。

 

(例えばグーは強く握った拳から力強くエネルギッシュなイメージ。そして、石から連想される頑固な一面‥‥職人やリーダータイプ!!)

 

宇田の脳裏にはグー・チームのメンバーである明乃、柳原、加藤の姿が浮かんだ。

確かに職人気質であり、リーダーシップがある。

 

実質、明乃は晴風の艦長だし、柳原、加藤は機関長を務めている。

 

(つまり、このチーム分けは、結果的に似たタイプ同士で結成されている‥‥!!)

 

宇田の解析から、グー・チームは、リーダーシップな職人気質なチーム。

 

チョキ・チームは、平和と攻撃のバランス力を重視した慎重なチーム。

 

パー・チームは、紙の様な柔軟性があるが、ウラもあるかもしれない怪しさがただようチーム。

 

(それで、言うとこのフレミング・チームは‥‥本来ジャンケンには存在しない特別な枠‥‥それを出すタイプは‥‥目立ちたがり!!)

 

フレミング・チームのメンツを見渡し、まずリーダーの西崎がフレミング・チームになったのは、彼女が目立ちたがりだからと言う理由。

 

(新しい物好き!!)

 

次にあかねを見る。

 

ほまれと双子の姉妹であるが、外見は兎も角、性格はいくら双子とは言え、成長するにつれて異なってくるのだろう。

 

宇田の心理解析通り、あかねは確かにほまれと比べると、新しい物好きで、いろんなことにチャレンジをする。

 

特に洋菓子作りに‥‥

 

姉のほまれは、妹のそのチャレンジ精神に、「あっちゃんは攻めすぎ」 と言った経緯がある。

 

(好奇心旺盛!!)

 

あかねの次は、青木と駿河を見る。

 

確かに宇田の心理解析どおり、二人は好奇心旺盛である。

 

青木は普段から、漫画のネタ探しに余念がない。

 

駿河も青木ほどではないが、好奇心が強く、何にでも興味を示し、突っ込んで行く。

 

(そして、自由人!!)

 

宇田は最後に八木を見る。

 

彼女とは幼馴染みであるが、鈴同様神社の家の娘と言うこともあって神秘的一面があるのだが、宇田にはそれが自由人に見えた。

 

 

「‥‥出す手を間違えた気がする」

 

(私も好奇心に負けた人だけどね‥‥)

 

四つのグループの解析した宇田であったが、フレミング・チームの好奇心旺盛な人間の中に自身も含まれていた。

 

「めぐちゃん、どうしたの?」

 

「ううん、何でもない‥‥」

 

八木が宇田の様子に気づき声をかける。

 

宇田はまさか、グループメンバーの面子の心理解析をしていたとは言えなかった。

 

「何はともあれ、とにかくポイントを探すのが先決っすね」

 

青木がまずはこの状況を打開するためにポイントを探そうと言う。

 

「位置が分からないと、どうしようもないもんね」

 

あかねがポイントを探すにも現在位置が分からなければ、どうすることもできないと指摘する。

 

「確かに」

 

あかねの言う事も、もっともだと大谷は肯く。

 

そして、

 

「どんなに打席が伸びても方向が悪ければただのファールだもんね!!」

 

現状を何故か野球に例える。

 

「タマわかる?」

 

西崎は野球好きな立石に意見を求める。

 

「うぃ」

 

立石は肯く。

どうやら、彼女には大谷の例えが分かるみたいだ。

 

「探し物ならまかせて」

 

八木がダウジングに使う金属棒を取り出す。

 

「やると思った!!任せられないよ!!」

 

八木と幼馴染みである宇田だからこそ、八木がやりそうな事に予測がついたのだが、彼女のダウジングには信憑性が無いので任せられなかった。

 

「でも、噂は聞いているよ。つぐちゃんってこれまでダウジングで色々見つけているんでしょう?意外といけるかも」

 

駿河は八木のダウジングの腕を信じているみたいで試してみようと言う。

 

「そんなオカルトは信じないもん!!」

 

しかし、宇田は八木のダウジングの腕を信じていない様子。

 

「探し物の内容をチェックポイントにすれば‥‥」

 

「そんな融通利くの!?」

 

八木はチェックポイントを探す為にダウジングに念を込め始める。

 

「まぁ、他に当てもないっすから、一度試しても面白いかもしれないっすよ」

 

