やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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留美の班のメンバーは『ご注文はうさぎですか?』のチマメ隊所属のマヤとメグをご想像下さい。

原作では中学生ですが、あの身長ならば小学生でも行ける気がしたので‥‥

当初は『ロウきゅーぶ』の女バスメンバーが留美と同い年なので、彼女らを採用しようかと思いましたが、人数が多すぎ各々の性格を把握しきれないためマヤとメグの二人を採用しました。

そして今回の問題解決に対して後味が悪い・胸糞悪い印象を受けるかもしれませんが、まだ彼らを潰すわけにはいかないので、どうぞご容赦ください。


111話

 

 

後世世界における群馬県にある千葉村でのボランティア活動‥‥

 

前世ではこの千葉村で行われた千葉県のとある小学校で行われたサマーキャンプに参加していた一人の小学生‥鶴見留美は、このサマーキャンプの前から学校でいじめを受けていた様子で、それはこのサマーキャンプでも変わらず彼女は総スカンと言ういじめを受けていた。

 

それを見た奉仕部メンバーとボランティア活動に参加していた葉山グループは、留美のいじめ問題を解決するために二日目の夜に行われた肝試しである作戦を実行して、留美のいじめ問題を解消した。

 

そして、この後世で行われた千葉村でのサマーキャンプにも留美は参加していた。

 

その事から当初、雪ノ下は留美のいじめ問題が起きることを予想していた。

 

しかし、この千葉村に来るまでの経緯が前世と異なったことから、由比ヶ浜はこの千葉村でも留美のいじめ問題が起きるのかを疑問視して、それを雪ノ下と相談した。

 

すると雪ノ下も由比ヶ浜の言う通り、前世とこの世界との違いから、由比ヶ浜が言っている事も、最もだと思い、二人はさりげなく留美の様子を窺うと前世と異なり、同じ班のメンバーから無視されている様子はなく、むしろ逆で積極的に班のメンバーから話しかけられていた。

 

その様子を見た雪ノ下と由比ヶ浜もこの世界では留美のいじめ問題が起きないと判断した。

 

だが、葉山は留美の現状を見ていなかったこともあり、この世界でも留美のいじめ問題は起きると判断していた。

 

一応、雪ノ下が葉山に 『余計な事はするな』 と、釘を刺したが葉山はそれさえも無視して自らのグループメンバーを巻き込んで、独自で動くことにした。

 

彼としては雪ノ下に 『やはり、留美はいじめられていた。だが、自分は留美のいじめ問題を無事に解消した』 と、人知れず人助けをしたヒーローを演出しようとしていた。

 

幸い解決方法は前世で八幡が立案したモノを覚えていたし、そのための駒もちゃんと揃っている。

 

解決方法を既に知っており、そのための駒が揃っている中で、葉山としては実行しないと言う選択肢はなかった。

 

肝試しでは前世同様、自分たち高校生のボランティアメンバーは肝試しのお化け役であり、雪ノ下と由比ヶ浜の二人は自分たちよりも離れた場所で小学生たちを脅かす事になっている。

 

やってくる小学生たちの班も判明している。

 

それを見るとおあつらえ向きに留美たちの班は一番最後となっている。

 

葉山としては何もかもが自分に味方しているとしか思えなかった。

 

 

葉山が留美のいじめ問題を解決しようと独自で動こうとしている中、肝試しをこれから体験しようとしている小学生たちは‥‥

 

「どう?これなら、目立たないでしょう?」

 

留美の班のメンバーの一人が胸ポケットにスマホを入れて、目立たないかを留美ともう一人のメンバーに訊ねる。

 

「まぁ、確かに目立たないけど‥‥」

 

「スマホなんて入れてどうするの?」

 

留美はわざわざスマホを目立たないように胸ポケットに入れる理由を訊ねる。

 

「肝試しするわけだしさぁ、もしかしたら本物の幽霊が出るかもしれないじゃん」

 

「マヤちゃんらしいと言えば、マヤちゃんらしいね」

 

「その他にも‥‥」

 

「「その他にも?」」

 

「あのロリコンがルミルミに何かしてくるかもしれないじゃん」

 

「「えっ?」」

 

「先生が話しているのを聞いたんだけど、今回の肝試しのお化け役‥どうやらあのロリコンたちがやるみたいだよ」

 

「「っ!?」」

 

