やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~ 作:ステルス兄貴
後世千葉村編スタートです。
しかし、実際にはもう千葉村は存在しないんですよね。
利用客の減少、維持費等の問題から群馬県に返還されました。
ですが、この作品の世界ではまだ千葉村がある設定です。
神奈川県の横須賀にある横須賀女子海洋学校にて、ドイツから新たに学校へ搬入された新型の自走式気球の操縦実習が行われている頃、千葉県の総武高校にある奉仕部では、群馬県利根郡みなかみ町にある千葉村へ合宿と言う形でそこで行われる同じ千葉の小学校が夏休み期間中に行うサマーキャンプの手伝いであるボランティア活動へと参加した。
奉仕部の他に内申点を餌に平塚先生は、他の生徒にもボランティアを募集して、後世葉山グループに所属する戸部、大岡、相模の三人もボランティアに参加した。
このボランティア活動は、千葉県のとある小学校の小学生たちが千葉村へサマーキャンプに来るので、その引率を小学校の教師たちだけでは、小学生たちの面倒を看きれないという事で教師たちの補佐として総武高校にボランティアの声をかけて、小学生たちの面倒を看てもらうというモノだ。
しかし、この後世世界では比企谷八幡、比企谷小町の兄妹の二人は存在していなかったので当然、今回のボランティア活動には参加していない。
その他にも前世では参加した戸塚、三浦の両者も部活の関係からこのボランティア活動には参加していない。
前世では弱小テニス部であったが、この後世世界では三浦がマネージャーとして切り盛りしているので、夏休みもお盆の期間を除いて練習に力を入れていた。
また、葉山グループメンバーの海老名も夏休み中にどうしても外せない用事があり、その準備のため、千葉村へのボランティア活動には参加できないと言ってきたので、彼女もこの後世世界の千葉村へのボランティア活動には不参加だった。
前世では葉山グループに三浦が居り、彼女がこのボランティア活動に参加していたので、海老名も参加していたが、この世界では三浦は葉山グループに所属しておらず、今回のボランティア活動に参加もしていないので、海老名は参加していなかったのだ。
本音を言うと海老名も相模に対して苦手意識を持っていたが、クラスで大きな権力を持つ葉山グループに所属していれば身を守れると考え、彼女は高校二年の進学時に由比ヶ浜からの誘いの声をかけられ葉山グループに所属したのだ。
その海老名はと言うと‥‥
「グフフフ‥‥やっぱり、ハヤ×トベが王道よね‥‥」
怪しい笑みを浮かべながら、自宅にある自室にてクラスメイトを題材に夏のビッグイベントでガッポリ稼ごうとBL同人誌を描いていた。
海老名、戸塚、三浦‥‥そしてチェーンメール騒動で学校を退学した大和の四人が来ない代わりに、前世では参加していない相模が参加している。
また、千葉から群馬にある千葉村への移動手段も前世とは異なり、日本の地が水没している為、千葉から群馬の千葉村までの移動は車ではなく雪ノ下家が所有する大型クルーザーで行くことになった。
舵を取っているのは雪ノ下の父の秘書である都築だった。
当初、相模はボランティア活動とは言え、葉山と一緒に過ごせることに喜んだが同じボランティア活動で雪ノ下と由比ヶ浜の二人が参加することに難色を示したが、このまま二人を葉山と一緒に千葉村に行かせると、どちらか、または両者が葉山に対してモーションをかけるのではないかと、勘繰り、渋々ながらも千葉村へと向かった。
ただ、雪ノ下と由比ヶ浜の二人をけん制することも忘れず千葉村へと向かっている途中、クルーザーの中で相模は葉山にべったりとくっついていた。
