やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

121 / 161
今回、相模ファンの方々には申し訳ない内容になっておりますので、相模がこんな扱いを受けるのは許せないと言う方はブラウザバックを‥‥

それでもOKと言う方はどうぞ‥‥



120話

夏休みが明け、総武高校では二学期の大イベントの一つである文化祭を控えていた。

 

前世では陽乃が実行委員長の相模に余計な一言を発した事が切っ掛けとなり、実行委員のメンバーたちがサボり始め実行委員の仕事が滞り、仕事の主力であった雪ノ下も過労で倒れ、一時は文化祭の開催さえ危ぶまれた。

 

葉山はこの後世世界の文化祭も、もしかしたら‥‥と不安に思っていたが、雪ノ下はこれまでの経緯やこの世界では陽乃が居ないことから、前世の様な流れではないと言い切っていた。

 

ただ葉山の不安は的中し、まずは文化祭の実行委員を決める際、立候補者はいなかった。

 

この世界では八幡が存在しないので、平塚先生が独断で決めることはなく、実行委員はクジ引きで決めることになり、男子の方はモブっぽいクラスメイト。

 

そして、女子の方はなんと前世と同じ相模に決まってしまった。

 

文化祭の実行委員が相模になった事で葉山の不安は益々募るが雪ノ下はあくまでも陽乃が居ないので大丈夫だと思っていた。

 

しかし、これまでの奉仕部がかかわった依頼に反して、文化祭については前世と同じような流れとなってしまった。

 

相模は文化祭の実行委員の委員長となり、奉仕部に 『自分の成長の為に文化祭の補佐をしてくれ』 という依頼をしてきた。

 

雪ノ下は前世と同じく相模の依頼を個人で受けると言って、彼女の依頼を個人的に受けた。

 

前世では八幡も相模と雪ノ下と同じく文化祭実行委員だったが、葉山と由比ヶ浜も実行委員ではなかったので、相模の依頼を受けるとしたら、雪ノ下が一人で受けるほかなかった。

 

しかし、雪ノ下は前世と同じく相模の補佐やフォローではなく、自らが主導で動いた。

 

恐らく、相模を補佐するよりも自分が主導で動いた方が早いと思っていたのだろう。

 

補佐を頼んだのに雪ノ下はそれを無下にして実行委員の会議は雪ノ下主導で動き、目立ち、褒められるのは雪ノ下となり、そんな雪ノ下の姿に嫉妬した相模は何とか雪ノ下にギャフンと言わせたいと知恵を絞り、陽乃が居ないにもかかわらず前世と同じサボり公認の発言をした。

 

雪ノ下は相模のこの発言には驚愕した。

 

前世の経験から相模のこの発言が可決されたらどうなるのか?

 

その結末を知っているので、雪ノ下は慌てて相模を止める。

 

しかし、多数決という数の前に雪ノ下の説得は敢無く却下された。

 

その後はもう雪ノ下や葉山が不安視した通り、前世と同じく文実の仕事をサボる実行委員が続出した。

 

そして、雪ノ下自身は何とかこの事態を解消しようと一人奮闘するもこの世界でも過労で倒れた。

 

雪ノ下は、相模のサボり公認の発言の先に待っている結果がどんなモノなのか、前世の経験から分かっている筈だったのに他の人に頼るという簡単な解決策を実行することもなかった。

 

雪ノ下が回復したのは文化祭のスローガンを決める日だった。

 

それまでの文実の進捗がどんなものなのかを確認してみるとそれは前世と同じ‥‥いや前世以上に仕事は遅れていた。

 

実行委員が全員文化祭開催前日まで完全下校時刻まで残っても開催できるか微妙なところである。

 

(顧問の先生も城廻先輩もこんな状況になるまで何も手を打たなかったの!?)