留美と同じ班のメンバーの一人である‥マヤが言うには、これから始まる肝試しのお化け役がロリコンこと、葉山たちがすると聞いて強張る留美ともう一人のメンバー。

 

肝試しは暗くなった森のハイキングコースを歩く。

 

光源は一班に一本配られるペンライトのみ‥‥

 

しかも相手は自分たちよりも大きな男子高校生‥‥

 

肝試しは班ごとの行動で、しかも自分たちの班は他の班と比べ人数も少ないし、順番も一番最後‥‥

 

暗闇の森の中へ強引に連れていかれたら、小学生の女子である自分たちでは敵うはずがない。

 

しかし、ただでやられる訳にはいかない。

 

証拠となる音声と映像を残して、あのロリコンを地獄に叩き落としてやろうと対策していたのだ。

 

「ルミルミもメグも何か対策した方がいいって!!」

 

「そうだね。じゃあ、私も何か用意しておこう」

 

「わ、私も‥‥」

 

マヤに言われ、留美ともう一人のメンバー‥メグも何か抵抗できるように対策品を用意した。

 

こうして様々な思いが巡る中、肝試しは始まろうとしていた。

 

肝試しは小学校の教師が地図でコースを説明するのを始めとし、

 

夜間の為、絶対に決められたコース以外の道を通らない事、

 

わざとコース上で待機して次の班を待ち、一緒にコースを歩くことは禁止

 

支給されたペンライト以外の光源の使用は禁止

 

お手洗いは肝試しが始まる前に済ませる事、

 

などの注意点も伝える。

 

そして、お手洗い等を済ませた小学生が集まると教師はこの周辺の地域に伝わる怖い話をして、この場を盛り上げ、小学生の恐怖心を煽る。

 

女子たちは互いに抱き合い怖がり、男子たちは、

 

「どいつもこいつも恐がりだな」

 

「そ、そんなの迷信だ!!」

 

「幽霊や妖怪なんて居る筈がないだろう!!」

 

と、虚栄を張っているが声や足が震えているので説得力がない。

 

やがて、肝試しが始まる‥‥

 

順番が回ってきた小学生たちはビクビクしながら森へと続く夜のハイキングコースへと入っていく。

 

コースはこの森をグルっと一周して戻ってくると言うコースとなっている。

 

「に、逃げないでよね」

 

「わ、分かっているよ。お前も逃げるなよな」

 

ペンライトを持つメンバーに対して絶対に一人で逃げないように釘を刺す子もいる。

 

唯一の光源を失ったら、それこそ後日クラスメイトたちから総スカンをくらう。

 

だが、もしこの場に鈴が居たら一人で逃げてしまったかもしれない。

 

実際に彼女は肝試しの中でペアを置いて一人逃げ出してしまった過去があるからだ。

 

時間の経過とともに肝試しは順調に進み、一班、一班と夜の森の中に消えていく。

 

やがて、留美たちの班の番となった。

 

留美たちの場合、お化けよりもそのお化け役の高校生たちに注意する必要があった。

 

「よし、ここまでくれば、先生の目に届かないだろう」

 

マヤはスタートからある程度進むと、胸ポケットに入れておいたスマホを起動させ録画モードにして再び胸ポケットにしまい込む。

 

「みんなは何を持ってきた?」

 

そして、マヤは留美とメグにロリコン(葉山)撃退対策として何を持ってきたのかを訊ねる。

 

「私はデジカメ‥‥証拠の写真にもなるし、フラッシュで相手の動きを一瞬でも潰せる」

 

「私はスプレータイプの虫よけ。留美ちゃんと同じくこれ、目にかかるとしみるみたい」

 

留美とメグは目つぶしに使えそうな物を用意していた。

 

「よしっ、行くぞ。油断するな」

 

「「うん」」

 

緊張しながら、三人は夜の森の中に続くハイキングコースを歩いていく。

 

それから少し歩いていくと、雪女衣装の雪ノ下と巫女装束の由比ヶ浜が三人を驚かしたが、ノリノリな由比ヶ浜は兎も角、恥ずかしそうに脅かす雪ノ下は正直恐くない。

 

ノリノリの由比ヶ浜の方も着ている衣装が巫女装束なので怖くない。

 

肝試しにノリノリならば、せめて衣装やメイクを怖くする必要があったのではないだろうか?