「この采配、支配にどう影響するのか見物だね」

 

「うぃ」

 

青木と大谷、立石は八木のダウジングに任せてみようと言う。

 

「なんでそんなに他人事なのかがわからない」

 

宇田が自分のチームが今の現状よりも最悪になる可能性もあるのに、まるで他人事の様に振る舞うチームメンバーに思わず呆れた。

 

「よーし、じゃあ行ってみよう!!」

 

「ふあ――――ん!!」

 

西崎が出発の号令をかけ、八木のダウジングの下、チェックポイントを探しに歩き始めるが、宇田はやはり不安が拭えず、彼女の叫び声が森に響いた。

 

 

フレミング・チームが八木のダウジングでチェックポイントを探して行軍している頃、真白がリーダーを務めるチョキ・チームは‥‥

 

蝉の声が鳴り響く森の中を歩いていた。

 

すると、

 

ジジジジジっ!!

 

「うわっ!!」

 

「宗谷さん!!」

 

先頭を歩いていた真白めがけて蝉が突っ込んできた。

 

蝉の突進に思わず尻餅をつく真白。

 

「大丈夫?」

 

黒木が尻餅をついた真白に手を差し伸べる。

 

「あ、あぁ‥‥」

 

「宗谷さんもう三回も蝉に突撃されているね」

 

「先頭を行ってくれているから犠牲になっているぞな」

 

伊良子はスタートしてから、現時点まで真白がもう三回も蝉の突撃にあっていることをカウントしていた。

 

そして、真白が先頭を歩いているおかげで、他のチームメンバーは蝉の突撃にあっていないことを勝田が言うと、

 

「はぁ~ついていない‥‥」

 

真白はもう、お決まりのセリフをはく。

 

しかし、唯一幸いなのは、蝉におしっこを引っかけられていないことだろう。

 

これで、三回連続蝉のおしっこをかけられていたら、目も当てられない。

 

そういう意味では真白の不幸体質はいくらか改善されている可能性がある。

 

「副長の不運を除けば探索は極めて順調だけどね」

 

「優秀なのは間違いないからねぇ~ウチの副長。運は悪いけど‥‥」

 

真白がいるので、フレミング・チーム同様、道に迷っているのかと思いきや、チョキ・チームは順調にチェックポイントを探し当てゴールに近づいていた。

 

小笠原と若狭は、真白は不運なところがなければ、真面目で完璧なのだが、その代償がやはり不運なのだと指摘する。

 

「ポイント発見しましたー!!」

 

そうこうしているうちに山下が次のポイントを見つけた。

 

「流石航海科、よく見ているね」

 

ポイントを見つけた山下を褒める若狭。

 

「ここまで順調に進めているのは山下さんの功績が大きいな」

 

若狭の他に真白も山下の事を褒める。

 

「やはり、目がよろしいのですね」

 

見張りをしているだけあって目が良いのかと思う万里小路。

 

「ウチも何個か見つけるぞな」

 

同じ航海科として山下だけ活躍させる訳にはいかないと勝田もやる気満々だった。

 

黒木が地図を見て、

 

「このまま行くと川があるわね。ゴール付近にも川が流れているみたいだし、遡って行けばゴールできそうだけど‥‥これはルール上いいのかしら?」

 

ゴールの近くには川が流れていたので、このまま川を遡っていけば、ゴールに着くかもしれないが、ルール上はこれでいいのかと問う。

 

「ゴールに辿り着くのが目的ならそれでいいんじゃない?位置を把握する最低限のポイントは見つけているんだし」

 

「そうだよね」

 

伊良子は既にゴールへ行くためのポイントは見つけているので、このまま川を遡ってゴールを目指しても問題ないのではないかと言い、小笠原も伊良子の意見に賛同する。

 

「ですが、ポイントはできるだけ見つけるといったルールもありましたわよね?」

 

「それって、最短ルートを阻害するためだけにあるひっかけ問題の可能性もあるよね」

 

万里小路と若狭は、制限時間内にゴール以外にもなるべくポイントを見つけてゴールせよというルールがある事を指摘する。

 

最低限の数のポイント‥‥その最低限の数が、いくつなのか古庄教官から説明がなかった。

 

その為、一つでも多くのポイントを見つけてからゴールした方が良いのではないかと意見する

 

「でも、制限時間内にゴールは絶対条件ぞな」

 

