やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~ 作:ステルス兄貴
シュテル、ユーリ、クリスの三人がキール海洋学校の中等部へと入学してから早、四年と十ヶ月の月日が過ぎ、今ではシュテル達も中等部の最上級学年となり、今年の三月には中等部を卒業する。
三人は、中等部卒業後は勿論高等部へ進学するつもりだ。
成績に関しては、シュテルはこの中等部の間、常に主席をキープして、クリスは次席、ユーリは多少の変動はあったが、十位内を常にキープしていた。
約五年にわたる中等部での生活においてシュテルは大きく変わった。
入学したばかりの頃は、主席と言う壁にぶつかって、主席の役割について上手く理解出来ず、海洋学校生活に不安を感じていた。
しかし、前世と異なり、今のシュテルの傍にはクリスとユーリと言う無二の親友がおり、二人がシュテルを支えてくれていた。
更にこの後世では女性となり、女子校に通っている事から罰ゲームで異性に告白するような事もなく、それが切っ掛けで虐めにあう事も人間不信に陥る事も、捻くれる事もなかった。
周りの環境、友人関係‥これらの要素が前世と大きく違い、シュテルの性格の変化にも影響していた。
そんなシュテル達が入学した海洋学校の教科では一般学科の他に専門の座学、演習としてクラスを半分に分けて、クラス対抗にて駒を使っての兵棋演習、シミュレーターを使用してのシミュレーション航海、そして実際に練習艦へ乗艦しての海洋実習があった。
シミュレーション航海は様々な場面を想定しての授業であったが、その中で目的地を決めたタイムアタックにてシュテルは一分一秒でも目的地であるゴールへ行くために、ショートカットの為ならば、岩礁を砲撃や魚雷で吹き飛ばして活路を開くと言う無茶苦茶なやり方でゴールを目指したこともあった。
理由としてはそのゴールには救助を求める者が居り、軍にしろ、ブルーマーメイドにしろ、主任務はそうした被災者の人命救助の為、現場には一分一秒でも早くその現場に到着する事を念頭に置いた行動だった。
そして、練習艦を使用しての海洋実習は学年が上がるごとにその航海日数は増えていく。
中等部では高等部へ進学する前、練習艦を使用しての遠洋航海に出る。
シュテル達は今、その中等部卒業前の遠洋航海に出ている。
航路はキールの海洋学校の桟橋を出発して大陸沿いに南下し、最終目的地はイタリア南部にある最大の港湾都市、ナポリである。
キールからナポリまでの航海の中、ただ何もしない訳がなく、
「航海術演習を始める。全員、測距儀の周りへ集合!!」
メガホンでミーナ教官が集合の指示を出すと、実習生達は筆記用具と教材を手に駆け足で集合場所へと集まり、講義を受ける。
練習艦上では航海術の他に砲術、水雷術、通信技術、機関学・機関実習などの様々な艦の運用術を実際の装備を使って知識を深めていく。
勿論、練習艦内にある講義室での中等部教育における一般学の講義もちゃんとある。
「あぁ~今日も疲れたぁ~」
「寝ぼけて落っこちないように気を付けてね」
「ハンモックの寝心地にもだいぶ慣れてきたよねぇ~」
「そうそう、最初の頃は、寝にくかったよねぇ~」
「私なんか、落っこちたし‥‥」
一日、みっちりと訓練をして、講義を受けて、夕食と入浴が終わって就寝時間前のほんの僅かな休憩時間が実習生達にとって心が休まる時間となる。
実習生達はまず自分らの寝床となるハンモックの準備をする。
中等部合同教育艦マルクグラーフはケーニヒ級戦艦の三番艦であり、全長175.4m 全幅29.5mと前時代的な戦艦の為か大きさも高等部で使用している小型巡洋直接教育艦並みの大きさである。
しかし、乗艦する人間の数が高等部で学生艦を用いる海洋実習と異なる。
高等部での学生艦は一クラスの生徒の人数であるが、中等部合同教育艦はその名の通り、中等部の生徒全員と複数の教官が乗艦する。
その為、士官室・兵員室は教官らが使用し、実習生達の寝床はハンモックとなり、その空間だけが、学生達の個人所有スペースとなる。
