やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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122話

 

九月に行われる遊戯祭の準備に向けて横須賀女子で準備が進んでいる中、真白は遊戯祭の準備が始まる前に何とかスキッパーの免許を取ることが出来た。

 

学校で明乃とシュテルに見てもらった他に真白がスキッパーの免許を取ろうとしていると知った姉の真冬が真白の練習を看たりした。

 

その結果、真白は夏休み中に無事にスキッパーの免許を取ることが出来た。

 

「わぁーシロちゃん、スキッパーの免許取ったんだ!!」

 

「おっ、マジか!?」

 

一応、クラスメイトであり晴風の艦長という事で真白は明乃にスキッパーの免許を取ったことを報告する。

 

真面目な真白らしいと言えば真白らしいが、今後の実習においてスキッパーの使用があるかもしれない時、艦長の明乃が艦から飛び出て行く回数を減らすことも理由の一つである。

 

「取るかもしれないって言っていたもんね」

 

「それにしてもそんなに早くとるとは思わなかった」

 

学校でスキッパーの練習をした時、一緒に居た西崎も真白がスキッパーの免許を取る予定だと知ってはいたが、在学中‥‥少なくとも来月にある遊戯祭の後に取るのかと思っていた。

 

「何か理由でもあったの?」

 

自分の予想よりも早くにスキッパーの免許を取った真白に西崎は何か訳があるのかを訊ねる。

 

「スキッパー仲間だぁ~」

 

そして、明乃はスキッパー仲間だと喜んでいる。

 

「いや、別に何も‥‥」

 

真白は西崎の問いにお茶を濁すように言うと、

 

「シロちゃん‥‥」

 

「ん?」

 

そこへ、納沙が真白に声をかけ、

 

「私には分かっていますよ!!」

 

( ´∀`)b グッ!と親指を立てて、何故真白が遊戯祭の前にスキッパーの免許を取ったのかその理由を知っていると言う。

 

(何がだ!?)

 

真白は本当に自分が遊戯祭前にスキッパーの免許を取ったのか、納沙は知っているのかと疑問視した。

 

そして‥‥

 

「シロちゅや~ん」

 

真白は納沙をスキッパーの後ろに乗せて、学校の敷地内にあるスキッパーの練習場を周回していた。

 

どうやら納沙は真白が自分の為にスキッパーの免許を早く取ってくれたのだと思っているみたいだ。

 

入学当初から中間テスト休みまで意外とクラスメイトとの交流が少なかった納沙と比べると、彼女も交流面では成長していた。

 

ただ、この光景を黒木が見たらきっと納沙に対して激しい嫉妬心を抱いただろう。

 

(本当は碇艦長に乗ってもらいたかったなぁ‥‥)

 

真白としてはやはり、最初の二人乗りはあの時の練習の様にシュテルに乗ってもらいたかったと思いつつも、自分の後ろではしゃいでいる納沙の姿を見せられてはそうも言えなかった。

 

 

遊戯祭はその準備と今回、他校からの生徒らも参加する大イベントのためか、千葉の総武高校の文化祭よりも後に行われる日程だった。

 

シュテルはやはり、この世界に存在しているかもしれないもう一人の自分の事が気になるのか総武高校の文化祭二日目の一般開放の際には総武高校に行こうと思って来た。

 

もし、前世同様相模が文化祭実行委員の仕事中にサボり宣言をして仕事がギリギリでの開催になれば二日目の最後‥‥エンディングセレモニーにて相模は集計結果が書かれた紙を持って屋上に逃げる筈‥‥

 

そして、自分は敢えて相模を罵倒して泥を被り彼女をセレモニー会場である体育館へと戻す筈だ。

 

その後、相模は悲劇のヒロインぶって自分の悪評を流す。

 

葉山も相模の取り巻きもあの場に居た‥‥

 

しかも葉山は文化祭実行委員でもないのに中盤には会議室にさも平然と顔を出して実行委員が人手不足になっているのを知っていたにもかかわらず、八幡の悪評について弁護もせずにただ静観していた。

 

普段から、『みんな仲良く』 と言っている筈なのに矛盾した行動だ。

 

