やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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今回より、ブルーマーメイドフェスタ編スタートです。


112話

群馬県にある千葉村での鶴見留美のいじめ問題は、これまで奉仕部が経験した依頼同様、前世とは異なる結果となり、葉山たちが小学生たちに対して強姦未遂犯にされそうになった中、横須賀では一大イベントであるブルーマーメイドフェスタが始まろうとしていた。

 

このブルーマーメイドフェスタは、ブルーマーメイドが主催する一大イベントだ。

 

当日はブルーマーメイドの基地が一般に解放され、基地内に立ち入ることが可能となり、その他にもブルーマーメイドが保有している艦艇も艦内を見学することが出来、ブルーマーメイド所属の音楽隊のパレード、隊員によるスキッパー・ショー、フェスタに呼ばれたアイドルのトークショーやライブ、一般客参加のイベントアトラクション、焼きそば、綿あめ、たこ焼き、焼きとうもろこし、と言った縁日では定番の屋台の出店など、この日は文字通り基地全体がお祭り騒ぎとなる。

 

ブルーマーメイドが主役であるブルーマーメイドフェスタであるが、このイベントには毎年、横須賀女子を始めとするブルーマーメイドの育成学校も参加しており、生徒たちはブルーマーメイドの隊員たちに負けじと出店を出店したり、学生艦を開放して来客を持て成したりする。

 

特に横須賀、呉、舞鶴、佐世保でも行われているこのブルーマーメイドフェスタの目玉企画は、それぞれの海洋学校に所属している尾張級戦艦の体験航海だった。

 

そして今年はドイツ、キール校から留学に来たH級戦艦も日本に来ているので、横須賀のブルーマーメイドフェスタでは午前、午後と分けての体験航海が行われることになった。

 

こうしたブルーマーメイドフェスタの企画打ち合わせは、フェスタの開催より前に何度もブルーマーメイドの企画課と横須賀女子との間でやりとりが行われていた。

 

「ブルーマーメイドフェスタか‥‥」

 

「ブルーマーメイドフェスタね‥‥」

 

晴風クラスの真白と黒木はブルーマーメイドフェスタには思い入れがあった。

 

それは去年のブルーマーメイドフェスタにて、二人は出会ったのだ。

 

真白は真冬と共に、黒木は家族と共にやって来た。

 

そこで、真白はフェスタを回ろうとしたのだが、真冬が真白に伝令役を押し付け‥‥いや、頼んだのだ。

 

去年のブルーマーメイドフェスタでも尾張級戦艦の体験航海は行われた。

 

しかし、横須賀女子所属の金剛級戦艦の比叡もブルーマーメイドフェスタに参加予定だったのだが、学校から会場へ向かう途中、エンジントラブルを起こした。

 

横須賀女子に所属する尾張級戦艦、駿河はエンジントラブルを起こした比叡を曳航する為、駿河も会場への到着が遅れた。

 

その為、横須賀女子の学生が参加するイベントや体験航海の時間が変更するなど、当初の予定変更を余儀なくされた。

 

真白は学生時代、真冬が着ていた体操着姿で会場を伝令役として駆けずり回ることになった。

 

一方、黒木は本来、来たくもないブルーマーメイドフェスタに家族に無理矢理連れてこられた。

 

本来、ブルーマーメイドフェスタのチケットはなかなか手に入らないプレミアムチケットで、黒木の親が知り合いから偶然にも貰ったチケットで、近所の学生や子供には喉から手が出るほど欲しがるチケットなのに、当時はブルーマーメイドにもブルーマーメイドフェスタにも興味が無かった黒木にとっては、ただの迷惑でしかなかった。

 

中学三年生で黒木は受験生なのに夏休みにもかかわらず、彼女はまだ進路を決めていなかった。

 

この時、黒木自身は真白とは異なりまだ将来のビジョンが明確ではなく、通えるなら近所の高校でいいやレベルで進路を考えていた。

 

そんな中、家族でブルーマーメイドフェスタにやって来たのに彼女はあまり楽しそうではなかった。

 