「あれ?シュテルンは?」
自分のハンモックの用意が終わったユーリはシュテルの居所をクラスメイトに訊ねる。
「碇さんならもう休んでいるよ」
「そっか、今日の講義で分からない所があったから聞こうと思ったのになぁ‥‥」
ユーリはそう言いながらシュテルのハンモックへと行く。
「シュテルン、起きている?」
ユーリがシュテルのハンモックへと行き、シュテルに声をかけると、クラスメイトの言う通り、シュテルは既にハンモックの中で眠っていた。
ただ、眠る直前まで参考書を読んでいたのか、その手には参考書が握られていた。
「あぁ~やっぱり寝ちゃっている‥‥今日の講義で分からない所があったから聞こうと思ったのに‥‥とりあえず、参考書はしまってあげよう。このままだと落っことしちゃいそうだし‥‥」
ユーリはシュテルが手に持っていた参考書を手に取り、何気なく中身を見てみると目を見開く。
「っ!?‥‥私と同じ参考書‥じゃない‥‥いや、参考書自体は私の参考書と同じだ‥‥でも、中身は全然違う‥‥書き込みで余白じゃ足りないから付箋を糊付けして補強しているんだ‥‥」
「んっ?‥ゆ、ユーリ?」
「あっ、シュテルン、ごめん。起こしちゃった?」
「いや、気にしなくていい。それでどうしたの?」
寝ぼけ眼を擦りながらユーリに何か用があったんじゃないかと訊ねる。
「今日の講義で分からない所あったから、シュテルンに聞こうと思って‥‥」
「ん?そうなの?いいよ。何処?」
「えっとね‥‥」
シュテルはハンモックから降りて、ユーリが分からない所を教える。
「それにしてもシュテルンの参考書は凄いね」
「ん?」
「余白をびっちり、文字と付箋で埋めているんだもん」
「教科書だけでなく、講義中に教官が話した実体験や裏知識みたいなのも役立つからね」
「へぇ~」
「気になる所があるなら貸してあげるよ」
「えっ!?本当!?」
「うん。ただ、汚したり破ったりしないでよね」
「分かった。ありがとう、シュテルン」
ユーリはシュテルの参考書を借りてその場を後にし、シュテルは再びハンモックによじ登り、目を閉じた。
こうした訓練と講義を繰り返していき、キール海洋学校中等部の練習艦、マルクグラーフは目的地であるイタリアのナポリへと到着した。
到着地のナポリでは、入国審査の手続きが終われば上陸が出来、上陸後は指定された時間まで自由時間となる。
皆は早く陸に上がりたいのか、ソワソワとしてやや落ち着きがない。
そう言う点においては、やはり年頃の女の子達であり、上陸後はどこへ行く?
何を食べようか?
何を買おうか?
など、上陸後のショッピングや観光の話をしており、それはまるで修学旅行中の学生であった。
「入国審査は無事に終わったわ。これからパスポートを返却するから、名前を呼ばれた生徒は取りに来て」
ミーナ教官が一人一人、生徒の名前を呼んで入国審査に必要だったパスポートを返却していく。
「上陸後は今日、一八〇○まで自由行動を許可します。門限には送れないようにね、それとあまり羽目を外し過ぎないように、では解散!!」
ミーナ教官が解散を宣言すると、生徒達は次々とマルクグラーフを降りてナポリの町へと観光に出る。
「ねぇねぇ、シュテルン、クリス、何処に行く?」
「そうだね、ここナポリは『世界三大美港』の一つでもあるからね、その景色を見てみたいな」
「カポディモンテ美術館も見てみたいな」
「もう、シュテルンもクリスも、折角ナポリに来たんだから、本場のピッツァとパスタを食べないと」
「それもそうね」
「まぁ、あまり食べ過ぎないようにね」
ユーリとクリスは折角、ピッツァとパスタの本場であるナポリに来たのだから、その本場のピッツァとパスタは食べたいと言う。
三人はナポリのグルメマップを手にマルクグラーフを降りた。
マルクグラーフが停泊しているナポリの旅客船ターミナルの傍には掲示板があり、様々なチラシが貼ってあったのだが、その中で人目を引くのが探し人の張り紙が張り巡らされていた。
(探し人の貼り紙‥?‥‥しかもあんなに沢山の‥‥この街はそんなに物騒なのか?)