そもそも相模を推薦したのは戸部と葉山の二人であり、もし中止になればあの二人にも任命責任がある筈なのにその責任は文化祭が開催できたことで無かったことになっている。

 

実行委員たちが本来やるべき自分たちの仕事でサボったことさえも‥‥

 

文化祭の開催にこぎつけ、さらに相模が被ったかもしれない泥を被ったのに誰も八幡の行動を理解しなかった。

 

真面目に出ていた筈の他の文化祭実行委員たちでさえも誰一人八幡のことを弁護することもなかった。

 

そのくせ、葉山は修学旅行では何食わぬ顔で矛盾した依頼を持ち込み、またもやクラスメイトや同級生たちに八幡が虐めを受けても何食わぬ顔で過ごしていた。

 

葉山の言う 『みんな』 とは八幡を除く 『みんな』 であった。

 

(葉山‥‥相模‥‥この世界では、お前たちの好きにはさせねぇぞ‥‥)

 

シュテルは、この世界では相模や葉山の好き勝手にさせるつもりはなく、屋上でのやり取りを録画して、この世界の八幡の悪評が立つ頃に屋上のやり取りをネットにアップしてやろうと計画した。

 

 

それから月日は経ち、夏休みが終わり九月‥‥

 

新学期が始まった。

 

横須賀女子は授業の他に放課後は遊戯祭の準備となっている。

 

シュテルは準備期間中にチラッと実行委員の会議室を覗いてみると、キール校やダートマス校の演劇祭の時と同様、実行委員たちは一人のサボりを出すこともなく真面目に働いている。

 

「‥‥」

 

会議室の様子を見て、どうみても総武高校の文化祭実行委員の異常さを感じる。

 

この世界に存在しているかもしれない比企谷八幡もあの独神の勝手な独断で文化祭実行委員にされ、相模も葉山に推薦され有頂天のまま文化祭実行委員となり、目立ちたいがために実行委員長に立候補したくせに、『自信が無いから補佐して欲しい』 なんてあまりにも無責任な依頼をしてくる。

 

雪ノ下は雪ノ下で、奉仕部の理念から外れた依頼にも関わらず、その依頼を個人で受けるとか言いつつ、依頼の本質を忘れ、補佐ではなく仕事も運営も全て肩代わりをして、相模は相模で雪ノ下に主役の座を取られ、依頼したにも関わらず嫉妬し、変な対抗意識から陽乃からの言葉を間違った捉え方をしてサボり宣言をする。

 

そのサボり宣言を真に受けて翌日からサボる実行委員‥‥

 

三年に関しては最後の文化祭であるし、内申点にも影響するにも関わらず仕事をサボる。

 

一年に関しても最初の文化祭であり、自分たちは新入生なのだからその辺は真面目に出ようとは思わなかったのだろうか?

 

それ以前にサボれば文化祭が中止になるとは思わなかったのだろうか?

 

こんな異常な思考回路しかもたない生徒しか居ない学校が進学校?

 

悪い冗談だ。

 

そんな生徒がひしめく総武高校にこの世界の八幡は前世の自分同様在籍している可能性があるのだ。

 

例えこの世界の自分は赤の他人であってもやはりほっとけなかった。

 

三浦と付き合っている戸塚の姿、自分の事をカナデ関連で目の敵にしている由比ヶ浜と鉢合わせをするかもしれないのが億劫であるが、その辺は何とか気をつけようと思い総武高校のホームページを見て文化祭の日程を確認した。

 

(やはり、開催日は前世と同じか‥‥)

 

総武高校のホームページに書かれている文化祭の開催予定日は前世と同じ日にちだった。

 

そこでシュテルはクラスメイトに総武高校文化祭二日目の日には千葉に向かう事を伝える。

 

クラスメイトたちは何故、遊戯祭の準備中にシュテルが千葉に行くのか気にはなったので、ユーリやクリス、ジークらは一緒についていきたそうだったが、空気を読んだメイリンから、

 

「皆さん、空気を読みましょうよ。艦長この前のブルーマーメイドフェスタで失恋したばかりですが、きっと新しい恋を見つけたんですよ」

 

シュテルがブルーマーメイドフェスタで失恋した事はヒンデンブルクのクラスメイトたちのほぼ全員が知っている事なのだが、それは口にしない事にしている。

 

メイリンはその後、シュテルが新しい恋をして、きっとその恋人に会いに行くのではないかと言うが、

 

「「「はぁ~!?」」」

 

メイリンの推測を聞いてユーリ、クリス、ジークの三人が思わず声をあげる。

 

「艦長に‥‥」

 

「「シュテルンに‥‥」

 

「「「新しい恋人だと!?」」」

 

(艦長に恋人何て‥‥)

 

(何処のどいつだ!?)