この日は、柳原と一緒に映画にでも行こうとしたのにその予定を朝一で両親によって狂わされたのだ。

 

思春期と言う年ごろから、両親と一緒に出掛けることに今更ワクワクなんてしない。

 

不機嫌なまま黒木は両親とは別行動を取り、一人でフェスタの会場内を見て回った。

 

そして、横須賀女子の学生たちが出店を出している区画へと行くと黒木は売り子の学生から大学生と間違えられた。

 

そこで黒木は、『自分は中学生だ』 と言うと相手の横須賀女子の学生は慌てて訂正しつつ、販売していた焼きとうもろこしを黒木に勧めてきた。

 

黒木はその焼きとうもろこしを買い、再び会場内を歩いていると伝令役の真白と桟橋の所でぶつかった。

 

幸いにも黒木が手に持っていた焼きとうもろこしは落とさずに済んだし、黒木自身も海に落ちずに済んだ。

 

真白はこの時、まだ伝令の仕事があり黒木に謝罪した後、再び次の現場に向かう。

 

黒木は最初、唖然としていたが機嫌が悪かった彼女は真白に対して正式に謝罪させてやると息巻いて真白を追いかける。

 

そして、黒木が見たのは伝令役の他に人数不足の為、身体を張りながらイベントに協力する真白の姿だった。

 

ボロボロになりながらも伝令役の他にイベントの代理とひたすらブルーマーメイドフェスタの為に頑張る真白の姿に黒木はいつのまにか不機嫌さはナリを潜め逆に真白に対して尊敬するような視線を送っていた。

 

そして、黒木は自分の進路をブルーマーメイド、横須賀女子に決め真白の為に役立つ事を決めたのだった‥‥

 

なお、この時のブルーマーメイドフェスタで、真白は駿河の体験航海を楽しみにしていたのだが、伝令とイベントを代理出場して身体を酷使した真白。

 

体力が尽き、このまま意識を失ってしまうのかと思いきや遅れていた横須賀女子の学生たちが間に合い、代理出場から解放された。

 

しかし、この時の横須賀女子の学生たちから感謝されたことで真白の横須賀女子への憧れは益々強くなった。

 

遅れていた横須賀女子の学生‥‥駿河と比叡のクラスメイトたちが来たことで、イベントの代理出場の他に伝令役も終わった。

 

駿河に乗るために港湾区画へと急ぐ真白であったがスタンプラリーの紙を落としてしまった女の子の為に、ラリーの紙を拾ってあげたりして、時間を大幅にロスしてしまった。

 

最後は恥も外聞も気にしている余裕はなく、 『宗谷』 の名前を使ってでも駿河には乗りたかった。

 

そして、停泊している学生艦に飛び乗った。

 

しかし、真白が駿河だと思って乗った学生艦は、エンジントラブルを起こし、明石からの修理を受けようとしていた比叡だった。

 

駿河は真白が乗った比叡の横を悠々とした様子で乗客を乗せて体験航海に出航して行った。

 

真白は比叡の艦首で沖合へと向かう駿河に来年は自分が乗ると宣言したのだが最後のセリフがくしゃみによって中途半端な形となってしまった。

 

そして、翌年‥つまり今年、真白は受験で大ポカをしてしまい駿河クラスではなく晴風クラスとなった。

 

黒木もこれまでの遅れを取り戻すかのようにブルーマーメイドフェスタ以降、受験勉強に力を入れた。

 

最もこの時、黒木は成績優秀者が乗れる駿河は諦めていたが真白が居る横須賀女子に入学出来ればきっと真白の為に役立てる機会があると信じていた。

 

受験の結果、黒木の願いが届いたのか真白と黒木は同じクラスになることが出来た。

 

こうした経緯がある二人にとって、ブルーマーメイドフェスタは思い入れがあるイベントだったのだ。

 

 

ブルーマーメイドフェスタ前日、ドックからヒンデンブルクの修理が終わったとの連絡が来た。

 

シュテルを含め、ヒンデンブルクのクラスメイトたちはドックへと赴きヒンデンブルクを受領した。

 

「うわぁ~‥‥なんかすっごい久しぶり~」

 

「うん、四ヵ月この艦橋から離れていたけど、なんか物凄く長く感じるよ」

 

「あぁ~この舵輪の触り心地懐かしいなぁ~」

 

ヒンデンブルクの艦橋に入った艦橋員は約四ヵ月ぶりの艦橋に懐かしさを感じていた。

 

(もかちゃんもこんな気分だったのかな?)

