やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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127話

 

 

遊戯祭二日目‥‥

 

この日は、昨日の文化祭のような歓迎祭とは異なり、各校のクラスに分かれてそれぞれお互いに点数を競い合う体育祭‥‥競闘遊戯会となる。

 

「うーん‥‥今、何時だ?」

 

シュテルはモゾモゾと寝袋から手を出し、枕元に置いてあるスマホへと手を伸ばし時間を確認する。

 

「ん?六時か‥‥」

 

スマホのディスプレイに表示されている時間を眠そうな目で見るシュテル。

 

昨夜はこうしてスーと明乃、真白と共にテントで外泊をしたので、ちょっと早めに起きてクラスメイトと合流しなければならない。

 

「朝食の準備と食べる時間、洗面の時間を考えるとちょうどいいかな」

 

シュテルは準備する時間を考え、

 

「ミケちゃん、宗谷さん、起きて、朝だよ」

 

まだ寝袋の中で眠っている明乃と真白を起こす。

 

「ん~?あ~さ~?」

 

「ん‥‥」

 

まだ寝ぼけ眼ながらも明乃と真白はモゾモゾと動きながら寝袋から出てくる。

 

「おはよう二人とも」

 

「おはよう~‥‥」

 

「‥‥」

 

明乃は寝ぼけ眼ながらもシュテルに挨拶するが真白の方はまだ虚ろな様子だ。

 

入学後の航海で伊201号潜の追撃の際、就寝中に起こされた真白は寝ぼけたままで艦橋に自身が抱き枕代わりにしていた鮫のぬいぐるみであるブルースを持ったまま艦橋に上がってきたことからあまり寝起きは良くない様だ。

 

スーの寝袋の中では、スーはまだスヤスヤと寝息を立てている。

 

昨日、遠方の海外から日本に来たばかりなので疲れているだろうから起こすのは忍び難い。

 

「スーは疲れているだろうから、まだ寝かせておこう」

 

「そうだね~」

 

「‥‥」

 

「宗谷さんはまだ眠そうだけど、今日はこの後、競闘遊戯会だからクラスメイトの所に行かないとね」

 

「そうだね。シロちゃん、起きて」

 

「うーん‥‥」

 

明乃が声をかけるも真白はまだ眠そうだ。

 

「とりあえず、顔を洗いに行こう」

 

三人はテントから出て近くの公園の水道で顔を洗う。

 

顔を水で洗った事で真白も目が覚めたみたいだ。

 

その後三人は朝食におにぎりを作り食べると、スーの分のおにぎりとお茶を置いて学校へと戻った。

 

「う‥‥う‥‥う‥‥グッドモーニン‥‥」

 

やがて、スーも起きてテント内を見渡すと、

 

「う?」

 

テントの中にはシュテル、明乃、真白の姿は無く、代わりにスーの朝食の為に作られたおにぎりとお茶が置かれていた。

 

「サンキュー シュー、シロ、ミケ!」

 

スーは三人の行為に感謝した。

 

「はむっ!‥‥モグモグ‥‥」

 

そして、おにぎりを食べながらスマホを取り出す。

 

画面には港内の地図が表示され、一点が赤く光っている。

 

「OK 行こう!!はーむっ!」

 

スーは赤い点が表示された場所へと向かった。

 

 

一方その頃‥‥

 

「それで、シュテルンは何で昨日、戻らなかったのかな?」

 

「一体誰と居たのかな?」

 

「えっ?えっ?」

 

クラスメイトの下に戻ったシュテルはクリスとユーリに詰め寄られていた。

 

「えっ?ジークに伝えたように、晴風の艦長と副長‥‥それと、外国から来た子と一緒にテントで‥‥」

 

確かに昨日、自分は晴風の機関科のクラスメイトが開いていた銭湯で機関長のジークに伝えた筈だった。

 

しかし、二人には伝わらなかったのだろうか?

