やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~ 作:ステルス兄貴
ブルーマーメイドフェスタが無事に終わり、残り僅かな夏休みを満喫する横須賀女子の学生たち。
明乃たちは千葉の房総へプチ旅行に行くことになり、シュテルはカナデと共に千葉みなとで行われる花火大会に行くことになった。
房総へ旅行に行く明乃たちは、準備を整えて水上バスにて神奈川県の横須賀から千葉県の房総へと向かった。
旅行のメンバーは、明乃、真白、鈴、美波、立石、西崎の六人。
水上バスの中ではクラスメイト同士で旅行に行くという事で明乃たちのテンションは高く、旅行先についたら何処へ行こう、何をしよう、と話したり、お菓子を食べながらトランプをしたりした。
ただ、トランプの勝敗は様々なゲームをしたのだが、最下位はすべて真白だった。
横須賀から水上バスに乗って、数時間程で目的地の千葉県房総に到着した。
目的地に到着すると、一行は早速、予約したホテルへと向かい、チャックインした。
チェックイン後は、
「さて、無事にホテルに到着したし、どうする?」
「私は海に行きたいです!!」
「アタシたちは、やっぱ温泉かな?」
「うぃ」
鈴は海水浴を希望し、西崎と立石は海水浴よりも温泉に行きたいと言う。
そこで、一行は二手に分かれた。
明乃、真白、鈴、美波の四人は海水浴へと行き、
西崎と立石の二人は近場の温泉に向かった。
「海だー!!」
海水浴にて、更衣室で着替えると明乃たちは真夏の海水浴場へと繰り出す。
砂浜を歩いていると明乃は周囲をまるで何かを探すように見渡している。
「ん?どうしたの?岬さん」
鈴が声をかける。
「うーん‥‥漫画やアニメだとスイカ割りって結構、海水浴の定番だと思っていたけど、実際にやっている人って居ないなぁ~って思って」
「あぁ~‥‥確かに‥やっぱりスイカが勿体ないからかな?」
「そういえば、私‥スイカ割りってやったことないかも‥‥」
明乃と鈴はスイカ割をやっている人が居ないと言うが、晴風が赤道祭の準備をしている時、万里小路たちは実際に晴風の甲板でスイカ割りをしていた事を二人は知らない。
その後、明乃と鈴は海の中へと入る。
海の家で借りてきた浮き輪にしがみつき、波間にプカプカ浮いている。
「やっぱ、夏は海だよねぇ~」
「海はいつも見ているけど、夏の海はなんか、ちょっと違う気がするしね~」
「そう言えば、夏の海でよく、男の人に声をかけられるって聞いたけど、私は今まで声をかけられたこともないなぁ~」
明乃は海に来た時、スイカ割りを見かけたこともなく、ナンパされたこともないと呟く。
「わ、私はその方が良いかな?やっぱ、知らない男の人に声をかけられるのは‥‥」
鈴はこれまでナンパを受けたことはないが、今後もそう言った機会は出来ればない方が良いと呟く。
明乃と鈴が海にいる時、真白と美波は砂浜のパラソルの下に居た。
「海‥ですね‥‥」
「海‥だな‥‥」
パラソルの下、真白と美波は海をジッと見ている。
真白は黒いビキニの水着の上に白いパーカーを羽織っており、美波も同じく水着の上から水色のパーカーを着ている。
「美波さん‥泳がないんですか?」
真白は美波に明乃や鈴みたいに海に入らないのかと訊ねる。
「私はまだいい‥‥そう言う副長はどうなんだ?」
すると、美波は同じ質問を真白に返す。
「私もまだいいです」
しばらくの間二人は海を眺めていたが、不意に美波が立ち上がると、
「ちょっと飲み物を買って来る」
「はい」
と言って、自販機がある海の家の方へと向かって行った。
真白が美波を見送ってから数分後、
「ふぅ~気持ちよかった~」
「副長も来れば良かったのに」
海から上がってきた明乃と鈴が真白の居るパラソルの下にやってくる。
「誰か荷物の番をしていないといけないでしょう」
真白が海に入らなかったのは、ビーチに残された荷物の番をしていたからだった。
不幸体質な真白の事だ、自分だけの荷物か財布が置き引きに遭うビジョンが脳裏に浮かんだのだろう。
「あれ?美波さんは?」
明乃は真白と一緒に居るかと思った美波が見当たらないので、彼女の居場所を訊ねる。
「あっ、さっき、飲み物を買いに‥‥って、ちょっと遅いな‥‥」
自販機に飲み物を買いに行くにしても遅い。
「ま、まさか、ゆ、誘拐‥‥とか?」
鈴は美波がなかなか帰ってこない理由が誘拐なのではないかと恐る恐る言う。
「「誘拐!?」」
鈴がどうして美波が迷子ではなく誘拐と言う結論に至ったのか?