 

自分が過労で倒れた後、文化祭顧問の平塚先生も生徒会長の城廻もサボっている実行委員を連れ戻す手段を何もしていなかったのかと呆れた。

 

そして文化祭のスローガン決めとなり、様々なスローガンの候補が出る。

 

そんな中で最終的に選ばれたのは、相模が提案した、

 

『絆~ともに助け合う文化祭~』

 

に決まった。

 

前世ではここで八幡がサボっていた実行委員を戻すために敢えて自らにヘイトが集まるように仕向けたが、雪ノ下は当然八幡のその行動の意味を理解していなかったので、彼女は八幡の様な行動は取らなかったし、他の実行委員も八幡の様な行動を取る者もいなかった。

 

「じゃあ、スローガンも決まった事で今日は解散~!!お疲れ様でした~!!」

 

スローガンが決まったという事で相模は解散の指示を出すと実行委員のメンバーは仕事をすることなく次々と会議室から出て行く。

 

「ちょっと待って!!相模さん!!」

 

雪ノ下は慌てて相模を引き留める。

 

「ん?何?雪ノ下さん」

 

「勝手に帰っては困るわ。文実の仕事は遅れに遅れているのよ。もう、クラスに顔を出している余裕なんてないの」

 

雪ノ下は相模に文実の実情を伝え、このままでは文化祭の開催さえ危ういことを伝えるが、

 

「遅れているのって、雪ノ下さんの手際の悪さのせいじゃないの?」

 

「なっ!?」

 

相模の言い放った言葉に絶句する雪ノ下。

 

実際にどのくらい遅れているのか詳しい現状を伝えていない雪ノ下や生徒会にも問題がある。

 

そして絶句して唖然とする雪ノ下を尻目に相模は更に追い打ちをかける。

 

「それに聞いたよ。この前体調不良で休んだって‥‥雪ノ下さん、自分の体調管理も出来ないの?そんなんでよく、文実の副委員長なんてやってられるよね?」

 

雪ノ下が倒れた理由は相模たちがサボって仕事量が増えたことによる過労が原因なのに相模はその理由を詳しく知ることもなく、文実の仕事が遅れているのはあくまでも雪ノ下のせいだと言い張る。

 

前世ではサボる実行委員のメンバーが増える中、雪ノ下の他に八幡も人の何倍もの量の仕事をしていたのだが、この世界ではその八幡が居ないために、雪ノ下の負担が増え、回復するのも前世より遅れたのだ。

 

「相模さん、少し言い過ぎだよ」

 

相模の発言は仕事を頑張っている雪ノ下に対してあまりにも失礼だった。

 

自分は全然仕事をしていないのに‥‥

 

城廻も相模の発言には許せないモノがあったのか、ムッとした表情で相模に言うが、

 

「でも、先輩。雪ノ下さんが倒れたのは事実じゃないですか。ウチ、何か間違った事言っています?」

 

「そ、それはそうだけど‥‥」

 

雪ノ下が過労で倒れたのは事実であるが、その原因は少なくとも相模が原因なのだ。

 

「それじゃあ、失礼しますね」

 

相模は言う事を言って、仕事をせずに会議室を出て行ってしまった。

 

その後も会議室には生徒会の人間と最低限の実行委員のメンバーしか集まらず、雪ノ下や葉山が恐れていた事態が‥‥最悪の事態となった。

 

 

ある日の朝、緊急全校集会が行われた。

 

「今年の文化祭ですが、残念ながら中止となりました」

 

校長先生より、総武高校の今年の文化祭は中止という知らせが全校生徒に伝えられた。

 

当然その事実は生徒たちにはとても受け入れられない事実であり、全校生徒からは大ブーイングの嵐だった。

 

「静かに!!皆さんの気持ちは分かります。ですが静かにしてください!!」

 

校長がマイクで声を上げ、ブーイングを上げる生徒たちを静める。

 

そして、

 

「文化祭中止の原因は文実と顧問の方々の職務放棄です」

 

校長先生は荒れている生徒たちに何故、文化祭が中止になったのかその原因を伝える。

 

文化祭が中止となった原因が全校生徒たちに白日の下に晒されサボっていたメンバーは顔を真っ青にしていた。

 

「文実の方々は後程に罰を与えます。顧問の先生方にも勿論、処分が下ります」

 

実行委員だった生徒の内申はガタ落ちとなり、三年生はもちろんの事、今年入学したばかりの一年生、二年生もかなりの影響を受けたので、大学への推薦は当然絶望的だろうし、就職面に関してもかなりのマイナス面になるだろう。

 

サボっていた実行委員を戻すこともなく、相模のサボり公認発言を撤回することもなかった生徒会メンバーも同様の処分が下され、推薦による進学を狙っていた城廻も推薦は絶望的となった。