しかし、相模の勘繰りはまさに勘違いで、雪ノ下と由比ヶ浜も葉山の事など二の次であり、二人の興味と言うか意識は千葉村での留美のいじめ問題を気にしていた。
葉山は大っぴらな態度は出さなかったが彼の表情は顔が引き攣っていたので、葉山が相模の行動に迷惑しているのは勘の鋭い者は分かった。
しかし、敢えて面倒事を引き起こす必要もないので雪ノ下は葉山と相模の二人をアウト・オブ・眼中のまま無視を貫いた。
由比ヶ浜も相模には苦手意識があったので、葉山にはすまないが雪ノ下同様無視していた。
「ゆきのん‥‥」
千葉村に向かっている中、由比ヶ浜は雪ノ下に声をかける。
「なにかしら?由比ヶ浜さん」
「その‥‥大丈夫かな?」
「なにが?」
雪ノ下がイギリスへ行かず、千葉村に来てくれた事に関して由比ヶ浜の不安要素の一つは取り除けた。
しかし、もう一つ由比ヶ浜には別の不安要素があった。
「これまでの依頼‥なんか前の世界と全然違ったじゃない?だから、次の依頼‥‥留美ちゃんのいじめも起こるのかな?って、思って‥‥」
由比ヶ浜が抱いた不安要素‥‥
それは、これまでの依頼の経緯を振り返っての事だった。
この世界では比企谷八幡が居なかった為、由比ヶ浜の依頼‥‥クッキーを作りたいと言う依頼はなく、材木座も奉仕部に自らが書いた小説を持ちこむ事はなかった。
もっとも奉仕部の二人は材木座の存在を忘れていた。
哀れなり材木座‥‥。
そして、この世界で初めて臨んだ戸塚のテニス強化の依頼‥‥それは、前世とは展開が異なっていた。
前世でテニス妨害してきた三浦は、テニス部のマネージャーで戸塚本人が奉仕部に依頼していないことが判明し、逆に奉仕部がテニス部の部活動の邪魔をしたと言うことになってしまった。
川崎の依頼については、奉仕部メンバーは退学の危機になったが葉山の父親であり、雪ノ下家の顧問弁護士である葉山弁護士が裏から手を回してもらいバーでの一件は無かったことにしてもらったが雪ノ下家がとったこの行動は本家である西住家でも知られており、本家からの風当たりは決して良いモノではなくなった。
勿論、その事実を雪ノ下と葉山は知らない。
これら後世奉仕部が経験した出来事は、確かに前世で奉仕部が関係した人物が存在はしたが展開も顛末も何もかもが前世の結果とは異なっていた。
「確かに由比ヶ浜さんの言う通りね‥‥」
「でしょう?それに、このボランティア活動に来た人も前の世界と違うし‥‥」
由比ヶ浜はチラッと葉山にべったりとくっついている相模を見る。
確かに前世では、相模はこのボランティア活動に参加していないし逆に参加していた三浦、海老名、戸塚、八幡、小町、大和の面々が不参加となっている。
由比ヶ浜は前世と異なる顛末を迎えたこれまでの経験と今回のボランティア活動に参加しているメンバーが前の世界と異なる事についても、本当にこの世界でも鶴見留美のいじめ問題があるのか疑問に感じていた。
雪ノ下も由比ヶ浜の言葉を聞き、これまでの事を振り返り一理あると思った。
「‥‥由比ヶ浜さんの言いたいことは分かったわ。でも一応このサマーキャンプで、まずは鶴見さんが来るかを確認して、次に彼女とクラスメイトたちの様子を見つつ、いじめ問題があるかを確認してから判断しましょう」
「うん、わかった」
雪ノ下は由比ヶ浜の言葉を聞いて留美のいじめ問題には慎重な姿勢で臨むことにした。
そして、到着した千葉村‥‥
サマーキャンプに参加する小学生たちは大型の水上バスで千葉村入りをした。
整列する小学生たちの中に前世でこの千葉村で知り合い同級生からいじめを受けていた鶴見留美の姿もあった。
しかし、戸塚や川崎の件からみても 留美の存在=いじめ問題 と繋がらない。