それは、
「あ、ありえるな‥美波さん、飛び級するほどの秀才だし‥‥どこかの国の工作員に拉致された可能性もあるな」
かつて犯罪組織の残党に誘拐された経験がある真白は鈴の仮説もあながち冗談ではないと言う。
その理由は、美波が飛び級する程の頭脳の持ち主であり、医療研究者として優秀な人材だからだ。
Ratウィルスのワクチンを作ることが出来たのだ。
その反対にウィルスを作ることも出来る筈‥‥
彼女がその気になれば、それこそRatウィルス以上の殺人ウィルスを作れるかもしれない。
美波の知識を軍事転用として彼女を狙う国があっても不思議ではない。
「そ、そんな!?み、美波さんが‥‥」
自分で言っておいて美波が誘拐されたと思った鈴は涙目。
「さ、探そう!!まだこの近くにいるかも!!」
「は、はい!!」
「そうですね!!」
三人は急ぎ、美波を探し始める。
しかし、美波の姿は見つからない。
「これだけ探しても居ないなんて‥‥」
「これは警察に届けた方が良いかな?」
「うぅ~‥‥美波さん」
何処を探しても美波の姿は見つからず、鈴は涙目になる。
本当に美波が誘拐されたかと思いきや、
「迷子センターからのお知らせです。鏑木美波ちゃんというお子様を‥‥」
迷子センターから聞き慣れた名前が出てきたと思ったら、
「私はお子様ではない!!」
放送の背後から美波にしては珍しく、彼女の大声が聞こえて来た。
「美波さん‥‥無事だったんだ‥‥」
「‥‥迷子センターに居たみたいですね」
誘拐だと思い美波を必死に探し回っていた自分たちが馬鹿らしく思えた。
しかし、美波の無事が確認できたので、迷子放送を聞いた三人は美波を迎えに行くため、迷子センターへと向かった。
その向かった迷子センターでは、
「迷子じゃないのに迷子センターに連れて行かれた!!『お母さんドコ』 って言われた!!何だ!?これ!?」
美波にしては珍しく、感情を露わにして自身が迷子に間違えられたことに対して怒っていた。
「どうもすみません。」
「ご迷惑をおかけしました」
真白と明乃が迷子センターの職員に謝り、
「い、いえ此方こそ、間違えてすみませんでした」
センターの職員も真白に美波を迷子と勘違いしたことを謝った。
美波が迷子に間違えられた頃、温泉に向かった西崎と立石は‥‥
「ふぅ~‥‥りっちゃんの言った通り、夏の温泉もなかなかのモノだねぇ~‥‥」
「うぃ~」
ホテルとは別の温泉を堪能していた。
ホテルの温泉は夜に入るので、それは夜の楽しみにして、こうして別の温泉に入っている。
夏休み前に実家が群馬で老舗温泉旅館をやっている松永に夏の温泉について色々と聞いていた二人。
話を聞いた当初は真夏の暑い環境下での温泉なんて、ちょっと‥‥と思っていたが、松永から話を聞いてこうして温泉に入ってみると、彼女の言った事が理解できる。
温泉に浸かっていると、
「うぃ?」
立石がジッとある方向をジッと見つめている。
「ん?どうしたの?タマ」
「あ‥れ‥‥」
「ん?」
立石は自分がジッと見つめていた場所を指さす。
西崎が立石の指先に視線を向けると、そこは‥‥
「サウナ?」
立石はサウナを指さしていた。
「タマ、サウナが気になるの?」
「うぃ」
「そういえば、りっちゃんが‥‥」
西崎は、夏の温泉を勧めていた時、松永がサウナについて勧めていた事を思い出す。
「温泉も良いけど、サウナも良いんだよぉ~」
「サウナってあの蒸し暑い部屋の‥‥?」
「うん。サウナ→水風呂→外気浴を繰り返すと、その内ディープリラックス状態になるんだよぉ~‥‥近頃ではその事を『整い』って言うらしいんだ~」
「へぇ~‥‥」
「それにサウナにはサウナの効能があるんだよぉ~」
「へぇ~どんな効能?」