 

緊急全校集会後、葉山、由比ヶ浜の教室では、実行委員長である相模がクラスメイトたちから追及されていた。

 

「おい!!相模!!どういう事なんだよ!?文化祭が中止って!?」

 

「お前、実行委員長だったんだろう!?なんで、文実の仕事が遅れている事に気が付かなかったんだよ!?」

 

「そう言えば相模の奴、放課後よく教室に居なかったか?」

 

「あぁ~居た、居た。文実の仕事はいいのか?って聞いても 『大丈夫』 の一言だけだったし、そのくせ、演劇の準備は全然手伝ってくれなかったしな‥‥」

 

「俺も文実の仕事が無いなら手伝ってくれって頼んだのに、『ウチは文実の仕事で忙しいの』 とか言って何もしなかったし‥‥」

 

「モブの奴はちゃんと準備を手伝ってくれていたのに‥‥」

 

文実の仕事もサボり、クラスの出し物の準備もサボった事が浮き彫りになった相模へ向けられる視線が益々強くなる。

 

「‥‥」

 

相模は俯き顔を青くしガタガタと震えている。

 

勿論、相模と同じくモブ男子の実行委員も当然、責められたが事情を話し相模がサボり公認の発言をした事、

 

相模がモブ男子と異なり、実行委員長と言う実行委員のトップであるからこそ、モブ男子は、相模程責められはしなかった。

 

「あれだけ頑張って準備したのに、お前らのせいで全部無駄になったじゃねぇか!!」

 

「そうよ!!どうしてくれるのよ!?」

 

クラスメイトたちからのきつい視線と止まらない罵倒。

 

その光景はまさに相模が発端となったチェーンメールで大和をクラスから追放した時と同じ光景が広がっていた。

 

相模としては完全に因果応報な結果となった。

 

「は、葉山君‥‥」

 

相模はまるで捨てられた子犬の様に葉山へすがるような視線を送る。

 

もし、この世界に八幡が居れば、当然平塚先生の独断で実行委員に指名されていただろうし、そもそも文化祭が中止なんて事態にはなっていなかっただろう。

 

そうでなくても、葉山は八幡に責任を押し付け、自分のグループメンバーである相模を庇っていただろうが、この世界にはその八幡が存在しない。

 

よって、責任を押し付けたくても押し付ける相手がいない。

 

モブ男子の実行委員に責任を押し付けたくても、相模本人がサボり公認の発言をした事が周知の事実になり、更にモブ男子はクラスの出し物の準備を手伝っていたが相模はクラスの出し物の準備も手伝っていない事が判明している以上、彼に責任を押し付けられない。

 

実行委員の仕事をサボってクラスでも出し物の準備もサボっていたのが致命的であり、葉山自身も含めて相模が教室でサボっていた姿を大勢のクラスメイトたちに目撃されていたのも致命的だった。

 

「相模さん‥‥君には期待していたのにガッカリだよ」

 

「っ!?」

 

相模という女避けを失うのは葉山としては、もったいなかったがここまでの失態をした彼女を擁護しては自分まで非難されかねないので、葉山は相模を切り捨てた。

 

前世では戸部と共に葉山は相模を実行委員に推薦していた。

 

もし、前世の文化祭も中止と言う事態に陥っていたら、相模を推薦した自分も戸部も任命責任を負わされていただろうが、この世界では自分も戸部も相模を推薦していない。

 

よって、任命責任も生じない‥‥まさに今回は葉山の逃げ勝ちであった。

 

しかし、相模としては葉山の言動はまさに青天の霹靂だった。

 

自分は葉山グループ‥‥いや、このクラスの中で葉山と一番親しい異性の筈なのに‥‥

 

いうなれば、自分は葉山にとって特別な存在の筈なのに‥‥

 

その自分を葉山はあっさりと切り捨てたのだ。

 

「そ、そんな‥‥葉山君?‥‥う、嘘でしょう‥‥?どうして‥‥?ウチは‥‥ウチは‥‥」

 

相模は葉山に自分は葉山にとって、彼女に近い存在なのに‥‥

 

「な、なんで‥‥文化祭が中止になったのだって、雪ノ下さんがちゃんとウチの事をフォローしないで、休んだのが原因じゃない‥‥」

 