 

(‥‥うーん‥多分、この世界にもう一人の自分が居るじゃないか、確かめようとしているんじゃないかな?)

 

ジークとユーリはメイリンの推測を真に受けているみたいだが、何故かクリスはシュテルの本質を見抜いていた。

 

それから幾日かが過ぎ総武高校の文化祭予定日が近づく中、最終確認のためシュテルが再び総武高校のホームページを見ると、最初のページに赤文字で

 

 

 

                       緊急項目 

今年度の総武高校文化祭は諸事情のため、中止させて頂きます。地域の皆様には大変なご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。 

 

 

 

と、表示されていた。

 

「文化祭が中止!?」

 

シュテルは総武高校文化祭中止の知らせを見て思わず声をあげた。

 

「ど、どう言う事だ!?なんで!?どうして!?」

 

確かに前世では相模のサボり宣言により、文化祭は一時開催が危ぶまれたが、自分がスローガン決めの時に敢えて実行委員たちの敵意を自分に向けさせることでサボっていた実行委員たちを引き戻して何とか文化祭の開催にこぎつけることが出来た。

 

しかし、この後世では今年の総武高校の文化祭が中止になっている。

 

「この世界の俺はスローガン決めの時に何もしなかったのか?」

 

この時、シュテルはまさかこの世界には比企谷八幡と言う男子高校生が総武高校どころかこの世界に存在していない事さえもまだ知らない。

 

よって、総武高校の文化祭がどうして中止になったのか理解できなかった。

 

(どうする?文化祭が中止になったとなると、堂々と総武高校に行く機会が無くなってしまった‥‥このままだとこの世界の俺に忠告できないじゃないか‥‥)

 

(くそっ、こんなことなら、ブルーマーメイドフェスタの時、戸塚か三浦に連絡先を聞いておくべきだった‥‥)

 

一体何が原因で文化祭が中止になったのか、このホームページだけでは分からない。

 

この世界では総武高校に知り合いなんて居ないので、文化祭が中止になった原因が分からない。

 

文化祭が中止になったという事は少なくとも、相模に屋上で暴言を吐くことはないだろうが、それでもこの文化祭が中止の原因にこの世界の自分が関わっているとしたら、文化祭を中止にした実行委員と言う不名誉な悪評を立てられるかもしれない。

 

そうなれば、修学旅行‥‥そしてその後の結末も前世の自分と同じ結末を迎えてしまうのではないかと焦る。

 

しかし、現状遊戯祭の準備を控えている中で千葉に行きこの世界の自分、比企谷家を探すのは遊戯祭の準備をしている他のクラスメイトたちを裏切るような気持ちがあったので、行くに行けずクラスメイトたちに千葉行きが中止になった事しか言えなかった。

 

シュテルが何故、総武高校の文化祭が中止になったのか?

 

その原因を知る由もなく、月日は流れ遊戯祭がもう目前となっていた。

 

 

 

 

遊戯祭前日、横須賀沖‥‥

 

そこには横須賀女子の遊戯祭に招待された呉、舞鶴、佐世保の学生艦が停泊していた。

 

各学生艦は明日の遊戯祭開幕までの時間調整をしているのだ。

 

それらの学生艦の中には当然、学校の顔と言える尾張級戦艦の姿があった。

 

呉、横須賀、舞鶴、佐世保の四校にはそれぞれ一隻ずつ尾張級が配置されている。

 

呉の尾張 横須賀の駿河 舞鶴の近江 佐世保の三河‥‥

 

 

カン、カン、カン、

 

 

尾張のタラップを歩く金属音が鳴り響く。

 

そして尾張の甲板には、

 

「お久しぶりです。わざわざこちらに足を運んでいただきありがとうございます」

 