「よく誤解されることだけど、サウナに入ったからと言って身体の脂肪が燃焼されることはないよぉ~」
「えっ?そうなの?」
てっきり、サウナに入り、汗をびっしょりとかけば身体が痩せるかと思っていた西崎。
「うん。サウナの後で体重が落ちているのは、身体の水分が放出されるからなんだな~」
「そうなんだ‥‥」
「で、サウナの効能だけど、まずは血液循環の改善で、血流が良くなって筋肉のコリが無くなったり、軽くなったりするし、新陳代謝の活性化による美肌効果」
「美肌効果!?」
「うぃ!?」
松永の美肌効果という単語に反応する西崎と立石。
内田が居たら、彼女もきっと反応しただろう。
「うん、余分な水分を放出するから、むくみ解消の効果もあるって言われているよぉ~。それに入る姿勢にも特に制限はないし~でも、他の人に迷惑をかるのはNGだし、体調が悪い時には入らないようにねぇ~あと、サウナの前後には十分な水分補給をしないとダメだよぉ~」
と、松永からサウナの効能とやり方を聞いたことを思い出した。
「タマ、行ってみる?」
「うぃ」
二人は温泉から上がり、サウナの近くに設置されていた冷水機で軽く水分補給をした後、サウナの扉に手をかけた。
「うぁっ、蒸し暑っ!?」
「うぃっ!?」
扉を開けるとぶわぁっとした蒸し暑い空気が二人を襲う。
「鼻から吸った空気で喉の奥が蒸される感じ‥‥」
「うぃ‥‥」
「機関科の人たちはいつもこれに似た空間で仕事しているのか‥‥」
機関科のクラスメイトからよく、航行中の機関制御室がサウナ状態だと愚痴っているのを聞いた西崎はこのサウナの環境と同じ空間で仕事をしている機関科のクラスメイトに同情すると共に自分では無理だなと思った。
「えっと、確かサウナは一回、五分くらいって、りっちゃんが言っていたね」
「うぃ」
二人は椅子に腰かけ、五分経つのを待った。
「‥‥」
「‥‥」
最初はジッとしていたが、
「暇だね」
「うぃ」
なにもしない五分というのは意外にも長く感じた。
それから五分後、二人はかけ湯をして汗を洗い流し、水風呂へ‥‥
「うぅ~‥‥なんか、緊張するね」
「うぃ」
水風呂を前に入ることに戸惑う二人。
しかし、このまま水風呂の前に立ちすくんでいるわけにはいかないので、意を決して二人は水風呂へと入る。
「あひぃ~!!」
「うぃー!!」
水風呂は思ったよりも冷たかった。
その冷たさに思わず悲鳴を上げる二人。
「ここの水風呂冷たいでしょう?」
すると、水風呂に入っていた他の利用客が二人に声をかける。
「海洋深層水を使っているみたいよ」
「そ、そうなんですねぇ‥‥」
「う、うぃ‥‥」
震える声をだしながら、どうしてこの水風呂がこんなにも冷たいのか、理解した二人だった。
水風呂から出た二人はしばし外気浴‥‥
そしてサウナに‥‥再び、水風呂、外気浴‥‥
これを三セット繰り返した。
「何か変わった?」
「うぃ?」
サウナの効能があったのか分からない二人であったが、
ぐぅ~‥‥
二人のお腹の虫が鳴った。
「お腹すいたね‥‥」
「うぃ‥‥」
温泉を後に、二人はレストランへと向かった。
勿論、レストランに行く前に脱衣所で瓶牛乳を飲むのも忘れなかった。
二人がレストランで食事をしている頃、海水浴に出た明乃たちも海の家でお昼ご飯を摂っていた。
明乃たちが座るテーブルには海の家では定番の料理、カレー、焼きそば、ラーメンが並ぶ。
「海の家の料理ってなんか不思議だよね」
カレーを見ながら明乃が呟く。
「えっ?なにがです?」
真白は海の家の料理のどこが不思議なのか分からない。
「だって、見てよこのカレー‥‥全然具が入ってないじゃん」
「あぁ~確かに普段食べたらどうかな~って思っちゃいますけど、こういう所で食べると美味しく感じちゃいますよね」