雪ノ下は、葉山にも由比ヶ浜や自分が抱いた不安を伝えようとするも彼の近くには常に相模がべったりと張り付いており、話しかけようとしても、
「雪ノ下さん。葉山君は今、ウチと一緒にいるんだけど?ちょっと、空気読んでくれない?」
と、相模は葉山を決して離さず、独占欲丸出しの子供みたいな行動をとってきた。
このため、雪ノ下も由比ヶ浜もこの千葉村で本当に留美のいじめ問題が起こるのか、その不安要素を葉山に話す機会がなかった。
だが、由比ヶ浜が気づいたのだから、葉山自身もきっとこれまでの経緯から、前世と依頼の内容が異なっていることから、この千葉村でのボランティア活動でも留美のいじめ問題がこの世界でも起きるのだろうかという疑問を抱くのではないかと思った。
小学校の教師が小学生たちに今回のサマーキャンプでの注意点や予定を伝えた後、
「では、今回のキャンプで皆さんのお手伝いをして下さる、総武高校のお兄さん、お姉さんたちです」
小学校の教師から挨拶と自己紹介を促され、総武高校のメンバーは小学生たちに挨拶をする。
「どうも、初めまして、総武高校の葉山隼人です。何かあったらすぐに僕たちに言ってください。今回のサマーキャンプで素敵な思い出を作ってくださいね。よろしくお願いします」
すると、前世の時と同じく葉山が挨拶と自己紹介をすると小学生の女子たちは、キャーキャーと、黄色い声を上げる。
とは言え、小学生の女子たち全員ではなく、留美を始めとする一部の女子生徒は、特に反応することはなかった。
反対に相模は葉山を見て、キャーキャー黄色い声を上げている小学生の女子たちを睨んでいた。
まったく大人げない。
「では最初のイベント、オリエンテーリングを始めます!!」
そして、サマーキャンプ最初のイベントであるオリエンテーリングが始まる。
小学生たちは予め決められていた班員でオリエンテーリングに臨み、山道を歩きながらチェックポイント探す。
「いやー!!小学生マジ若いわー!!俺ら高校生とかもうオッさんじゃねぇ?」
戸部はオリエンテーリングで、山を登っている小学生たちを見て騒ぐように言う。
「ちょっと、戸部!!アンタ、何言ってんの!?それだと、ウチがババァみたいじゃん!!」
戸部の発言に相模が噛みつく。
そんな戸部に噛みつく相模の腕は、葉山の腕に絡みついており、
「葉山君、戸部があんなことを言っているけど、ウチは十分若いよねぇ~?ねぇ~?」
と、相模は上目遣いで葉山を見つめる。
「ど、どうなんだろう?まぁ、人それぞれじゃないかな?平塚先生から見たら、俺たち高校生は十分若い部類に入るだろうし‥‥」
葉山は相変わらず曖昧な回答をしていた。
更にさりげなく日頃の不満なのか平塚先生をディスっていた。
そんな葉山と相模の様子を雪ノ下は 「くだらない」 と言った感じで見ていた。
そして、今回の主要人物である留美を見つけてその様子を見てみると‥‥
「おーい、ルミルミ!!早く!!早く!!」
「‥‥ルミルミ言うな」
「ルミちゃん、早く!!」
前世では、班員から離れて歩いていた筈の留美であったがこの世界では、同じ班のメンバーから声をかけられていた。
ただ、留美のクラスメイトの人数の関係か、彼女の班のメンバーは他の班の人数と異なり、留美を含めて三人の班だった。
最も葉山、雪ノ下、由比ヶ浜の三人はいじめの被害者である留美の顔と名前は覚えていたが、彼女をいじめていたクラスメイトの顔と名前、前世で留美と同じ班の人数までは覚えていなかった。
(やはり、この世界では鶴見さんのいじめ問題は起きないのかもしれないわね‥‥)
前世と状況が異なる光景を見て、雪ノ下はこれまでの経緯から、この世界での留美のいじめ問題は起きないのではないかと思い始めた。