ここにきて相模が雪ノ下に責任転嫁する。

 

「‥‥そもそも、雪ノ下さんが休んだのも文実の仕事が遅れていてそれを必死にカバーしようとして過労で倒れたからなんだよ」

 

「えっ?」

 

雪ノ下が過労で倒れたことに関して、葉山は相模に原因があるとして彼女を許すつもりはなかった。

 

「どんなに言いつくろっても、相模さんがサボっていたのは事実だろう?‥‥これでは弁護の余地はない」

 

「‥‥」

 

葉山からのはっきりとした拒絶から相模はがっくりと両膝をつく。

 

このクラスでここまでの失態を犯した者の末路なんて自分が大和を追い詰めた経緯からよく理解している。

 

相模はこの日、授業も受けずにまるで逃げるように早退した。

 

「ふん、ざまぁみろ‥‥」

 

すごすごと教室から逃げて行く相模の後姿を見て由比ヶ浜は顔を歪めながらポロっと毒づいた。

 

彼女としても二年に進級して、葉山グループに相模が入ってから彼女の嫌味に耐え、我儘に振り回されてきた被害者なので、相模の不幸はまさに自分にとっては蜜の味だったのだ。

 

その後、文化祭実行委員のメンバーには反省文の提出と一週間の停学処分が下された。

 

顧問の教師の中には前世と同じ、平塚先生も居たが、学校側は今回の文化祭中止の火消しの為、教師を謹慎させて遊ばせる余裕がなかったので、ボーナスカットと給料の減額で文化祭中止の火消し役に回した。

 

文化祭中止の知らせが全校生徒に伝えられた翌日、葉山、由比ヶ浜の教室に相模の姿はなかった。

 

彼女自身、大和と同じく不登校になり、最終的には総武高校から去って行った‥‥

 

(くそっ、こんなことなら、ヒキタニの存在を消すんじゃなかった‥‥)

 

葉山は転生特典で八幡の存在をこの世界ではなかったことにしたことに今更になって後悔した。

 

八幡は確かに葉山にとって、忌々しい存在だった。

 

雪ノ下からも嫌われ、彼の存在を自分が消したとなると、雪ノ下は喜ぶと思って八幡の存在を消した。

 

だが、八幡の存在を消してしまったために彼に責任を押し付けることができずに、自分の重要な駒が問題を起こし、学校を去ることになってしまった。

 

いや、そもそも八幡が居れば文化祭が中止となる事態にはならなかっただろう。

 

(くそっ、この後に控えている修学旅行はどうすればいいんだ‥‥)

 

これまでの依頼の件が前世と違う事から文化祭の展開も雪ノ下の言葉を聞いて異なる展開になるかと思いきや、相模が実行委員のメンバーになったことで、もしや‥と葉山は不安に思ったら、それが的中した。

 

八幡が存在しないために事態は最悪な展開となる。

 

このままでは、この先に控えている修学旅行も最悪の展開になるのではないかと頭を抱えることになった。

 

 

 

 

ここで視点を千葉から神奈川県の横須賀に移す。

 

そして、時期も二学期から夏休み終盤へと時間を戻す。

 

来月にまさか、千葉の総武高校にて文化祭が中止になるなんて事が起きるなんてこの時は誰が予想していただろうか?

 

それは、自らの無能を曝け出した相模本人も同様のことが言えた。

 

 

横須賀女子では夏休み中にブルーマーメイドフェスタと言うブルーマーメイド主催の大きなイベントの手伝いを行ったが、今度は遊戯祭という自分たち学生が主役のイベントがある。

 

しかも今年の遊戯祭は横須賀の他に呉、舞鶴、佐世保の日本を代表する海洋学校の学生たちも参加する大規模なイベントであり、他校の学生をもてなすので、横須賀女子の学生として恥ずかしい醜態は見せられない。

 

その為、横須賀女子の学生たちはまだ夏休みが明ける前から遊戯祭について話し合っていた。

 

遊戯祭の出し物は基本的に各クラス一つであるが、希望があれば複数実行することが出来るが、申請をした場合は何としてでも間に合わせなければならないので、やはり各クラス一つの出し物に集中する傾向がある。

 

ドイツからの留学組であるシュペーとヒンデンブルクは合同も可能という事だった。

 