 

「本当に?」

 

「ん?」

 

「本当に晴風の艦長と副長も一緒に居たの?」

 

「えっ?どういうこと?」

 

「昨日、ジークから確かにシュテルンが外泊することは聞いたし、銭湯で緑髪の女の子と居たのも確認されたけど‥‥」

 

「晴風の艦長と副長の姿は確認されなかったから」

 

「もしかして疑っているの?」

 

「「‥‥」」

 

クリスとユーリは気まずそうに視線を逸らす。

 

「まぁ、まぁ、艦長、疑っていた訳やないけど、二人は心配しとったんよ‥‥もしかしてあの緑髪の子以外に男も居たんとちゃうかなと思って」

 

そこにジークが二人を弁護するかのように声をかける。

 

「えっ?居ないよ。昨日は女四人、テントで川の字?になって寝ていただけ。それ以外のことは何もないよ」

 

ジークからの話を聞いて二人の心配は取り越し苦労だとハハハハ‥‥と笑いながらシュテルは言った。

 

やがて、競闘遊戯会の開催時間となり横須賀、呉、舞鶴、佐世保、留学生組に分かれ、数多くの生徒が会場に集まっている。

 

「それでは、只今より、競闘遊戯会を開始します!」

 

『いけーっ!頑張れ!』

 

観覧席から四校+留学生組の生徒たちがそれぞれのクラスを応援する。

 

「第一種目、障害物航走」

 

最初の競技は内火艇を使用しての障害物競走で、それぞれの学校のパーソナルカラーが施された内火艇が並ぶ。

 

それはまるで競艇レースを大型化したかのような競技だ。

 

「用意!」

 

内火艇の操舵室ではクラスのメンバーがいつでも発進できるように配置につく。

 

なお、この競技には晴風クラスも参加しており、内火艇には明乃、真白、鈴、内田、山下、勝田のメンバーが乗艇していた。

 

やがて、審判役の教官が旗を振りレースがスタートする。

 

スタートと同時に各校の内火艇は一斉にスタートダッシュをきめ、まずは最初の障害である廃棄フロートを目指す。

 

「おっ、始まった」

 

「さて、他校の実力‥‥そして、ミケちゃんたちの実力を見せてもらおうか?」

 

観客席でシュテルたちもレースの展開を楽しみにしながら見つめる。

 

「此処からコースが狭くなるよ!」

 

「前方、側方に注意!」

 

『ヨーソロ―!』

 

スクリーンには廃棄フロートに入っていく内火艇群。

 

門があり当然入口の幅も制限があり、追い越すにしても易々と追い越せない状況となる。

 

「何か凄いとこに入ってくね!」

 

「廃棄予定の小型フロートを通過するコースなんだって!」

 

スクリーンを見ながら日置と等松がこのレースのコースについて話していた。

 

門を通過するとすぐに海底に仕掛けられた模擬機雷が内火艇の接近を探知し浮上し、内火艇の行く手を遮る。

 

「面舵いっぱーい!」

 

機雷の爆発を確認した明乃が鈴に指示を出す。

 

「面舵いっぱ~い!」

 

晴風クラスの内火艇は右に舵を切りながら機雷源を回避する。

 

「へぇ~流石、知床さん‥‥見事な操艦だ‥‥それにミケちゃんの指示も的確だ」

 

他のクラスの内火艇が機雷の爆発や接触を受けてペナルティーをくらっている中、晴風クラスの内火艇は次々と機雷を回避していき順位を上げる。

 

一気に三位まで順位を上げた晴風クラスの内火艇の動きを見て、明乃の指示と鈴の操艦技術を褒めるシュテル。

 

無事に機雷源を回避した晴風クラスだったが、更なる障害が待ち受けていた。

 

「右120度から魚雷!」

 

「左10度、魚雷!此方に向かう!」

 

機雷の次は模擬魚雷が内火艇を襲う。

 

(もし、この世界に飛行機があったら、急降下爆撃や雷撃も障害物として使用されていたのかな?)

 

シュテルはそんなことを考えながらスクリーンを見つめる。

 

「取り舵一杯!」

 

鈴は、魚雷を回避するために急いで左に旋回するが、

 

「後ろ!真艦尾からも二本ぞな!」

 

「左80度からも来ているよ!」

 

最初の魚雷を躱した直後に間髪入れずに後ろと左から同時に魚雷が向かって来た。

 

(全方位からの魚雷攻撃‥‥えぐっ!?これがもし本物の魚雷だったらと思うとゾッとするね)

 

「逃げるのは任せて!!」

 

コーン‥‥コーン‥‥

 

「はっ!皆、衝撃に備えて!!」

 

明乃が計器の警報音を聴き、真白たちに注意喚起をすると、真白たちは頭を低くしてショック態勢を取る。

 

鈴の巧みな逃げ足根性の操艦により全包囲からの魚雷を回避することに成功したが、大きく旋回したせいでコースから外れてしまい態勢を整えるのに時間をロスしてしまう。

 

その隙に機雷源を突破した他の学校の内火艇が横を通り抜けて行く。

 