 

ヒンデンブルク同様、あの実習でヒンデンブルクと激しいドンパチをして、同じくドック入りした駿河。

 

駿河はヒンデンブルクよりも先にドック入りをしたので、ドックからもヒンデンブルクより先に出た。

 

久しぶりに駿河の艦橋に立ったもえかもきっと懐かしさを感じたのではないだろうか?

 

航海シミュレーションで感覚は鈍らせないようにしてきたが、現実と仮想とでは、やはり何かが違う。

 

ドックから横須賀女子の港湾区画まで行くのに初めて航海に出たように緊張した空気があった。

 

翌日は早朝、この横須賀女子の港湾区画からブルーマーメイドフェスタである会場まで行くことになる。

 

「体験航海の時間は‥‥」

 

「コースは‥‥」

 

と、横須賀女子の港湾区画に到着した後、ヒンデンブルクのクラスメイトたちは、明日の予定を確認した。

 

明日の予定を確認していたのはフェスタにてゲストを持て成すホスト役だけではなく、

 

「じゃあ彩加、明日は七時の水上バスで、行くから六時四十五分に千葉みなとで待ち合わせね」

 

「うん、わかった」

 

フェスタに来るゲスト側も色々と予定を立てていた。

 

総武高校で行われた職業見学にて、三浦は今回のブルーマーメイドフェスタのペアチケットを手に入れた。

 

見学後に相模が三浦にそのペアチケットを寄こせとごねてきた。

 

もし、職業見学でペアチケットをゲットしたのが三浦ではなく相模だった場合、千葉村での一件は異なった結果になったかもしれない‥‥

 

だが、仮に相模がペアチケットを当てたとして、彼女が葉山を誘っても葉山はブルーマーメイドフェスタに来るかは微妙な所だった。

 

何しろ、このブルーマーメイドフェスタと千葉村でのサマーキャンプのボランティア活動が重なっており、雪ノ下がサマーキャンプのボランティア活動に参加し、前世で果たせなかった留美のいじめ問題の解決‥‥

 

それを今度は自分が果たせるかもしれない機会だったのだから‥‥

 

とは言え、結果論になるが結果は前世との歴史の違いにより、留美のいじめ問題を解決するどころか、自分は留美にとって、ロリコンな犯罪者と言う印象を持たれてしまったのだった。

 

 

前世では弱小テニス部な総武高校であるが、この後世では三浦がマネージャーとなり、彼女に尻を叩かれて徐々にリーダーシップを身につけつつある戸塚のおかげで練習に力を入れているが夏休み期間中、全て練習につぎ込んでいる訳ではない。

 

運よく、ブルーマーメイドフェスタの時、テニス部の練習はオフになっていた。

 

 

「さてと‥‥」

 

戸塚と連絡を取った後、三浦は‥‥

 

「明日は、どの服を着て行こうかな?」

 

三浦はチラッと自分の部屋のベッドに視線を移す。

 

そこには、沢山の服が置いてあった。

 

形式上はあくまでも一緒にブルーマーメイドフェスタに行くだけなのだが、これはもうどう見てもデートである。

 

自分と戸塚は彼女・彼氏の仲なのだから‥‥

 

戸塚の方はデートだと意識していないかもしれないが、女である三浦の方はデートだと意識していた。

 

その為、下手な服装は選べなかった。

 

「優美子も高校生になって、すっかり恋する女の子になったわねぇ~」

 

ベッドで沢山の洋服相手に考え込んでいる娘の姿を三浦の母親は、微笑みを浮かべながら見ていた。

 