勝田が時間内にゴールすることも前提なので、ゴール出来るなら、ゴールを目指した方が良いのではないかと意見する。

 

「そうだな‥‥しかし、例えばこの実習‥‥チェックポイントを救助者と仮定した救助訓練なのだとしたら、時間内になるべく多くの救助者を発見し、目的地に辿り着くのが本来の目的なのかもしれない」

 

真白はこの特別実習の目的が救助訓練なのではないかと推測した。

 

「救助訓練?」

 

「もちろん、ただの推測だが‥‥」

 

「確かに特別実習にしては、説明されただけのルールだけを遂行するだけなら、それほど難しいことじゃないわ。でも、別の意味が隠されている可能性も十分に考えられるわね」

 

黒木も真白の意見には賛成の様で、この特別実習には時間内にゴールすること、ポイントを出来るだけ見つけてゴールすること、以外にも隠された目的があるのではないかと思っている。

 

「勝田さん、ここからゴールを目指すならどれくらいかかりそう?」

 

「道が悪いことを考慮しても一時間はかからないくらいぞな?」

 

真白は晴風で航海計画を立てている勝田にここからゴールまでの所要時間を訊ねる。

それによると、ここからゴールを目指すのであれば、悪路を考慮して約一時間の距離みたいだ。

 

「まだ時間には余裕があるね」

 

「じゃあ、ゴールはひとまず置いておいて、もう少しポイント探しに行ってみる?」

 

伊良子と小笠原がまだ制限時間には余裕がるのだから、その間に少しでも多くのポイントを見つけようかと言う。

 

「いいのか?自分で言っておいてなんだが、これが救助訓練だと決まった訳では‥‥」

 

真白はこの特別実習が本当に自分の推測どおり救助訓練なのかという確証はない。

古庄教官が言ったようにただ単にポイントを見つけて最短でゴールするだけかもしれない。

 

もし、それならば、余計なポイントを探して時間を消耗するよりは、このままゴールを目指した方がいいのかもしれない。

 

「いいのよ。少なくとも私は宗谷さんの意見には納得したわ。恐らく他のみんなもね‥‥」

 

黒木は、真白の推測は当たっていると言う。

 

真白は他のチームメンバーを見ると、メンバーからも特に反対意見はなかった。

 

そもそも、自分たちが目指すブルーマーメイドの主任務は、海上での救助活動だ。

 

それならば、真白の推測通り、この特別実習が救助活動を模した内容である可能性は十分にある。

 

「みんな‥‥ありがとう…よし!!では、これからはポイント探しを重視!!広範囲を捜索しつつ、ゴールへの道筋は大きく外れないよう移動する!!それと制限時間には遅れないように気をつけるぞ!!」

 

『了解!!』

 

真白たちチョキ・チームは現在位置から一つでも多くポイントを見つけてからゴールする方針を立て、時間を気にしながらポイントを探し始めた。

 

 

その頃、ゴール地点にて、晴風クラスの到着を待っている古庄教官たちは‥‥

 

「まだ、どのチームもゴールに辿り着いていませんね」

 

平賀が古庄教官に声をかける。

 

「この時間だと真っ先にゴールに向かうことを想定したチームはゼロ‥‥ですか?」

 

「そうね。最低限のポイントでゴールを目指すなら、最速を目指さなければ‥‥その先の目的を達成できない。でも、それは数ある中の一つの想定よ。この実習内容をどう受け止めて、どう行動するか‥‥それは生徒たちの自由」

 

古庄教官はあくまでも最低限のルールしか伝えていなかった。

 

制限時間内にゴール。

 

チェックポイントは出来るだけ見つけて地図を作り、ゴールを目指す。

 

それ以外は、この特別実習をどう捉えるのか、それは生徒の自由だと言う。

 

つまり、納沙が思ったサバイバル能力向上ではないかと思った事も、真白が救助訓練なのだと思った事もどちらも正解であり、生徒の数だけ、正解がある実習だった。

 

しかし、実習中の生徒たちは古庄教官の考えを知る由もないが、生徒たちは古庄教官の考え通り、この実習には隠された目的があると思い、それぞれのチームごとに目的を立てて、実習に臨んでいた。

 

「楽しみに待ちましょう。あの子たちが何に気づき、それを想定した上で、しっかりミッションを達成できるかどうか‥‥」

 

福内も古庄教官に声をかけ、生徒たちがどんな目標を立てて、この実習に臨んでいるのかを待っていようと言う。

 

