やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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133話

横須賀女子における遊戯祭の最中に起こった海上テロ事件‥‥

 

つい最近に完成・稼働したばかりの海上プラントとモスボールとなったアメリカの海上要塞の二つを奪還するため、行動不能となってしまったブルーマーメイドの代わりに横須賀に集結していた各海洋学校の学生艦が出撃しようとしている中、横須賀女子の会議室では、

 

「くれぐれも人質の安全を最優先してくれ、これは政府全体の総意だ」

 

政府からはプラントで人質となっている技術者、研究者たちの保護を優先するように指示がきた。

 

「それは、勿論です。ところで海賊側からの要求は?」

 

真雪は人質の安全は当然の事だと伝え、次にプラントを占拠したテロリストたちからは日本政府に対して何か要求があったのかを訊ねる。

 

これまでブルーマーメイド隊員としてかかわった事件、そしてゴールデンウイークに起きた娘である真白の誘拐事件では、人質をとった犯人たちは身代金等の要求をしてきた。

 

今回もプラントに居る技術者、研究者たちを人質に取っている事から、テロリストたちが日本政府に対して人質たちに対する身代金等の要求をしていてもおかしくはない。

 

しかし、

 

「現時点では、全く入っていない」

 

「入っていない?」

 

テロリストから日本政府に対して何の要求もされていない。

 

「となると、彼らは日本政府に対して要求するモノがない‥‥と、考えられますね」

 

プラントがテロリストに占拠されてから既に四時間以上経過している。

 

テロの規模からテロリストたちも既に自分たちの犯行が日本政府、ブルーマーメイド、ホワイトドルフィンに知られている事ぐらい周知している筈だ。

 

「君たちの報告は読んだ。我々も同じ考えだ。要塞にプラントを取り込み半永久的に稼働可能な移動要塞として、海賊行為を行うか‥‥」

 

それにもかかわらず、テロリストは日本政府に対して身代金等の要求を行っていないことから、テロリストの目的は金が目的ではないと言うことになる。

 

「もしくは‥直接都市を狙う?」

 

海上プラントと海上要塞がドッキングしてしまえば、半永久的に稼働可能な移動要塞となる。

 

そうなれば、一々日本政府に対して身代金等の要求をしなくともテロ・海賊行為を行い、都市部を襲い金品を強奪出来る。

 

余計なリスクを背負って身代金等の要求をせずとも莫大な利益が出る。

 

誘拐事件において犯人にとって最大のリスクが身代金の受け取りである。

 

銀行口座への送金に関しても口座に入っているお金を引き下ろさなければならないし、入金を確認しても、確認後に口座を凍結されたら、金を引き落とせない。

 

更に別の口座に移しても追跡される可能性は十分にある。

 

直接現金を受け取るにしても、その受け取り場所に行けば警察に確保されるリスクが大きい。

 

それにプラントに居る技術者、研究者たちは優秀な人材であり、今後も武器やシステム等の新開発や要塞、プラントの修理を担う人材であり、そう易々と解放する訳にはいかないのだろう。

 

「その通り‥‥要塞がどこかの都市に突っ込んで来たら止める手立てはない。人質の救出は最優先だが、プラントと要塞を絶対に合流させるな。それには、あらゆる手段を許可する」

 

「了解しました」

 

「人命が最優先だが、要塞は必ず破壊しろ」

 

政府は自国が建造した最新のプラント及び優秀な人材である人質たちは何としてでも奪還せよと言うが、アメリカの海上要塞に関しては破壊しても構わないと言う。

 

要塞には人質が居ないし、後々にアメリカがクレームをつけてきても海上要塞がモスボール状態である事とテロ鎮圧の名目で逃げ切るつもりなのだろう。

 

その点は政治家、外務省の役人たちの仕事である。

 

今は目の前の事件解決を優先させるだけであった。

 

 

真雪から学生艦への協力要請の話が来た時、他校の尾張級の艦長たちは驚愕した。

 

「宗谷校長が駿河に乗る気満々と言うところまでは、あの子の言った通りになっているみたいだけど‥‥」

 