シュテルは掲示板に貼られた探し人のチラシとは裏腹に眼前の観光客が溢れている華やかな港町とのギャップを感じていた。
三人は早速、とあるイタリアレストランへと入り、早速本場イタリアのピッツァを注文する。
「お待たせしました!オニオンベーコンピザです!」
それからしばらくして、ウェイトレスが注文したピッツァをテーブルに運んでくる。
ピッツァは焼き立てでじゅうじゅうと美味しそうな音を立ててチーズの脂とベーコンの脂が焼けて混ざり合ういい匂いと白い湯気を出している。
それをピザカッターでユーリが六つに切り分ける。
こんがりと焼けているピザ生地の上には鮮やかな赤いトマトに細かく刻んだオニオンが飾られ、その上からさらにチーズと燻製肉、細切りにした緑のピーマンが乗せられている。
「それじゃあ、食べようか。ピッツァは熱い内が美味しいし」
「うん」
「そうだね」
「「「いただきます」」」
三人はピッツァを手に取り、口へと運ぶ。
ピッツァは見た目通り焼き立てで、手に持つとその熱が伝わって来る。
口へ運ぶと口の中で溶けたチーズの少し酸味がある乳の味と、しっかりと焼かれて程よく脂が抜けた燻製肉の味、それを引き立てる生のまま焼かれたのであろうオニオンの僅かな辛みと上に乗せられたピーマン独特の苦味、チーズの酸味とは異なるトマト独特の酸味。
それらの具材の土台に使われている薄いピザ生地の表面は良く焼かれて硬くなっているが中身はふんわりと柔らかく、上質な小麦と塩と水だけで捏ね上げられたシンプルで淡白な生地の味が、それぞれ個性が強い味を持つ具の味を支えている。
「美味しい~」
「うん、流石本場のピッツァ、デリバリーサービスや冷凍のピザとは一味違うよ」
「ホント、美味しい」
クリスとユーリは一枚の目のピッツァをペロリと平らげてしまうと追加のピッツァを頼む。
(ユーリは兎も角、クリスはここまで沢山食べる奴だったか?)
三人の中でも大食いなユーリは兎も角、クリスまで一心不乱にピッツァを食べている。
(やっぱり、本場のピッツァは違うなぁ~後は美味しいイタリアンワインかあの世界のシュワシュワがあれば文句はないんだけど、今は学生の身分だから仕方ないか‥‥)
クリスは本場のピッツァをワインや酒と一緒に食べたいと思っていたが今の自分は中等部の学生故、アルコールを飲むのはマズいので、此処は炭酸水で我慢した。
ユーリとクリスはピッツァだけではなく、ついでにバスタも注文した。
テーブルの上の大皿にはトマトベースのパスタにミートボールが乗っているパスタが置かれた。
パスタは大皿から小皿に分けて食べるスタイルだった。
「おぉ~美味そう~」
(なんか、何処かで見た事のあるようなパスタだな‥‥えっと‥‥たしか、有名な泥棒の孫が主役の何とかの城って言うタイトルのアニメ映画だったと思うんだけど‥‥)
シュテルはこのパスタを何処かで見たことが有るような気がしてならなかった。
大皿に盛られたパスタを小皿で取り分けるのだが、シュテルは平均的な量なのだが、ユーリとクリスは争うようにパスタを取り合っている。
「ぬっくぬぅ‥‥」
「このぉ~‥‥」
「あっ‥‥」
ユーリにしては珍しく、パスタの争奪戦でクリスに負けた。
とは言え、ユーリの皿にはパスタの山が既に出来上がっていた。
(どんだけ、食うんだよ?コイツら‥‥)
流石にシュテルは大量のピッツァとパスタを前に二人よりも先にギブアップする。
「うっぷ‥‥」
「どうしたの?シュテルン」
「流石にこれ以上は食べられない」
「えぇ~まだデザートを頼んでないよ」
「まだ食べるの!?」
「折角、本場に来たんだから、目一杯食べないと損じゃない」
「いくら何でも限度があるでしょう‥‥流石にこれ以上は付き合いきれないよ。私はこの辺りを観光するから、艦で会おう」
シュテルは此処までの料理の代金をテーブルに置いて店を出た。