尾張にやってきた訪問者たちを尾張艦長の宮里十海と副長の能村進愛の二人が出迎える。

 

「気にしなくていいってー」

 

「尾張に乗艦する機会は貴重ですしね」

 

そう答えるのは佐世保女子海洋学校所属、三河艦長の千葉沙千帆と副長の野沢啓子の二人。

 

「そ・れ・に~招くよりも招かれる方がコストが低いもの。こちらは気楽なもんよ」

 

「みんなの仕事が増えないのは助かります」

 

やや貧乏と言うか、守銭奴っぽいセリフを吐くのは舞鶴女子海洋学校所属、近江艦長の阿部真澄と副長の河野燕の二人だった。

 

「それにしても呉の制服は相変わらず派手だねぇ~着るの大変じゃない?」

 

阿部は宮里と野村の制服を見て着替えが面倒ではないかと訊ねる。

 

「あず社長、失礼ですよ」

 

そんな阿部の発言を失礼だと注意する河野。

 

舞鶴では艦長の事を社長と呼んでいるのか?

 

それとも近江独自の呼び方なのだろうか?

 

はたまた、万里小路や雪ノ下の様に実家が何かの会社経営者なのだろうか?

 

まぁ、確かに阿部の言う事も最もであり、佐世保と舞鶴所属の四人の制服は多少デザインの違いはあるが横須賀女子のセーラー服と同じようなセーラー服を着ている。

 

しかし、呉の宮里の制服は八つの金色のダブルボタンに白地の燕尾服の様な上着で肩の部分にもモール紐付きの肩章がある。

 

制服と言うか大礼服にも見える。

 

副長の能村も宮里が身に着けている様な上着の上からモール紐付きの肩章と飾緒付きのマントを羽織っている。

 

確かにセーラー服と比べると着替えるには手間取りそうな制服である。

 

しかも真夏の暑い時期にはあまり着たくはないようなデザインだ。

 

呉の他にヴィルヘルムスハーフェンやキールの士官コートもゴテゴテした感じなので、夏用制服ではないドイツの制服を見たら、阿部はきっとテアやシュテルにも同じような質問をしただろう。

 

「ふふっ、そうでもないですよ」

 

だが、宮里はこの制服を着慣れているのか微笑みを浮かべながら着替えはそこまで苦ではないと言う。

 

しかし、副長の能村はなんか微妙な顔をしている。

 

彼女の感性では着ている制服は実際に着替えが大変だし、暑い時期にはこの制服はやはり苦なのだろうか?

 

「格好いいですよね。うちの千葉さんならもっと似合うかも‥‥」

 

「はっ、はっ、はっ、私は動きやすい服の方がいいなぁ」

 

三河副長の野際は、宮里の制服を褒めつつ、その制服は自身の艦の艦長である千葉が似合いそうだと言うが、千葉本人は宮里の制服は動きにくそうなのであまり着たくはないみたいだ。

 

千葉の思考はシュペーのレターナと近いのかもしれない。

 

その後、宮里は四人を尾張の食堂へと案内して紅茶を振る舞う。

 

「今年ももう、競闘遊戯会の季節か~気づけばあっという間ね」

 

阿部がしみじみと振り返る。

 

「なんだ?歳を取ると時間が経つのが早く感じるってやつか?」

 

千葉が阿部の発言に婆くさいという印象を受ける。

 

「同い年でしょう?」

 

阿部は心外だと言わんばかりにツッコム。

 

「でも、私はそんなに早くは感じないな」

 

「あず社長、働き過ぎで人より老化が進んでいるんじゃないですか?」

 

河野もなんか、憐れんだ目で阿部に言い放つ。

 

「そんなに働いていないってー」

 

阿部はすかさず否定する。

 

「そりゃ、寝ずに働ける方法があればいいなーとは思っているけど、遅くまで起きていると専務が寝かせに来るし‥‥」

 

阿部は河野をチラッと見ながら社畜なサラリーマンみたいなセリフを吐く。

 

「上が休まないと下の子たちも休めないですから」

 

河野は当然だと言わんばかりに言うが、阿部が社長と呼ばれているように河野は専務と呼ばれているみたいだ。

 

きっと、阿部の部屋には沢山のリ〇インやリポ〇タンが沢山ストックされているのではないだろうか?