勿論、三浦本人はまさか、自分の母親がドアの隙間からその様子を見ていたなんて気づきもしなかった‥‥

 

そして、夕食時‥‥

 

「あっ、ママ。明日は早いから、六時には起こしてね」

 

三浦は念の為、母親に朝起こしてくれと頼んだ。

 

「はいはい、折角の戸塚君とのデートですものね、遅刻だけは出来ないわよね」

 

三浦の母親は、娘を茶化す。

 

「なっ!?ち、違うし!!デートって訳じゃあ‥‥!!」

 

三浦は必死に明日のお出かけはデートではないと否定するが、彼女の顔は真っ赤なので、説得力がなかった。

 

「ふぅ~‥‥まったく、ママったら‥‥」

 

夕食は終わり、三浦はベッドに倒れこむ。

 

明日は、何時もの様に戸塚の為の弁当は作る時間は省ける。

 

だが三浦としては、いつもの様に戸塚の為に弁当を作っていきたいが、流石に弁当を持っていくと荷物になる。

 

ブルーマーメイドフェスタでは、食べ物の出店もあるし、喫茶などの飲食店もあるみたいなので、そこで済ませる予定となっている。

 

三浦は明日の為に早々とベッドに入るが、

 

「‥‥やばっ、緊張と興奮で眠れないし」

 

ベッドに入った当初は、明日の事を考えて緊張と興奮でなかなか寝付けなかった三浦であるが、気づいた時には寝ており、

 

「優美子‥‥優美子‥起きなさい。今日は戸塚君とデートでしょう?ほら、起きなさい、優美子ったら」

 

夢現な中、三浦は母親の声で重い瞼をゆっくりと開ける。

 

「優美子、起きなさい」

 

「ん?‥‥ん?‥‥えっ!?」

 

三浦が目を開けると、そこには自分の母親が顔を覗き込んできた。

 

「優美子、今日は戸塚君とデートでしょう?」

 

「えっ?デート‥‥あっ、あああ~!!」

 

寝起きの為、まだ思考が働かなかったが、次第に意識が覚醒していくと、三浦はバッとベッドから飛び起きる。

 

ベッドから飛び降りた三浦は急ぎ、洗面所へと向かい歯を磨き、顔を洗い、髪を整える。

 

「うわぁ、何これ!?ひっどい寝癖!!」

 

三浦は洗面所の鏡に映る自分の姿を見て、思わず声をあげる。

 

彼女は愚痴りながら、寝癖だらけの髪にブラッシをかける。

 

その後、うっすらと顔にメイクを施し昨夜、厳選の中から厳選し選んだ服に袖を通す。

 

準備が整い、三浦は朝食の席に着く。

 

「あら?かわいいじゃない」

 

母親は着飾った三浦の姿を見て、彼女を褒める。

 

「そ、そうかな?」

 

「そうよ。これなら、戸塚君も喜ぶんじゃない?」

 

「‥‥」

 

戸塚の名前を出され、三浦は顔を赤く染める。

 

「そ、それじゃあ、行ってくるから」

 

朝食を食べ終え、三浦はチケットが入ったバックを持ち、家を出て待ち合わせ場所である千葉みなとへと向かった。

 

 

「あっ、三浦さん!!こっち!!こっち!!」

 

待ち合わせ場所の千葉みなとでは戸塚が先に三浦を待っていた。

 

「あっ、彩加、ゴメン!!待った?」

 

「ううん、今来たところだから大丈夫だよ」

 

戸塚は三浦に笑みを浮かべながら言う。

 

(うわぁ~‥‥彩加の笑み、カッコイイと言うか、メッチャ可愛いんだけど‥‥やっぱ、彩加ってそこら辺の女子よりも女の子らしいわ~)

 

三浦は戸塚の笑みを見て、改めて戸塚が男の娘なのだと思い知らされる。

 

戸塚は嫌がるかもしれないが、レディースものの服を着せれば、きっと戸塚が男だとは思わないだろうし、むしろ周囲の女子は自分に自信をなくすかもしれない。

 