他の内火艇も鈴に負けず劣らずの巧みな操艦で魚雷を躱していくが、呉の尾張クラスの内火艇は向かってくる魚雷にあえてぶつかり、魚雷の進路を強制的に変えながら進んで行く。

 

「えぇ~!!今の当たっているじゃん!!ズルい!!」

 

観客席で尾張クラスの内火艇の動きを見た駿河はずるいと叫ぶ。

 

「魚雷一発に付き、ゴールタイムに三秒の加算ペナルティーだよね?」

 

武田も魚雷が当たっているのに何故かペナルティーが加算しないのに驚いていた。

 

「命中する時の角度が浅いと本物の魚雷でも威力が落ちるんだよね?」

 

「爆発しない事も有るよ」

 

駿河と武田が抱いた疑問を水雷科である松永と姫路が解説をする。

 

「そうなんだ」

 

二人の説明を聞いて納得る駿河。

 

「流石上級生、最小限のロスで魚雷に対処しているって事ね」

 

上級クラスの動きを見て等松も感心する。

 

尾張クラスは今年遊戯祭参加の晴風クラスと異なり、ルールの盲点をついての行動である。

 

しかし、これは使用している魚雷が模擬魚雷だからこそ出来る訳であり、本物の魚雷の場合、いくら操艦技術に自信があっても実行するのは躊躇ってしまう。

 

「でも、うちのクラスもまだドキュンと挽回できる位置だよ!」

 

「ペナルティゼロだし、上位狙えるよね!?」

 

ロスをしてしまった晴風クラスも負けてはいない。

 

コースから出て態勢を立て直すために時間を多少ロスしてしまったが、日置の言う通り、晴風クラスはまだ魚雷や機雷攻撃を受けておらず、ペナルティーロスはまだくらっていないので、十分に挽回するチャンスはあった。

 

「一発も当たらねぇってのは凄いけど抜かれまくっているぞ!」

 

「回避に専念し過ぎて、本来の目的を見失っていますね」

 

コースに戻ったが、魚雷を回避するあまり順位を落とし始めた。

 

「これがレースではなく、実戦だったら晴風クラスは生き残っているだろうけど、残念ながら今回はルールがある競技だ‥‥あの時の航海の経験がマイナスに働いてしまったな‥‥」

 

Rat事件の際は本物の魚雷やら砲弾が飛び交う戦争のような環境下であったが、今回は爆発も沈没する危険もない模擬弾使用の競技‥‥

 

しかし、晴風クラスの中では向かってくる魚雷は回避しなければ危ないと言う刷り込みがされており、魚雷を回避するあまり、順位を落としてしまった。

 

「後ろから比叡クラスが追い上げて来ているよ!」

 

晴風クラスの内火艇の後ろからは同じ横須賀女子の比叡クラスの内火艇が追い上げ、横に並ぶ。

 

「比叡‥‥」

 

真白は自分がこの後、艦長を務めるかもしれないクラスの内火艇を呆然とした顔で見つめる。

 

「できるだけ抜かれない様に!」

 

「分かりました!」

 

明乃は、抜かれない様に出来るだけ比叡クラスと距離を開けようとするが、真白が比叡クラスの内火艇に注意が向いてしまったため、左舷の見張りが疎かになってしまい、接近してくる二本の魚雷に気づかなかった。

 

「っ!?回避!!」

 

明乃が魚雷に気づくも一足遅く、

 

ドゴーン!!ドゴーン!!

 

『うわぁー!?』

 

魚雷は内火艇に命中してしまう。

 

「えぇ~!?何処から?」

 

いきなり出現した魚雷に内田は一体何処から来たのか分からなかった。

 

「うっ‥すみません!!」

 

真白は自分の監視範囲から来た魚雷に気づかず、タイムロスをしてしまったのは自分のミスだと明乃たちに謝る。

 

「見えづらい所から来ていたんだね」

 

「死角って奴ぞな。仕方がないぞな」

 

しかし、他のクラスメイトは真白を攻める事はせず、死角から迫って来たのだから仕方ないと真白を励ます。

 

「‥‥」

 

例え死角から来たとしても、あの魚雷は自分が任された監視範囲から来た魚雷‥‥

 

自分が比叡クラスの内火艇に注意が向いていなければ、もう少し早く‥‥内火艇に魚雷が命中する前に気づいた筈だ。

 

真白は悔しさか?それとも、注意散漫になってしまった自分への自己嫌悪からか?