鈴も明乃の言っていることに理解を示す。
美波もこれまでの人生の中でクラスメイトと旅行に来るのも、海の家に来たのが初めての経験だったので、顔にはあまり出さないが、それでも彼女の仕草を見る限り嬉しそうだった。
太陽が水平線に沈むまで海水浴を楽しんだ明乃たちは、ホテルへと戻るとロビーで温泉巡りに出ていた西崎と立石と合流する。
海水浴に行ったので、お風呂に入りたい明乃たち。
西崎と立石もこのホテル温泉がどんなものなのか気になったので、このまま温泉に行くことになったのだが、
「まだお風呂に入るのか?」
と、西崎と立石の行動に真白はやや呆れていた。
温泉に入った明乃たち一行‥‥
「ふぅ~流石、お風呂通のメイちゃんが選んだホテル‥‥いい温泉‥‥」
「でも、なんか湯気凄くない?」
「ほんと、周りが湯気で真っ白‥‥」
「でも、そこまで熱くはないよねぇ~」
「でも、湯気凄い‥‥」
温泉の温度は熱くもなく、ぬるくもなく、ちょうどいい湯加減だったのだが、辺りは湯気が凄く、まるで濃霧の中に居るかのように真っ白だった。
「大丈夫だって、円盤ならきっとこの湯気はカットされているから」
「円盤って何?」
「まぁ、そこは大人の事情?」
「メタな発言は止めい!!」
『円盤』と謎のワードを口走る西崎にツッコミを入れる真白だった。
「ふぅ~気持ちよかった~」
「お風呂上りにはやっぱり‥‥」
「これだよねぇ~」
明乃たちは温泉から上がり、脱衣所で浴衣に着替えると、脱衣所で販売していた瓶牛乳を買って飲んだ。
温泉を堪能してホテル内を歩いていると、
「あっ、卓球台がある」
「ホントだ」
娯楽室に卓球台が設置されていた。
「温泉と言えば、瓶牛乳の他に卓球だよねぇ~」
「折角だから、ゲームしながらやろう」
「古今東西だね」
「お題に応えて球を打つあれか」
「あっ、でも、折角なら何か罰ゲームでも決めよう!!」
西崎は折角古今東西で卓球をするのなら、罰ゲームも含むゲームをしようと言う。
「ば、罰ゲーム‥‥」
『罰ゲーム』と聞いて鈴は不安そうな顔をする。
「無理難題だったり、暴力的な罰ゲームは賛同できないな」
真白は罰ゲームの内容次第では参加しないと言う。
「じゃあ、みんなにジュース一本奢るとか?」
「まぁ、それなら‥‥」
明乃が罰ゲームの内容を提示して、ビリの人は他の人にジュースを一本奢ると言う内容になり、真白もその内容に納得した。
こうして夕食までもう少し時間があったので、明乃たちは卓球‥しかも古今東西をしながらプレイした。
「ふむ、では一回戦目のお題は‥‥」
美波が審判を務め、立石が記録係りを務め、明乃、鈴、西崎、真白がラケットを構える。
そして、美波の口から一回戦目のお題が告げられる。
一回戦目のお題は‥‥
「天王星の衛星の名前!」
「っ!?」
お題を聞いて真白の顔が困惑した。
「はじめ!」
そして球が弾いて明乃が良い音を立てながらお題を応える。
「アリエル」
続いて西崎も、
「ウンブリエル!」
続いて鈴も、
「チタニア」
「えっ?えっ?」
真白がお題に応えられなく失敗した。
「ちょっと待って問題むずかしくないか!?」
真白がお題について難しいとクレームをつけるが、
しかし美波は続けるように、
「第二回戦! お題は‥‥人を襲うサメの名前!!」
美波は人を襲う可能性があるサメの名前をお題にしてきた。
(さ、サメだと!?しかも人を襲う‥‥あっ、確かアメリカの有名なサメ映画に登場したあのサメのモチーフは確か‥‥)
美波のお題を聞いて、真白はアメリカのとある有名なパニックモノのサメ映画に登場するサメのモチーフになったサメの種類を必死に思い出す。
(((お題がサメって、やっぱりあのぬいぐるみの一件かな?)))