そんな戸塚は今日ポロシャツにショートパンツと男性な姿をしているが、それでも戸塚の容姿ではボーイッシュな服装の女子にしか見えない。

 

戸塚本人が知れば、複雑な心境であろうけど、それが事実なのだから‥‥

 

 

ともあれ、無事に合流できた戸塚と三浦は横須賀行きの水上バスに乗り、ブルーマーメイドフェスタの会場へと向かった。

 

「あっ、これ、ブルーマーメイドフェスタのチケットね」

 

水上バスの座席に座り、三浦は戸塚にブルーマーメイドフェスタのチケットを手渡す。

 

「ありがとう」

 

戸塚は三浦からチケットを受け取り、ショルダーバッグに入れる。

 

「さて、まずはどこを見に行こうか?」

 

「えっとね‥‥」

 

それから二人はブルーマーメイドフェスタのパンフレットを開き会場に着くまでどこを見て回ろうかなど、ブルーマーメイドフェスタを楽しみにしていた。

 

 

横須賀女子の港湾区画では、駿河、ヒンデンブルク、明石、間宮が出航準備をしていた。

 

駿河、ヒンデンブルクは今回のブルーマーメイドフェスタにおける体験航海の目玉であり、明石は特殊学生艦として来客者たちに展示する予定であり、間宮はレストランとして開放する予定となっている。

 

さらにそれらの艦艇には、ブルーマーメイドフェスタの手伝いの為、横須賀女子の学生たちも分散して便乗させている。

 

「艦長、出航予定時刻です」

 

「全艦、出航準備整いました」

 

クリスとメイリンがヒンデンブルクを含むブルーマーメイドフェスタに参加する艦艇の出航準備が出来たことを報告する。

 

「うん。では、行こうか?」

 

「はい、出航!!」

 

四隻は横須賀女子の港湾区画を離岸し、ブルーマーメイドフェスタの会場へと向かった。

 

「はぁ~それにしても、今年の夏休みもスケジュールが詰まり過ぎだな‥‥」

 

シュテルは、今回のブルーマーメイドフェスタの後に控えている来月の遊戯祭の事を指している。

 

前世では千葉村と地元の花火大会ぐらいしか、大きなイベントに関わっていない。

 

だが、この後世では夏休みなのに、休める日数が少ない。

 

ブルーマーメイドフェスタが終わった後、九月に控えている遊戯祭の出し物も決めなければならない。

 

出し物によっては、その準備で完全に夏休みが潰れる。

 

(あっ、あとカナデとの約束もあったんだ‥‥)

 

海を見ながら、シュテルは先日、カナデとの約束を思い出した。

 

カナデは今日、北海道でピアノのコンクールがある。

 

そのコンクールで優勝すれば、後日カナデと一緒にどこかに出かける約束をしていた。

 

まぁ、その約束が叶うか叶わないかはカナデの腕と今日までの努力次第だろう。

 

 

来客者が来る前にブルーマーメイドフェスタの会場へと到着した学生艦。

 

便乗した横須賀女子の学生たちは早速下船すると、出店やイベントの準備をする。

 

駿河とヒンデンブルクは、体験航海の準備をする。

 

「うわぁ~ブルーマーメイドフェスタ‥‥」

 

明乃は目を輝かせ、ブルーマーメイドフェスタの会場を見渡す。

 

目を輝かせているのは明乃だけではなく、クラスメイトも何人かは目を輝かせている。

 

ブルーマーメイドを志す者であれば、一度は参加してみたいイベント‥‥ブルーマーメイドフェスタ‥‥。

 

明乃自身もそれは例外ではなく、彼女もかねがねブルーマーメイドフェスタには参加してみたかった。

 

しかし、このブルーマーメイドフェスタのチケットは一般でも出回るチケットであるが、その出回る数は少なく、販売されてもあっという間に完売してしまう。

 