 

「やっぱり、留美ちゃんはいじめられてはいないみたいだね」

 

「そうね‥さて、鶴見さんたちの班が一番最後みたいだから、これで終わりね。撤収しましょう」

 

「うん、そうだね」

 

留美と班のメンバーの様子を見た雪ノ下と由比ヶ浜は、やはりこの世界ではいじめ問題が起きてはいないと確信した二人だった。

 

そして、留美の班が最後だったので二人は撤収した。

 

先に戻った二人はキャンプファイヤーの会場にて、留美たちとお化け役の葉山たちが戻ってくるのを待った。

 

しかし、予定時間を過ぎても留美たちも葉山たちもなかなか戻ってこない。

 

「ねぇ、ゆきのん。なんか留美ちゃんたち遅くない?」

 

「そうね‥‥葉山君たちもまだ戻ってきていないみたいだし‥‥」

 

なかなか戻ってこない留美たちと葉山たち‥‥

 

「っ!?ま、まさかっ!?」

 

なかなか戻ってこない留美たちや葉山たちを心配しつつ同時に不安も覚えた雪ノ下。

 

(まさかっ!?葉山君、勝手に動いたの!?)

 

いくら暗いと言っても肝試しのコースはハイキングコースをそのまま利用しているので、迷うことはない筈だ。

 

注意事項でも決められたコース以外は入らないようにと教師に言われていた。

 

あの留美たちがその言いつけを破るとは思えない。

 

予定ではもう留美たちもこのゴールであるキャンプファイヤーの会場に着いている筈だ。

 

小学校の教師たちも何やら心配と言うか、不安な顔をしている。

 

サマーキャンプの最中に事故が起き、その事故に小学生たちが巻き込まれれば、その責任は引率である教師に降りかかる。

 

恐らく、留美たちの心配よりも自身の保身を心配している教師も居ることだろう。

 

そんな中、雪ノ下は葉山たちが勝手に動き、留美たちのことを足止めしているのではないかと思った。

 

雪ノ下がそんな不安を抱いていると、

 

「「「ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥」」」

 

血相を変え、顔色を青くした留美たちが森の中から出てきた。

 

「先生!!」

 

森の中から出てきた留美たちの中で、マヤが教師に声をかける。

 

「どうしたんだ?随分遅かったじゃないか。迷ったのか?」

 

不安になっていた教師は留美たちが戻ってきてホッとした表情になる。

 

「高校生の人たちに襲われそうになった!!」

 

しかし、マヤの発した言葉に小学生の教師たちはピキッと固まる。

 

「ど、どう言うことだ?」

 

「そ、それが‥‥」

 

マヤが教師たちに事情を説明する。

 

 

留美たちが雪ノ下と由比ヶ浜が居るポイントを過ぎた後、

 

「まだ、あのロリコンは出て来ていないな‥‥」

 

「なるべく一人で出て来て欲しいな‥‥」

 

葉山を警戒しつつコースを進んで行くと、葉山だけではなく、葉山グループのメンバー全員がコース上を塞いでいた。

 

そして、留美たちを見つけると、

 

葉山が、

 

「この場に二人残れ!!」

 

と、怒鳴ってきた。

 

「俺っちさぁ~気がみじけぇーんだわ。早くしてくんない?」

 

葉山たちは留美たちを睨みつける。

 

特に相模何て目線で殺せるんじゃないかというぐらい留美を睨みつけていた。

 

葉山がいなければ、留美の頬に平手打ちでもしていそうな勢いだ。

 

しかし、事前に対策をしていた留美たちは、

 

パシャッ!!

 

プシューっ!!

 

「うわっ!?」

 

「目がぁ~!!」

 

「まぶしっ!!」

 

「しみる~!!」

 

留美がデジカメのフラッシュを焚き、メグが葉山たちの目に向かって虫よけスプレーを噴射する。

 

突然のフラッシュとスプレーを目に噴きかけられ、目を押さえる葉山たち。

 

留美たちは葉山たちが目を押さえている間に一気に彼らの横をすり抜けてゴールを目指した。

 

そしてゴールした留美たちはこれらの経緯を教師たちに説明したのだ。

 

更に肝試しの前‥‥昨日から葉山が留美にしつこくつき纏っている事も話し、

 

「もし、あの場に残っていたら‥私‥‥私‥‥」

 

と、留美が泣きながら、その恐怖を口にする。

 