美波が知っていたのかは分からないが、あの実習中に伊201に追いかけられた時、寝ぼけた真白がサメのぬいぐるみを持って艦橋に来たことから二回戦目のお題にサメを持ってきたことが関係あるのかと勘繰る明乃たちだった。
「イタチザメ!!」
明乃が球を打って応える。
「シュモクザメ!!」
続いて西崎も答えながら、球を打つ。
「ほ、ホオジロザメ!!」
そして、鈴が答えを言った後、真白が球を打ち返そうとしたのだが、
「言われた!」
どうやら、真白は鈴の答えた『ホオジロザメ』と答えるつもりだったのだが、鈴に先に言われてしまった。
「ちょっと、もしかして私を抜いて打ち合わせでもしたの!?」
「いや‥‥」
「ぜんぜん」
「そんなことはありませんよ」
真白はあまりの出来レースに自分以外のメンバーが事前に打ち合わせでもしたんじゃないかと思ったが、明乃たちはソレを否定する。
「じゃあ、次のお題は私に決めさせて!!」
そこで、本当に打ち合わせをしたのではないならば、三回戦目のお題は自分が決めると言う。
「いいよ」
「OK」
「どうぞ‥‥」
三人は止めることなく、真白に三回戦目のお題を決めて良いと言う。
そして、球を打つ姿勢を取って真白は大きくお題を言った。
「国旗に星のマークが入っている国の名前!アメリカ!」
そして真白が球を打つ、続いて西崎が、
「トルコ!!」
お題に答えて球を打ち、
「シンガポール!!」
続いて明乃も答えて球を打ち、
「お、オーストラリア」
鈴も打ち返す。
そして、真白の番になるのだが、
(あ、アメリカしか思い浮かばない‥‥)
球を打ち返すことが出来ず、やはりと言うか、最下位は真白だった‥‥
夕食は地元の海で取れた魚介類をふんだんに使用された海鮮料理だった。
明乃たちは房総の海鮮料理に舌鼓を打った。
「そう言えば、マロンちゃんは千葉の出身だったよね?」
明乃はこの場には居ない柳原の事がふと脳裏をよぎった。
元々、晴風の艦長となってからクラスメイトの名前と誕生日、出身地を覚えていた明乃。
だからこそ、千葉に居るので、柳原の事が思い浮かんだ。
「うん、確かそう聞いたことがある」
鈴も柳原が千葉出身だという噂を知っていた。
「それで、マロンちゃんが苦手な食べ物がお魚料理なんだって」
「へぇ~‥‥」
「意外‥この前、釣りをしていたのに‥‥」
柳原が苦手な食べ物がお刺身を始めとする魚料理が苦手らしい。
鈴としてはあの柳原に苦手な食べ物があることに意外性を感じた。
しかも、釣りをしていたぐらいなので、てっきり魚料理も好きだと思っていた。
だが、柳原は魚料理が嫌いだった。
理由は柳原が産まれた場所が影響しており、柳原の祖父は漁師で柳原家には毎日、新鮮な魚がもたらされ、日々の食事は肉や野菜よりも魚が多かった。
魚中心の食生活の為、彼女は魚料理に飽きがきて、魚料理が苦手になっていた。
「岬さんはなにか苦手な食べ物とかありますか?」
「うーん‥‥特にないかな」
もえか同様、明乃も施設出身故に嫌いな食べ物はなかった。
食事が終わり、部屋で待ったりしていると、
「ねぇ、折角だし、怖い話でもしない?」
西崎が旅行の夜に定番の一つ、怖い話をしようと提案してきた。
「えっ?」
西崎の提案に真っ先に反応したのは真白だった。
「実習中、ココちゃんから色々怖い話を聞いてちゃんと仕入れてあるからね」