 

しかし、河野の印象から阿部は決して仕事の効率が悪いとか、サボっているという訳ではない様に見える。

 

「寝る気のない奴をよく寝かしつけられるなぁ」

 

河野の発言に千葉が尊敬するように言うと、

 

「グットクエスチョンですよ、千葉さん。私も気になります!!」

 

野際もどうやって寝かしつけているのかその方法が気になるみたいだ。

 

その顔はどこぞの古典部の部長みたいに目を輝かせている。

 

「河野さんはどうやって阿部さんを寝かしつけるのでしょう?」

 

そして野際は、河野に阿部の寝かし方を訊ねる。

 

「うーん‥‥不思議といつの間にか寝ちゃっているかな」

 

河野曰く、阿部はいつの間にか寝ているので、どの方法が有効なのか不明らしい。

 

「アレですか?こう‥‥首の辺りをトンっ!と‥‥」

 

能村は映画とかでよく見るワンシーンで、首筋にチョップして意識を刈り取っているのかと訊ねる。

 

「格闘技に長けている千葉さんのコメントは?」

 

野際曰く、千葉はどうやら格闘技に精通しているみたいで、その格闘技に詳しい千葉に映画とかで見るあのワンシーンは可能なのか訊ねると、

 

「いやーあれはフィクションだろう?」

 

千葉が言うにはあのワンシーンはフィクションであり、実際は無理だと言う。

 

「仮に落とすことが出来たとしてもその場合、相手に怪我をさせてしまうはずだ」

 

更に千葉は仮に首筋にチョップを入れて相手の意識を刈り取れても、無傷では無理だと言う。

 

「だそうです」

 

「ありゃー」

 

自分が思っていた事と現実との差があることに能村はやや残念そうだった。

 

「それで、実際はどうなさっているのですか?」

 

宮里が河野にどうやって阿部を寝かしつけているのかを訊ねると、

 

「ただ布団に誘導しているだけよ‥‥」

 

河野曰く、特に何もしなくても阿部を布団の中に入れれば彼女はすぐに眠ってしまうらしい。

 

「きっと、社長が思っているよりも身体の方は疲れているのでしょう」

 

布団に入ってすぐに寝てしまうのは、阿部本人が、自分が思っている以上に疲労している証拠だと言う。

 

「そんなことはないと思うけど‥‥」

 

しかし、阿部はそれを否定するが、

 

「いえ、身体は正直ですから」

 

河野は阿部の意見を否定する。

 

「いいじゃないか!!寝る子は育つ!!はっ、はっ、はっ、!!」

 

「千葉さんも毎日よく寝ていますからね」

 

ほっこりしたような表情で野際は千葉の普段の生活の一部を語る。

 

真白が千葉を見たら、きっと自分の姉の姿を思い浮かべるだろうし、シュペークラスのメンバーは、やはりレターナを連想するだろう。

 

タラント校所属のアンネッタの留学先も確か佐世保だったので、もしかしたらアンネッタと千葉も案外意気投合しているのかもしれない。

 

「はいはい、それはそうともう横須賀に来ているわけだし、折角なら新しい尾張級の艦長も呼べばよかったよね」

 

阿部が既に自分たちは横須賀の近くまで来ており、さらに日本にある海洋学校の尾張級の艦長と副長がそろっているのだから、横須賀所属の尾張級‥‥駿河の艦長も呼べばよかったのではないかと言うが、

 

「横須賀の生徒は明日の歓迎祭の準備で忙しいでしょうから、競闘遊戯会が終わったら親睦を深める機会を設けたいですね」

 

会場である横須賀女子では明日の遊戯祭の準備のため、前日である今日もきっとギリギリまで何かしらの作業や準備があるだろうから、宮里はその辺の空気を読んで敢えて横須賀女子の尾張級の艦長を呼ばなかったのだ。

 

「でも、今年はどんな子が艦長をしているんだろう?」

 

能村は横須賀女子の尾張級の艦長がどんな子なのかちょっと気になる様子。

 

「そう言えば去年、横須賀の先輩方は言っていましたね。『来年うちに宗谷家の三女が入学してくる』と‥‥」

 