「‥‥ええ、そうね」

 

古庄教官は二人の言葉を聞いて、晴風クラスの生徒たちがゴールするのを待った。

 

それからしばらくして‥‥

 

「いっちば――――ん!!」

 

四つのグループの中で最初にゴールしたのは、西崎がリーダーを務めるフレミング・チームだった。

 

一番にゴールが出来たことに関して、宇田は、『奇跡だと‥‥』 と、ボソッと零した。

 

フレミング・チームの次にゴールしたのは、納沙がリーダーを務めるパー・チームだった。

 

「まさか、フレミング・チームに一着をとられるとは、思いませんでした」

 

納沙としては、野間が居たので、彼女にチェックポイントを探させ、順調に地図にチェックポイントを記入して、ゴールを目指していたので、自分たちパー・チームが一着になるかと思っていたのだ。

 

それは納沙以外のチームメンバーも同じようで、

 

「自信あったのになぁ~」

 

と、武田も残念がっていた。

 

一方、鈴は、

 

「二位でもすごいよ」

 

と、一着ではなくても二位でも十分にすごい結果だと思っていた。

 

パー・チームに野間という切り札が居たように、フレミング・チームには八木というダウジングの達人というダーク・ホースが居た。

 

パー・チームの敗因は、この八木というダーク・ホースの存在だったのかもしれない。

 

三着は、明乃がリーダーを務めるグー・チームだった。

 

「疲れたよ~」

 

「でも、楽しかったネ~!!」

 

明乃たちは山野を歩き、森林浴をしながらもチェックポイントを着々と集め、ごくごく平凡な感じでゴールしたみたいだ。

 

そして、四着だったのは、真白がリーダーを務めるチョキ・チームだった。

 

時間には十分に余裕があり、ゴールへの道のりも分かっていた筈のチョキ・チームが何故、四着になったのか?

 

その原因は‥‥

 

「すまない‥‥時間を管理していた私の腕時計が不具合を‥‥」

 

「まぁ、まぁ」

 

「ギリギリ間に合ったんだし、大丈夫じゃない?」

 

時間を見ていた真白の腕時計が動作不良を起こし、気づいた時にはチェックポイントを探している余裕はなく、直ぐにでもゴールを目指さなければならず、チェックポイントの捜索を打ち切り、急いでゴールを目指した。

 

その為、時間には十分な余裕があった筈なのに、ゴールはギリギリになったみたいだ。

 

真白は自分の時間管理‥‥と言うか、時計の不具合‥‥でもなく、最終的に自分の不幸体質のせいで、チームのみんなに迷惑をかけてしまったと謝る。

 

しかし、チームメイトは誰も真白の事を責めはしなかった。

 

真白が立てた方針に賛同したのは自分たちなので、彼女を責めはしなかった。

 

「みんな、お疲れ様!!」

 

ゴールした晴風クラスの生徒たちに労いの言葉をかける平賀。

 

「ひとまず、制限時間内にここまで辿り着くことが出来たみたいね」

 

最低限の条件である時間内にゴールするという目標を全てのチームはなんとかクリアー出来た。

 

「はい、は~い!!一位でゴールしたチームには何か褒美とかありますか~?」

 

一位でゴールしたフレミング・チームのリーダーである西崎は、古庄教官に何か一位になったご褒美があるのかを訊ねる。

 

「実習なので、そういうのはありません」

 

しかし、元々学校の実習なので、褒美はないと古庄教官が言うと、

 

「ガーン‥‥頑張ったのに‥‥」

 

途中、遭難しかけながらも一位になったのに、何も褒美が無い事に西崎はショックを受けた。

 

「そりゃそうだ」

 

真白は当然だろうと、西崎にツッコミ入れる。

 

ショックを受けた西崎に追い打ちをかけるかのように、古庄教官は、晴風クラスの生徒たちもう一言付け加える。

 

「それに、実習はこれで終わりじゃないわよ」

 

『えっ!?』

 

古庄教官のこの一言に晴風クラスの生徒たちは固まる。

 

「まず、本日各チームが作成した地図を回収します」

 

福内が補足説明をする。

 

「あとは明日までに、本日のオリエンテーリングで何を考え、どのように行動したのかレポートをまとめて提出すること、最終的に探索にかかった時間、地図の完成度、レポートの内容をトータルし、吟味した上で評価を下します」