「ゆきのん、これってやばくない?」

 

「ええ‥‥最悪よ‥‥葉山君ったら、あれほど勝手に動くなって言ったのに勝手に動いて‥‥」

 

遠目から留美たちと教師のやり取りを見て、由比ヶ浜は顔色を青くし、雪ノ下は呆れると言うか、勝手に行動した葉山に怒りを抱いていた。

 

それからしばらくして葉山たちは帰って来た。

 

 

「君たちはなんてことしてくれたんだ!!」

 

葉山たちの姿を見つけた小学校の教師は声を荒げ、葉山たちを叱咤する。

 

すると、葉山は。

 

「えっ?何の事ですか?」

 

と、とぼけてこの場を切り抜けようとする。

 

「とぼけるな!!この子たちが君たちから脅迫を受けたと言っているんだぞ!?さらに、わいせつな事もしようとしていたみたいじゃないか!?」

 

「ちょっと、待ってくださいよ。証拠もないのに言われても困ります。その子たちの嘘かもしれないじゃないですか!!」

 

葉山はあくまでも留美たちの言いがかりだと言い、

 

「それどころか、ウチらはこの子たちにスプレーを掛けられたんだけど?しかも目だったから、チョー痛かったんだけど?って言うか、今でも目がヒリヒリするし‥‥」

 

相模はメグが自分の目にスプレーを噴射し、逆に被害者はこちらなのだと主張する。

 

証拠がなく、更に留美たちは小学生、相手が高校生たちと言う年齢差から留美たちが不利かと思われた。

 

しかし、そうは問屋が卸さない。

 

「先生‥コレ‥‥」

 

マヤがスマホを操作して、画面を先生に見せる。

 

「ん?これはっ!?」

 

マヤのスマホの画面には留美たちにその場に二人残るように脅す葉山たちの姿が写し出されていた。

 

彼らがこの後、いかがわしい事をしようとしているのかは分からないが、葉山たちが留美たちを脅迫しているのはこの映像から見て分かる。

 

「君たち!!これはどういうことだ!?どう考えても肝試しで脅かしているようには見えないが?」

 

教師は葉山たちにスマホの画面を見せつける。

 

「そ、それは‥‥」

 

葉山たちにとってもこのまま留美たちの言いがかりだと主張し続ければ、教師は高校生である自分たちを信用すると思っていたのだが、まさかあの時の出来事が映像として残っているのは予想外だった。

 

「隼人君どうするっしょ?」

 

「だな」

 

「葉山君‥‥」

 

葉山グループのメンバーも流石にマズいと感じて不安そうな顔で葉山の事を見る。

 

グループメンバーから捨てられた子犬みたいな目で見られる葉山。

 

葉山としてはグループメンバーの誰かに責任を転嫁させ、逃れたいところだが今回の作戦の提案と実行は全て自分が取り仕切った為、グループの誰かに責任転嫁をさせることが極めて困難であった。

 

「うぅ~‥‥」

 

葉山がどうやってこの難局を逃れようと考えを巡らせる。

 

そこに、

 

「何をしているのかしら?葉山君?」

 

葉山たちと教師のやりとりを聞きつけ、雪ノ下がやってきた。

 

「雪乃ちゃ‥‥雪ノ下さん」

 

「私は言った筈よね? 『勝手に動くな』 って‥‥」

 

「そ、それはっ‥‥」

 

「勝手に動いて、問題を起こすなんて‥‥」

 

「ゆ、雪ノ下さん‥なんとか‥‥」

 

「自分で招いた問題でしょう?自分で何とかしなさい」

 

そう言い残し、雪ノ下はその場から去って行く。

 

「君たちにはもう少し、事情を聞く必要があるな‥ちょっと、来てもらおうか?」

 

葉山たちは小学校の教師と共に教職用のロッジに連れていかれた。

 

勿論、総武高校の引率者として平塚先生も一緒に連れていかれた。

 

その際、平塚先生は葉山たちに、

 

(ガキ共が、厄介な問題を起こしやがって)

 

と、心の中で毒づいていた。

 

その後の話し合いでこの場での処分は先送られたが、話し合いの内容から厳しい処分が予想された。

 

(マズい、マズいぞ‥‥このままじゃあ学校を退学させられてしまうかもしれない‥‥)

 