河野が思い出したかのように去年、横須賀女子の先輩が言っていたことを思い出し、今年、横須賀女子に宗谷家の三女が新入生として入学していると言う情報を皆に教える。

 

「宗谷家か‥‥ブルーマーメイドの名門家だな」

 

他校の生徒が知っているほど、宗谷家の家名は知れ渡っていた。

 

「三女って言うと‥‥」

 

「現役ブルーマーメイドの宗谷真霜さんと宗谷真冬さんの妹さんね」

 

「確か、横須賀女子の校長も宗谷じゃなかったっけ?」

 

「まさに絵に描いたようなエリート一族だな‥‥」

 

母は横須賀女子の校長で三人の娘の内、二人は内勤、現場共にブルーマーメイドのエリート。

 

そして、末っ子も横須賀女子に入学している。

 

きっと卒業後はブルーマーメイドに入り、ゆくゆくは姉同様、エリート街道まっしぐらだろう。

 

「去年のブルーマーメイドフェスタで他の横須賀女子の先輩が彼女を見たそうですよ。なんでもブルーマーメイドの方々のお手伝いをなされたとか」

 

野際は去年のブルーマーメイドフェスタに参加していた横須賀女子の先輩から当時、中学生だった真白がブルーマーメイドフェスタの手伝いをしていた話を聞いてその事を皆に教える。

 

「流石宗谷家の息女‥‥将来有望だと一部の生徒の間では結構有名になっていたと‥‥」

 

横須賀女子の校長の娘であり、ブルーマーメイドでもエリート隊員の妹だったので中学生でも既にブルーマーメイドに関係する仕事をしていたのだろう。

 

ただ、ここまで聞くと真白の事を 『親の七光り』 『コネを使った』 と悪態をつきそうなものだが、彼女たちはそう言った嫉妬の感情を真白には抱かなかった。

 

「確か真霜さんと真冬さんも現役高校生時には尾張級の艦長を務められていましたね」

 

「となると、やはり横須賀女子の尾張級の艦長は宗谷さんということでしょうか?」

 

「さあ、それはどうかな?実際の力量はこの目で見るまでは分からないし、予断を持つ必要はない。それよりも横須賀と言えば今年の春は結構騒がれたらしいじゃん」

 

「Rat事件ですね」

 

「ああ、私らが日本を留守にしている間にまさか、あんなことが起きている何てね」

 

佐世保組はRat事件が起きている時、長期の遠洋航海に出ており、事件の最中は日本の丁度反対側‥‥南米近海に居た。

 

「捜索に出たクラスメイトにも聞いたけど、結局詳しい詳細が分からないよね」

 

「ええ‥‥横須賀の新入生が乗る多数の学生艦が被害に遭ったとか‥‥事件解決に当たっては横須賀の航洋艦、晴風とドイツの留学生艦が貢献したと聞きましたが‥‥」

 

「事件解決に航洋艦と留学生艦が活躍したというのもどえらい話ですね」

 

「まっ、事件の事は兎も角、横須賀の新しい艦長が誰であっても話題には事欠かなそうね」

 

阿部は紅茶が入ったカップを持ちあげながら横須賀女子の尾張級の艦長に会うのを楽しみにしている様子。

 

「事件解決に貢献したその晴風って航洋艦のクラスメイトにも気になるし、同級生だから、その人らに聞けば分かるかもね」

 

「ふふっ‥‥明日が楽しみですね」

 

こうして遊戯祭前夜の夜は深まっていき、呉、舞鶴、佐世保の尾張級の艦長たちは横須賀の尾張級の艦長との出会いを楽しみにしていた。

 

しかし、この時彼女たちも横須賀で遊戯祭の準備をしている横須賀女子の生徒たちもまさか、遊戯祭であの様な事件が起きるなんて夢にも思わなかった‥‥

 




劇場版の円盤が先日、届いたのですが未だに未視聴で文章に起こしていないため、次回以降は不定期とさせていただきます。

劇場で配布された阿部かなり先生の遊戯祭前日の短編漫画、晴風クラスの話は中古では安いのですが、各校の大和級艦長たちの話は何故か高い。

無料で配布された時にゲットされた方はまさに幸運だと思いました。
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