と言うのも、ブルーマーメイドフェスタは一日だけの祭りで、ブルーマーメイド自体、世間では人気の職業であり、そのブルーマーメイドを深く知ることが出来るフェスタという事で、このフェスタも人気がある。

 

だが、参加者全員を受け入れては、職員、学生だけでは対応出来ないのでこうしてチケットと言う入場制限がなされ、それ故にフェスタのチケットとブルーマーメイドフェスタ自体が人気となっているのだ。

 

「休憩時間はあるかな?」

 

「折角のブルーマーメイドフェスタだから色々見て回りたいよね~」

 

念願のブルーマーメイドフェスタに参加できることにワクワクしている学生たちであるが、今回は来客者ではなく、その来客者を持て成すホスト役‥‥

 

それでもこうして念願のブルーマーメイドフェスタに参加したのだから、色々見て回りたい。

 

「シロちゃんは来たことがあるの?ブルーマーメイドフェスタ」

 

明乃は真白にブルーマーメイドフェスタに参加した事があるのかを訊ねる。

 

彼女の一族はブルーマーメイドのエリートたちを輩出してきた名門家であるのだから、ブルーマーメイドフェスタのチケットぐらいは簡単に手に入るのではないだろうか?

 

「ええ‥まぁ‥‥」

 

真白は曖昧な感じで返答する。

 

「へぇ~それじゃあ、ブルーマーメイドフェスタに詳しいの?」

 

「まぁ~去年のブルーマーメイドフェスタでは、会場を駆けずり回りましたからね‥‥」

 

真白は何故か遠い目をして去年のブルーマーメイドフェスタの事を思い出す。

 

「えっ?駆けずり回る?」

 

「それほど楽しかったのですか?」

 

明乃は真白が何故、ブルーマーメイドフェスタで駆けずり回ったのか首を傾げ、納沙は、真白がブルーマーメイドフェスタに興奮してはしゃぎ回ったのではないかと思ったが、

 

「いや、文字通り会場を駆けずり回った‥‥伝令役として‥‥」

 

「「えっ?」」

 

「おかげで、去年の体験航海は出来ずに‥‥」

 

「伝令役?」

 

「なんですか?それは‥‥?」

 

去年と言えば、真白はまだ中学三年生で、ブルーマーメイドでなければ、横須賀女子の学生でもない。

 

来客者として来た筈の真白がどうして、ブルーマーメイドフェスタの伝令役なんてしたのだろうか?

 

そう言うのは通常、ブルーマーメイドの隊員が行うモノの筈なのに‥‥

 

明乃と納沙の疑問は益々深まった。

 

 

ブルーマーメイドの隊員、横須賀女子の学生たちが、この後、開かれるブルーマーメイドフェスタの為の最終準備を行っている間、北海道のとある某所にて行われたピアノコンクール会場では‥‥

 

「‥‥」

 

カナデが周囲を警戒しながら会場入りする。

 

先日、カナデはシュテルからある人物から注意するように言われていた。

 

思えば、要注意人物であるその人は、これまでのコンクールの観客席でチラッと見たことがある。

 

これまでは、特に意識して見ていなかったが、シュテルから言われ注意することにした。

 

カナデは自分の師匠に由比ヶ浜の事を話して、万が一、彼女がコンクールの会場や演奏会の会場に来た場合、彼女の入場は拒否してもらうように頼みカナデの師匠も事情を聞き彼に 『大丈夫か?警察に届けを出さなくて大丈夫か?』 と、心配してくれた。

 

しかし今回のコンクールでは、見渡す限り由比ヶ浜の姿は見つからなかった。

 

この時、その由比ヶ浜は群馬県の千葉村に行っているので、当然この場に姿を見せることは不可能なのだが、カナデは由比ヶ浜のスケジュールを知っているわけではないので取り越し苦労ながらも警戒をしていた。

 

「どうやら、今回は来ていないみたいだな‥‥ふぅ~‥‥さて、集中、集中‥‥」

 

このコンクールで優勝すれば、後日シュテルとのお出かけが待っている。

 

その意欲がカナデを動かしていた。

 

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