それは、雪ノ下と同じく留美の現状を見た由比ヶ浜も同意見みたいだった。
しかし、葉山は相模が引っ付いていて留美の様子には気づいていなかった。
オリエンテーリングは無事に終わり、昼食となる。
昼食はキャンプでは定番となっているカレー作りであり、それは前世でも同じだった。
「じゃあ、アタシらは洗い物をするから、ルミルミはカレーの鍋を見ていてね」
「だから、ルミルミ言うな‥‥」
「留美ちゃん、よろしく~」
留美はもう何度同じやり取りをしたかと呆れながらも、頼まれたカレーの鍋の番をしながら、同じ班のメンバーが戻ってくるのを待った。
そんな鍋の番をしている留美に、
「やあ、君はカレー好き?」
と、葉山が留美に話しかけてきた。
雪ノ下と由比ヶ浜は留美のいじめ問題はこの世界では起きないかもしれないと思い、留美を遠巻きから観察しており、オリエンテーリングの際、留美が同じ班員から声をかけられていたことから、この世界ではいじめ問題は起きないと判断していたのだが、葉山はオリエンテーリングの時、相模が引っ付いており、留美の事を見る余裕が無く、更に雪ノ下と由比ヶ浜が葉山に声をかけようと思っても相模が葉山にべったりと引っ付いていたので、葉山に自分たちが抱いた疑問を話すことも出来なかった。
その為、現在一人でカレー鍋の番をしていた留美を見て葉山は前世同様、留美がいじめられて一人、孤立しているのだと勘違いしたのだ。
「別に‥‥特に興味ない‥‥でも、これは私たちのお昼ご飯だから‥‥」
前世同様、留美は葉山に対してそっけない態度を取る。
「おまたせ、ルミルミ」
「だからルミルミ言うな」
そこへ、留美と同じ班のメンバーが洗い物を終えて戻ってきた。
「ん?お兄さん、ルミルミに何か用?」
そして、留美の傍に居た葉山をジト目で見てくる。
「あっ、いや、何でもないよ。それじゃあ‥‥」
葉山はそそくさとその場から撤退する。
「‥‥ルミルミ、あの人と知り合いだったの?」
最初の紹介で葉山が総武高校の学生という事は知っている。
しかし、留美と葉山の様子からもしかしたら、私生活でも知り合いなのかと思い班のメンバーが留美に聞いてみると、
「全然知らない人。それなのになんか馴れ馴れしく話しかけてきた」
留美は今回のサマーキャンプで葉山と初めて顔を合わせたみたいだった。。
葉山としては自然な形で留美に話しかけたつもりなのだが、話しかけられた留美の方からしたら、突然話しかけてきた馴れ馴れしい男と言う認識だった。
「ふーん‥‥」
留美と同じ班のメンバーは訝しむように葉山の事を見ていた。
留美の班から離れた葉山は、やはりと言うか、その顔と表面上とは言え、人当たりの良さから、あっという間に小学生の女子生徒から囲まれる。
その様子を相模と小学生の男子生徒は面白くないという顔で見ていた。
「折角だし、何か隠し味入れようか?何か入れてみたい人!」
葉山が小学生たちにそう言うと、
「はーい!」
「はい!はい!」
「はい!あたしフルーツがいいと思う!桃とか!!」
と元気に由比ヶ浜が馬鹿なことを言い出す。
その様子はまるで、体の大きな小学生が交じっているみたいだった。
「あのおっぱいが大きなおねえちゃん、バカなのかな?」
「うん、カレーに桃はちょっと合わないと思う‥‥」
「ホントにバカばっか‥‥」
由比ヶ浜の様子を見て、留美や班員のメンバーは小学生ながらも、由比ヶ浜の言動に呆れていた。
昼食であるカレータイムも終わり現在は夕方‥‥
小学生たちは夕食も食べ終わり、ボランティアである総武高校の高校生たちは小学生たちよりも遅めの夕食となる。
その夕食の際、雪ノ下は何とか相模の隙を突いて葉山にメモを渡すことに成功した。