自分のグループメンバーからの信頼が失われるかもしれないが、葉山としてはそれ以前に総武高校を退学させられるかもしれない事の方が一大事だった。

 

「は、隼人君どうしよう~‥‥」

 

「ウチら、退学になっちゃうの?」

 

「それな‥‥」

 

解放された後も葉山グループメンバーは捨てられた子犬みたいな目で葉山の事を見てくる。

 

「ちょ、ちょっと、待ってくれ‥な、なんとかするから‥‥」

 

葉山はもうこれ以上手が無い為、使いたくはないが最後の手段を使うことにした。

 

彼は、千葉の実家に電話を入れた‥‥

 

 

それから約一時間後‥‥

 

プルルル‥‥プルルル‥‥プルルル‥‥ガチャっ

 

「はい、雪ノ下でございます」

 

千葉にある雪ノ下家の家電話が鳴り、都築が電話を取る。

 

「夜分、すみません。顧問弁護士の葉山です」

 

「葉山様どうなさいましたか?」

 

「急ぎ、雪ノ下さんにお取次ぎをお願いします」

 

「分かりました。少々お待ちください」

 

保留ボタンを押し、都築は急ぎ雪ノ下の父親の下へと向かい、

 

「旦那様、弁護士の葉山様よりお電話が入っております」

 

「ん?葉山さんから?」

 

都築から葉山弁護士から電話が来たと言われ、電話に出る。

 

「もしもし、葉山さん。どうしたのかね?こんな夜に‥‥?」

 

「雪ノ下さん。実は息子が‥‥」

 

葉山弁護士は雪ノ下の父親に千葉村での出来事を話す。

 

しかし、その話はあくまでも葉山から葉山弁護士に伝えられたことなので、当然その話の中には真実とは異なる部分もあった。

 

だが、現場を見ていない葉山弁護士には息子の話が事実となっていた。

 

その事から息子が今、ピンチであることを知り、自身の雇い主である雪ノ下家に相談のため、電話を入れてきた。

 

「頼む!!雪ノ下さん!!何とか息子を助けてくれないか!?」

 

葉山弁護士の言葉の意味は遠回しに川崎の時の様に金を出して有耶無耶にしてくれと言うモノだった。

 

「う~ん‥‥」

 

当然、雪ノ下の父親は返答を渋る。

 

自分の娘である雪ノ下が仕出かしたことならば即決出来たのだが今回問題を起こしたのは、自分の娘でも雪ノ下家の身内でもなければ赤の他人である顧問弁護士の息子‥‥

 

葉山弁護士との顧問契約を打ち切れば雪ノ下家には火の粉は飛んでこない。

 

しかし‥‥

 

「雪ノ下さん‥‥私がこれまで雪ノ下家の為に動いてきたのをお忘れではないでしょう?」

 

「‥‥」

 

葉山弁護士は代々雪ノ下家の顧問弁護士を務めてきた家系であり、雪ノ下家は事業拡大の為に過去には表沙汰に出来ない事も多々してきた。

 

その後、雪ノ下の父親がその後を継ぎ、葉山弁護士も先代から後を継いだ。

 

そして、雪ノ下家の暗部は雪ノ下の父親が県議会とは言え議員になったことで、拍車をかけた。

 

更に娘の為に多額の金で不祥事を有耶無耶にしたのは新しい出来事だ‥‥

 

しかし、雪ノ下本人は親や会社の顧問弁護士が法律に違反している事に手を染めている事実を知らない。

 

だが、こうした雪ノ下家の暗部を葉山弁護士は知っている。

 

それをマスコミにリークされたら、雪ノ下家は終わりだ。

 

葉山弁護士を抹殺しても用心深い彼の事だ、万が一、自分の身に危険が及んだ時のためにそれらの情報が世間に白日に晒させる準備はしてあるはずだ。

 

そう言った情報が表に出た時点で雪ノ下家は終わりだ。

 

当然、本家である西住家からの援助は期待できない。

 

「‥‥わ、分かった‥何とかしよう」

 

雪ノ下の父親は、葉山弁護士の頼みを聞くしかなかった。

 

(はぁ~‥‥これで、ますます西住家から睨まれるな)

 

自らの不祥事を隠す為に新たな不祥事に手を染めた雪ノ下家であった。

 

 

その後、留美が通う小学校と総武高校には雪ノ下建設から多額の寄付金が寄付された。

 