ただし、文化祭の部での出し物は合同であるが、体育祭の部においては、それぞれシュペーチーム、ヒンデンブルクチームに分かれ競技を行うことになっている。

 

ヒンデンブルクの大教室にヒンデンブルクとシュペーの学生たちが集まり、遊戯祭の出し物についての話し合いが行われた。

 

ただ、その話し合いの中で、

 

「あれ?ミーナさんは?」

 

シュペー副長のミーナの姿が無かった。

 

「えっ?ついさっきまで居たのだが‥‥」

 

テアもミーナがいつの間にか姿を消していたミーナに首を傾げる。

 

その内に戻ってくるだろうと思い、話し合いは始まった。

 

「私としてはまたテアのディアンドル姿を見たいなぁ~」

 

「私はシュテルのヴァイオリンを生で聴いてみたい‥‥」

 

シュテルとテアのそれらの意見やブルーマーメイドフェスタの時、ヒンデンブルクは体験航海のため、乗員たちは夏の制服でありディアンドルを着ることが出来なかったことなどから、ドイツの留学組の出し物は、ヒンデンブルクの後部甲板や食堂にてドイツ料理を振る舞う飲食の模擬店で、クラスメイトたちはドイツの民族であるディアンドルを着て、シュテルたち有志たちでバンドを組んで音楽を生演奏することになった。

 

 

その頃、行方不明になっていたミーナは‥‥

 

「第一回、晴風出し物会議!!」

 

何故か晴風に来ていた。

 

「話は聞いていると思うが改めて‥‥近々行われる遊戯祭では、招待される他校の生徒やその他大勢の来客をもてなすために催し物が開かれる。我々晴風クラスも当然この催し物に参加する訳だが‥‥」

 

真白が出し物を行う理由をクラスメイトたちに説明する。

 

「要するに祭りの演し物を決めようってんだろう?堅っ苦しい説明はナシ、ナシ!」

 

「こら、マロン。せっかく、宗谷さんが説明しているのに‥‥」

 

「いや、分かっているなら問題ない」

 

「そう言う事だから何かアイディアがあれば提案してね」

 

晴風でも遊戯祭の出し物を決める話し合いが行われており様々な意見が出ていた。

 

主計科からは横須賀名物であるカレーを提供する案が出てカレー好きな立石は真っ先に賛成する。

 

しかし、同じことは他のクラスでもやるのではないだろうか?

 

そうなると、他のクラスと被り、まるでカレーフェスタみたいになるのではないか?という意見が出た。

 

カレーフェスタという単語に立石は大歓迎だと目を輝かせていた。

 

しかし、なるべくなら被らないモノが良いだろという事で保留となる。

 

すると、西崎が、

 

「魚雷撃ち放題喫茶!!」

 

と、物騒な喫茶店を提案するが、

 

「却下!!」

 

あっさりと却下された。

 

八木はダウジングゲームを提案し、そこから五十六探しゲームへと発展し、話し合いが段々とこじれて行くと、

 

「ふっふっふっ‥‥」

 

グラサンをかけた納沙が不敵な笑みを浮かべる。

 

「ココちゃん?」

 

「やはりここは‥‥晴風全員参加の舞台演劇はどうでしょう!?」

 

「ふっふっふっ‥‥面白そうじゃのう」

 

納沙の隣にはミーナが居る。

 

(なんで、当然の様にミーナさんが此処に居るんだ!?)

 

真白は晴風のクラスメイトでもないミーナが此処に居ることに困惑する。

 

「ちょっと待ってくれ‥‥」

 

「どうしたんでしょう?」

 

「腹でも痛いのか?」

 

(痛いのは頭だ!!)