「最初から最後まで全部あの子の言う通りになったよ!?」

 

事態が先程、聞いたもえかの筋書き通りに進んでいる事に驚く。

 

「何なんです?かあの子?」

 

「こりゃ駿河も旗艦で、統制射撃も駿河に従うって事でやるしかないな」

 

「そう言う約束でしたからね」

 

もえかとの約束で旗艦が駿河になった場合、大人しく駿河の指揮下に入るともえかと約束したことから、ここで異議を唱える訳にはいかなかった。

 

「宗谷校長に対する交渉術を含めて、ちょっと普通じゃないですよ、あの子?」

 

「一体何者がって?」

 

一年生ながらも自身が通う校長相手に一歩も引かず、取引の手腕と先読みがずば抜けているもえかに末恐ろしいモノを感じる。

 

「ふん!まああれだ!海の上では、我々の方がキャリアが有るんだし、頼れるところも見せてやらないとな!」

 

「してやられたまんまじゃあ、先輩とは言えないもんね!あの子たちの力になってあげないと‥‥」

 

「そうですね」

 

「さて、私たちも艦へと行き出航準備を確認しましょう」

 

旗艦は一年生のもえかが艦長を務める駿河になったが、それが不満で事件解決のために手を抜いたでは、先輩として大人げないし、これは一国の未来‥‥ひいては世界の安全にも関わる事態なので、先輩方はこれ以上異議を唱える事はなく、協力姿勢を取った。

 

 

ヒンデンブルクの艦橋に上がったシュテルは、

 

「ねぇ、シュテルン」

 

「ん?」

 

ユーリ声をかけられる。

 

「駿河の艦長と一緒に居たのはこのためだったの?」

 

「まぁ、今更隠しても意味がないから、正直に言うけど、そうだよ」

 

「だったら、どうしてあの時に言ってくれなかったのさ」

 

「あの時はまだ確信がなかったんだよ。私の取り越し苦労のせいで余計なパニックやデマを広げる訳にはいかないでしょう‥‥まぁ、結果的にユーリの機嫌を損ねてしまったし、当たってほしくない予感となり、無駄だと思って欲しかった作戦を実行する羽目になってしまったけどね」

 

「それでも、シュテルン。私たちは親友なんだから、次は例え、シュテルンの勘違いであってもいいから、言ってね」

 

「う、うん‥分かった‥‥ごめんね、変な心配をさせて‥‥」

 

この事態にて、シュテルは完全にユーリからの誤解を解くことが出来た。

 

だが、

 

「あれ?シュテルン。艦長帽は?」

 

ユーリはシュテルが普段被っている艦長帽をかぶっていないことに疑問を感じて訊ねる。

 

「えっ?ああ、艦長帽は陸の友人に預けてきた」

 

「はぁっ?預けてきた!?」

 

ユーリはシュテルが艦長帽を被っていない理由を聞いて思わず声を上げる。

 

「そこまで驚くこと?」

 

「一応、艦長帽は艦長としての象徴なのに‥‥」

 

「帽子一つに大げさだよ。それにサーベルだってあるし、テアもあの時の事件でミーナさんに艦長帽を預けたしさ、必ず戻って来れるようにゲン担ぎだよ、ゲン担ぎ」

 

「それで、誰に預けたの?」

 

ユーリはシュテルに一体誰に艦長帽を預けたのかを訊ねる。

 

「ん?」

 

「だから、帽子‥‥誰に預けたの?」

 

「横須賀女子の二年生の人‥‥夏休みに私たちと一緒にメーヴェの講習にも参加していたんだよ」

 

シュテルはみほのことをユーリに伝える。

 

(くっ、シュテルンを狙う新たな奴が‥‥)

 

シュテルが艦長帽を預けることぐらいなのだから、ユーリはその帽子を預けた人物にも警戒することになる。

 

そんなユーリの心配をよそにシュテルは各部のチェックを行う。

 

「メイリン」

 

「はい」

 

「燃料は大丈夫?」

 

「はい、機関科から連絡があり、十分な量を搭載しています」

 