そして、問題を起こしたとされる葉山グループのメンバーに対して、学校からは何の処分も下されなかった。

 

グループメンバーは葉山が何とかしてくれたのだと思い、益々葉山の事を信奉するようになった。

 

更に留美を含めたマヤ、メグの家に弁護士と名乗る一人の男が赴き、千葉村での一件の謝罪という事で多額の現金を渡してきたが三人の親はそのお金を受け取らなかった。

 

普通ならば受け取りそうだが、お金を渡してきたこの弁護士の息子が千葉村で自分たちの娘を強姦しようとしていたのだと分かると、そんな息子の親からのお金なんて受け取りたくはなかった。

 

そもそも、お金で問題を解決しようとするその姿勢が気に食わなかった。

 

それに渡そうとされてきたお金自体がなんか、受け取ってはならないお金の様に感じたのだ。

 

ただ、その弁護士は自分が雪ノ下家の顧問弁護士を務めている事を伝え、

 

「この意味、分かりますよね?」

 

なんて、言ってくる始末‥‥

 

千葉に住んでいる者ならば、雪ノ下の名を知らぬ者はいない。

 

この弁護士は、親たちに対して、

 

「口止め料を受け取らないのであれば、それでいいが、今回の事を言いふらしたら、どうなるか分かっているな?」

 

と、遠回しに警告してきた。

 

ただ、後日留美の母親‥‥総武高校で家庭科を担当している鶴見先生が給料明細を見ると先月よりも増えていた。

 

しかし、鶴見先生としては何故、給料がここまで大幅に増えているのか分からなかった。

 

特に思い当たる節もない。

 

そこで、鶴見先生は校長に聞いてみた。

 

すると校長は、

 

「鶴見先生に対する正当な評価ですよ」

 

と、言っていた。

 

鶴見先生にしては、確かに給料が上がるのは嬉しい事なのだが、葉山と名乗る弁護士が家に来たことから、今回の給料アップが何らかの意図が含まれているのではないかと勘繰った。

 

鶴見先生以外にもマヤ、メグの親の給料も何故か上がっていた‥‥

 

千葉村での一件の後、葉山グループメンバーとの仲は、父親である葉山弁護士と雪ノ下の親のおかげで険悪なムードどころか、グループメンバーから信奉までされるようになったが、奉仕部との間には険悪なムードとなった。

 

葉山は雪ノ下から嫌われたくない一心から、彼としては珍しく雪ノ下に頭を下げて謝った。

 

「雪ノ下さん、今回は本当にすまなかった」

 

「‥葉山君。私は 『勝手に動くな』 って言ったのに、それを無視して勝手に動くなんて‥‥ましてや、留美さんたちを強姦しようとするなんて何を考えているの!?」

 

「いや、それは誤解なんだ!!」

 

「とにかく、葉山君。貴方にはこの奉仕部を辞めてもらうわ」

 

「そ、そんなっ!?」

 

「まぁ、まぁ、ゆきのん、落ち着いて」

 

「私は至って冷静よ。由比ヶ浜さん」

 

「隼人君も留美ちゃんの事を想っての事だし、私たちだってサキサキの件で失敗しちゃったじゃない‥‥」

 

雪ノ下は当初、葉山をこのまま奉仕部から除籍処分にしようとするが、ここで由比ヶ浜が葉山を弁護した。

 

自分たちも川崎の件で失敗したのだから、一度の失敗で奉仕部からの追放はあまりにも酷ではないかと雪ノ下に言ったのだ。

 

由比ヶ浜のこの行動は部活内の険悪な空気に耐えられなかったのだ。

 

それに葉山とは同じ世界からの転生者仲間と言う仲間意識もあった。

 

「‥‥はぁ~‥いいわ、今回は由比ヶ浜さんに免じて許してあげる」

 

「ほ、本当かい!?」

 

「ただし、二度と勝手な事はしないようにね!!」

 

「あ、ああ‥‥」

 

由比ヶ浜の弁護を受け、雪ノ下は葉山を許すことにした。

 

相変わらず、由比ヶ浜には甘い雪ノ下であった。

 

戸塚、川崎、そして今回の千葉村での一件で、ようやく前世とこの世界の歴史が異なると事を学んだ‥‥

 

だが、その事実を知るまでの学習料は奉仕部にとって決して安くはなかった。

 

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