 

(何故、当然の様にミーナさんが参加している!?いや、別に居て迷惑というわけではないのだが‥‥)

 

「み、ミーナさんはどうしてここに?」

 

「今更そんな水くさい仲じゃなかろう」

 

「ワシらはもう切っても切れない仲なんで‥‥」

 

「わかった、わかった」

 

「演劇かぁ‥‥楽しそうだけどこれから準備して間に合うかな?」

 

「そうですね。何よりも私たちは素人‥‥やるからにはミスは許されないが、それには練習にもだいぶ時間を使うだろう‥‥なかなか簡単にはいかないぞ?」

 

赤道祭の時は、同級生同士という事で納沙の劇は出来たが、今度の観客は他校の生徒たちや大勢の人ばかりなので、ミスは許されない。

 

やるからには完璧でなければならないのだ。

 

それらの観点から、

 

「じゃあ映画を撮るということで手を打ちます」

 

納沙とミーナが提案している演劇は、準備期間、練習などの観点から難しいという事で、納沙は映画という事で手を打った。

 

「じゃあ、ストーリーを作ってきてくれ。出来るかはそれを見て判断しよう」

 

「了解です!ご期待ください!」

 

納沙の映画もストーリーを見ての判断という事で保留となった。

 

「リンちゃんは何かない?」

 

「わ、私!?」

 

明乃は鈴に何かやりたいことはないかと訊ねると、

 

「あっ、イルカの写真展‥‥とか?」

 

「イルカの?」

 

鈴はイルカの写真展を提案する。

 

「そう言えば海洋実習中に何枚かイルカの写真撮ったっスねぇ」

 

「うん、私も見た!」

 

Rat事件解決のため太平洋を一ヶ月間の航海をしたので、イルカと遭遇する機会もあり、青木がイルカの写真をちゃんと収めていた。

 

「だが、展示会となると量が少ないかもしれないな‥‥」

 

「そ、そうだよね」

 

展示会と言うにはかなりの枚数の写真が必要となるが、流石にそこまでの枚数の写真は撮られていなかった。

 

結果的にこの日は晴風クラスの出し物は決まらず、改めて後日話し合いを行われることになった。

 

納沙の提案であった映画は時間が無い為、翌日までにシナリオを提出してくれと真白に言われると、

 

「極道もびっくりのブラック案件じゃのう‥‥」

 

流石に一日で映画のシナリオを書けと言われ、ドン引きする納沙。

 

「なあに、腕が鳴るわい」

 

しかし、ミーナはやる気満々だった。

 

 

話し合いが終わり、解散となるとミーナと納沙は早速シナリオ作りのため、学生寮の納沙の部屋に向かう。

 

その途中、

 

「あっ、副長。どこに行っていたんですか?」

 

ローザがミーナの姿を見つけ声をかけた。

 

「おぉ、ローザかすまんな」

 

「『すまんな』じゃなくて、私たちドイツからの留学生組の出し物を決める話し合いだったんですよ」

 

「そ、そうか‥‥それで、決まったのか?」

 

「はい」

 

「何をするんじゃ?」

 

「ブルーマーメイドフェスタの時と同じく、ドイツ料理を提供する模擬レストランです。他にもヒンデンブルクの碇艦長らの有志による生バンドも行います」

 

「そうか‥‥」

 

「それで、ミーナさんは今までどこに行っていたんですか?」

 

「うむ、実は‥‥」

 

ミーナはローザに今まで晴風に居り、晴風クラスの出し物の話し合いに参加していたことを伝える。

 

そしてこの後、納沙と共に映画のシナリオの製作に入ることを言って納沙と共に部屋に向かった。

 

 

「‥‥って、ことがありました」

 

ローザはヒンデンブルクの食堂でティータイムを過ごしていたシュテルとテアの二人にミーナが話し合いの場に居なかったことを伝える。

 

ただ、テアと二人でティータイムをしているこの姿をミーナが見たらきっと不機嫌になるだろう。

 

「そうか、映画か‥‥」

 

「その映画‥‥まさか、私たちも出演‥‥なんてことはないよね?」

 

シュテルはローザに納沙とミーナがシナリオを務める自主映画に自分たちも出演するのかを訊ねる。

 

「さ、さあ、そこまでは‥‥それにミーナさんの話ですと、自主映画の方もまだ決定というわけではないみたいですし‥‥」

 

「そう‥‥」

 

(流石に去年に続き、また演劇関係に出るのは‥‥ちょっとなぁ‥‥)

 

去年のダートマス校の演劇祭に出てDVDが何故か日本でも出回っている。

 

そんな中、今年も自主映画とは言えその出演なんてますます変に目立ってしまう。

 

しかし、自主映画は一個下の晴風クラスが行う出し物だし、決定というわけではない。

 

よって、シュテルがその自主映画に出演するとはまだ確定というわけではなかった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。