「ユーリ」

 

「はい」

 

「弾薬は?」

 

「主砲、副砲、魚雷、そして墳進弾も十分な量を搭載しているよ」

 

「クリス、出航準備は?」

 

「いつでもいけるよ」

 

「了解。それと、メーヴェの用意は?」

 

「出来ているけど、使う機会はあるのかな?」

 

「要塞が私やもかちゃんの予想通りの展開なら、困難な夜間発艦になるけど、使用せざるを得ない状況になるだろうからね‥‥もちろん、作戦書にはその場合のケースも記載されている」

 

「分かりました‥‥ではもし、その場合は私がメーヴェに搭乗します」

 

「えっ?クリスが!?」

 

「はい。艦長には艦で指揮を執ってもらわなければなりませんから」

 

「‥‥分かった。それじゃあ、一応この作戦書に目を通しておいて」

 

シュテルはクリスに作戦書を手渡す。

 

シュテルともえかも要塞は武装されていると踏んでいるので、この作戦に書かれているメーヴェを使う機会は必ず来ると予感していた。

 

「了解」

 

シュテルから手渡された作戦書に早速目を通すクリス。

 

ヒンデンブルクの出撃準備は完了し、あとは各艦と共に出撃するだけであった。

 

 

「出港準備!」

 

一方、晴風でも明乃たちも出航準備をしていた。

 

「うぃ!」

 

「砲術、水雷準備完了!」

 

「航海、行けます!」

 

「機関、いつでも行けるぜい!」

 

『ヨーソロー!!』

 

「艦内警戒閉鎖よし!」

 

「ひとつ甲板、近錨各部出港準備よし!」

 

晴風の各所にて出航準備が整い、いよいよ出航と言う中、真白は羅信義の上に置いてあった艦長帽を取ろうとする。

 

艦長帽の上には五十六がスヤスヤと寝ていた。

 

艦長帽を取ろうとした真白は伸ばした手を止めて戸惑う。

 

「ぬぅ?」

 

すると、真白の気配に気づいた五十六は目を覚ます。

 

「ぬっ!」

 

真白の存在に気づいた五十六は艦長帽の上らか退き、床に降りる。

 

五十六が艦長帽の上から退くと、真白は艦長帽を取り、明乃に差し出す。

 

「副長!」

 

「行きましょう!」

 

明乃は真白から艦長帽を受け取る。

 

「うん!!晴風出港!!」

 

明乃は、出航命令を出す。

 

出航命令と同時に万里小路がラッパを吹き、錨が上がる。

 

なお、万里小路のラッパの腕は多少上がっており、最初の航海の時には音を外した拍子抜けする様な音だったが、今回はそれなりの音になっていた。

 

等松が旗を上げて用意よしと知らせると晴風は、汽笛を鳴らしながら出航する。

 

「晴風出航!!」

 

「よし、本艦も行くぞ!!」

 

「ヒンデンブルク出航!!」

 

晴風の出航を確認したヒンデンブルクも出航する。

 

ヒンデンブルクの機関が轟音を奏で、スクリューが勢いよく回転し始める。

 

「両舷前進微速、赤黒なし、針路130度!」

 

シュテルとクリスがそれぞれテレグラフを操作して停止から微速の位置へ針を合わせる。

 

晴風、ヒンデンブルクが出航し、今回の艦隊旗艦である駿河でも、

 

「出港準備完了しました」

 

艦橋にあがったもえかは同じく艦橋に居る真霜に駿河の出航準備が整った事を報告する。

 

「各艦、出航準備完了!」

 

親子が一緒に出撃する学生艦も出航可能であることを報告する。

 

報告を聞いた真霜は手を上げた。

 

「信号、予定順序に各艦揚錨。出航せよ!」

 

「出航用意錨上げ!」

 

各艦の出航命令と同時にもえかは出航用意を命じ、ラッパが鳴り響くと同時に轟音とした金属音と共に錨が上げられる。

 

「両舷前進微速!130度、ヨーソロー。航海長操艦!」

 

「いただきました航海長」

 