雪ノ下が葉山に渡したメモには、
『話したいことがある。夕食が終わったら、相模さんを少しの間、遠ざけて欲しい』
と書かれていた。
葉山としては雪ノ下が自分に何の用があるのか分からなかったが愛する雪ノ下からの話という事で葉山は速攻で了承した。
そして、夕食後‥‥
「相模さん」
「ん?何?葉山君」
「ちょっと、受付事務所の隣にある自販機で、飲み物を買ってきて欲しいんだ」
「えっ?ウチに?」
「うん、ダメかな?」
「ん~‥‥事務所のとこの自販機でしょう?もう、暗くなりかけているし‥‥葉山君も一緒に来てくれない?」
相模を引き離そうとする葉山であったが、相模はあくまでも葉山からは離れたくないみたいだ。
「僕はこの後、食後のデザートの用意があるんだよ。だから、お願い」
「わ、分かった」
本音を言えば葉山と一緒に居たかったが、あいにくと相模は家事がそこまでうまい訳ではなく、果物の皮むきさえも満足が出来ないので、居ても足手まといになるし、葉山にそんな無様な姿を晒したくはないので、渋々といった様子で飲み物を買いに行く相模。
自分にべったりと引っ付いていた相模を短時間とは言え引き剥がすことが出来、雪ノ下と共に調理台で果物の皮を包丁で剥く葉山。
「それで、話って何だい?」
「鶴見さんの事よ」
「ああ、彼女ね。今回はヒキタニの奴が居ないが解決方法は知っているから、問題なく解決できる筈だよ」
葉山は前世で八幡が行った留美のいじめ問題の解決方法を知っているので、この世界でも同じような方法で行えば、彼女のいじめ問題も解決すると思っていた。
その為の駒だって用意してある。
だが、彼の発言から葉山は自分や由比ヶ浜が抱いていた疑問を抱いておらず、この世界でも留美のいじめ問題が起きるモノだと思っていたみたいだ。
「その事なんだけど、この世界では鶴見さんのいじめ問題は起きていないんじゃないかしら?」
戸塚、川崎の経緯、そして昼間に見た鶴見と同じ班のメンバーとのやり取りを見て、雪ノ下はこの世界では留美のいじめ問題が起きないのではないかと葉山に伝える。
しかし、葉山は、
「確かに戸塚君と川崎さんの件は前の世界と違ったが、だからと言って留美ちゃんの件も違うとは限らないんじゃないかな?」
と、彼は雪ノ下が抱いた疑問に関しては懐疑的と言うか否定的だった。
「でも、鶴見さんの様子を見たけど、前の世界と違って、班のメンバーと随分仲良くしていたみたいだけど?」
昼間見た留美と班のメンバーの様子から、雪ノ下はやはりこの世界では、留美のいじめ問題は起きないのではないかともう一度、葉山に言うが、
「雪乃ちゃん、君も前の世界でいじめの経験から分かっているだろうけど、いじめっ子と言うのは、大人や年上の人が居る所では、いじめを行わず、人気のない所でやるものだ」
「え、ええ‥そうね」
葉山の言葉に雪ノ下は、前世での小学校でのいじめの事を思い出す。
確かに自分をいじめていたクラスメイトの女子たちは、教師の目が届く内は自分に危害を加えなかった。
それは高校でも同じで前世のクラスメイトたちは放課後など、八幡を人気のない所に連れて殴る、蹴るの暴行をしていた。
雪ノ下の場合は、女子であり彼女にいじめをしていたのは同じく女子だったので、陰口を言ったり、物を隠してきた。
葉山は雪ノ下にいじめの例えを雪ノ下の小学生時代について言うが、彼は雪ノ下の小学生時代のいじめなんて後から聞いたことで、実際は前世で八幡が同じクラスや、他のクラスで修学旅行でのデマを信じた同級生に暴行されている所を陰から見ていたので、いじめっ子の行動を知っているのだ。