 

唇をギュッと噛んだ。

 

 

「競技終了!!一位、呉女子海洋学校、尾張クラス!!」

 

レースはあのまま呉の尾張クラスが首位をキープしてゴールした。

 

首位以下の上位結果は、二位が舞鶴の榛名、三位が佐世保の霧島、四位が横須賀の比叡と言う結果となった。

 

序盤は上位に食い込み、もしかしたらそのまま上位を狙えるかと思った晴風クラスであったが、やはり二本の魚雷を食らってのロスは痛かった。

 

晴風のクラスメイトたちが、ガッカリとする中、

 

「皆!お疲れ様!飲み物用意してあるから飲んで」

 

伊良子と杵崎姉妹が明乃たちを労う。

 

「ううううっ、御免なさい!!」

 

鈴は自分が回避に専念した結果、負けてしまったのだと思い泣きながら謝罪する。

 

「皆で頑張ったんだけど‥‥」

 

序盤での上位結果から一気に順位を落としてしまった結果に明乃は申し訳なさそうだった。

 

「気にしないで、まだ最初の競技が終わったばかりだし!」

 

「きっと盛り返していけるよ!」

 

杵崎姉妹は先程の競技は最初の競技であり、最後の競技ではない。

 

まだまだ逆転するチャンスはあると明乃たちを励ます。

 

「うん、そうだね」

 

明乃は杵崎姉妹の言葉を聞いて、さっきの結果よりもこれからの結果だと切り替える。

 

最初の競技が終わり、参加していた生徒たちが戻って行く中、真白は心ここにあらずと言った様子でその場に立ちすくんでいた。

 

そんな中、

 

「あっ!?」

 

真白はある生徒とぶつかってしまう。

 

「失礼‥‥」

 

「あっ‥‥」

 

真白はぶつかってしまった生徒に謝る。

 

ぶつかってしまった生徒が振り返る。

 

「知名艦長‥‥」

 

真白がぶつかってしまった生徒はもえかだった。

 

鈴が杵崎姉妹から渡されたドリンクを飲んでいる中、真白はもえかにある事を訊ねる。

 

「あの‥‥」

 

「何?」

 

「つかぬ事をお聞きしますが、貴女にとって艦長とは何ですか?」

 

明乃以外の艦長に、艦長としての心構え、実情を訊ねる真白。

 

正直真白はまだこの時点では比叡クラスへ移籍するか、晴風クラスに残留するかを悩んでいた。

 

しかし、もし比叡クラスへ移籍するにしても明乃以外に艦長職を務めているもえかの意見は貴重だと思い声をかけて、質問したのだ。

 

「‥‥私は、艦の皆のお姉さんになれたらなって思っている」

 

もえかは自身の艦長としての役割と目標を真白に教える。

 

「そう言えば、ミケちゃんは、艦のお父さんになりたいって言っていたな‥‥」

 

そして、明乃が目指す艦長像も真白に教える。

 

「‥‥」

 

真白は何とも言えない表情でそれを聞いていた。

 

 

それから順調にプログラムは消化されていき‥‥

 

 

「間もなく競技を開始します!選手は各配置へ移動して下さい!」

 

 

水上に設置されたウレタンマットの足場で出来ているフロートの上に各校指定の水着姿となった生徒たちが頭に水風船を付けて、手にはソフトソードを持ち、それぞれ配置に着く。

 

「うぉぉぉーテアのビキニ姿!!」

 

シュテルはテアのビキニ水着の姿に興奮している。

 

「シュテルン、なんか発言がスケベオヤジみたいだよ」

 

そんなシュテルの姿にドン引きしているユーリ。

 

(むぅ~あんなペチャパイちびっ子の水着姿のどこがいいのさ)

 

(あんなペチャパイよりも私の方が胸はあるのに‥‥)

 

それと同時にユーリは心の中でテアにヤキモチを焼いていた。

 

なお、競技に参加する生徒は各校の指定の水着であるが、シュテルの場合、身体に銃痕があることを考慮されてウェットスーツの着用が特別に許可されていた。

 

「えぇぇ~だって可愛いじゃん。テアってさぁ~同級生なんだけど、身長が小さいからなんか庇護欲がくすぐられるっていうか‥‥一生檻に閉じ込めて飼いならしたいっていうか‥‥」

 

シュテルの目が笑っていないのに顔が笑っている。

 

「ちょっ、シュテルン、何気にさらっと危ない発言しているのに気づいている?」

 

シュテルのヤンデレみたいな発言を聞いてますますドン引きするユーリ。

 

(真夏の太陽の暑さでイカれちゃった?)