 

「うへぇ~レポートもあるのかぁ~‥‥」

 

島を歩き回り、地図を製作しただけでなく、レポートの提出もあることに西崎のテンションも下がる。

 

「でも、もう、終わったも同然だよ!!レポートを乗り切ったら、明日は自由時間!!もうひと頑張りよ!!頑張れ若者よ――――っ!!」

 

『おぉ――――!!』

 

平賀の激励を受け、明日の自由時間の事を思い出し、晴風クラスの生徒たちの士気は高くなる。

 

その後、各チームは、明日の自由時間を得る為にレポートの作成に努めた。

 

そして、翌日‥‥

 

「海‥じゃなくて、川だ――――っ!!」

 

晴風クラスのクラスメイトたち+大谷と加藤は、水着に着替え、川に飛び込む。

主計科のクラスメイトは川岸でお昼のバーベキューの用意をする。

 

「賑やかねー!!」

 

「ええっ!?」

 

平賀と福内の姿を見て、西崎は驚きの声を出す。

 

二人の姿は自分たちと同じく水着姿だった。

 

「川で遊ぶなんて何年振りかしら?」

 

平賀の水着姿は、同性から見ても刺激的で、胸が細やかな女性にとっては目に毒だった。

 

「二人まで完全に遊びモード」

 

ジト目で平賀と福内を見る西崎。

 

「ふふっ、実は私たちも半分夏休みできているのよ」

 

「ビーチバレーでもする?ビーチじゃないけど」

 

平賀は満面の笑みで晴風クラスの生徒たちをビーチバレーに誘う。

 

「現役ブルマーとビーチバレー対決!!オープン戦みたいにワクワクするね!!」

 

「ワーオ!!エキサイティングねー!!」

 

「よぉーし、やってやろうじゃねぇかぁ!!」

 

大谷、加藤、柳原はやる気満々な様子。

 

晴風クラスの生徒たちが平賀たちとビーチバレーをしている間、明乃はパラソルの下で地図の採点をしている古庄教官に気づく。

 

「古庄教官!!」

 

「ん?」

 

「教官も水着なんですね」

 

古庄教官も教員服ではなく、平賀、福内、晴風クラスの生徒たちと同じく水着姿だった。

 

「あの子たち(平賀・福内)が持ってきたのよ。まぁ、どんな格好でも採点はできるから仕方なくね‥‥」

 

教員服ではなく、水着でも地図の採点は出来るので、古庄教官は平賀に勧められて、水着姿のまま、採点をしていた。

 

「あの、実習の得点次第では、さらに実習なんて‥‥可能性も?」

 

明乃はこの実習の評価が少なければ、また追加の補習があるのか恐る恐る訊ねる。

 

「それはないわ。元々この実習自体が補習みたいなものだし、点数をつけると言っても、判断能力や適性を見るのが目的だから」

 

古庄教官の言葉を聞いて、追加の補習がないことにホッとする明乃。

 

「チーム分けの方法も少しは採点に影響しているわよ」

 

「えぇっ!?それって、もしかして、マイナスなんじゃあ‥‥」

 

チーム決めに時間がなかったとは言え、グー・チョキ・パー・フレミングという安直な方法で決めたことは、低い評価なのではないかと不安になる明乃。

 

「ふふっ、そうかしら?」

 

古庄教官は、笑みを浮かべて誤魔化す。

 

「岬さーん!!」

 

「艦長も一緒にやらなーい?」

 

鈴と若狭が明乃をビーチバレーに誘う。

 

「あっ‥‥」

 

「ほら、私はいいから、岬さんも遊んでらっしゃい」

 

「はい。あの‥‥よかったら、教官も採点が終わったら、一緒に遊びませんか?」

 

「‥‥そうね、考えておくわ」

 

「やったあぁ!!じゃあ、待っていますね!!」

 

「ええ」

 

明乃は、みんながビーチバレーをしている所へと走って行った。

 

古庄教官は、それを見た後、晴風クラスの生徒たちが作成した地図を見る。

 

すると、フレミング・チームが作成した地図を見ると、そこには、『まいぞー金』 『温泉(足湯サイズ)』 と書かれていた。

 

(えっ?何これ?宝の地図?)

 

古庄教官は、その地図を見て、首を傾げた。

 

転生者組がそれぞれ転生者だと気づく 気づかない

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