「さて、始めて来たイタリアを堪能するか‥‥」
シュテルは久しぶりに一人でナポリの街を観光の為、歩き始めた。
ただこの時、シュテルは港の掲示板に貼ってあった沢山の探し人のチラシの存在をすっかり忘れていた。
シュテルは一人でナポリの観光名所を巡り歩いた。
ナポリにあるサン・カルロ劇場はシュテルの父親である碇・ラングレー・シンジが所属するオーケストラ楽団がかつて演奏会を行った劇場でもある。
以前、父から送られた手紙と共に写真が添えられていたので覚えていた。
サン・カルロ劇場の他にサンタキアラ教会、王宮博物館、国立カポディモンテ美術館、ドゥオーモ (サン・ジェンナーロ)は入館料がかかるので、外見から建物を見て写真を撮るだけであったが、サン・フランチェスコ・ディ・パオラ聖堂は入館が無料だったので、中に入ってみると、市民の憩いの場であるプレビシート広場にはパフォーマーがいたりして、沢山の観光客で賑わっていた。
シュテルは故郷の両親やクリス、ユーリに見せる為にデジカメで彼方此方の観光スポットの風景を写真に残した。
次にシュテルがやって来たのは、卵城(カステル デローヴォ)。
なぜ、この城は卵城と言うのか?
それはお城を建てるときに基礎に卵を埋めこんで、その卵が割れる時にお城もナポリも滅びるという呪文をかけられたという伝説から名付けられたと言う説があるからだ。
この城は入場料が無料なので、タダで入る事が出来、卵城の屋上からは、ナポリの街並み、サンタルチア港、遠くにヴェスヴィオ火山までが見渡せた。
「おぉ、良い眺め‥‥おっ、アレが有名なヴェスヴィオス火山か‥‥」
シュテルは城の屋上から周りの景色を見渡すと対岸には大きな連山が見える。
あの連山こそがイタリアでは有名なヴェスヴィオス火山である。
「確か大昔、あの山の麓の町が火山の噴火で滅んだんだよな‥‥」
ヴェスヴィオス火山を見ながらシュテルはポツリと呟く。
ヴェスヴィオス火山はイタリア・カンパニア州にある火山で、ナポリから東へ約9kmのナポリ湾岸にある。
紀元79年8月24日の大噴火が有名であり、この時の火砕流がポンペイ市の町に襲い掛かり、ポンペイの町は土石流と火山灰で埋没した。
この災害により、2万人程度いたポンペイ市民の内、何らかの理由で町に留まった者、逃げ遅れた者の約2千人が犠牲になった。
そして、このポンペイの災害は当時の人々の生活や文化をそのままの状態で保存した。
ポンペイの悲劇が皮肉にも古代ローマ帝国の栄華を現在に伝えることになった。
なお、このヴェスヴィオス火山は千葉県浦安市舞浜にあるテーマパークの中央部に聳えるシンボル的存在であるプロメテウス火山のモデルとなっている。
次にシュテルは買い物の為、ガレリアウンベルト1世へとやって来た。
ガレリアウンベルト1世は、さまざまなショップやカフェなどが立ち並ぶショッピングモールで中央の天井部分の鉄とガラスで造られたドームが芸術品のように美しい建物であり、ショッピングモールさながら、其処はまるでテーマパークの様だった。
(舞浜のエクス○アリみたいだな‥‥)
そこは華やかな雰囲気があり、他の観光客達も此処でお土産を購入したり、カフェで休憩したり、お茶を楽しんでいる。
前世の千葉県浦安市舞浜にあるディスティニーランドに隣接していたショッピングモールを彷彿させる所だが、歴史的、規模的にも此方の方が大きい。
シュテルがガレリアウンベルト1世の中のお店を見ながら歩いていると、
「あれ?碇さん?」
シュテルは後ろから呼び止められた。
後ろを振り返ると、其処にはキール海洋学校中等部の指定ジャージを身に纏ったシュテルのクラスメイトが居た。
「あぁ‥エレミアさんか‥‥」
シュテルに声をかけたのは同じクラスメイトのジークリンデ・エレミアだった。