 

それと同時に何やら失礼な事も考えていた。

 

 

この競技にはテアたちシュペークラスの他に晴風クラスから野間、万里小路、等松、納沙、柳原、黒木、広田、駿河のメンバーも参戦している。

 

「うちのクラス、此処まで良い所ないし、この競技は頑張らないとね!」

 

「はい!」

 

「おうよ!」

 

ここで自分たちが所属するクラスのポイントを稼ごうと気合十分な晴風クラス。

 

「相手の上級生には呉の宮里さんに舞鶴の阿部さん&河野さんペア、佐世保は千葉さん‥‥それぞれの学校を代表する実力者揃いだけど、白兵戦の腕はどうかな?」

 

「うーん‥‥海の技術がそのまま白兵戦でも生かされるとは限らないけどね」

 

他校の参加生徒はそれぞれの学校の顔とも言うべき尾張級の艦長たちが参戦している。

 

成績上位者たちなのだから、もしかしたら白兵戦もそれなりの腕なのかもしれない。

 

「あぁ~どうせなら私たちがあの競技に参加すればよかったんじゃない?年がら年中艦内でサバゲー(白兵戦)しているし」

 

「クジで競技を決めたのは失敗だったね」

 

シュテルは今回の競技に参加できない事を悔しがる。

 

シュペークラスとは事前にクジで互いにどの競技に参加するかを決めており、今回の競技はシュペークラスが引いていたのだ。

 

なお、テアの他に参加しているシュペークラスのメンバーはミーナ、ロミルダ、アウレリア、リーゼロッテたちだった。

 

各校の生徒たちは、それぞれ配置に付き、

 

「それでは第五種目、水上無差別合戦‥‥用意!‥‥始め!」

 

古庄教官が競技開始の合図をすると、生徒たちは駆け出していく。

 

そのターゲットはまず新入生の晴風クラスと他のチームよりも参加人数が少ないシュペークラスだ。

 

晴風クラスは万里小路が先発しその後ろを野間がかけていく。

 

「フンッ!」

 

そして、野間が万里小路にソフトソードを投げる。

 

上手い具合にそのソフトソードを受け取り、二刀流となる万里小路はまず自分を囲んだ呉の生徒を三人倒す。

 

「ヒュ~」

 

万里小路の剣捌きを見て宮里は思わず口笛を鳴らす。

 

一方シュペークラスには佐世保の生徒らが襲い掛かる。

 

テアとミーナは背中合わせで迎え撃ち、ミーナはあっさりと佐世保の生徒を返り討ちにする。

 

「舐めるな!!」

 

テアもまずは自分に斬りかかってきた佐世保の生徒の風船を割り、続いて舞鶴の生徒へと斬りかかり二人の舞鶴の生徒を倒す。

 

「さすが我が艦長!!」

 

ミーナはテアの戦いぶりを褒める。

 

「おぉーテアもなかなかやるじゃん」

 

「そうだね‥‥」

 

ミーナの他に観客席からテアの動きを見ていたシュテルも彼女を褒める。

 

しかし、ユーリはなんだかおもしろくはない様子。

 

「今度、シュペークラスとウチのクラスの集団白兵戦でもやる?」

 

「おぉーいいね!!ソレ!!ぜひやろう!!」

 

(あのちびっ子艦長の脳天を一発でぶち抜いてやる!!)

 

シュテルの提案に乗るユーリであったが、心の中では何やら良からぬことを考えていた。

 

 

「風船が割れた選手は速やかに競技フィールドから出る様に」

 

競技の最中であるが、古庄教官が今回の競技のルールを伝える。

 

フロートの上で各校の生徒たちのバトルロワイアルが繰り広げられている中、

 

「あっ‥‥」

 

阿部のソフトソードの鍔がリーゼロッテのビキニ水着の上の部分をめくってしまい、

 

「っ!?」

 

恥ずかしさからか、リーゼロッテは両手で胸を押さえながら自ら海へと飛び込む。

 

「風船が無事でも落水は失格とします」

 

このルールにより、リーゼロッテは失格となる。

 

「じゃあ、これもありなのね!」

 

古庄教官のルール説明を聞いた黒木は駿河と鍔競り合いをしていた呉の生徒を得意の相撲の投げ技で海へと落とす。

 

一方、万里小路と野間は佐世保と舞鶴の生徒らに隅に追いやられ囲まれた不利な状況となっていた。

 