するともえかと真霜の背後から駿河の航海長が現れ、

 

「両舷前進微速、赤黒なし、針路130度」

 

操艦指示を出す。

 

駿河も汽笛を出しながら出港する。

 

「定刻五分前行動‥何事もブルーマーメイドの慣習通り、先行させた晴風もそうだけど、よい腕ね」

 

「ありがとうございます」

 

「よろしい、湾外に出次第、第四警戒航行序列に占位せよ!」

 

「了解」

 

晴風を先頭に陣形を組むと、プラント奪還へと赴く、真冬が艦長を務めるべんてんも合流する。

 

「遅れて来たべんてんだけが動けるとは‥‥」

 

「全くだわ。あの子は悪運が強いのよね」

 

「悪運ですか?」

 

横須賀所属のブルーマーメイド艦の中で、動けるのは真冬のべんてんのみ‥確かに運があるのかもしれない。

 

真白の不運は姉に運を吸い取られているのかもしれない。

 

べんてんと学生艦がプラント、海上要塞へと向かっている中、スーは駿河の艦橋の床に座っていた。

 

「どうしたの?」

 

もえかがスーに声をかける。

 

「知ッテイル人イナイ」

 

スーは、周りには知っている人間が居ない事に不安がっている。

 

事件前のスーならば、気にしなかったかもしれないが、テロリストに騙され、犯罪の片棒を担がされ、さらには日本に居るかもしれない行方不明となっている父親も探してもらえない‥‥

 

父親が居るかもしれないと言う異国に一人で来た少女にとって、父親に会えるかもしれないと言う希望だけがスーの支えになっていたのだが、その支えが無くなってしまい、これまで押し込めてきた不安が一気に膨れ上がっているのだ。

 

「そうでもないよ」

 

しかし、もえかは不安がっているスーに対して、励ますように言って、右舷側を指さす。

 

「ン?」

 

指さされた方向を見ると、先行する晴風の姿があり、

 

「ミケ、シロ!」

 

艦橋から明乃と真白が手を振っていた。

 

それに気づいたスーは手を振る。

 

更に発光信号が晴風から送られる。

 

「エット‥アレ、私ノ知ラナイ信号‥何テ言ッテル?」

 

「”戻ったら一緒にご飯食べようね”だって」

 

もえかが代わりに発光信号の内容をスーに読んで聞かせる。

 

「ウン、食ベル!」

 

昨日、今日食べた日本食はとても美味しかった。

 

また友人と食べることが出来るのであれば、当然食べたい。

 

スーに元気が戻ってきたみたいだった。

 

 

「届いたかな?」

 

明乃はスーに送った発光信号がちゃんと届いたか気になった。

 

「大丈夫みたいですね。ほら‥‥」

 

真白はちゃんとスーにメッセージが届いたことを確信する。

 

駿河の艦橋から手を振るスーともえかの姿があった。

 

「良かった」

 

ちゃんとメッセージが届いたことにホッとする明乃。

 

 

「艦長、後方からシュペーも合流しました」

 

ヒンデンブルクの見張り員が後方から接近するシュペーの存在を報告する。

 

「旗旒信号を確認」

 

更にシュペーには旗旒信号が上げられらえている。

 

「内容は?」

 

「”本艦も協力する”との事です」

 

「シュペーに返信、“協力に感謝する”」

 

「了解」

 

プラント奪還には速力とある程度の攻撃力が必要なので、高速かつ攻撃力を備えたシュペーはプラント奪還には必要な戦力だった。

 

シュテルともえかが作戦を立てている時には当然、シュペーの存在も織り込み済みであり、日本に来たばかりの頃、ドイツ大使館の大使館員と面識をもっていたシュテルは、取り越し苦労になる可能性もあることを含めてオフレコで今回の海上テロ事件を伝え、ドイツからの留学生艦であるヒンデンブルクとシュペーの参戦も伝えていた。

 

ブルーマーメイドの艦艇の出撃不能となったこの事態に真雪経由でドイツ大使館には一報を入れ、ヒンデンブルクとシュペーの参戦許可を求めている。

 