あの実習の最初の夜、晴風の艦橋にて納沙は海にまつわる怖い話を艦橋メンバーに披露していた。
その後の当直で納沙と西崎の二人の時も納沙は西崎に怖い話をしていたのを真白は覚えている。
「うわぁ~面白そう!!」
明乃は興味ありげで西崎の提案に乗った。
「うぅ~‥‥こ、怖い話はちょっと‥‥」
鈴も怖い話と聞いてちょっと怯え気味。
「ほら、知床さんも怯えている事だし、ここはもっと別の話題にしないか?」
鈴に便乗するように何とか話題を変えようとする真白。
実は言うと、真白はこうしたオカルトの類は苦手だったのだ。
「えっ?でも、シロちゃんこの前、怖い話をしたじゃん」
「あれはどう考えても怖い話じゃないでしょう!?それにほら、美波さんも居る訳だし‥‥」
真白はさらに美波も味方につけようとするが、
「私は別に構わないぞ」
と、美波は意外にも怖い話に賛成の姿勢を見せた。
「えっ!?」
科学者肌の美波ならば、オカルトなんて信じないか、飛び級しても十二歳なので、怖い話は苦手かと思った真白の思惑は外れた。
「立石さんはどうなんだ?怖い話‥平気なの?」
続いて真白は立石に意見を求める。
「こわ‥い‥話‥‥大丈夫‥聞く‥‥」
立石も怖い話で構わないという。
四対二となり、話題は怖い話となった。
「よーし!!頑張っちゃうよぉ~!!この前は岬さんにしてやられたけど、今回はそのリベンジだ!!」
これから怖い話をするというのになぜか気合が入っている西崎。
こうして、怖い話大会が行われることになった。
場を盛り上げるため、部屋の電気は消され、部屋に常備されていた懐中電灯の明かりのみとなる。
流石にロウソクはないし、そもそもホテルの部屋で火を使うのは大変危険だし、ホテルに迷惑がかかる。
「さて、じゃあまずは私から行こうか?」
最初の話は言い出しっぺの西崎から始まった。
「夏‥‥学生たちが休みとなり、海、山、川‥普段人がこない場所に人が溢れる時期となります‥‥そんな夏休み期間中、お盆と呼ばれる死者が戻ってくる時期があります‥‥そんな時期には、様々な事故も起きますが、それは本当にただの事故なのでしょうか?‥‥もしかしたら、それは、奇妙な世界‥あるいはそこで無念の死を遂げた者たちが仲間を増やそうとしているのかもしれません‥‥」
西崎は、口元を不気味にゆがめ、他のメンバーを上目遣いでみるが、その目もなんか怪しい目つきで見る。
~♪~~♪~~~♪
~♪~~♪~~~♪
そして、立石はスマホから、世にも〇妙な物語よりストーリーテラーのBGMを流している。
「タマちゃん、何やっているの?」
いきなり不気味な音楽を流されて鈴は震えた声で立石に何をしているのかを問う。
「なんと‥なく‥‥」
この場を盛り上げようと、タマはストーリーテラーのBGMを流したみたいだ。
「では、改めて‥‥これはとある海辺の町で起きた出来事なんだけど‥‥」
西崎は、ゆっくりとした口調で怖い話しを話し始めた。
美波さんの迷子ネタは、彼女の中の人ネタです。
むしろ、これを描きたくて、今回の旅行に美波さんが来てくれたようなものです。
美波さんよりも身長が低いテアもきっと、一人でぶらつくと迷子に間違われるでしょうね。
美波さんの中の人ネタの下になったあの子も中二なのに、身長が140㎝に届いていませんでしたから‥‥