最初の呉の生徒を倒した実力から万里小路と野間が危険だと判断し、一時的にタッグを組んできたのだ。

 

「全周目標‥‥ですね‥‥」

 

「たぁ!!」

 

「やぁ!!」

 

舞鶴と佐世保の生徒らが二人に斬りかかってくる。

 

万里小路は静かに瞼を一度閉じ、カッと目を見開くと、

 

「うぁっ!!」

 

野間が万里小路を空へと投げる。

 

空に投げられた万里小路は竜巻サイクロンで襲い掛かってきた舞鶴、佐世保の生徒らを全滅させる。

 

「あれは幻の合体技、竜巻サイクロン!」

 

観客席から萬里小路と野間の合体技を見た内田が興奮した様子に技名を叫ぶ。

 

「は?」

 

しかし、真白は内田が何を言っているのか分からず首を傾げる。

 

「高速回転の遠心力で破壊力は通常の四倍!!風による追加ダメージで更に四倍!!合わせて十六倍!!接近する相手の動きも鈍らせる!!まさに攻防一体の必殺技!!」

 

山下が内田に続き、二人の合体技の解説をする。

 

「恐ろしいぞな!」

 

その威力を想像して勝田が息を呑む。

 

「うわあっ!ヤバいわ、これ!」

 

野間と万里小路が善戦している中、他の晴風クラスは戦況は不利になっていた。

 

「バトルロイヤルですからね!生き残る事が重要‥‥」

 

「うわっ!てことは‥‥逃げるが勝ちだい!」

 

この競技の勝敗は相手チームを全滅させるか、競技終了時間まで生き残ったメンバーの人数が多いチームが勝ち。

 

柳原たちは競技終了時間まで逃げで人数の確保する戦術にでた。

 

「逃げるって何所に?」

 

とは言え、駿河の言う通り、ここはスペースが限られたフロートの上‥‥

 

安全な逃げ場なんてなかった。

 

柳原たちが他の学校の生徒から逃げている中、納沙は‥‥

 

「そっちとは、やり合いとうなかったわ!」

 

「そがな極楽‥この世界にはありゃあせんで‥‥取るか、取られるかよ!」

 

ミーナと対峙していた。

 

このシチュエーションはまさに二人が大好きな任侠映画のワンシーンかの様だ。

 

「ふっ」

 

「ふん!はあっ!」

 

ミーナが突きと斬撃で納沙に襲い掛かる。

 

「うわあっ!きゃあ!!ひぃっ、本気ですね!?これは!?」

 

何の躊躇いもなく斬りかかってきたミーナに納沙は逃亡する。

 

「マッチ!助けて!!」

 

逃げ回っていた柳原たち、そして納沙は野間、万里小路、黒木の三人と合流する。

 

「はぁ~これで一安心だな!」

 

柳原は黒木の背後に回り、一息つく。

 

「この三人がいれば鉄壁の守りですよ!」

 

野間、万里小路、黒木の三人がいれば百人力、鬼に金棒、絶対に負けることはないと思っていた柳原と納沙であったが、

 

「ちょっと貴女たち、此処は‥‥」

 

黒木がその先を柳原たちに言おうとした時、足場がゆっくりと傾いていく。

 

「おっわわわわわ‥‥」

 

まずは黒木の背後にいた柳原がバランスを崩す。

 

「ウレタンマットの端‥‥」

 

そう‥野間、万里小路、黒木は相手を誘い出すため、敢えてフィールドの隅の方に陣取っていた。

 

背後が海であるならば、後ろからの攻撃は防げるがまさに背水の陣であり、足場は柔らかく不安定‥‥

 

そんな場所に女子とは言え、大人数で乗っていたら足場が傾くのは必定‥‥

 

『うわぁぁぁぁぁぁぁー!!』

 

野間、万里小路、黒木らの奮戦空しく晴風クラスは一気に全滅してしまった。

 

(コントのオチかよ‥‥)

 

シュテルがそう思えるように晴風クラスの全滅の様子は、まさにコントの様であった。

 

「駄目だ‥‥」

 

「あははは‥‥」

 

自分のクラスの無残な敗北を見て、真白は呆れ、明乃は乾いた笑みをこぼした。

 

「ミケ、シロ、今は夜より仲よしか?」

 

その時、二人は背後から声をかけられた。

 

「「えっ?」」

 

二人が振り向くとそこにはスーが笑みを浮かべて立っていた。

 

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