海上治安維持法は日本だけの法律ではなく、国際法なので、ドイツ大使館への説得もやりやすかった。

 

シュペーの参戦は一部の者しか知らなかったので、シュペーが参戦してくれることを聞いた納沙は驚いていた。

 

シュペーが本当に来てくれたのかを確認するかのように双眼鏡でシュペーの姿を確認する納沙。

 

すると展望デッキにミーナが晴風に向けて何かを言っている姿が確認できた。

 

『仁義で首括っとれ言うんならくくろうじゃないの』‥‥艦長、シュペーへ応答して、よろしいでしょうか?」

 

ミーナからの言葉を読唇術で内容を読み、納沙は明るい声で自分がシュペーに返信して良いか明乃に問う。

 

「えっ?うん良いよ」

 

明乃はあっさりと許可する。

 

「『ワシら海で、ええ思いする為に船乗りになったけぇ』」

 

納沙はミーナ同様、ウィングでシュペーに対して何かを言う。

 

「『海で体張ろう言うんが、何処が悪いの』‥か‥‥」

 

納沙の言葉を読唇術で読むミーナ。

 

「フフ‥やるな」

 

納沙からの返信を聞いて不敵な笑みを浮かべるミーナ。

 

「副長、楽しそうだな」

 

そこへ、テアが現れミーナに声をかける。

 

「ええ、こうして再び晴風に居る友と戦えるとは思ってもみなかったので」

 

「そうだな‥‥私もシュテルと共に同じ作戦に参加できるのはやはり嬉しい」

 

(むぅ~また碇艦長か‥‥)

 

テアの口からシュテルの名前が出てきた面白くないミーナだった。

 

「このシュペーの実力をきちんと見せるいい機会でもありますから」

 

そう思いながらもテアとシュペーの名前を知らしめるいい機会だと思っていた。

 

横須賀の学生艦などが出港する中、他校の学生艦の方では‥‥

 

「罐の温度が上がっとらんだらぁ!横須賀に負けんようにしりぃ!」

 

尾張の艦橋では副長の能村が伝声管で機関室に声を荒げていた。

 

「副長、無理をさせて罐を壊しては元も子もないわ。少し落ち着きましょう」

 

「あっ、はい」

 

機関故障で作戦に不参加では目も当てられない。

 

これから海上要塞相手にドンパチするかもしれないと興奮するのは分かるが、ひとまず落ち着くように能村へ言う宮里だった。

 

 

「一年も二年も気合十分!うちの子たちも二十四時間残業いけそうなテンションね!」

 

「また、そう言うブラックな人使いを‥‥」

 

「先ずは駿河と例のドイツの艦長がどんな仕事っぶりか、お手並み拝見といこうかな?」

 

三年生と言う余裕なのか、近江の艦橋では普段通り、二十四時間戦えますか?な、空気だった。

 

 

「さて、如何なる事やら‥‥」

 

三河の艦橋では、阿部同様、千葉には余裕な様子。

 

「しかし、一年生が旗艦で大丈夫でしょうか?」

 

「事前の根回しは完璧だったな。我々上級生のメンツも潰さず、むしろ手伝おうと言う気分にさせたんだ」

 

「成程見事なものですが、あまり活躍されると私達の立場が脅かされるかもしれませんよ?」

 

「ふっ!頼もしいじゃないか、それくらいでないと我々も張り合いがない!」

 

千葉はそう言って笑みを浮かべながら艦長帽を被る。

 

『出航用意!』

 

横須賀の学生艦にやや遅れる事、三隻の尾張級は出航した。

 

出撃して行く学生艦の姿を真雪は横須賀女子の会議室からモニター越しに見ていた。

 

「必ず無事に帰ってきなさい」

 

この場から動けない自分の立場を悔しながらも事件解決のために出撃した学生たちの無事を祈る真雪の姿がそこにあった。

 




ミーナの帰国前発言にも何かしらの伏線を感じました。

ドイツからの留学組なので、いつかは帰国しなければならないのですが、別れの際にはミーナと幸子はきっと涙なしにはいられないでしょうね。

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