「‥‥それでも、私は今までの経緯から、どうもこの世界では鶴見さんのいじめはないと思うし、鶴見さん本人が私たちに助けを求めてこないのであれば、私と由比ヶ浜さんは鶴見さんの件を傍観するつもりよ」
雪ノ下はやはり、留美のいじめ問題に関しては懐疑的で今回は慎重な姿勢を貫くことにした。
そして、それは留美のいじめ問題を雪ノ下に相談した由比ヶ浜も同じだと葉山に伝える。
それでも、葉山は、
「確かにこれまでの依頼は前の世界と違ったけど、俺は鶴見さんを今度こそ、ヒキタニの力なしに救ってみせるよ」
と、留美のいじめ問題は必ず起きているという確証もない根拠のまま葉山は留美の問題を解決する姿勢を貫いていた。
夕食後、平塚先生は小学校の教師らと翌日の予定の確認を行い、その予定をボランティア活動に参加している総武高校のメンバーに伝える。
ミーティングが終わり、解散となる直前、
「先生、あの‥‥」
葉山が平塚先生に声をかけた。
「なんだ?葉山。何か心配事かね?」
「実は、気になる子がいまして‥‥」
葉山は平塚先生に留美の事を伝える。
ただし、これはこの世界の留美ではなく、前世の留美に関する情報だった。
「それで、君たちはどうしたいのかね?」
平塚先生は葉山から留美の事を聞いて、総武高校のメンバーが留美に対してどうリアクションしたいのかを訊ねる。
平塚先生の言葉にその場に居るみんなが無言になる。
そんな中、沈黙を破る者がいた。
「それは‥‥俺は…できれば、可能な範囲でなんとかしてあげたいです」
「でも葉山君、彼女の現状をもう少しよく見てからでも良いんじゃないかしら?」
雪ノ下は先程、葉山に言った警告をもう一度‥他の総武高校のメンバーの前で言うが、
「なにそれ?雪ノ下さんは、いじめられている子を見捨てるんだ‥‥ひっどーい!!雪ノ下さんって、名前の通り、冷たい人なんだねぇ~」
見方を変えると雪ノ下の言葉はいじめを受けている留美を見捨てるように聞こえたのか、相模は雪ノ下を非難する。
「だから、私はその子が本当にいじめられているかの確認をしてからでも遅くはないんじゃないかって言っているの!?」
雪ノ下と相模が口論となる。
そこで、雪ノ下は、
「平塚先生」
「なんだ?雪ノ下」
「今回のボランティア活動は奉仕部の合宿も兼ねているんですよね?」
「ああ、そうだな」
「では、彼女の件も奉仕部の案件に関係していますか?」
「まぁ、原理原則という視点であれば、範疇に入れてもいいだろう」
「そうですか‥‥では、彼女が助けを求めるのであれば、彼女の問題を解決することにしましょう」
奉仕部の部員でもある葉山に雪ノ下は平塚先生からの確約を得て、もし、この世界の留美が前世同様いじめられており留美が自分たちに、「いじめ問題をなんとかしてくれ」 「助けてくれ」 と頼んできたら前世での荒行ではあるが、八幡が行った行為をして留美を助けるつもりだった。
「それで?彼女が助けを求めてきた時、解決する手立てはあるのかね?」
「ええ‥まぁ、一応‥‥」
流石に教師の平塚先生の前で小学生たちを脅すとは言えなかった。
「ふむ‥では、彼女の問題には君たちで対処したまえ。私は眠いんで先に寝かしてもらう」
そう言い残し、平塚先生はその場から去って行った。
他の奉仕部メンバー以外は、葉山程に今日会ったばかりで、このサマーキャンプのみでの付き合いである留美の事なんて真面目に悩んでいる筈もなく、更に自分たちではなく、雪ノ下がちゃんといじめ問題の解決策を持っているという事でその場から去って行った。
しかし、雪ノ下はあの葉山がそう簡単に諦めるのか未だに不安であった。
だが、彼にはこの世界の留美の現状を見て前世と後世の違いを理解してもらうしかなかった。
転生者組がそれぞれ転生者だと気づく 気づかない
-
気づく
-
気づかない