エレミアは制服着用義務がある時以外は基本、ジャージ姿でいる事が多い。
(ジャージか‥‥戸塚を思い出すぜ‥‥戸塚‥‥ああ、早く会いたいな‥‥)
ジャージ姿のクラスメイトはシュテルにとって前世のクラスメイトであり、友達以上の存在であった戸塚彩加の事を思い出させる。
戸塚は小柄で腕も腰も脚も細く、肌も抜けるように白く、可愛らしい顔にソプラノ調の声と、外見と立ち居振る舞いから儚げな可愛い美少女に見えるが、戸塚はれっきとした男だった。
前世では、戸塚はシュテル‥いや、八幡が高校一年生の時、同じクラスだったが、初めて会話をしたのは二年になってからだった。
テニス部に所属する戸塚は八幡ら奉仕部にテニス部の強化を依頼し、そこから八幡と戸塚の交流が始まったのだった。
日本へ行けばこの世界の戸塚に会えるかもしれない。
前世では同性同士だったが、今の自分は女‥故に戸塚と堂々と交際することが出来る。
シュテルが日本に居るかもしれない戸塚の事を思っていると、
「碇さん、碇さん?どないしたん?突然ボォッ~として、気分でも悪いんか?」
戸塚の事を思っているシュテルの顔の前でヒラヒラと手を振りながらエレミアが心配そうに声をかけてくる。
「えっ!?だ、大丈夫だよ。ちょっと、周りの景色に見とれていただけだよ」
と、誤魔化す。
「そうなんか?まぁ、どこも悪くなければそれでええけど‥‥」
(あれ?俺って今、エレミアさんとドイツ語で喋っている筈なのに、なんでエレミアさんの言葉が関西弁に編集されているように聞こえるんだろう?)
シュテルはエレミアの言葉に違和感を覚えたが、気にしたら負けなので、深く考えるのを止めた。
「エレミアさんは一人‥‥って、またスナック菓子を食べているの?」
シュテルはエレミアの手の中にあるスナック菓子を見て呆れるように言う。
「仕方ないやん、こればっかりは止められないんよ」
エレミアはジャージの着用以外にスナック菓子中毒とも言える程、スナック菓子やジャンクフードが大好きだ。
実際、今回の海上実習でも彼女は沢山のスナック菓子を持参しており、休憩時間中や就寝前に良く食べている姿を見る。
ユーリもそうであるが、あんなに沢山のスナック菓子を食べてよく、身体を壊したり、太ったりしないと思う。
「碇さんは今、一人なんか?いつも一緒に居るエブナーさんやエーベルバッハさんはどないしたん?」
「二人はレストランで食い倒れている。流石に私はあんなに沢山のイタリア料理は食べられないし、折角ナポリに来たんだから、観光名所を巡りたいと思ってね、彼方此方を回っていたの。エレミアさんは?」
「ウチも一人で、その辺を適当にブラブラしてたんや」
「そう‥あっ、それなら一緒に回らない?」
「碇さんと?」
「うん。あっ、でも、もしエレミアさんがこの後、何か予定があるならいいけど‥‥」
「まぁ、えぇよ。ウチも特に予定とかもあらへんし、誰かと一緒に回っとったわけでもないからな」
こうしてシュテルはクラスメイトのエレミアと共にナポリの街を観光する事になった。
シュテルの方からこうしてクラスメイトと一緒に観光地を回ろうと誘う辺り、シュテルも成長し、人として変わった事を意味していた。
皮肉にもシュテルは一度死んだことにより、人として変わる事が出来た。
そう言う意味では前世の奉仕部メンバーや葉山が八幡を自殺へと追い込んだ事が八幡を‥シュテルを変える切っ掛けになったのかもしれない。
シュテルとエレミアは観光マップを片手にナポリの街へと歩き回った。
しかし、シュテルもエレミアもこの時は、まさかあの様な事件に巻き込まれるとは夢にも思わなかった。
今回のゲストはなのはvividからジークリンデ・エレミアです。
ユーリとクリスがパスタを取り合うシーンのイメージは、あの有名な泥棒の孫が相棒のガンマンと共に城下町のレストランでパスタを取り合う感じです。